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タグ:労働法 」と一致する記事一覧
企業法務総合 労働法 2024年6月号・実務解説

ライドシェアをはじめとする規制改革の動向
――自爆営業,労働時間通算管理,株式報酬の改革
木村健太郎

政府の規制改革推進会議は,2023年12月に「規制改革に関する中間答申」を公表した。「ライドシェア」に関する議論が最も注目を浴びているが,他にも,企業実務の観点から,改革に係る議論の進展や実際の規制・制度変更のゆくえについて確認をしておくことが望ましい事項は多い。 本稿では,規制改革推進会議やその公表文書の位置づけを示したのち,中間答申のうち,一般的に注目度が高い事項や,企業法務に携わる観点から重要であると考えられる事項を選択し,中間答申公表後に議論の進展があるものについては可能な範囲でそれを含めて解説をするものである。

労働法 2024年5月号・特集2

労働法/正社員と定年後再雇用社員との基本給格差の不合理性
(最判令5.7.20裁判所ウェブサイト)
酒井夕夏

X1,X2は,自動車学校の経営会社Yに教習指導員として長年勤務したのちに定年退職し,Yとの間で定年後再雇用有期雇用契約を締結し,嘱託職員として勤務を開始した。Xらは,嘱託職員となって以降も,従前と同様に教習指導員として勤務し,再雇用にあたり主任の役職を退任したことを除き,定年退職の前後で,その業務内容および当該業務に伴う責任の程度ならびに配置変更の範囲に相違はなかった。Xらは,Yに対し,正職員との労働条件(基本給,賞与等)の相違が旧労働契約法20条に違反するとして,差額賃金または不法行為にもとづく損害賠償を求めて提訴した。

労働法 2024年5月号・特集2

労働法/運送会社における時間外労働賃金の抑制手法としての割増賃金の計算方法の否定
(最判令5.3.10判時2571号95 頁)
松永博彬

一般貨物自動車運送事業者であるYは,日々の業務内容に応じて(たとえば出発日1日8,000円など)ドライバーの月ごとの賃金総額を決定し,賃金総額から基本給と基本歩合給を差し引いた額を時間外手当としていた(以下「旧給与体系」という)。

労働法 国際 2024年5月号・Lawの論点

外国人の技能育成に関する新しい視点
――国際労働基準をふまえた問題点と今後の課題
熊谷謙一

わが国の技能実習制度をめぐり,本年2月9日に,政府が新たな「育成就労」制度の創設を決定したことで,今後の展開が注目されている。また,ILO(国際労働機関)が,移民労働に関する条約・勧告をふまえた諸対策を進めるとともに,「質の高いアプレンティス制度」に関する勧告を採択したことも,新しい視点を与えている。それらをふまえ,外国人労働者の技能育成に関するわが国での問題点と今後の課題を示す。

労働法 M&A 2024年5月号・実務開設

M&A取引後に生じる余剰人員の雇用維持策 野中健次

2023年8月31日,そごう・西武の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは,そごう・西武労働組合のストライキにもかかわらず,取締役会でそごう・西武の全発行株式を投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に譲渡することを決議した。今後,同ファンドは,ビジネスパートナーのヨドバシホールディングスと,そごう・西武の企業価値の最大化に努めることになる。池袋本店については,一部のフロアにヨドバシの家電量販店を出店することで,デパートの売り場が縮小するため,そごう・西武には余剰人員が生じることが予想される。 本稿では,まずは,労働組合について概観し,M&Aに伴う余剰人員の問題を,買収企業が労働組合からの理解・協力を得て行うワークシェアや雇用維持のための受け皿となる新たなM&A取引の実施例を紹介する。迅速にM&Aの果実を得るために労働組合と協同し,成果として雇用維持につながることへの参考となれば幸いである。

労働法 競争法・独禁法 2024年4月号・特集1

フリーランス新法 一色 毅

【Q16】 フリーランス新法における取引の適正化に係る規定の概要と,公取委における新法の施行に向けた検討状況はどのようなものか。

労働法 国際 2024年4月号・連載

技能実習制度の発展的解消と「育成就労(仮称)」制度の創設 大嵜将史・伏見純子

技能実習制度を発展的に解消して創設される新制度「育成就労(仮称)」は,現行の特定技能の在留資格と連続性のある在留資格として設計されており,これにより未熟練労働者の日本での長期就労が可能となることから,今後の企業の外国人雇用に大きな影響を与えることになる。

