雑誌詳細

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2023年6月号

2023年4月20日発売号   1,800 円(税込)

特集1

許諾対象別
ライセンス契約の手引き

特集2

株主総会直前対策

特別企画

日本企業が知っておきたい
EUビジネス法

特集1
許諾対象別
ライセンス契約の手引き
「ライセンス契約」と聞いて,何を思い浮かべるでしょうか。特許,商標,ノウハウ......いずれもライセンス許諾対象の主たるものですが,近年デジタル化の流れをくみ,新たなライセンス形態が次々に登場。AI・データを扱うユースケースの増加,フリーソフトウェア(OSS)の活用拡大,サブカルチャーの盛況などを背景に,産業ごとの個別論点も浮かび上がっています。本特集では,トラブルケースを想定したライセンス契約の基本,そして一歩進んだ応用テクニックまでを集約し,知財を最大限に生かすための法務戦略を提示します。
知財

ライセンス契約交渉の心構え
片山英二・辛川力太

ある日あなたの会社にNPE(特許不実施主体。詳しくは後述)と思われる団体から「製品の販売にはライセンスが必要だ。ライセンス交渉をしたい」というレターが舞い込んできたら,会社の担当者としてあなたはどうすべきであろうか。あるいは,他社があなたの会社の有する登録商標と類似の商標を使っていることをWebサイトで見つけた場合はどうすべきか。さらに,あなたが大学の知財担当者で大学の保有する知財を活用したいと考えた場合,まず何をすればよいか......。これらの問題は一律に答えが出るわけではないが,本特集では,ライセンスの対象ごとに,特許,商標,コンテンツ,ソフトウェア,ノウハウおよびデータ提供に関するライセンス契約の基礎知識や実務対応について,それぞれの分野で活躍する実務家から論稿が寄せられており,冒頭で述べたような事態に対処するために必要なライセンス契約交渉の基礎を提供するものである。本稿では,それらの総論として,ライセンス契約交渉の心構えと題して,若干の俯瞰的な整理を試みたい。

知財

特許ライセンス契約の典型条件
山本飛翔

特許ライセンスは,特定の技術の利用許諾を受け,または許諾するという側面のみならず,いわば商圏の一部を譲り,または譲り受ける側面をも有するものである。そのため,いずれの立場においても,ライセンス契約の条件を検討する際には,この観点をふまえて,過不足がないか,また,利害調整の余地がないか等といった点を検討することが肝要である。本稿では,かかる観点もふまえ,特許ライセンスにおける典型的な条項を紹介する。

知財

トラブルケースから導く
商標ライセンス契約の必須条項・規定例
高瀬亜富・市橋景子

商標ライセンス契約に特有のトラブルを予防するために,その作成時またはレビュー時にどのような点に留意すべきか。商標ライセンス契約の各条項について,関連するトラブル事例等を紹介しつつ,実務上留意すべき点を考察する。

知財

コンテンツライセンス契約における著作権法の適用と交渉・ドラフト・レビューポイント
松岡 亮

コンテンツライセンス契約とは,一言でいえば,ライセンサーがライセンシーに対して特定の著作物についての「利用権」(著作権法63条3項)を設定し,ライセンシーがライセンサーに対してその対価を支払う契約である。本稿では,コンテンツライセンス契約の交渉,ドラフト,レビューを行う際に押さえておく必要がある基礎的事項を概観する。

知財

心理的対立構造をふまえた
コンテンツライセンスの契約交渉
柴田純一郎

コンテンツライセンス契約は,唯一無二のコンテンツの使用収益を図る契約として,当事者がその内容を設定できる自由度が高い。本稿では,立場の異なる各当事者の心理をふまえて,主要な契約条件においてそれぞれの立場で留意すべき事項を解説する。

