雑誌詳細

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2018年5月号

2018年3月21日発売号   1,609 円(税込)

特集1

実践的コンプライアンスの要所をおさえる
不正の心理

特集2

政策・ルール形成への働きかけ
「ロビー法務」の可能性

特集1
実践的コンプライアンスの要所をおさえる
不正の心理
日本企業の相次ぐ不正・不祥事を受け、コンプライアンス強化に努める企業が増えています。近時問題となっている事例は、普通の感覚を持ち続けていれば防げるものも多くあり、不正・不祥事を生まない、または、不正に直面したときに見過ごさない組織風土の醸成が重要となります。本特集では、不正・不祥事の発生原因を人間心理から考えるべく、組織全体の力学、従業員個者の心理にフォーカスし、予防へのヒントを探ります。また、実際にどのように社員に働きかけていけば良いかにつき、コンプライアンス研修の具体的な形に落とし込みつつ紹介します。
コンプライアンス

組織内不正の心理的メカニズム
─「視点の移動」の必要性と防止プログラムの紹介
蘭 千壽・河野哲也

本稿では、2017年に噴出した大手製造業やスーパーゼネコンによる組織的不正につき、組織的不正や不祥事発生の構造を検討し、問題の解決策としての視点の移動(「普遍的なルール」の獲得)を提案する。具体的には、企業体組織等の倫理意識を測定する尺度を示す。そして、組織的不正を防止する社会技術につき、大学生を対象としたコミュニケーションと視点の移動の倫理教育プログラムを用いて、その効果を検証した報告を紹介する。

コンプライアンス

「属人的風土」の克服を
不正が発生しやすい組織の測定方法と改善策
岡本浩一

日本の産業の根幹を支えてきたいくつもの企業で、コンプライアンス違反が露呈している。それらは、単発の事案でなく、30年40年と継続されてきた事案だということもわかってきたし、複数の支社や工場で、同じようなやりくちで慣行として継続されてきたという事実もわかってきた。組織不祥事には、具体的な個別の「原因」とは別に、「属人思考」という組織風土の問題があることを、きちんとした社会心理学調査で確証したのは、私どもの研究が嚆矢だが、最近露呈した事案を見ると、その実感をますます強くする。1999年の東海村JCO臨界事故という核燃料事故が、原子力の問題というよりはむしろ組織違反の問題として起こったことが明らかになり、それを起点として、国が「社会技術研究」を立ち上げた。その一期目の5年間で、属人風土と周辺の問題を指摘して以後、そこでの実証結果をもとにして、いくつかの大組織のコンプライアンス活動を社会心理学的に支援してきてすでに11年になる。本稿では、その11年の私の組織支援の理論モデルと、対処法の代表的なものを概観して紹介したいと考えている。

コンプライアンス

犯罪学理論にみる従業員不正の心理
山本真智子

「不正」を考えるには「犯罪学」の理解が欠かせない。「不正」という行為は、横領などの犯罪行動にしろ、勤務怠慢などの逸脱行動にしろ、個人の集まりである社会や集団の評価を経るものであり、また、法律や商取引からのアプローチだけでは根本的な解決が難しい。本稿では、犯罪学と倫理学の観点から、近年話題となっている従業員による不正行為を考察する。

コンプライアンス

人間の心理を中心に据えた
実践的コンプライアンス教育のノウハウ
笹本雄司郎

本稿では、人間の心理をふまえて不祥事の予防や対処を社員に考えてもらうコンプライアンス教育について、実例を交えながらポイントを解説する。

コンプライアンス

不正発生後の早期対応
効果から考える「謝罪」のベストプラクティス
平野 晋

本稿ではまずIとして、企業不祥事が生じる原因と防止策に触れる。いわば〈事前的〉な予防策のアイデアに触れるのである。次にIIでは〈事後的〉対策として〈謝罪〉が効果的である旨の実証結果を紹介する。IIIでは、〈謝罪〉の意味や、効果的ではない謝罪もあることを、「法と経済学」等々のさまざまな学際法学の見地から分析する。最後にIVとして、IIIにおける分析結果に基づきつつ、効果的な謝罪の要件とその理由を解説する。