労働法 2024年3月号・特集1

社内規程「整備・見直し」のプロセス
――株式会社MIXIの取組み
中川真紀子・伊藤順哉

本稿では,社内規程を効果的に整備するポイント・プロセスについて,当社の2つの事例を通して解説する。1つ目の事例は,令和3年4月に改正された高年齢者雇用安定法の改正に伴う規程の改定,2つ目の事例は,当社独自の休暇制度を導入した際の規程の改定である。いずれの事例も,法令遵守と当社の労働環境や理念を融合させることを重視して規程の改定を進めている。

労働法 2024年3月号・特集1

就業規則 西脇 巧

2019年4月に「働き方改革関連法」が施行されて以降,近時の労働分野における法令やガイドラインの改正内容は複雑多岐にわたり,すべてを網羅して規定化することは容易でない。一方で,社内規程において明確に定めていないことにより,法令違反や労働紛争を招いて重大な問題に発展することがある。そこで,本稿では,労働分野において見落としがちで,法的リスクが高いと思われるテーマ(ハラスメントを除く)をとりあげ,規程例を示しながら,解説を行うこととする。

労働法 2024年3月号・特集1

ハラスメント禁止・防止規程 東 志穂・宮島朝子

ハラスメントに関しては,セクハラ,マタハラ・ケアハラ,パワハラについて雇用管理上の措置義務の履行としてハラスメント防止規程等を設けている会社が多いと思われる。そのようななかで,近時,カスハラ等さまざまなハラスメントが問題となっている状況のほか,フリーランス新法等の最新の法令や裁判例等の動向もふまえ,社内規程の整備が必要となっている。本稿では,このような近時の状況・動向をふまえた社内規程例を示すこととした。

労働法 2024年3月号・実務解説

「オワハラ」をめぐる法的問題と採用活動上の留意点 金 東煥

政府は,企業の採用活動の適正化のため,2023年4月10日,日本経済団体連合会(経団連)等に要請文を出した。この要請文には,就職活動段階のハラスメントの防止の徹底が盛り込まれている。本稿では,就職活動段階で問題となるオワハラの類型や事例,採用活動上の留意点等について整理していく。

労働法 2024年3月号・実務解説

「裁量労働制」制度改正(令和6年4月施行)の実務解説
 ――厚生労働省の立案担当者解説(下)
益原大亮

現行の企画指針においては,同意取得時において,事業場における企画型の制度概要等について,使用者が労働者に「明示して」同意を得ることを決議で定めることが適当であるとしているが(改正前の企画指針第3の6⑵イ),企画指針の改正により,「明示した上で説明して」同意を得ることを決議で定めることが適当であるとされた(企画指針第3の6⑵イ)。 また,企画指針の改正により,十分な説明がなされなかったこと等により,同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものとは認められない場合には,みなしの効果が生じないこととなる場合があるとされた(企画指針第3の6⑵イ)。

労働法 2024年2月号・実務解説

「裁量労働制」制度改正(令和6年4月施行)の実務解説
――厚生労働省の立案担当者解説(上)
益原大亮

裁量労働制の制度改正が令和6年4月に施行される。省令等の改正であるが,改正項目は多岐にわたり,法律改正と遜色ないほどに実務上の影響がある。本稿では,厚生労働省における本改正の立案担当者が,弁護士目線での実務上のポイントも含め,特に実務上の影響の大きい点に焦点をあてて解説する。

労働法 コンプライアンス 2024年2月号・実務解説

これだけは押さえておきたい
ハラスメント被害申告への適切な対応法
虎門中央法律事務所 労務管理アソシエーション

昨今,ハラスメント事案は企業のガバナンスにかかわる大きな問題となる一方で,対応については問題が発生する都度頭を悩ませている担当者も多い。以下,ハラスメントの被害申告への一連の対応における留意点について,実務上の悩みに触れながら解説する。

