最新号

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2020年7月号

2020年5月21日発売号   1,700 円(税込)

特集1

変化を捉え,適切な社内体制を構築する
優越的地位濫用と下請法規制の新展開

特集2

法務のネクストステージ
日本企業における「企画法務」の挑戦

特集1
変化を捉え,適切な社内体制を構築する
優越的地位濫用と下請法規制の新展開
公取委による「優越的地位の濫用」の適用場面が広がりをみせています。「優越的地位の濫用」は分野横断的に取引の「公正性」を追求・実現することができる一方,何が「違反行為」となるかが明確でなく対応に迷う企業担当者も多いと聞きます。本特集前半では,「優越的地位の濫用」規制につき,過去の審決・判例,近時の国内外の執行動向を整理し,企業担当者として持つべき社内体制整備の視点を紹介します。後半では,「うっかり」違反が多大なレピュテーション毀損につながりやすい下請法実務を取り上げ,近時の傾向,業種別の留意点をおさえます。
競争法・独禁法

近時の指針・執行動向、海外比較にみる
優越的地位の濫用規制の現在地と将来像
矢吹公敏

海外の法制度と比較して、優越的地位の濫用規制の独占禁止法上の位置づけを理解したうえで、近時の公正取引委員会の執行方針を同委員会のガイドラインや審決から分析し、さらに人材やデジタルプラットフォーマーへの適用の動向について説明する。最後に、同規制の将来像について論じる。

競争法・独禁法

重要審決の判断基準とは?
「優越的地位」・「濫用行為」の判断枠組み
石田 健

近年、平成21年独占禁止法改正後の命令に関する審決が相次いで出されており、これらの審決は優越的地位の濫用に関する現時点の運用を理解するうえで重要である。本稿ではこれらの重要審決を中心に、現在の優越的地位の濫用に関する判断基準を整理する。

競争法・独禁法

規制の新展開に応じた対応の必要性
法務担当者が持つべき視点と社内体制整備の具体策
川島佑介

優越的地位の濫用は、従来、そのほとんどが大規模小売店舗による納入業者に対する濫用行為を問題とするものであった。しかし、最近になり、優越的地位の濫用をめぐる公正取引委員会(以下「公取委」という)の動きも活発化し、プラットフォーマーをめぐる諸問題や消費者向け取引のほか、知的財産権関連の取引にも優越的地位の濫用の適用可能性が真剣に議論されるようになってきた。本稿では、優越的地位の濫用をめぐる最近のさまざまな議論をふまえながら、担当者が持つべき視点や社内体制の構築で留意すべき点をまとめることとしたい。

競争法・独禁法

法的措置・警告・注意の動向と確約手続の活用
優越的地位の濫用に対する公正取引委員会の取組み
南部利之

取引上優越した地位にある事業者が、その地位を利用して正常な商慣習に照らして不当に、取引の相手方に対して不利益を与える行為を行うことは、不公正な取引方法の1つ(優越的地位の濫用)として禁止されている(独占禁止法2条9項5号、19条)。事業者が優越的地位の濫用に当たる違反行為をしたときには、排除措置命令(同法20条)の対象となるとともに、当該違反行為の相手方との間における売上額または購入額の1%の額に相当する額の課徴金の納付を命じられる(同法20条の6)。優越的地位濫用行為の規制内容、近時の指針、審決・判決等の状況については、本特集の他稿に譲ることとし、本稿では、執行当局である公正取引委員会(以下「公取委」という)の取組みを中心にみていくこととしたい。

競争法・独禁法 国際

デジタルエコノミーの進展で問われる競争法の役割
海外における濫用規制の考え方
島田まどか

近年、グローバルに対処すべき支配的な事業者の行為に対して、競争法の枠組みにおいてどのように規制ができるのかについて注目が集まっている。海外において、支配的地位あるいは優越的地位を持つ単独の事業者による反競争的な行為を規制する濫用規制としてどのようなものがあるのか、さらに規制のあり方をめぐる現在の議論の流れについて概観する。

競争法・独禁法

優越規制との関係整理、新型コロナ蔓延下の留意点ほか
近時の下請法規制の傾向と対策
村田恭介

本稿は、下請法違反の近時の規制について考察するものである。下請法は企業にとって遵守すべき重要な法律の1つであるが、近時の規制には一定の傾向がみられるので、統計の分析を通して、この点について俯瞰してみたい。なお、これらを論じる前提として、下請法と優越的地位の濫用との関係に関して、幾つかの論点を考察している。末尾に新型コロナウイルス蔓延下における下請法の執行について、当局において検討していただきたい事項を述べてみた。