知財

ソフトウェア・OSSライセンス,データ提供契約の実務論点
――特殊性を補う適切な取決めとは
尾城亮輔

ソフトウェアは他の資産とは大きく異なる特徴を有しており,ソフトウェアを目的とするライセンス契約は,ソフトウェアの特殊性を反映したものとなる。本稿では,ソフトウェアライセンス契約の特徴とレビューの際の注意点を説明した後,近年重要度を増しているOSS(オープンソースソフトウェア)とデータ提供契約についても解説をする。

知財

ソフトウェアライセンス事業を加速させるOSS戦略
株式会社時雨堂

近年,企業におけるソフトウェア開発においてOSS(オープンソースソフトウェア)は必要不可欠な存在になっており,法務パーソンとしては,法的な側面だけではなく,事業におけるOSSのあり方を理解しておくことも重要といえよう。本稿は,企業実例として,ソフトウェアのライセンス販売を主な事業とする会社のOSS戦略とOSSの「優先実装」という新しい取組みを紹介するものである。

知財

ノウハウライセンスの秘密管理フロー
松永章吾

ノウハウは適切な秘密管理によって営業秘密として長年保護し得る重要な知的財産である反面,ライセンスアウトを契機に公知情報化してしまえば,その時点で保護が失われる脆い無体財産である。ノウハウの公知情報化のリスクは,ノウハウライセンス契約の内容によってだけでは回避することができないため,契約前から契約終了後のクロージングに至るまで,相手方の協力を得てリスク管理を実施することが欠かせない。

地平線
去りし前時代,総会「再出発」のとき
企業法務総合 会社法

永池正孝

今年の3月総会から株主総会資料の電子提供制度が開始された。委員として参加した経済産業省「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」が提言をまとめてから7年経つが,全国株懇連合会の理事長として,電子提供制度における実務上の論点や課題を整理したことを思うと感慨深いものがある。

Trend Eye
ステーブルコインの法制化に伴う
事業者参入等のゆくえ
企業法務総合

福井崇人

2022年6月10日に公布され,まもなく施行予定の「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(以下「本改正法」という)は,ステーブルコインに対する制度的対応を行うことが主眼の1つである。

特集2
株主総会直前対策
2023年度6月株主総会を迎えるにあたり,総会資料の電子提供はもちろんのこと,総会に関する取扱事項の増加には注意が必要です。コロナ禍においてイレギュラーな対応に追われたのも束の間,株主提案の影響力が増し,そのうえ「変化球」ともとれる質疑を繰り広げる株主への対応など,総会運営は依然,一筋縄ではいきません。詳細な実務動向は本年3月号で解説しているため,本特集ではもう1つアクセントをつけて,現場感満載の総会実務に迫ります。
企業法務総合 会社法

株主総会想定問答で押さえておくべきキーワード4選
生方紀裕

本稿では,株主総会の質疑応答の際に問われることが想定される最新の4つのキーワードについて,紙幅の関係から,ごく簡単な概要を紹介するとともに,質疑応答の際の留意点などを解説する。想定問答の作成時や総会直前の記憶喚起に活用いただければ幸甚である。

企業法務総合 会社法

どんな球種も打ち返す!
「変化球」想定問答集
瀧本文浩

最近の株主総会における株主の発言傾向をみると,予想もつかない視点からの,「変化球」といえるような質問も珍しくない。コロナ禍が落ち着けば,質問株主も増えて,そのような「変化球」質問もさらに増えるであろう。そこで,本稿では,そうした「変化球」質問についての想定問答の例を挙げ,解説する。

企業法務総合 会社法

株主総会の運営・事務に関するQ&A
──株主総会資料の電子提供制度を中心に
野澤大和

株主総会資料の電子提供制度(以下「電子提供制度」という)の適用初年度において,実務の積み重ねがないなかで,例年とは異なる検討および対応が必要となり,総会担当者の悩みも多いのではないかと思われる。本稿では,2023年6月の定時株主総会の準備に向けて,電子提供制度を中心に,実務上問題になり得る株主総会の運営・事務に関する主要な論点についてQ&A形式で平易に解説する。

