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タグ:コンプライアンス 」と一致する記事一覧
コンプライアンス 2019年5月号・実務解説

法務部門は防げるのか?
日産自動車事件にみる「経営者不正」への向き合い方
山口利昭

日産自動車前会長の不正疑惑報道は、一社員にすぎない法務・コンプライアンス部門が、経営者不正に立ち向かうことの苦労を痛感させる。法務部員が面と向かって経営者不正と対峙することにはレピュテーションリスクが潜んでいる。しかし経営者不正を放置すれば、企業は重大な危機に陥る可能性が高い。本稿では、法務・コンプライアンス部門が、自身の安全を確保しつつ、経営者不正を阻止するための方策について検討する。

国際 コンプライアンス 2019年5月号・実務解説

国内外におけるリスクマネジメントを図るには?
国際的不祥事に対応した第三者委員会の運用モデル
蔵元左近・真杉敬蔵

近年、日本企業(グループ)の経済活動が国内・国際両面で活発化しているなか、日本企業の不祥事の件数は増加し、内容も多様化している。そのようななかで、日本企業により設置され、企業から独立した委員で構成される第三者委員会は、数多くの企業不祥事で利用されてきている。後記のとおり、第三者委員会はわが国の法制度・社会的特質ないし文化に適う優れたシステムであり、その意義・役割は今後も大きいと考えられる。もっとも、日本企業が、国際的不祥事の場合に、弁護士・依頼者間秘匿特権の活用を意識せず、通常の第三者委員会における調査や報告書の公表と同様の対応を行ってしまうと、海外当局の調査や海外での訴訟・国際仲裁の当事者となった際に、大きなリスクに直面するおそれがある。そこで本稿では、日本企業が国際的不祥事の場合に、第三者委員会をどのように設置・運営すべきかについて、運用モデル(案)を示しつつ解説を行うこととした。なお、本テーマは多面的な分析が重要なため、筆者の所属する法律事務所の同僚弁護士(ディビッド・ケイス米国ニューヨーク州弁護士、ならびに、髙取芳宏弁護士および矢倉信介弁護士)からもコメントを得ることとした。

コンプライアンス 2019年5月号・実務解説

対立を超えて、建設的な議論を導くためのアプローチ
不祥事対応における法務部門・広報部門の連携
鈴木悠介

弁護士として企業不祥事案件を多く扱っていると、クライアントの法務部門と広報部門との間に緊張関係が生じる場面に遭遇することがある。近時では、不祥事対応の成否を大きく左右する危機管理広報の場面において、その傾向が顕著である。危機管理広報の失敗が企業の存続すら脅かし、その判断の誤りに対する法的責任が問われるケースも出てきたことを受けて、「危機管理広報は広報部門の専門領域」と捉えられていた時代は過ぎ去り、法務部門としても危機管理広報に無関心ではいられなくなった。その結果、危機管理広報のあり方をめぐって両部門の意見が分かれ、緊張関係が生じやすい状況にもなっているが、本来、法務部門と広報部門は、企業が不祥事という危機に対処していくうえで両輪となる部門である。両部門の関係がぎくしゃくしていては、企業として、不祥事対応という難局を乗り切れない。そこで、以下では、元報道記者の弁護士として、法務部門・広報部門の双方に"取材"した成果をもとに、不祥事対応における法務部門と広報部門の緊張関係の実態や背景に触れながら、両部門が、そのスタンスの違いを超えて、建設的な議論を導くための方策についてとり上げてみたい。

コンプライアンス 2019年5月号・実務解説

契約、コンプライアンスの視点で検討
自然災害発生に係る法務担当者の平時対応
落合孝文・森田樹理加

2018年も企業活動に影響が及ぶ自然災害が断続的に発生した。災害によるビジネスへの影響を最小限に食い止めることは必要不可欠である。本稿では、法務部等のバックオフィスが大規模自然災害に備えて、契約上の処理、コンプライアンスの関係で事前に準備すべきと思われる重要な点につき、具体例を交えつつ説明する。

会社法 コンプライアンス 2019年4月号・実務解説

具体的事例で検討する
日本版司法取引における役員の善管注意義務
木目田 裕

改正刑事訴訟法による「証拠収集等への協力及び訴追に関する合意」制度(以下「司法取引」という)が昨年6月に施行された。これは、被疑者・被告人が他人の犯罪の捜査等に協力するのと引換えに、検察官が当該被疑者・被告人の刑事罰の軽減・免除等を約束するものである。対象犯罪には、法人税法、不正競争防止法、金融商品取引法の各違反など企業犯罪全般が含まれる。報道によれば、企業犯罪の分野ではすでに複数の事案で司法取引が活用された。本稿は、司法取引と取締役・執行役・監査役(以下一括して「取締役等」という)の善管注意義務の関係について、有事対応を中心に論じる。