労働法 争訟・紛争解決 2023年12月号・連載

ストーリーでわかる 労働審判の基本
最終回 労働審判,異議の申立て,訴訟への移行
福谷賢典・山下 諒

乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新。給与月額20万円),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,2023年4月,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。第1回期日での審理を経て迎えた同年7月5日の第2回期日において,労働審判委員会からは,甲が期間満了による労働契約の終了を認める代わりに,乙社が甲に対して解決金100万円を支払うとの調停案が示された。

労働法 2023年11月号・地平線

いま求められる労働対価のかたち
――多様な働き方に適する非金銭的報酬とは
佐藤博樹

労働力不足への対応のために人材確保力の向上や,物価上昇に対して社員の生活水準を維持するために,初任給や在職者の賃金水準の改善に取り組む企業が増えている。こうした結果,2023年の春季賃上げでは,民間企業の賃上げ率が3.60%となり,1994年の3.13%以来,3%を超える水準となった。また,パートタイム・有期雇用労働法による無期労働契約の正社員と有期労働契約の非正社員の間の不合理な処遇格差の解消(基本賃金,手当,賞与,退職金など)の取組みや最低賃金の引上げへの対応などによって,非正規社員の賃金水準も上昇している。

労働法 情報法 2023年11月号・実務解説

サイバーセキュリティ対策を目的としたログ管理の法的留意点
――労働法を中心として
山岡裕明・町田 力・星野悠樹

企業の内部関係者がかかわるサイバー攻撃が増加傾向にあるなか,サイバー攻撃対策として従業員貸与のPC(社用PC)の詳細なログを収集・監視することの重要性が高まっている。もっとも,従業員のモニタリングに関する労働法上の従来の議論をふまえると,社用PC のログ監視にあたり従業員のプライバシーへの配慮が必要となる。実務上の対応としては,ログ監視に関する社内規程の策定および従業員への周知,管理責任者の任命,運用の定期的な確認等が重要である。

労働法 争訟・紛争解決 2023年11月号・連載

ストーリーでわかる 労働審判の基本
第6回 第1回期日②,第1回期日終了後の進行
福谷賢典・山下 諒

乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,2023年4月,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。同年6月15日,第1回期日が開かれ,乙社からは,東京本社の人事部担当者,福岡事業所で甲の上司であったA1課長,および同事業所総務グループのBマネージャーが,代理人のY弁護士とともに裁判所に出頭した。期日当日は,労働審判委員会と,甲本人や乙社関係者との間で,質疑応答が繰り広げられた。

労働法 争訟・紛争解決 2023年10月号・特集2

同一労働同一賃金
重要判例総まとめ

2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」において,第一の柱の「物価高騰・賃上げへの取組」として同一労働同一賃金の遵守の徹底が挙げられていることから,都道府県労働局長による是正指導が増えることが予想される。 そのため,各企業においても,いわゆる同一労働同一賃金の遵守状況を再度確認する必要があり,その確認にあたっては,これまでに下された裁判例や判決が参考になることから,本稿では,これまでの重要な裁判例や判決を取り上げて説明する。

労働法 争訟・紛争解決 2023年10月号・特集2

同一労働同一賃金に関する現状 山浦美紀・山浦美卯

有期雇用労働者と無期雇用労働者とに係る均衡待遇を定めた改正前の労働契約法20条(以下「旧労働契約法20条」という)が平成25(2013)年4月1日に施行され,短時間労働者と通常の労働者とに係る均衡待遇を定めた改正前のパートタイム労働法8条(以下「旧パートタイム労働法8条」という)が平成27(2015)年4月1日に施行された後,短時間・有期雇用労働者と無期雇用労働者とに係る均衡待遇を定めたパートタイム・有期雇用労働法8条が令和2(2020)年4月1日(中小企業においては令和3(2021)年4月1日)に施行された。また,派遣労働者と派遣先の通常の労働者とに係る均衡待遇を定めた労働者派遣法30条の3第1項が令和2年4月1日に施行された。