企業法務総合 会社法

株主提案対応実務の最新論点
浦田悠一

2021年7月から2022年6月までに開催された株主総会における株主提案(会社法303条・305条)の数は,判明しているものに限っても,過去最高になった。また,昨年には,これまで株主提案をしたことがなく穏健派と考えられていた投資家が突如株主提案をした事例もあった。定時株主総会における株主提案はもはや他人事ではない。そのようななか,株主提案実務にも数々の進展がみられることから,本稿では,定時株主総会における株主提案対応の最新論点を概観する。

企業法務総合 会社法

デジタル技術の早期実装
法改正にも完全対応したアステリア流・バーチャル株主総会のすべて
平野洋一郎

「場所の定めのない株主総会」(バーチャルオンリー株主総会,以下「バーチャル株主総会」という)が法的に認められたのは,2022年の制度改正からだ。当社では,上場当初よりリアル会場とオンラインの同時開催でのハイブリッド型株主総会に取り組んでいる。2017年からはブロックチェーン技術を活用した透明性の高い投票システムを導入するなど,改善を重ねてきた。2022年6月には法的な要件を満たしたうえで,完全にオンライン環境で株主総会を実施した。本稿ではバーチャル株主総会の具体的な内容や課題について紹介する。

特別企画
日本企業が知っておきたい
EUビジネス法
強大な影響力が「ブリュッセル効果」と評されるなど,その主体である欧州の法改正・ルールメイキングの動向は日本企業であっても必ず押さえておくべきでしょう。とりわけ人権・サステナビリティ分野におけるDD指令案やデジタルプラットフォーマー規制に関しては,現地子会社のみならず,サプライチェーンとしての対応が求められる場合があります。実務対応に迫られなくとも,「うちはドメスティックな企業だから関係ない」と見過ごすのではなく,EU法に学ぶ意義は大きいです。
国際

販売代理店契約締結時における欧州新規則上の留意点
井上 朗

昨年,欧州では,流通規制の基本規則とガイドラインが大改正されたことをご存じだろうか。当該改正は,2023年6月1日から全面適用されるが,これを前にして,既存の販売代理店契約中で修正を必要とする条項や,新規契約を締結する際の留意点の特定も進んでいるだろうか。欧州委員会は,当該改正の厳格な適用を明言しているところであり,全面適用を前にして,本稿を通じて,今一度,改正のポイントを確認したい。

国際

Q&Aで理解する
企業サステナビリティ・デュー・デリジェンス指令案
関本正樹

2022年2月23日,欧州委員会は,自社,子会社およびバリューチェーンにおける人権と環境のリスクに対するデュー・デリジェンス(以下「DD」という)の実施およびその内容等の開示の義務を定めた「企業サステナビリティ・デュー・デリジェンス(Corporate Sustainability Due Diligence)指令案」(以下「CSDD指令案」という)を公表した。本稿では,CSDD指令案の概要と日本企業への影響についてQ&Aの形式で解説する。

国際

デジタルサービス法(DSA)・デジタル市場法(DMA)の要点と実務対応
岩村浩幸

現在のオンラインサービスの提供においては,米国発祥のテクノロジー企業が市場を席巻しているが,EUでもこれらの企業はオンライン市場において大きなシェアを有している。このような状況において,EU発祥のオンライン企業の成長が阻害されているだけでなく,これらの大企業のビジネスのあり方がEU加盟国の政策・法律にも間接的に影響を与えている。そのため,消費者を保護するとともにEU発祥のオンライン企業が同じ土俵で戦えるための仕組みとして,EU規則である,Digital Services Act((EU)2022/206)が2022年10月に,Digital Markets Act((EU)2022/1925)が2022年9月に施行された。本稿ではそれぞれの規則の概要,および,日系企業が気をつけるべき点について解説を行う。