コンプライアンス 2019年3月号・実務解説

スルガ銀行不正融資問題に係る第三者委員会報告書の分析と企業対応 寺田昌弘

2018年9月に公表されたスルガ銀行株式会社第三者委員会の調査報告書は、同行の不正融資問題の詳細(同行の企業風土の著しい劣化とガバナンス上の欠陥)を丹念に調べあげた力作である。だが同行は「本件の構図」を回避できなかったのかという疑問も残る。以下では、ガバナンス上の問題点に絞って同報告書の若干の分析を行い、報告書で明らかとなった事実等をふまえて他の企業は何を学べばよいかにつき、若干の検討を試みる。

会社法 コンプライアンス 2019年2月号・特集2

対談 鋭敏なセンスを養う
レピュテーションリスクの本質と法務の役割
國廣 正・竹内 朗

目に見える書かれたルールに違反するリスクを管理するのが法務の役割といった古い考え方があります。しかし、社会が企業を見る目が時代の変化とともに厳しくなり、ステークホルダーからの社会的要請も、より高度なものになっている現代の企業法務は、法令遵守対応にとどまっているのでは時代遅れです。法務は、まさに今回取り扱うレピュテーションリスクを想定しリスク管理をしなければなりません。ところが、レピュテーションリスクという概念は、明確な定義はありません。そこで、レピュテーションリスクはステークホルダー論、企業価値論であり、法務の主戦場なのだということを理解する必要があります。これが今回、レピュテーションリスクを「ビジネス法務」誌でとりあげる意味です。

会社法 コンプライアンス 2019年2月号・特集2

概念の整理と可視化の手法
レピュテーションリスクとは何か
五木田和夫

今、企業にはビジネスを通じて社会を豊かにする価値の拡大が求められている。経済的な価値だけでなく、社会的な価値の側面が注視される。一方、昨今は、品質不正や加重労働自殺にみられるような企業不祥事が頻発している。社会的責任を大きく逸脱する重大な不祥事や事件・事故の影響でレピュテーションが著しく低下し(レピュテーションリスクの顕在化)、業績の悪化や倒産の憂き目に遭う企業もある。本稿では、まず「レピュテーションとは何か?」という視点から、その用語の使われ方の変遷や背景、類似概念との相違点を整理したうえで、レピュテーションリスクの正体として定義や概念の検討を深めるとともに、レピュテーションの評価やリスク影響度の計測の手法も考察する。

会社法 コンプライアンス 2019年2月号・特集2

INTERVIEW 株式会社メルカリ
リスクの発現を防ぐ社内連携と法務の姿勢
岡本杏莉

企業にとってレピュテーションリスクの重要性は増してきています。法務部も、純粋な法的リスクがある場面ではなくとも、自社のビジネスや行動・姿勢等が社外からみてどのようにみえるのかを考えていかなければなりません。純粋な法的リスクであれば、検討しなければならない範囲が比較的限定的であったり、回避方法が明確な場合もあります。対してレピュテーションリスクは、リスクになり得るかをより広い範囲で考えなければならず、なり得るとしてどのように対応するかは企業のポリシー次第であり、大きな裁量があります。

コンプライアンス 2018年12月号・実務解説

親会社が不祥事を発生させた場合の子会社対応
─発覚から事後処理までにやるべきこと
中山 崇

最近では、品質偽装、検査偽装、会計不祥事など企業を取り巻くさまざまな事件がメディアを賑わせている。不祥事を起こした企業の目線に立った危機対応、再発防止策などについての記事を目にする機会は多い。今回は、親会社あるいはグループ企業(いわゆる兄弟会社)が不祥事を起こした場合、自社にどのような影響があるのか考えてみたい。当事者とは立場は異なるが、不祥事を起こした当事者ではないための苦労があると思われる。筆者の経験をもとに、不祥事を知ったきっかけ、調査期間中から調査終了後までに起こり得ることを説明したい。