コンプライアンス

名著から読み解く
日本型組織の特徴と不正防止への示唆
鈴木悠介

筆者は、企業法務をメインとする大規模法律事務所において、「危機管理」という業務分野を専門としている弁護士である。「危機管理」の主な業務内容は、不祥事を起こしてしまった企業のダメージを最小化し、早期に企業活動を正常化させることを目的として、徹底的な事実調査に基づいた総合的な法的助言を提供することである。「危機管理」という仕事の性質上、業種や規模を問わず、実にさまざまなジャンルの企業不祥事を日々扱っている。また筆者は、弁護士になる前には、テレビ局で報道記者をしていた。その際には、当時世間を賑わせていた食品偽装事件を取材したり、警視庁担当として企業の業務上過失致死傷事件を取材した経験もある。

特集2
政策・ルール形成への働きかけ
「ロビー法務」の可能性
企業法務総合

フォロワーからイノベーターへ
競争戦略としてのロビイングのすすめ
藤井敏彦

できたルールを受け止めて対応すればよい。これが日本企業の伝統的発想であろう。しかし、この受動的対応では、今後事業が立ち行かなくなるリスクがある。本稿では、ロビイングの意義と、筆者の実践から学んだロビイング成功のためのポイントを紹介したい。筆者は2000年から4年間、ベルギーブラッセルに拠点を置く在欧日系ビジネス協議会の初代事務局長を務めた。日本企業の利益を代表して欧州委員会や欧州議会にロビイングを行う組織である。ロビイストとして活動しさまざまな法律案に意見を反映させることや、議会審議の過程で修正することに成功した。欧州企業やグリーンピースなどのNGOと協力したり競争したりした。クリスチャンデモクラット(中道右派)から社会党、緑の党まで広く政党ともつきあった。当然、日本政府、大使館とも緊密に協力した。ロビイングと陳情の相違、企業における渉外機能の位置づけのちがいなど考えさせられることも多かった。

企業法務総合

ヤフー株式会社の取組み
著作権政策への働きかけ
─自社・業界発展のための政策提言
今子さゆり

法務担当者にとって、社内で法律上のアドバイスを提供することや、よい契約書を作成することは、もちろん重要な役割である。しかし、そうしたビジネスのベースとなる法律が、そもそも自社のビジネスの発展を阻害したり、不利に働いていたりしたら......。政策への働きかけの必要性はここにある。 これまで、知的財産業務や契約業務に携わってきたが、特に著作権に関しては、政策への働きかけが重要だったと思う。なぜなら、著作権法は、50年近く前に制定されたものであり、インターネット時代を想定したものではなく、かつては検索サービスを明確に適法と位置付けていないなど、課題を多く孕んでいたからである。そのため私は、幸か不幸か、さまざまな課題1にかかわり、少なくない数の著作権法改正に立ち会うこととなった。

企業法務総合

モニタリング、複合的アプローチで成果を
通商政策への働きかけ
上野一英

トランプ政権の政策、ブレグジット等によって変化が増している国際的な競争環境では、各国での規制、税制、調査手続等に受動的に対応するだけでは、同じ市場でこれらに能動的に対峙している他国企業に劣後してしまう。そこで、今後は、企業の技術力向上などとは別に、日本企業も通商に関する国家間のルールや国際的に許容された国内法上の手続を駆使して、国際競争力を維持・向上させていくことが必要になると考えられる。本稿では、企業の通商戦略に必要な政府等への働きかけの方法について、紹介する。

企業法務総合

設例で学ぶ
政治家・官僚へのアプローチと贈収賄リスク
竹内彰志

贈収賄は汚職に関する罪であり、公務員の職務の公正という国家的法益とこれに対する社会一般の信頼を保護法益とする(最大判平7.2.22刑集49巻2号1頁)。職務は、正当なものであっても不正なものであっても対象となる。職務の公正に対する社会一般の信頼を害することを防ぐという趣旨から、当該公務員が具体的に担当する職務でなくても一般的職務権限に属するものであれば広く対象となる。これら権限行使の対価関係に立つ賄賂の授受があれば収賄罪が成立するが、現に授受がなくとも要求、約束があるだけで収賄罪が成立する(刑法197条1項)。

地平線
米国流"新型"アクティビストは登場するか
会社法

ブルース・アロンソン

かのブルドックソース事件で、日本の最高裁判所が米国のファンド、スティール・パートナーズの敵対的企業買収提案に不利な判決を下してから10年以上が経つ。当時の日本において、米国のヘッジファンドは「ハゲタカファンド」と呼ばれ、株主、メディア、一般社会のいずれからも日本の制度にはなじまないと批判された。それ以降、大規模な敵対的買収が行われた例は日本では見られない。ではなぜ今、米国流アクティビストの存在が再び浮上しているのだろうか。