国際

外国補助金規則(FSR)が域外国に与える影響
渡辺直樹・根本鮎子

2023年1月12日,欧州連合(EU)の外国補助金規則(Foreign Subsidies Regulation:FSR)が発効した。発効日から6カ月後の2023年7月12日からの適用開始(企業の届出義務については2023年10月12日からの適用開始)が予定されている。この規則は,EUの既存の規制を受けなかった,市場(競争)歪曲的なEU域外国の補助金に対する規制を目的としたもので,EU域内の企業結合(concentrations)や公共調達(public procurement procedures)に適用され,以下に述べるような市場歪曲を防止するための効果・措置を定めている。本稿では,FSRの概要を紹介し,企業に与える影響を検討する。

実務解説
ステルスマーケティング規制と今後の対応策
競争法・独禁法

渥美雅之・渡邊隆之

2023年3月28日,消費者庁は,外部有識者を含めた検討会および意見公募手続を経て,ステルスマーケティング(以下「ステマ」という)を不当表示として規制する告示および運用基準を公表した。ステマは,一般消費者に対して広告と認識させずに商品・役務の訴求を行うものであり,これまでもその問題点が指摘されてきた。特にインターネット広告を行う企業にとっては今回の規制に対するコンプライアンスが重要となるが,規制対象となるステマの外延は必ずしも明確とはいえない。本稿では,ステマ規制に係るこれまでの議論をまとめ,実務上の留意点について考察する。

企業法務総合

法務部が知っておきたい所有者不明土地関連法
――令和3年改正民法・改正不登法,相続土地国庫帰属法
荒井達也

令和3年民法および不動産登記法の改正等を中心とする近年の所有者不明土地関連法(以下「改正法」という)には,所有者不明土地対策だけではなく,民法の物権法や相続法を現代化するための改正が少なからず存在する。本稿では,令和3年改正民法・改正不登法,相続土地国庫帰属法を中心に法務部が知っておきたい要点を解説する。

企業法務総合

PICK UP 法律実務書
『キャリアデザインのための企業法務入門』
藤野 忠

ここ数年で書籍や雑誌記事の中で企業内法務のありようについて語られる機会は格段に増えた。若手社員の体験談から外部専門家の"あるべき姿"論まで,その種の論稿は書き手も内容も多岐にわたっているが,現場経験の裏打ちを欠く実務語りから得られるものは決して多くはない。だから,これまで私自身が企業内で法務の仕事に携わろうとする方々にすすめてきたものも,企業内でさまざまな修羅場をくぐってきた経験豊富な法務部門経験者によって書かれたものだけだったのだが,本書はそんな常識を良い意味で覆している。

企業法務総合

PICK UP 法律実務書
『監査役の誕生―歴史の窓から―』
弥永真生

本書は,月刊「監査役」に6年超にわたって連載されたものに,解題として著者の講演録を付してまとめられたものである。書評子は,幸運にもこの連載を楽しみに「監査役」を愛読し,当該部分を抜き出してファイルしていたのであるが,本書の刊行により,そのファイルは不要となり,また,持ち運びにも便利になった。

連載
【新連載】
考える法務――基本と初心とささやかな試み
第1回 株式会社を代表する者
会社法 民法・PL法等

大島忠尚

法務に携わるみなさんのもとには,小さな問題,大きな問題が区別なくやってきます。どれも「みなさんならすぐに解決できる」「解決の糸口を与えてくれる」と思って相談にくるものです。しかし実際のところ,何が正解なのかわからないような問題も多いはずです。どの案件でも,ベストな回答を目指して,考えるほかありません。 本連載はそんなみなさんの,そして私の日常をふまえたものにしていくつもりです。一緒に考えましょう。