コンプライアンス 2018年12月号・実務解説

埼玉県の暴排条例にみる
「暴力団排除特別強化地域」の導入意義と影響
渡邉雅之

平成22年から23年にかけて各都道府県においては暴力団排除条例が公布・施行され、暴力団排除の後押しに寄与してきた。平成30年4月1日に施行された埼玉県暴力団排除条例は、「暴力団排除特別強化地域」における特定営業者風俗・飲食店営業等を営む者と暴力団員の禁止行為を定め、違反をすると罰則を科すもので、暴力団排除の流れを一層推し進めるものとして注目されている。本稿では、昨今の暴力団排除条例の動向をキャッチ・アップするため、利益供与の禁止措置の代表例として埼玉県暴力団排除条例における措置を紹介するとともに、同条例における「暴力団排除特別強化地域」の措置の意義について解説する。

コンプライアンス 2018年12月号・地平線

リスク・マネジメントにおける法務部門と監査役等の連携 岡田譲治

近年、グローバル化やIT技術の進歩等によりビジネス環境が大きく変化している。ビジネス環境の変化は、新たなビジネス・チャンスを創出するが、想定外のリスクも生み出す。フィンテックの進歩により仮想通貨が出現し、新たなビジネスにつながるとともに新たなリスクが発生していることは、その典型例である。当局も然るべき規制を検討しているが、後追いとなる面もあり、企業がみずからリスク管理手法を新たに考案して対応することも必要となっている。

コンプライアンス 2018年12月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
最終回 不祥事対応を見据えた就業規則等の整備
梅津英明・新井朗司・千原 剛

企業の不祥事においては、その実行主体が従業員であることが多い。そのため、不祥事の発覚の端緒から、調査を経たうえで社内処分の実施に至るまで、さまざまな局面において、企業と従業員との関係が問題になる。企業と従業員との関係は、基本的に両者の間の労働契約(書面や口頭のほか、就業規則等の社内規則によるものも含む)によって規律されるところ、平時から、就業規則等の内容を不祥事対応を見据えたものにしておくことは、不祥事対応を円滑に進めるという観点から有益であることに加えて、従業員に対する一定の牽制として不祥事の事前抑止にもつながるものと考えられる。そこで、最終回である第10回となる本稿では、従業員との関係で不祥事対応を見据えて平時から準備しておくことが便宜と思われる、就業規則等の規定例および書式を紹介する。

会社法 コンプライアンス 2018年11月号・実務解説

今秋より運用開始!
内部通報制度に関する認証制度の概要
遠藤輝好

いよいよ企業の内部通報制度の認証制度がスタートする。具体的には、この秋には「自己適合宣言制度」が、そして、平成31年度には「第三者認証制度」が始まる。コンプライアンス経営の要である内部通報制度に対する評価は、取引先や投資家等ステークホルダーの重要な関心事であり、企業の対応は喫緊の課題である。そこで、本稿では、企業が認証制度にどう向き合えばよいか、ポイントを解説する。なお本稿では以下、後掲の報告書で提案されている「内部通報制度認証」を制度の名称として用いる。

コンプライアンス 2018年11月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第9回 内部通報規程
藤津康彦・山内洋嗣・村田昇洋

企業において、平時からの不正・不祥事の予防や早期発見に努めることは極めて重要である。内部通報制度は、不正・不祥事の早期発見による主体的・能動的な対応を可能とするための最後の砦であり、近時急速に浸透しているが、必ずしも従業員からの信頼が得られていない場合もあり、その実効性向上に頭を悩ませる企業は多い。

コンプライアンス 2018年9月号・特集2

経営者の喫緊の課題
新たなサイバーリスクへの向き合い方
山岡裕明

セキュリティインシデントが次々と発生しており、サイバーリスクはどの企業においても看過できない事業リスクとなっている。このサイバーリスクへの取組みとして、サイバーセキュリティに関する法律、ガイドライン、サービス・インフラの整備が進んでおり、また、予防策および事後対応策についての経験・知見が集積しつつある。そうしたなか、セキュリティインシデントに関する平時・有事の法務対応の重要性が増している。本稿では、法務として押さえるべきサイバーセキュリティに関する近時の動向を紹介する。

コンプライアンス 2018年9月号・特集2

官民の多様な主体における情報共有の促進を
サイバーセキュリティ関連法の改正動向
蔦 大輔

近年、サイバーセキュリティに関する情報を共有する動きが一層活発化しており、近時の法改正においても、情報共有を行うものが見受けられる。このため、それらを中心に近時の法改正の概要を解説するとともに、今後の取組みについて述べる。