競争法・独禁法

メーカー・流通業、コンテンツ制作、運送業等
下請法規制の業種別留意点と社内対応策
籔内俊輔

下請法の適用対象となる取引は、さまざまな業種に存在するが、メーカー・流通業(プライベートブランド商品)等での製造委託、コンテンツ制作等での情報成果物作成委託、運送業等での役務提供委託に大別して、「企業における留意点」(問題となりやすい点や規制当局が注力している点)、各留意点に対応する「企業での社内対応策」を整理する。

競争法・独禁法

フェデックスエクスプレスの取組み
大量発注でも違反を生じさせない仕組みづくりの検討
清水貴久

物流事業においては、配送業務の一部や、貨物のハンドリング・保管業務を外部発注するなど業務委託先との接点が多いと思われる。業務委託先の事業者は、小規模法人であることも多く、下請法違反防止の体制構築は重要な課題となっている。本稿では、当社における直近の下請法違反防止のための取組みを紹介する。なお、本稿の記載はあくまで筆者個人の見解であり、筆者が所属する組織の意見等とは無関係であるのでご了解願いたい。

競争法・独禁法

ニトリホールディングスの取組み
現場に寄り添った「トレーニング」と「モニタリング」の実践
青谷賢一郎

「製造物流IT小売業」をうたう当社では、企業グループ全体を見渡すと、さまざまな取引が存在している。下請法および優越的地位濫用規制が「取引」を規制するものである以上、社内にいかなる取引が存在しているのか、現状を把握する必要がある。そうして把握した種々の取引が法令に違反することのないよう、企業の対策として「トレーニング」と「モニタリング」の2本柱が重要である。本稿では、この2本柱の対応について、概要を説明する。

競争法・独禁法

業規制の遵守とあわせた体制整備が鍵
金融機関の優越・下請規制への実務対応
徳山佳祐

金融機関として、独禁法を中心とする競争法を意識する場面は多くない。しかし、金融機関の事業規模や取引相手への影響力に照らすと、競争法が適用される可能性は決して低いものではない。本稿では、あまり取り上げられることの多くない金融機関としての競争法対応として、優越的地位の濫用規制および下請法につき、実務上の留意点を検討する。

特集2
法務のネクストステージ
日本企業における「企画法務」の挑戦
企業法務に求められる業務の質・範囲の多様化とそれに伴う組織規模の拡大により、法務組織全体の生産性向上・業務最適化へ向けた取組みを企画・立案する「企画法務」あるいは「リーガルオペレーション」といわれる業務が注目されています。アメリカでは、1990年代頃から大企業を中心に法務部内への専門チームの設置が進んできましたが、昨今日本企業でもこうしたチームを強化・新設する動きがあります。本特集では、「企画法務」の担当者に、①設置のきっかけ、②自社における取組みのメニューと成果、③今後の課題についてご紹介いただきました。
企業法務総合

丸紅株式会社法務部企画・開発課
パフォーマンス向上へ、ネットワーク、技術、人財、情報を活用
河野祐一

丸紅は、2019年4月1日付で法務部内に以下の業務を担当する企画・開発課を設置しました。1法務に関する諸施策の企画・立案2法務分野におけるIT戦略策定・促進に関する事項3弁護士費用管理システム全般・運営に関する事項4法務に関する人材育成・研修に関する事項

企業法務総合

三菱商事株式会社法務部法務企画室
法務部門の「生産性向上」の目的と意義
安田拓也

三菱商事法務部は、国内外に約100名の法務部員(グループ会社出向者、海外駐在員含む)を擁し、弁護士資格保有者も多数在籍する(日本弁護士23名、NY州弁護士50名等)、国内最大規模の社内法務部です。男女比率は6:4、中途採用者が約2割で、多様性ある組織となっています。

企業法務総合

LINE株式会社法務室リーガルオペレーションズ
まずはQuickWinの積み重ねから
山本雅道

LINE株式会社は、2011年に提供を開始した「LINE(ライン)」の広まりをきっかけとして急成長を遂げました。現在では、世界230以上の国と地域で利用されているLINEをはじめとして、多くのサービス・アプリを提供しています。会社に合わせて急拡大してきた法務室でも、ノウハウの共有・コスト管理・人材育成など多くの課題が出てきていました。そこで2018年8月、リーガルオペレーションズ(以下「LO」といいます)を専門に担当するチームが発足しました。