会社法

【新連載】
IPO準備における会社法の基礎
第1回 社外取締役設置に関する規律
青野雅朗

未上場会社が株式上場を目指すにあたり,遵守すべき規律や,それに応じて整備すべき事柄は多岐にわたる。その中でも,会社法の規律は会社のあり方を定める最も基礎的なルールであり,それゆえ,上場準備という文脈において会社法上の整理が論点になることも多い。本連載は,上場準備において比較的論点になりやすいトピックという切り口から,全6回の予定で,会社法の基礎を振り返る。第1回は,上場会社に社外取締役の設置を求める規律の内容を振り返るとともに,要件充足性についてしばしば悩ましい問題にも直面し得る社外取締役の要件等について取り上げる。

労働法 争訟・紛争解決

【新連載】
ストーリーでわかる 労働審判の基本
第1回 労働審判制度の概要
福谷賢典・山下 諒

本誌2019年10・11月号および2020年1~11月号では,「ストーリーでわかる 訴訟手続の基本」と題し,主として新任の法務・人事セクション担当者向けに,民事訴訟および刑事訴訟の手続の流れをストーリーに沿って概観し,手続に係る基礎知識や実務上の留意点について解説する連載を行ったが,本連載は,前回連載(民事編)に追加する内容として,労働審判の手続についての解説を行うものである。 本連載も,前回連載と同様,具体的なストーリー(企業と元労働者との間の紛争に関するもの)を設定し,その進展を追う形で,労働審判の手続について,通常の民事訴訟と比較した場合の手続上の特色を中心に解説する。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所 編

企業法務総合

最新判例アンテナ
第59回 賃借人による家賃等の不払い等がある場合に賃料保証業者が無催告で賃貸借契約を解除し,建物の明渡しがあったとみなすことができる旨の条項が消費者契約法10条により無効であると判断された事例(最判令4.12.12裁判所ウェブサイト参照)
三笘 裕・萩原宏紀

賃料保証業務を営むY社は,賃貸住宅の賃貸人および賃借人との間で,賃借人の委託を受けて賃貸借契約(以下「原契約」という)に係る賃料債務の連帯保証等を内容とする契約(以下「本契約」という)を締結していた。本契約には,①賃借人が支払いを怠った賃料等の合計額が賃料3カ月分以上に達した場合には,Y社が無催告にて原契約を解除することができる旨の条項(以下「無催告解除条項」という)および②賃借人が賃料等の支払いを2カ月以上怠り,Y社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況のもと,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ,かつ賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときは,賃借人が明示的に異議を述べない限り,これをもって賃借物件の明渡しがあったものとみなすことができる旨の条項(以下「みなし明渡し条項」という)が規定されていた。

企業法務総合

弁護士のとあるワンシーン with 4コマ
Scene3 弁護士は悪しき隣人?
中村 真

多くの法律家がそうであるように,私も社会での振る舞い方について思い悩む場面がしばしばあります。

企業法務総合

マンガで学ぼう!! 法務のきほん
第16話 消費者契約法等の改正
淵邊善彦・木村容子

消費者契約法は,消費者と事業者の持っている情報の質量や交渉力の格差を考慮して,消費者の利益保護を図ることを目的としています。

国際 テクノロジー・AI

経営戦略としてのプライバシー・ガバナンス
第4回 海外パーソナルデータ保護規制への実装対応
杉浦翔太

海外の利用者に向けて事業を展開する事業者や,海外に現地法人を有する事業者においては,日本の法令のみならず海外の法令にも目を向けて,適法に事業展開を行うことが必要不可欠である。他方で,海外の法令に関する情報が限られていることや,相談のできる専門家を見つけることが難しいことから,具体的な対応に苦慮している企業も少なくない。本稿においては,海外におけるパーソナルデータに対する規制を概観し,これに対してどのようなアクションをとる必要があるか,具体例を交えて解説する。

企業法務総合

怒れる弁護士「アンガーマネジメント」を学ぶ。
第2回 今すぐ始められるアンガーマネジメント
宮山春城

体調不良が続き,毎日ずっとイライラしていました。そんな時に夫から「いつになったら机の上を整理するの?」と声をかけられ,カッとなって足元にあったファンヒーターを蹴りつけたらドアに当たって穴が開いてしまいました。とある器物損壊事件での1コマ,ではありません。2カ月前に,私の妻が実際に起こしてしまった出来事です。