労働法 争訟・紛争解決 2023年10月号・特集2

旧労働契約法20条違反の効果等に関する裁判例・判例 山浦美紀・山浦美卯

旧労働契約法20条は,私法上の効力を有し,有期雇用労働契約のうち同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となるものの,同条の効力により当該有期雇用労働者の労働条件が比較の対象である無期雇用労働者の労働条件と同一のものとなるものではなく(補充的効力の否定),同条違反の効果としては,不法行為責任を負うに過ぎない(ハマキョウレックス事件・最二小判平30.6.1労判1179号20頁)。

労働法 争訟・紛争解決 2023年10月号・特集2

7つの最高裁判例 山浦美紀・山浦美卯

ハマキョウレックス事件(大津地彦根支判平27.5.29労経速2292号26頁,大阪高判平27.7.31労判1135号59頁, 大津地彦根支判平27.9.16労判1135号59頁,大阪高判平28.7.26労判1143号5頁,最二小判平30.6.1労判1179号20頁,大阪高判平30.12.21労判1198号32頁)は,正社員に支給される無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当,家族手当が,契約社員には支給されておらず,また,通勤手当については,正社員は,距離に応じて支給されているにもかかわらず,契約社員には定額の支給であり,さらに,正社員には,定期昇給があり,賞与・退職金の支給も原則あったが,契約社員には,原則それらがなかったことから,当該相違が旧労働契約法20条に反するか否かが争われた事案であって,最高裁判所が旧労働契約法20条に関して初めて判断を行った事案である。

労働法 争訟・紛争解決 2023年10月号・特集2

その他重要な判例・裁判例 山浦美紀・山浦美卯

7つの最高裁判例が出された前後も,同一労働同一賃金が争点となる重要な判例・裁判例が出されている。以降は,実務上問題となる点をクリアする際に参考となる重要な判例・裁判例について,解説する。

労働法 2023年10月・実務解説

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の解説 野田 学・白石紘一

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」は,いわゆるフリーランスに業務を発注する場合に広く適用される可能性があり,実務に大きな影響を及ぼすと予想される。本法による規律の詳細は,今後,公正取引委員会規則,厚生労働省令,政令,ガイドライン等(以下,総称して「政省令等」という)によって具体化されるが,以下,現時点で判明している本法の内容等と実務への影響につき解説する。

労働法 争訟・紛争解決 2023年10月号・連載

ストーリーでわかる 労働審判の基本
第5回 第1回期日①
福谷賢典・山下 諒

乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,2023年4月,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。乙社東京本社人事部では,顧問弁護士のYに代理人を委嘱し,福岡事業所で甲が所属していた部署のA1課長,A2主任や,同事業所総務グループのBマネージャーらから事情聴取のうえ,答弁書等を作成,提出した。そして,2023年6月15日,第1回期日を迎えた。

労働法 国際 2023年9月号・Lawの論点

DX時代における雇用政策はどうあるべきか
――Googleの人員整理が問いかけるもの
大内伸哉

DX(デジタル変革)の影響により,長期雇用を前提とした日本型雇用システムは変容し,このシステムと密接に関係していた解雇規制も変化し,雇用の流動化が起こることは避けられない。政府には,雇用流動化を前提に,キャリアの自己決定をサポートする政策が求められ,企業には,丁寧な手続で雇用調整を進めることが求められる。

労働法 争訟・紛争解決 2023年9月号・特集2

同一労働同一賃金 西本良輔

同一労働同一賃金は,働き方改革の一環として世間の耳目を集めている。紛争の中心はいわゆる均衡待遇であり,関連する最高裁判決が相次いだ。この間,根拠法令が労働契約法からパートタイム・有期雇用労働法に交替し,今後も事例が集積していくと予測される。大企業ほど確認事項は多くなり,かつ法的リスクも高まってしまうことは避けがたい。最新の状況をふまえて社内点検に努めるなど,有事を見据えた平時の準備を余念なく進めておきたい。