コンプライアンス 2018年9月号・特集2

アクセス・コントロール、持出し困難化ほか
従業員による情報漏えいを防ぐポイント
中崎 尚

サイバーセキュリティ対策では、従業員をはじめとする内部犯による情報漏えいをいかに防ぐかが重要となる。事業者への指針として、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」「セキュリティマインドを持った企業経営ワーキンググループ報告書」をはじめとするドキュメントが出そろいつつある。本稿では、サイバーセキュリティ対策のうち、情報持出しを防ぐための対策を解説する。

コンプライアンス 2018年9月号・特集2

サイバー攻撃による情報漏えい
インシデント発生から再発防止までの対応
北條孝佳

セキュリティインシデントが発生したときに対応するのは、IT部門やCSIRTメンバーだけではない。会社にとって今後を左右する重大な事象の可能性もあるため、経営者や法務部門等もともに対応する必要がある。

企業法務総合 コンプライアンス 2018年9月号・実務解説

支払を確実に受けるための手続・管理を整理
ビジネス保険請求時の対応と留意点
岡本大毅

企業の事業内容の多様化やグローバル化に伴い、今日、多種多様な保険商品を目にする。伝統的な火災保険はもとより、サイバー保険、個人情報漏えい保険、ドローン保険や芸能人の顔等の特定部位を補償するパーツ保険など一風変わった保険商品も登場している。企業活動において保険を活用する場面はますます増えている。一方で、保険の活用を推奨する記事は散見されるが、加入した保険契約に関し保険金を請求する際の留意点について語られることは少ないように思われる。そこで、本稿では、ビジネス保険を活用する企業における保険金請求時の基本的な対応のしかたと留意点について解説する。

コンプライアンス 2018年9月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第7回 調査報告書(上)

梅津英明・新井朗司・塚田智宏

第7回となる本稿では、発生した不祥事について実際に調査を行った後、その結果を取りまとめる調査報告書の書式について取り扱う。具体的には、さまざまな企業で起こり得る事例であり、かつ実例も多い役職員による横領行為に関して、社内調査委員会が作成する調査報告書を念頭に置いている。調査報告書は、大要、①調査の内容、②調査の前提となる事実、③調査により判明した事実、④原因分析、⑤再発防止策の提言といった各パートから構成されることが多いため、本稿においてもかかる構成を基礎として解説する。なお、本稿では、①について解説し、②から⑤については第8回で取り上げる。

コンプライアンス 2018年8月号・特別企画

非上場企業の2大課題を克服する
プチ・コーポレートガバナンスのすすめ
小塚荘一郎

この数年間で、日本企業のコーポレート・ガバナンスは大きく変化したが、その焦点は、上場会社の取締役会の改革であった。平成26年の会社法改正と並行して行われたスチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードの導入によって、独立社外取締役の任用という取締役会の構成をめぐる改革が実現し、現在では、取締役会の役割の定義やその評価へと改革が進展してきている。これらのルールは基本的に、上場会社に対して適用されるものである。

コンプライアンス 2018年8月号・特別企画

非上場企業が取り入れるべきCGコードの要素 淵邊善彦・藤井康太

上場企業への適用が前提となるコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」という)だが、株式公開を目指すベンチャー企業をはじめとして、非上場であってもCGコードの要素を取り入れるべき企業も少なくない。本稿では、CGコードのうち、非上場企業が取り入れるべき「攻め」のガバナンスの要素は何かを、「成長」と「出口戦略」の観点から解説する。

コンプライアンス 2018年8月号・特集2

法務担当者・弁護士が対談
品質不正を防ぐ「守れるルール」とは
蔵元左近・真杉敬蔵

自社の取引先(グループ企業を含む)におけるデータ改ざん等の品質不正を予防する対策としては、契約書・覚書等に関連する規定を置くことが考えられるが、そのような文言・規定を整備していない日本企業もいまだ少なくないと思われる。他方で、契約が万能な特効薬になるというものでもなく、また、厳しすぎるルールはかえって「コンプラ疲れ」にもつながり、品質不正の実効的な予防は図れなくなってしまう。いわゆる「サイレントチェンジ」1や「特別採用(特採)」を防ぐには、契約書等に何をどこまで規定すればよいか、取引先への事前のデューデリジェンス等はどのように・どこまで行えばよいか、本稿では、日々の業務に奮闘されている、日本企業の法務・コンプライアンス担当者を読者として想定し、「守れるルール」の整備をコンセプトに、企業担当者と弁護士の各々の目線から対談形式にて解説を行った。本稿にご協力いただいた株式会社タクマの真杉敬蔵氏および同社法務部の皆様には、この場を借りて御礼申し上げたい。