緊急解説

会社法

企業が採り得る4つのアプローチ
新型コロナウイルス感染拡大と会計監査報告・定時株主総会
弥永真生

2020年4月7日に日本公認会計士協会は、「緊急事態宣言の発令に対する声明」と題する会長声明を公表した。そこでは、「多くの企業において決算業務に重大な遅延が生じている、あるいはその懸念が高まっていることが明らかになって」いる、公認会計士または監査法人による「監査業務の遂行にも重大な制約が生じて」いるという現状認識がまず示され、「緊急事態宣言の発令を受けて、......企業の決算業務や監査業務に対する制約が更に甚大なものとなることが予想され」ると述べられている。

労働法

規程例つき出社拒否・休業時の手当の要否、感染発覚時の公表可否ほか
新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時的労務対応
佐々木晴彦

2019年末頃に中国武漢市で端を発した新型コロナウイルス感染症は、今や全世界で猛威を奮っており、わが国でも、感染拡大を阻止すべく、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を経て、2020年4月7日付けで緊急事態宣言が発令(4月16日には対象地域が全国に拡大)されている。本稿では、こうした臨時的状況において、企業がとり得る労務対応について整理したい。

地平線
日本CLO協会設立の意義──法務担当役員に求められる法務・経営の実践知
企業法務総合

堀龍兒

この度、一般社団法人日本CLO協会を設立することになった。CLOとは、CHIEFLEGALOFFICERSの略語である。CLO協会設立の目的は、企業の経営、法務、コンプライアンスに関する知識・技術および倫理の調査・研究を進め、あわせてその高い技術と倫理観を修得した企業人の育成を図ることにより、企業経営の健全化に資し、もって日本で事業活動を行う企業ならびに日本経済の発展に寄与することである。

トレンド・アイ
実務上の課題と利用の際の留意点
始動した「法人設立ワンストップサービス」と今後の展望
企業法務総合 会社法

鈴木龍介・椛島慶祐・松下あすか

政府が推進する「デジタル・ガバメント実行計画」に基づき、令和元(2019)年12月に「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」(令和元年法律16号/通称「デジタル手続法」)が施行された。

実務解説

民法・PL法等 労働法

今後の労務管理、裁判対応を考える
改正労働基準法における賃金請求権の消滅時効
高仲幸雄

民法改正によって、使用人の給料等に関する短期消滅時効(1年間)が廃止されるとともに、通常の債権は、①債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、または②権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときに時効消滅することになった。上記改正を受け、労働基準法(以下「労基法」という)でも、賃金請求権の消滅時効期間が5年(ただし、当分の間は3年)に延長される等の改正が行われた。本稿では、法改正の内容を概説したうえで、実務への影響や対応方法を説明する。

競争法・独禁法

4月2日公表の規則案にみる運用の詳細
改正独禁法における「協力減算制度」、「秘匿特権制度」の実務対応
井上 朗

公正取引委員会は、令和2年4月2日、「調査協力減算制度の運用方針(案)」(以下、「減算規則」という)および「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容が記録されている物件の取扱指針(案)」(以下、「秘匿特権規則」という)を含む「独占禁止法改正法の施行に伴い整備する公正取引委員会規則案等に対する意見募集について」(以下、「本規則案」という)を公表し、これに対する意見募集を開始した。本稿では、本規則案の概要を解説する。

労働法

6月1日の適用開始へ向けた最終チェックを
事業主が知っておくべき各種ハラスメント指針への対応
大村剛史

今年6月1日より事業主はパワハラ防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが義務化され、セクハラ等についてもその防止対策が強化された。当該措置の内容は、今年初めに公表された厚労省策定のパワハラに関する指針、改定されたセクハラ等の指針により具体化されている。そこで本稿では、当該指針の概要を紹介し、各種ハラスメント対策のため、事業主として要求される対応を整理して説明する。