労働法 争訟・紛争解決 2023年9月号・特集3

未払残業代(事業場外みなし) 西本良輔

事業場外みなしは,IT化の進展等も手伝って,「労働時間を算定し難いとき」という要件を満たすことが容易ではなくなり,潜在的な未払賃金請求のリスクをはらむ。しかし,営業職を中心とする従前の利用のほか,テレワークの普及もあり,根強い需要は存在する。もちろん,裁判例や行政通達を参考に正しく利用することは必要かつ可能である。企業としては,業務の性質等や指示・報告のあり方等を普段から検討整備し,対外的にも説明できるようにしておきたい。

労働法 争訟・紛争解決 2023年・特集2

懲戒処分手続 西本良輔

懲戒処分においては,手続的相当性も重要である。その典型が「弁明の機会」であるが,社内規程に特段の定めがなくとも,これが欠けると懲戒処分の有効性に疑義が生じかねない。弁明の機会は,懲戒処分に向けた手続である旨を明示し,処分事由を明確にしたうえで,処分対象となる労働者の言い分を聞いたといえる実質を伴ったものであることが望ましい。社内規程に定めるか否かや定める場合の内容は慎重な検討を要するが,弁明の機会を適切に付与したことは証拠化しておくべきである。

労働法 争訟・紛争解決 2023年9月号・特集3

副 業 西本良輔

副業は,政府の方針転換や社会的要請の高まりから,世の中に浸透しはじめている。労働法的には未成熟で多くの論点が残っているが,紛争の最たるものは不許可や懲戒処分の問題であろう。企業においては,副業は原則として労働者の自由であると捉えたうえで,自社の利益を守りつつ,いかに間違いなく許否の判断を行い,紛争に備えてエビデンスを残しておくことに意を用いるべきである。それとともに,社内手続および必要書類を整備して,紛争の未然防止についても心掛けておきたい。

労働法 争訟・紛争解決 2023年9月号・特集2

偽装請負 西本良輔

かつて巷間を賑わせた偽装請負は,近時も裁判例が相次いでいる。そこでは主に,平成27年に施行された改正労働者派遣法による労働契約申込みみなしが争点となっている。コンプライアンスの観点からは,まずは偽装請負の状況に陥ることを避けることが喫緊の課題であり,いわゆる37号告示が最重要の指針となる。企業は,行政解釈や裁判例等を参考に37号告示の解釈や勘所を把握して,ビジネスの現場においてしかるべき備えをしておくことが必要である。

労働法 2023年9月号・連載

最新判例アンテナ
第62回 営業職員の賃金からの営業費用の控除に関し,その一部について合意が認められないとして,賃金全額払の原則(労働基準法24条1項)に反すると判断された事例(京都地判令5.1.26労判1282号19頁等)
三笘 裕・金田裕己

生命保険会社であるY社は,全従業員が加入する労働組合と,①携帯端末使用料,②機関控除金および③会社斡旋物品代(以下「本件費用」という)を営業職員の賃金から控除できる旨の労使協定(以下「本件協定」という)を締結していた。①は,顧客への説明に用いられる機器(以下「本件携帯端末」という)の使用料であった。②および③は,営業活動に用いられる名刺等の物品の費用であったが,②には,コピー用紙トナー代も含まれていた。なお,就業規則には営業職員に本件費用を負担させる旨の規定はなかった。

労働法 争訟・紛争解決 2023年9月号・連載

ストーリーでわかる 労働審判の基本
第4回 答弁書の作成等②,第1回期日までの準備
福谷賢典・山下 諒

【前回までのあらすじ】 乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。乙社の東京本社の人事部担当者は,ウェブ会議を設定し,代理人のY弁護士とともに,福岡事業所で甲が所属していた部署のA1課長およびA2主任,ならびに同事業所総務グループのBマネージャーから事情を聴取した。

労働法 国際 2023年8月号・実務解説

越境リモートワーク実施上の法的留意点 西原和彦・阪口英子

新型コロナウイルス感染症の流行を機に日本でも広くリモートワークが普及し,今や国境を越えたリモートワークを実現している企業も多くある。リモートワークは情報通信技術の発達によって可能となった新しい働き方で,国内でも従来と異なる対応が求められるところ,国境を越えるリモートワークには外国法も適用されるためさらに法律関係も複雑になる。本稿では,企業と従業員が直接労働契約を締結するケースを対象として検討する。