コンプライアンス 2018年8月号・特集2

調査報告書の指摘事項にみる
予防・再発防止のポイント
原 雅宣

東証一部上場企業においても品質不正問題が相次いでいる。どの企業も品質不正問題と無縁ではない。品質保証体制を強化し、将来の品質不正を予防するために何をすべきであろうか。本稿は、近時の品質不正事案の調査報告書において比較的挙げられることが多い原因および再発防止策を抽出し、具体的な品質不正予防策を例示的に示すことを目的とする。

コンプライアンス 2018年8月号・特集2

公表の要否と適否を考える
データ偽装発覚直後の対応
山内洋嗣・千原 剛

近時、日本企業においてデータ偽装問題が相次いで発覚したことは記憶に新しいが、本稿では、データ偽装問題が発覚した「直後」において企業に求められる対応、とりわけ、発覚したデータ偽装を公表する必要があるのか否か、必要がないとしても公表することの適否はいかに判断すべきかを論じたい。

コンプライアンス 2018年8月号・特集2

補償の範囲と再発防止策の実効性の検証
データ偽装問題の事後処理
宮谷 隆・山内洋嗣・金山貴昭

データ偽装が発覚した多くの企業においては、その偽装の内容を早急に調査し、原因を究明し、再発防止策を策定することになる。近時、日本企業においてデータ偽装の発覚が続いたこともあり、そのようなプレスリリースや不正調査報告書は数多く公表されている。一方で、データ偽装を起こした企業は、このように調査を実施するとともに、その内容をふまえ、取引先やエンドユーザー向けに補償対応を行う必要が出てくる。これらについては、第一義的には法的な損害賠償義務の検討を前提に、影響の内容や取引先との関係などに応じて個別具体的に折衝・対応を行うことになる。さらに、企業として、上述した再発防止策の策定より重要なのは、再発防止策の履践・その実効性の検証(場合によっては、再発防止策の見直し)である。当初の再発防止策の策定は「点」であるが、その履践・実効性検証は「線」として何年間も継続することになる。真の信頼回復は、再発防止策がしかるべく行われてこそ果たされる(後記II)。この2点については、不正調査の手法や結果そのものや原因究明・再発防止策の内容と違い、必ずしも公表情報が豊富なわけではない。本稿では、上記の取引先やエンドユーザー向けの対応、再発防止策の履践・その実効性検証について、当職らの経験・知見に基づき理論面・実践面の両面からアプローチしたい。

コンプライアンス 2018年8月号・実務解説

「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」対応上の留意点(下) 塩崎彰久・眞武慶彦

前号に続いて、本稿では「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」(以下「本プリンシプル」という)の原則3以下について、その趣旨に関する解説を加えるとともに、それらを企業のコンプライアンス体制の強化に役立てていくうえでの実務上のポイントについて論じる。

コンプライアンス 2018年8月号・実務解説

グローバル水準の不正調査のあり方
─"ガラパゴス的対応"からの脱却を
小林英明・深水大輔

グローバル化が進んだ今日では、製造した製品のサプライチェーンが国内にとどまらず海外にも及ぶなど、事業活動が何らかの形で海外との接点を持つ企業が多い。このような企業において不祥事が発覚すると、その不祥事は海外においても不祥事として取り上げられ、海外で損害賠償請求訴訟を提起されたり、海外当局から調査を受けたりするリスクが生じる。そのため、その不祥事対応、不正調査についても、このようなグローバルリスクについての十分な知識と対応が必要となる。しかし、これまでの日本の不祥事対応、不正調査においては、このグローバルリスクへの対応が十分とはいえないまま実施されるケースが多かったといえる。不正調査については、日本弁護士連合会が「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(2010年12月17日改訂、以下「日弁連ガイドライン」という)を制定しており、それに準拠して不正調査を行う企業が少なくないものの、このガイドラインにおいては、グローバルリスクへの対応が想定されていないことから、グローバル企業がこのガイドラインに準拠して不正調査を行うことには大きなリスクを伴う。これまでの日本の不正調査の多くは、今日においては、いわば「ガラパゴス的不正調査」であったことを自覚し、そこから脱却し、グローバルリスクにも十分に対応した「グローバル水準の不正調査」を実施する必要がある。

コンプライアンス 2018年8月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第6回 記者会見の際に必要となる書式