企業法務総合 国際

Study Abroad Journal(留学体験記)
第5回 ハーバード大学
南谷健太

私は現在,ハーバード大学スクール・オブ・パブリックヘルス(以下「HSPH」といいます)の医療政策専攻の修士課程(MPH:Master of Public Health)に在籍しています。留学前は6年半ほど企業法務に従事しており,特に労働法やヘルスケア,訴訟等の案件に従事していました。本稿を通じて少しでもパブリックヘルスやHSPHへの留学についてイメージを持っていただけるのであれば大変嬉しく思います。

企業法務総合

ビジネスパーソンのためのSDGs相談室
第10回 企業に求められている「公正な事業慣行」とは何か?
坂 昌樹

Q:近時,「公正な事業慣行」という言葉をききます。そもそも,どういった内容なのでしょうか。SDGsのゴールとはどのような関係があるのでしょうか。企業に対して,どのような取組みが求められているのでしょうか。

企業法務総合

双日法務部のリーガルオペレーション
第4回 アウトソーシング
廣瀬和孝

アウトソーシングの中でも弁護士起用に関しては,双日法務部に体系的なマニュアルや方針は長らく存在せず,4月号で紹介したスタートアップガイド・稟議チェックシート中で初めて明文化された。また,起用弁護士のデータベースも,2021年にPower Appsを用いたアプリを利用することによりその構築を試み始めたところである。本稿では,これらのインフラ整備の取組みではなく,双日法務部が業務対応において,法務部内部のリソース(法務部員)と外部のリソース(弁護士)をどのように組み合わせてきたかを振り返り,可能な限り分類・整理を試みるとともに,受入出向といった外部と内部の中間的な形態についても紹介したい。

企業法務総合

ケースで学ぶ ビジネスと人権
第3回 人権DD②――人権への負の影響を防止・軽減するには?
坂尾佑平・岩崎啓太

連載第2回より,「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」(以下「本ガイドライン」という)における人権尊重の取組みの各論として,人権デュー・ディリジェンス(以下「人権DD」という)に関するケーススタディを行っており,前回はその出発点として,人権DDの4つのプロセスの1つめにあたる「負の影響の特定・評価」について解説した。連載第3回では,2つめのプロセスである「負の影響の防止・軽減」について,国内における人権DDを念頭に,負の影響の防止・軽減における基礎的なポイントを解説する。

企業法務総合

裁判例から学ぶ 経営意思決定バイアス
第3回 リスクの高い金融商品取引継続の意思決定と「サンクコストの誤謬」
(東京高判平成20年5月21日判例タイムズ1281号274頁)
青谷賢一郎・飯田 高

本連載では,経営意思決定バイアスを学ぶうえで格好の教材となる具体的事例(いずれも,取締役の善管注意義務違反に関する裁判例)を紹介し,当該事例で問題となりそうな意思決定バイアスを中心に解説する。連載第3回目では,リスクの高い金融商品取引継続の意思決定における「サンクコストの誤謬(sunk cost fallacy)」を取り上げる。

企業法務総合

ITサービスにおける「利用規約」作成のポイント
第7回 商品販売(ECサイト)型のサービスにおける利用規約
中山 茂・菅野邑斗・柿山佑人

今回は,事業者が自社のECサイトやアプリを通じて商品を販売するビジネスにおける利用規約に関して,特徴的な条項や検討すべきポイントを解説する。ECサイト等を通じた販売は,もともと事業者にとって有力な販路の1つであったが,特に昨今のコロナ禍で対面販売が制限された状況下において,その市場は拡大傾向にあり,今後もより重要度が高まると思われる。

特別収録
第52回ビジネス実務法務検定試験
1級 本試験問題
企業法務総合