トレンド・アイ
服飾デザインの保護をどうはかる?
日本における"Fashion Law"
知財

高瀬亜富・山本真祐子

ファッションビジネスにかかわる法律、いわゆるFashionLawが注目を集めるようになっている。ひとくちにFashionLawといっても、ブランドネームの保護、ファッションビジネスにかかわる技術(FashionTechとも呼ばれる)の保護等さまざまな問題が含まれるが、近時特に注目されているのがファッションデザインの保護に関する問題である。

実務解説
会社法

本年4月1日より適用開始
フェア・ディスクロージャー・ルールガイドラインの概要と実務対応
有吉尚哉

平成29年5月17日に成立し、同月24日に公布された「金融商品取引法の一部を改正する法律」(平成29年法律第37号)による金融商品取引法(以下「金商法」という)の改正により、いわゆる「フェア・ディスクロージャー・ルール」(公表前の内部情報を有価証券の発行者が第三者に提供する場合に、当該情報が他の投資家にも提供されることを確保する規制。以下「FDルール」という)が導入され、平成30年4月1日より施行されることとなった。この改正の施行後、上場会社や上場会社と取引を行う金融機関等は、FDルールをふまえた情報管理を行うことが求められることになる。

労働法

「ガイドライン」、「改訂モデル就業規則」公表
副業・兼業解禁における労務管理上の問題点
小鍛冶広道

従前よりわが国では、多くの企業は就業規則において許可なき副業・兼業を禁止しているのであるが、これに対し近年、政府が各企業に対し、副業・兼業を容認し、推進することを呼びかけていることはご存知のことと思われる。しかしながら、筆者としては、各企業において副業・兼業の容認については慎重であるべきであり、具体的には、現行の「許可制」の枠組みを維持しつつ、限定的に副業・兼業を容認する運用が適切であると考えている。以下、本稿においては、政府の副業・兼業の容認・推進に向けた具体的な取組み状況について概説するとともに、当該取組みの「問題点」について指摘し、筆者として現時点で「あるべき姿」と考える副業・兼業に関するコントロールの方策について提言する。

競争法・独禁法

ジョイントベンチャー・業務提携における独禁法上の留意点(上)
髙宮雄介・水口あい子

昨今、企業による事業展開の一環として、他の企業の支配権の取得や合併等、全面的に事業活動を一体化する態様だけではなく、他の企業との業務提携契約の締結や少数持分の出資、合弁会社(ジョイントベンチャー)の設立等、部分的に協業を行うケースが多い(いわゆる「部分的な協業」)。かかる部分的な協業は、コスト削減や経営資源の相互補完、研究開発のリードタイムの短縮等、効率性の向上をもたらす。一方で、競争の状況によっては独禁法の問題を引き起こしうる。特に、有力な事業者が当事者となる部分的な協業においては、市場における競争が制限される効果や他の事業者を市場から排除するような結果を伴う場合もある。さらに、部分的な協業を実行するに際し生じる情報交換に関しても独禁法上留意が必要となる場合がある。本稿では、部分的な協業に関しての独禁法上の考え方および留意すべき事項について、実務上重要と思われる点に絞って概説する。

民法・PL法等

相続預貯金に関する判例変更が実務に及ぼす影響
山下眞弘

これまで預貯金等は当然分割とされてきたが、相続人間の公平と金融実務にも配慮して「遺産分割の対象」にするとの判例変更が実現した。これは、相続法改正の方向と軌を一にするものであるが、当然分割が否定されたことに伴い新たな問題も生じた。1遺産分割協議前の葬儀費用等の預金引出しの可否、2被相続人の預金と金融機関の貸付金債権との相殺の可否、3金融機関による預金差押え、差押え後の取立ての可否等をめぐる判断が不可欠となった。本稿では、判例変更後、法制審の相続法改正要綱案まで具体的に検討する。

企業法務総合 会社法

モデルケースから考える
日本版司法取引の実践的検討(下)
伊丹俊彦・深水大輔

日本版司法取引(合意制度)に関する刑事訴訟法(以下、「刑訴法」という)の規定は、本年6月1日に施行される予定となった。合意制度は、「特定犯罪」(刑訴法350条の2第2項)と呼ばれる一定の財政経済犯罪および薬物銃器犯罪等を対象として、検察官、被疑者・被告人とその弁護人との間の協議を経て、被疑者・被告人が共犯者等の「他人の刑事事件」(刑訴法350条の2第1項柱書)に関する捜査・公判活動への協力を行うのに対して、検察官が、当該被疑者・被告人の事件について、不起訴にしたり、より軽い罪名で起訴したり、一定の軽い求刑をしたりすることなどに合意するものである。本稿は、読者に合意制度に関する具体的なイメージを持っていただくという観点から、1つのモデルケースを用意し、これを前提に、筆者が米国において司法取引にかかわった経験等もふまえつつ、合意制度の手続の流れやその留意点について、具体的な検討を試みるものである。