梅津英明・山内洋嗣・大川信太郎

企業が、重大な不正・不祥事を公表したり、その後、それらに関し原因分析や再発防止策を説明する局面においては、適時開示などの書面によるリリースだけではなく、記者会見を行う場合がある。第6回ではこの記者会見に関する書式とその留意点を取り扱う。記者会見は、不正・不祥事への企業の真摯かつ毅然とした対応姿勢をみせる機会であると同時に、対応に失敗すればさらなる批判を招く、極めて重要な機会・局面である。したがって、記者会見においては、企業による説明内容の充実と適切性が最も重要であることはいうまでもない。この点、本稿では、説明内容自体は具体的な不正・不祥事の内容に依存するため深入りしないが、よい内容の記者会見を行うために欠かせないTodoリスト、案内書面、シナリオといった書式について述べる。

国際 コンプライアンス 2018年8月号・連載

海外最新コンプライアンス事情
第1回 中国
若林 耕・屠 錦寧

中国では、改革開放路線が打ち出されて今年で40年が経過する。中国は、以降海外資本の積極的な導入などを行い、「世界の工場」から2010年にはGDPの規模で日本を抜いて世界第2位の「経済大国」に成長した。「社会主義市場経済」という特殊な市場においても、現在では通常の「資本主義市場経済国家」と肩を並べるほど、市場経済の運営に必要な法制度(2008年施行の「独占禁止法」、2018年施行の改正「不正競争防止法」等)はどんどん整備されつつある。

会社法 コンプライアンス 2018年7月号・実務解説

「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」対応上の留意点(上) 塩崎彰久・眞武慶彦

本年3月30日に日本取引所自主規制法人(以下「自主規制法人」という)より、「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」が、その解説とともに公表された。同プリンシプルは、不祥事の事前予防策として上場会社が取り組むべきコンプライアンス上の6つの「原則」を示しており、上場・非上場を問わず、企業が平時においてコンプライアンス体制を構築するにあたっての有用な示唆を多く含んでいる。本稿では、同プリンシプルの各原則の趣旨を読み解き、各原則の内容および対応するうえでの実務上のポイントについて論じる。

企業法務総合 コンプライアンス 2018年7月号・実務解説

SDGs・ESG時代に求められる戦略的な法務活動
─気候変動への取組みを題材に
高橋大祐

2015年9月、国連で持続可能な開発目標(SDGs:SustainableDevelopmentGoals)が採択された。SDGsは17の目標と各目標を具体化する169のターゲットから構成されており、各目標の達成度を測るための指標(KPI)が特定されている。現在、世界各国の政府がSDGsの達成に向けて施策を実施していくことを表明しているところ、日本政府も、2016年5月にSDGs推進本部を設置したうえ、同年12月にはSDGs実施指針を発表し、その付表において各目標に関するKPIも特定されている。

コンプライアンス 2018年7月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第5回 不祥事発生時の外部公表
藤津康彦・金山貴昭・千原 剛

不祥事が発生した場合、企業は、当局、取引先、消費者、投資家、株主、金融機関等の多様なステークホルダーに対して、適時・適切に説明を行わなければならない。危機管理の最終的な目的は、企業の信頼回復であり、そのためには不祥事に関する事実関係の解明、原因究明および再発防止策を策定することはもちろん重要であるが、ステークホルダーへの説明のあり方も極めて重要である。

コンプライアンス 2018年6月号・地平線

品質不正問題にみる、日本企業に根付く病理 三品和広

去る3月6日に、神戸製鋼所が品質不正に関する報告書を公表した。事実関係を整理して、根源対策をあげてはいるが、事実と対策の間を取り持つ原因分析が余りに稚拙で、これでは再発防止など望むべくもない。以下では経営学者の見地からオルターナティブな分析を提示してみたい。

コンプライアンス 2018年6月号・実務解説

インシデント発生前の予防を
サイバー保険導入・活用のポイント
山越誠司・瀧山康宏

サイバー保険は企業にとってどのような効用があるのか理解が難しい保険である。そもそも、サイバーリスクの実態把握も困難な状況なので当然である。本稿においては、先行して普及しているアメリカの状況などにも触れながら、日本企業にとってのサイバー保険の活用法について検討してみたい。特に大企業と中小企業では、同列に論じることができないが、どちらもサイバーリスクへの対策は重要な経営課題である。

コンプライアンス 2018年6月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第4回 国境を越えた不正調査
梅津英明・山内洋嗣・大川信太郎