労働法 争訟・紛争解決 2023年8月号・連載

ストーリーでわかる 労働審判の基本
第3回 答弁書の作成等①
福谷賢典・山下 諒

【前回までのあらすじ】乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。乙社の東京本社の人事部担当者は,顧問のY弁護士に相談し,乙社の代理人に就いてもらうことにした。Y弁護士は,福岡事業所の関係者から詳しく話を聞きたいと希望した。

労働法 2023年7月号・実務解説

改正障害者差別解消法の施行に向けた企業対応ポイント 水田 進・関根ゆりの

2024年4月1日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」または単に「法」という)の改正法が施行されることが公表された。今回の改正の主な内容は,これまで努力義務とされていた民間の事業者の合理的配慮の提供が,国や地方公共団体などと同様に法的義務とされることである(改正法8条2項)。また,改正法の円滑な施行に向け,同法に基づいて政府が策定した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(以下「基本方針」という)も改定されており,これも改正法と同じく2024年4月1日に施行される予定である。さらに,各省庁は所管する事業分野について民間の事業者が適切に対応するために必要な対応指針(以下「対応指針」という)を定めているが,これらも改正法の施行日までに改定される予定である。そこで,本稿では,障害者差別解消法の改正内容の解説と,同法をめぐる最新動向をふまえた実務対応についての検討を行うこととする。

労働法 争訟・紛争解決 2023年7月号・連載

ストーリーでわかる 労働審判の基本
第2回 相手方の初動対応(答弁書の作成準備)
福谷賢典・山下 諒

乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。乙社の東京本社の人事部担当者は,労働審判手続申立書を受領し,対応の検討を開始した。

労働法 争訟・紛争解決 2023年6月号・連載

【新連載】
ストーリーでわかる 労働審判の基本
第1回 労働審判制度の概要
福谷賢典・山下 諒

本誌2019年10・11月号および2020年1~11月号では,「ストーリーでわかる 訴訟手続の基本」と題し,主として新任の法務・人事セクション担当者向けに,民事訴訟および刑事訴訟の手続の流れをストーリーに沿って概観し,手続に係る基礎知識や実務上の留意点について解説する連載を行ったが,本連載は,前回連載(民事編)に追加する内容として,労働審判の手続についての解説を行うものである。 本連載も,前回連載と同様,具体的なストーリー(企業と元労働者との間の紛争に関するもの)を設定し,その進展を追う形で,労働審判の手続について,通常の民事訴訟と比較した場合の手続上の特色を中心に解説する。

労働法 2023年5月号・Trend Eye

アバターに対するハラスメントは成立するのか 荒木昭子

コロナ下でリモートワークが浸透し,オンラインツールを用いたリモートワークの働き方が浸透した。さらに,VRを用いたメタバース上の仮想ワークスペース(以下,単に「仮想ワークスペース」という)を導入する動きがあらわれはじめている。この仮想ワークスペースで,労働者は,自身の分身であるアバターにより,会議室に集まり,ホワイトボードを用いて説明し,相互に議論を行う。そこでは,互いにアバターの動作を見ながら会議や研修を行うことでコミュニケーションがより円滑となり,新しいアイディアの創出も活発になるかもしれない。

労働法 2023年5月号・連載

対話で学ぶ 人事労務の周辺学
最終回 人事労務と入管法
嘉納英樹

総務省統計局によると,出生数が80万人を割った2022年の日本の総人口は約1億2,508万人です。少子化の影響で,2110年には4,300万人になるとの予想もかつてありました。そのため,外国人雇用が喫緊の課題となっています。そこで最終回では,入管法との交錯を,弁護士兼行政書士Aと弁護士Bの対話によって解説します。