連載
企業法務総合

LEGALHEADLINES
森・濱田松本法律事務所

2018年1月〜2月

民法・PL法等

金融業者の債権法改正対応
第1回 証券会社、アセットマネジャー等への影響①
川東憲治・河本秀介・関泰士

2017年5月、民法の一部を改正する法律が成立し、約120年ぶりに、民法の債権関係の規定(債権法)が大幅に改正された。証券会社、FX業者、仮想通貨取引所(交換事業者)や投資運用・助言業者(以下「アセットマネジャー等」という)および銀行といった金融・証券関係の事業者(便宜上、本稿で「金融業者」と総称する)が行うビジネスにおいても、債権法、その中でも特に契約法の規律の適用がある。したがって、民法改正は金融業者に対してもさまざまな影響を及ぼす。民法改正の施行日が2020年4月1日であることから、金融業者各社は、どのような影響が自社に及ぶのかを検討し、施行日を迎える前に必要な対応を行わなければならない。本連載では、民法改正の金融業者のビジネスへの影響や金融業者に求められる実務対応について、6回に分けて検討する。金融業者の各業態に応じ、影響や必要な対応は変わってくる可能性があることから、順番として、証券会社およびアセットマネジャー等を先に検討し、次いで銀行を取り上げる予定である。

労働法

最新判例アンテナ
第2回 医師の定額残業代について労基法37条違反を認めた事例(最二小判平29.7.7判時2351号83頁)
三笘裕・小山田柚香

会社法

会社法改正議論を追う
第1回 株主提案権の濫用的行使の制限
武井洋一

近年、限られた事案ではあるが、会社を困惑させる目的で株主提案がなされたり、一人の株主から膨大な数の議案が提案されたりすることがある。その結果、株主総会の審議に時間がかかり、重要事項の意思決定機関としての機能が害される、会社の検討や招集通知の印刷等に要するコストが増加する、などの弊害が生じ、株主提案権の濫用的な行使ではないか、と指摘されることがある。判例上、株主提案権も権利濫用法理の対象となることを認める例があるものの、実務上は、一般条項である同法理で対処することはなかなか難しい。そこで、株主提案権の濫用的行使の判断基準を明確化し、これを制限するための措置の導入が提案された。あわせて、現行法の株主提案権の手続要件の見直しの要否も検討対象とされた。

企業法務総合

先輩に学ぶ!法務ママの活躍録
第7回 脱「ワンオペ育児」奮闘記
増原陽子

第一子の妊娠で産休に入った頃、突然、夫が海外赴任の内示を受けました。私の復職直後に夫が海外に旅立った時から、過酷な「ワンオペ育児」が始まることに。壁にぶつかりつつも、周りの人々の助けを借りながら、チャレンジングな毎日を過ごしています。

企業法務総合

Plain English styleで極める英文契約書作成
第2回 長い文章、但し書き、かっこ書き、前置詞句、抽象的な当事者
キャロル・ローソン・倉田哲郎

今月は、legalwritingにおいて犯しやすい5つの失策、すなわち、文章の長文化、但し書き、かっこ書き、前置詞句、抽象的な当事者の表現などについて述べる。これらを使うと、文章は、仰々しい、一度読んだだけでは意味をつかみにくいものになる。幸い、これらについては別の書き方ができるので紹介しておこう。

テクノロジー・AI

6tech法務の新潮流
第3回Home Tech、不動産Tech
森田芳玄・金子知史

HomeTechとは「、Home」と「Technology」をかけあわせた造語であり、室内のさまざまなモノをIoTデバイス等を用いてネットワークに接続することにより、家電やホームセキュリティの遠隔操作または自動操作を可能とし、また、それとともに人工知能(AI)を付加する等によって、個々人の生活スタイルや利用状況に適合した環境の実現、高付加価値サービスの提供を行うことを目指すビジネス領域を総称したものをいうとされている。

企業法務総合 民法・PL法等

ストーリーでわかる契約が決算書に与える影響
第3回 債権譲渡契約
横張清威

会社は、貸借対照表から資産をオフバランスするために債権譲渡契約を締結することがある。しかし、その内容次第では、オフバランスが否定されるおそれがある。また、損金計上を意図して不良債権の譲渡を行う場合でも、譲渡金額次第では損金計上が否定されるおそれがある。債権譲渡契約書を作成する際には、意図した目的が達成できるのか、今一度留意する必要がある。