多くの日本企業のグローバル化が進んだいま、自社で生じた不正が国外に波及するケースは珍しくない。また、近年、海外子会社における不正・不祥事が多発しており、その管理・ガバナンスに頭を悩ませる企業も多い。この点、国境を越えた不正は、法令(とりわけ、当局によるエンフォースメントのあり方、証拠開示手続を含む民刑事の裁判手続、データ・セキュリティ法制、個人情報保護法制、労働法制、贈収賄法制等)、言語、タイムゾーン、社会通念、生活習慣、雇用のあり方(日本企業に対するロイヤリティーの差)、文化、宗教、マスコミ、世論、政治体制などの違いも相まって、その調査の難易度が格段に増す。

コンプライアンス 2018年5月号・特集1

組織内不正の心理的メカニズム
─「視点の移動」の必要性と防止プログラムの紹介
蘭 千壽・河野哲也

本稿では、2017年に噴出した大手製造業やスーパーゼネコンによる組織的不正につき、組織的不正や不祥事発生の構造を検討し、問題の解決策としての視点の移動(「普遍的なルール」の獲得)を提案する。具体的には、企業体組織等の倫理意識を測定する尺度を示す。そして、組織的不正を防止する社会技術につき、大学生を対象としたコミュニケーションと視点の移動の倫理教育プログラムを用いて、その効果を検証した報告を紹介する。

コンプライアンス 2018年5月号・特集1

「属人的風土」の克服を
不正が発生しやすい組織の測定方法と改善策
岡本浩一

日本の産業の根幹を支えてきたいくつもの企業で、コンプライアンス違反が露呈している。それらは、単発の事案でなく、30年40年と継続されてきた事案だということもわかってきたし、複数の支社や工場で、同じようなやりくちで慣行として継続されてきたという事実もわかってきた。組織不祥事には、具体的な個別の「原因」とは別に、「属人思考」という組織風土の問題があることを、きちんとした社会心理学調査で確証したのは、私どもの研究が嚆矢だが、最近露呈した事案を見ると、その実感をますます強くする。1999年の東海村JCO臨界事故という核燃料事故が、原子力の問題というよりはむしろ組織違反の問題として起こったことが明らかになり、それを起点として、国が「社会技術研究」を立ち上げた。その一期目の5年間で、属人風土と周辺の問題を指摘して以後、そこでの実証結果をもとにして、いくつかの大組織のコンプライアンス活動を社会心理学的に支援してきてすでに11年になる。本稿では、その11年の私の組織支援の理論モデルと、対処法の代表的なものを概観して紹介したいと考えている。

コンプライアンス 2018年5月号・特集1

犯罪学理論にみる従業員不正の心理 山本真智子

「不正」を考えるには「犯罪学」の理解が欠かせない。「不正」という行為は、横領などの犯罪行動にしろ、勤務怠慢などの逸脱行動にしろ、個人の集まりである社会や集団の評価を経るものであり、また、法律や商取引からのアプローチだけでは根本的な解決が難しい。本稿では、犯罪学と倫理学の観点から、近年話題となっている従業員による不正行為を考察する。

コンプライアンス 2018年5月号・特集1

人間の心理を中心に据えた
実践的コンプライアンス教育のノウハウ
笹本雄司郎

本稿では、人間の心理をふまえて不祥事の予防や対処を社員に考えてもらうコンプライアンス教育について、実例を交えながらポイントを解説する。

コンプライアンス 2018年5月号・特集1

不正発生後の早期対応
効果から考える「謝罪」のベストプラクティス
平野 晋

本稿ではまずIとして、企業不祥事が生じる原因と防止策に触れる。いわば〈事前的〉な予防策のアイデアに触れるのである。次にIIでは〈事後的〉対策として〈謝罪〉が効果的である旨の実証結果を紹介する。IIIでは、〈謝罪〉の意味や、効果的ではない謝罪もあることを、「法と経済学」等々のさまざまな学際法学の見地から分析する。最後にIVとして、IIIにおける分析結果に基づきつつ、効果的な謝罪の要件とその理由を解説する。

コンプライアンス 2018年5月号・特集1

名著から読み解く
日本型組織の特徴と不正防止への示唆
鈴木悠介

筆者は、企業法務をメインとする大規模法律事務所において、「危機管理」という業務分野を専門としている弁護士である。「危機管理」の主な業務内容は、不祥事を起こしてしまった企業のダメージを最小化し、早期に企業活動を正常化させることを目的として、徹底的な事実調査に基づいた総合的な法的助言を提供することである。「危機管理」という仕事の性質上、業種や規模を問わず、実にさまざまなジャンルの企業不祥事を日々扱っている。また筆者は、弁護士になる前には、テレビ局で報道記者をしていた。その際には、当時世間を賑わせていた食品偽装事件を取材したり、警視庁担当として企業の業務上過失致死傷事件を取材した経験もある。