労働法 税務 2023年4月号・連載

対話で学ぶ 人事労務の周辺学
第9回 人事労務と税法
嘉納英樹

人事労務と税務の結びつきは強固です。連載第9回では,税法との交錯を,弁護士Aと弁護士兼税理士Bの対話によって解説します。

労働法 2023年3月号・実務解説

無期転換ルールの見直しと実務対応 山畑茂之

労働契約法18条が定める無期転換ルールの施行から8年以上が経過し,同ルールの見直しが検討されているところであり,そのなかで,使用者に対し,無期転換申込権の発生や無期転換した場合の具体的な労働条件を個々の労働者に対して通知することの義務づけや,無期転換ルールに対する対応として導入されることがある更新上限設定について使用者に説明義務を課すという動きがあり,それに対する実務対応について検討する。

企業法務総合 労働法 2023年3月号・連載

マンガで学ぼう!! 法務のきほん
第13話 整理解雇と解雇規制
淵邊善彦・木村容子

整理解雇とは,企業が経営悪化や事業縮小等を理由として人員削減のために行う解雇をいいます。 使用者が行うリストラ策としては,他に退職勧奨や希望退職の募集があります。どちらも社員からの自主退職を目指すものですが,希望退職の募集は社員の応募を待つという受け身であり,積極的に退職を促す退職勧奨とは異なります。 これらに対し,整理解雇は,使用者による一方的な意思表示によって行われ,労働者の同意は不要という点で大きく異なります。

労働法 2023年2月号・特集1

労働法分野で迷ったらこの1冊 小鍛冶広道

企業法務パーソンとしての労働法務に携わるうえで「必携」といえる書籍はいくつか存在するところであるが,これら「必携」書籍を紹介するだけではつまらない。そこで本稿では,こうした「必携」書籍についてはざっと紹介するにとどめ,「労働法分野で迷ったらこの1冊」を紹介する。

労働法 2023年2月号・連載

対話で学ぶ 人事労務の周辺学
第8回 人事労務と刑事法
嘉納英樹

連載の第8回目では刑事法との交錯を弁護士Aと弁護士B(元検察官)の対話によって解説します。記者会見の実施における留意点や不正競争防止法・競業避止義務についても触れます。

労働法 国際 2023年1月号・連載

日本の法務担当者が知っておくべき
アメリカの労働法制
最終回 準拠法および紛争解決方法の選択
西出智幸・貞 嘉徳・高田翔行・ Jose M. Jara・Phillip H. Wang

最終回となる今回は,連邦法・連邦裁判所と州法・州裁判所の2つの法体系および裁判所が存在するアメリカにおいて,労働契約等の準拠法および紛争解決方法を選択するに際して留意するべき事項を解説する。

労働法 2023年1月号・連載

対話で学ぶ 人事労務の周辺学
第7回 人事労務と民法・民事訴訟法
嘉納英樹

民法や民事訴訟法は,民事法の根幹です。連載第7回では,これらと人事労務との関連を弁護士Aと弁護士Bの対話によって解説します。

労働法 2022年12月号・実務解説

社員の男女間賃金格差に関する情報公表が義務化
人事情報の開示実務とポイント
緒方絵里子・清水美彩惠

女性活躍推進法に関する省令等が改正され,社員の男女間賃金格差に関する情報の公表が義務化された。2023年4月には男性の育児休暇等の取得状況の公表も義務づけられる予定である。その他にも,コーポレートガバナンス・コードや副業ガイドラインによる情報開示の推奨を含め,企業に対して情報開示を求める動きが活発化している。本稿では,企業に求められる人材に関する情報開示のポイントや実務対応について解説する。

労働法 国際 2022年12月号・連載

日本の法務担当者が知っておくべきアメリカの労働法制
第5回 役職員に対する補償
西出智幸・貞 嘉徳・高田翔行・Jose M. Jara・Phillip H. Wang

連載第5回となる今回は,役員または従業員が,自らの職務を遂行する過程で行った行為について,個人として訴訟の被告とされるなど,何らかの手続に巻き込まれた場合,使用者たる企業は,どのような場合に,どのような方法により当該役職員が支出を余儀なくされる費用を補償することが可能であるかを解説する。

労働法 2022年12月号・連載

対話で学ぶ 人事労務の周辺学
第6回 人事労務と社会保障法
嘉納英樹

社会保障法と労働法の関係は極めて密接です。連載第6回ではこれらの交錯を弁護士Aと弁護士兼社会保険労務士Bの対話により解説します。