国際

米中経済摩擦に伴う規制強化への対応を
中国サイバーセキュリティ法の概要と運用動向
矢上浄子

中国においては、2017年6月の「サイバーセキュリティ法」の施行以降、情報セキュリティ規制の強化がより一層進みつつある。2019年5月には、米中経済摩擦の最中にネットワークシステムの安全等級保護制度が改正され、セキュリティ保護の対象が拡大された(同年12月より施行)。2020年3月には個人情報保護のガイドラインである個人情報安全規範も改正され、さらに内容が拡充されている(本年10月より施行予定)。このほか、中国国内で収集・作成された重要データや個人情報の国外移転規制も、下位規則の整備が完了次第、正式に運用が開始される見込みである。

競争法・独禁法

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」の概要と実務上の留意点
小川聖史

2020年2月18日、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」(以下「本法律案」という)が閣議決定され、令和2年の通常国会に提出された。近年、さまざまな分野においてデジタルプラットフォーム(以下「DPF」という)が重要な役割を果たし、その存在感を高めている。それは、DPFにおいて商品・役務を提供している利用者・事業者(以下、本法律案の定義に従い「商品等提供利用者」という)のみならず、一般の利用者・消費者にとっても同様である。

AI・個人情報

「オルタナティブ・データ」を用いた投資に対する法規制と利活用の視点
福岡真之介

近時、AIを使って生成されたモデルを用いて株式市場などの市況を予測し、投資の運用パフォーマンスを向上させようとする動きがある。そして、そのようなAIを学習させるためのデータとして、従来の財務情報や経済統計等の伝統的なデータに限らず、人工衛星から収集された画像データ、気象情報、POSデータ、新聞記事の記事データ、SNSのやりとり等のデータが利用されている。これらのデータは、伝統的なデータと区別されるものとして「オルタナティブ・データ」と呼ばれている。財務情報等の伝統的なデータは投資家の誰もが入手可能であるため、それを利用してアルファ(市場平均に対する超過リターン)をとることが容易ではないのに対し、解析に高度な知識とノウハウが必要なオルタナティブ・データを利用することによって、より大きなアルファをとることができる。

ファイナンス

「デジタル証券」にまつわる開示・業規制の概要と実務課題
進藤 功・長瀨威志

ブロックチェーン技術を活用した新しい決済手段としてビットコイン等の暗号資産が注目を集めて久しいが、近時、有価証券に表示される権利を紙媒体ではなく、ブロックチェーンに代表されるコンピュータ・システムまたはそのネットワークにある分散型台帳上にてデジタル方式で記録しようとする新しい動き(以下「デジタル化」という)が始まっている。こうした有価証券に表示される権利をブロックチェーン上で生成・発行されるトークン(証票)に表示したものは、一般にセキュリティトークン(SecurityToken)ないしデジタル証券と言われている。

会社法

調査ポイントと方法、費用感を具体的に解説
「コンパクトデューデリジェンス」の概要と運用上の工夫
淵邊善彦

事業会社やベンチャーキャピタルが、ベンチャー企業やスタートアップ企業(以下「スタートアップ企業」という)に投資する際、投資額が数億円未満の案件の場合は、予算の都合上デューデリジェンス(以下「DD」という)を行わないケースが多い。ゼロか百かではなく、案件規模に応じたDDを行うべきである。本稿では、コンパクトに有益な法務DDを行うために工夫すべき点と実際にスタートアップ企業でよく見つかる問題点を事例も紹介しながら解説する。

LAWの論点

競争法・独禁法

競争法と個人情報保護法の交錯点
泉水文雄

「デジタル・プラットフォーム事業者と個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」は、消費者に対して優越的地位の濫用規制が適用されることを明らかにし、その適用の方向性を示した。これは各国・地域の動きと共通し、個人情報に対する独禁法と個人情報保護法のそれぞれの射程と役割を明らかにしようとしている。

危機管理 争訟・紛争解決

日本版司法取引制度の概要と日産自動車事件からみた運用上の問題点
指宿 信

日産株式会社元会長カルロス・ゴーン氏(有罪が確定していないため敬称を用いる。以下同様)の逮捕・起訴そして国外逃亡という一連の経緯は、わが国の刑事司法制度について国内のみならず海外からも大いに注目を集めることとなった。本稿は、ゴーン氏の逮捕・起訴のきっかけとなった、検察が日産株式会社と取り交わしたとされる合意に基づいた、捜査・公判協力型「協議・合意制度」、いわゆる「日本版司法取引」について制度の概要や手続の解説と問題点の提起を行うことを目的としている。