コンプライアンス 2020年6月号・実務解説

企業のアンケート結果をもとに検討する
内部通報制度認証(自己適合宣言登録)の課題と今後
田島正広

「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」改訂を受けて導入された内部通報制度認証制度(自己適合宣言登録制度)は運用開始から1年余が経過したが、その認証を取得した企業が2020年3月時点で50社となっている点は、積極的にも消極的にも評価される。そこで、認証取得済み企業(全企業対象)と認証を取得していない企業(比較対象として100社を抜粋)のそれぞれにアンケートを実施し、制度の実態と企業側の受け止め方を調査し、さらには制度の課題と改善への期待を抽出することとした。以下にはその概要を報告する。なお、調査対象の母数が必ずしも多くない点は、統計的評価にあたっての留意点であることをあらかじめ申し添える。

コンプライアンス 2018年3月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第1回 証拠の保全~不正探知後すぐに必要になる書式~
藤津康彦・山内洋嗣・塚田智宏

昨今、会計不正やデータ偽装等の企業不祥事が相次いでおり、企業不祥事に対する関係当局を含むステークホルダーの視線はより一層厳しくなってきている。しかし、こうした不祥事が発生した際の危機管理については、企業において蓄積された対応ノウハウはさほど豊富ではないのが現実であり、不祥事に直面した際には、一から必要となる書面を作成することが多い。そこで、本連載においては、以後10回にわたり、当職らが多数の危機管理案件を経験する中で得たノウハウを元にした主要な書式を、企業ごとにアレンジしていただくための解説を付してご紹介する。

企業法務総合 コンプライアンス 2020年5月号・実務解説

日本企業における苦情処理・問題解決制度強化への指針
「対話救済ガイドライン」の特徴と実践方法
蔵元左近・高橋大祐

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(「GCNJ」)、ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(「BHRLawyers」)を幹事協力団体として、多様なマルチステークホルダー関係者から構成される「責任ある企業行動及びサプライ・チェーン研究会」は、2019年12月、日本企業が苦情処理・問題解決制度(グリーバンスメカニズム)を強化するための指針として、「責任ある企業行動及びサプライ・チェーン推進のための対話救済ガイドライン」(以下「対話救済ガイドライン」という)を発表した。本稿は、上記研究会の事務局・委員としてガイドライン策定のとりまとめに関わった筆者らにおいて、ガイドラインの背景、意義、特徴、実践方法を解説するとともに、日本企業の実効的な苦情処理・問題解決における法務・コンプライアンス・サステナビリティ部門や社外弁護士の役割の重要性についても問題提起を行うものである。

コンプライアンス 2018年4月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第2回 調査委員会の設置

藤津康彦・矢田悠・金山貴昭

不祥事発生の端緒を得た場合、初動対応として前回紹介した証拠保全(第1回)と初期的な調査を実施した後、さらに調査が必要と判断した場合には、体制を整えたうえで改めて本格調査を開始することになる。本格調査の体制は、大きく企業内部の役職員が調査主体となる調査(社内調査)と外部の第三者による調査(第三者調査)の2つに分けられる。

コンプライアンス 2018年5月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第3回 調査計画の策定から本格調査まで
藤津康彦・矢田悠・塚田智宏

第3回となる本稿では、前回(第2回)解説した調査委員会の設置等により調査体制を確立した後、調査計画を策定し、本格調査を開始するに当たって必要になる書式を扱う。具体的には、まず、調査開始に先立って準備すべき調査スケジュールの具体例(後記II)を示す。次に、本格調査においても、初動調査に引き続き、各種書類の調査・検討と関係者へのインタビューが調査の中心となることは変わりないが、これらに加えて、類似事案の有無を含めた網羅的な調査が求められることから、こうした調査に利用されるホットライン(通報窓口)の設置文書(後記III)とアンケート調査に使用する質問文(後記IV)について解説する。

コンプライアンス 2018年10月号・連載

すぐに使える危機管理の書式
第8回 調査報告書(下)
藤津康彦・新井朗司・塚田智宏

本稿では、第7回で一部解説した調査報告書のうち、②調査の前提となる事実、③調査により判明した事実、④原因分析および⑤再発防止策の提言について、第7回同様、役職員による横領行為(より具体的には、海外子会社の従業員が架空の業者に対して架空の業務を委託しその代金を不正に取得していたという事例)に関して、社内調査委員会が作成する調査報告書を念頭において解説する。