民法・PL法等

不動産業・建築業の債権法改正対応
第4回 建築業(その2)
猿倉健司

本号においては、前号で解説した建築業の債権法改正対応(契約不適合責任)について引き続き解説するとともに、請負人の報酬請求権、請負契約約款についても解説する。

コンプライアンス

すぐに使える危機管理の書式
第3回 調査計画の策定から本格調査まで
藤津康彦・矢田悠・塚田智宏

第3回となる本稿では、前回(第2回)解説した調査委員会の設置等により調査体制を確立した後、調査計画を策定し、本格調査を開始するに当たって必要になる書式を扱う。具体的には、まず、調査開始に先立って準備すべき調査スケジュールの具体例(後記II)を示す。次に、本格調査においても、初動調査に引き続き、各種書類の調査・検討と関係者へのインタビューが調査の中心となることは変わりないが、これらに加えて、類似事案の有無を含めた網羅的な調査が求められることから、こうした調査に利用されるホットライン(通報窓口)の設置文書(後記III)とアンケート調査に使用する質問文(後記IV)について解説する。

企業法務総合 国際

読み方・書き方徹底マスター法律中国語・基礎講座
第7回 行為対象・行為主体の表現、例示の表現
森川伸吾

ファイナンス

FinTech法からみる銀行業務の将来
第3回 銀行子会社(銀行業高度化等会社)とその他周辺業務
山田剛志

約580億円相当の仮想通貨(資金決済法上「仮想通貨」とされているが、円などの法貨ではない)「NEM(ネム)」が取引所コインチェックから流出した問題が、連日マスコミを賑わせている。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、独自の仮想通貨(資金決済法上の仮想通貨に該当するかは未定)「MUFGコイン」を発行するため、新たな取引所を開設する方針を決めたという。また、みずほ銀行、ゆうちょ銀行なども、円と等価交換できる仮想通貨(同上)「Jコイン(仮称)」を扱う新しい会社を設立するという。

国際

外国人弁護士世界一周
第10回 イタリア共和国
DanieleBagalà


イタリアのビジネスと聞いて、何を思い浮かべますか?高級イタリアブランド?ゴッド・ファーザー?地域産業?そこに共通して重要な役割を担うのはファミリービジネスです。私がファミリービジネスである弁護士業を選んだのは、そんなイタリアにおいて正に自然な流れでした。

税務

法律家のための租税法解釈の落とし穴
第3回 所得税法上の「従事」概念
酒井克彦

租税法が用いている概念についての理解は、租税法解釈への着実な足がかりとなるといえよう。もっとも、租税法上の概念の理解は必ずしも一筋縄ではいかない場面も多い。例えば、所得税法56条は、夫の事業に妻が従事する場合に─もちろん、妻の事業に夫が従事する場合もあり得る─、夫が妻に支払う対価についての特例を設けているが、そこでは、妻が事業へ「従事」しているか否かが鍵となる。しかしながら、何をもって「従事」と捉えるかは解釈に委ねられており、多くの租税訴訟を引き起こす要因となっている。本稿では、所得税法が用いている概念である「従事」の意義について考えてみたい。

会社法 税務

入門税務コーポレートガバナンス
最終回 役員責任を見据えた税務調査対応
佐藤修二・武藤雄木・山下 貴

本連載ではこれまで、国税庁が推進する税務コーポレートガバナンスの充実に向けた取組みに対し、企業側が積極的にこれに応じ、税務コンプライアンスに係る内部統制システムの見直しを図ることで、国税当局による追徴課税を原因とする株主代表訴訟等のリスクを低減させることが可能になることを述べてきた。もっとも、どれだけ税務リスクの顕在化を事前に防止する体制の構築に努めていたとしても、国税当局の税務調査によって非違を指摘されることを完全になくすことはできない。すなわち、企業は、必ずどこかで非違の指摘を受け入れるべきか否かの判断を迫られる場面に遭遇することとなるが、税務の視点のみにとらわれて法務の視点を抜きにそれを行うと、取締役の善管注意義務違反等の法務上の問題が別途生じる可能性がある。したがって、その検討に際しては、法務部門も経理部・財務部と連携して積極的に関与していくことが求められる。

民法・PL法等

要件事実・事実認定論の根本的課題──その原点から将来まで
第17回 債務不履行・損害賠償・契約解除─新民法(債権関係)における要件事実の若干の問題
伊藤滋夫