連載

企業法務総合

LEGALHEADLINES
森・濱田松本法律事務所編

2020年3月~4月

国際 AI・個人情報

「個人情報保護法」世界の最新動向
第6回 韓国──本年8月に改正法が施行予定
石川智也・金 映珉

韓国においては、2011年3月29日に、個人情報の処理および保護に関する事項を定める一般法としての「個人情報保護法」(法律第14839号)(以下、単に「法」という)が制定され、同年9月30日に施行された。

会社法

最新判例アンテナ
第26回 会計限定監査役は、特段の事情のない限り、会計帳簿の裏付資料を確認する等して会計帳簿に不適正な記載があることを積極的に調査発見すべき義務を負わないとされた事例
三笘 裕・大住 舞

本件は、株式会社X社(原告)において、経理担当職員AがX名義の当座預金口座から約10年間にわたり2億円超を横領したことから、X社が、横領があった期間に会計限定監査役(監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役)であったY(被告)に対して、Yが金融機関発行の預金残高証明書原本を確認する等の預金の実在性確認を怠ったことによって、横領行為の発覚が遅れ、損害を被ったとして、会社法423条1項に基づき損害賠償を求めた事案である。

会社法

米国ジョイントベンチャーの最新実務
第6回 ガバナンスに関する条項──デッドロック
竹内信紀・田中健太郎・松永耕明

本連載は、米国にて、米国の州法を準拠法として組成されたジョイントベンチャー(以下、「JV」または「米国JV」という)について、公開情報をもとに、米国JVの実例や件数、その一般的なスキーム等を検討し(第1回ないし第3回)、英文のJV契約のサンプル条項を明示しながら、米国JVに係る検討事項および問題点を紐解く(第4回以降)連載である。本稿では、ガバナンスのうちデッドロックに関する条項を中心に論じ、米国JVの法人の種類としてLLCが選択されたと仮定して条項例の紹介と解説を行う。

国際

世界の法律実務・遊歩録
第8回 「歯抜けの誤謬」
キム・ギラデ

「世界の法律実務・遊歩録」では、国際法律事務所のさまざまなオフィスで活躍するロイヤーが、世界のおもしろい・びっくり・どっきりな法律実務やエピソードを紹介していきます。第8回目は、バナナの関連市場の定義について争われた欧州の裁判例についてご紹介します。

企業法務総合 会社法

対話で学ぶ法務対応の勘所
第8回 不祥事対応案件
朝倉亮

大学卒業後、総合商社の法務部に配属された新人Aは、法律事務所での勤務経験がある社内弁護士Bが率いるチームに所属し、さまざまな案件を担当することになった。今回は、当社の海外子会社が、外国政府による複数の入札案件において競合他社と事前に相談して受注企業と受注価格を決めていた疑いがあり、対応を協議したいという相談である。

企業法務総合

株式会社以外のビークルの実務
第4回 一般財団法人
小野絵里

一般財団法人は、平成20年に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(以下「法人法」といいます)により設けられた比較的新しい法人類型です。一般財団法人は、人材育成のための奨学金事業や産業振興のための助成金事業等に活用されています。そこで、本連載の4回目は、一般財団法人について取り上げます。

争訟・紛争解決

ストーリーでわかる訴訟手続の基本(刑事編)
第2回 捜査手続①
沖田美恵子・本多茂雄

甲社は、内部通報をきっかけに、A部長が、発注権限のある本部長を騙して仕入先の乙社に対して架空発注を行わせて甲社にその代金を支払わせ、そのうちの7割を乙社のX社長から受け取っていた事実を把握した。甲社は、Y弁護士に依頼し、A部長を詐欺の事実で警察に告訴した。

企業法務総合

PICKUP法律実務書
『裁判IT化がわかる!―民事裁判手続等IT化研究会の報告書を司法書士がやさしく解説』
大川 治

本書は、大きく変わる日本の民事裁判手続をコンパクトにわかりやすく解説するものである。何が変わるのか?一言でいえばIT化である。時代遅れの手続を一気にバージョンアップし、デジタル社会に相応しいものにする企てである。

会社法

株主・株式からみた中小企業M&Aの実務
第3回 M&Aの法務実務と「株主名簿」
横井 伸

株主名簿とは,株主とその持株等に関する事項を記載または記録するため,株式会社に作成が義務づけられた帳簿である。株式会社は,株主名簿を作成し,株主の氏名やその有する株式数などの一定の事項をこれに記載しまたは記録しなくてはならないとされている(会社法121条)。