雑誌詳細

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2023年10月号

2023年8月21日発売号   1,800 円(税込)

特集1

Change Your Mindset.
「法務英語」徹底攻略法

特集2

同一労働同一賃金
重要判例総まとめ

特別企画

法務はどう動く⁉
はじめての「税務紛争」対応

特集1
Change Your Mindset.
「法務英語」徹底攻略法
海外子会社や海外との取引先などと連絡を取り合う際は,当然のごとく,英語でやり取りをすることになります。最近では以前にも増して,そのような機会をもつことが多くなっているのではないでしょうか。
そこで,今回は「英語に苦手意識がある場合,『法務英語』に対してどのように向き合えばよいのか?」「特に,英文契約書を読むときに押さえておくべきこととはなにか?」の2点を軸に,幅広く活躍している執筆陣がそれらポイントを伝授します。

英語業務へなるべく携わりたくない,そんな'Mindset'を今こそ'Change'してみましょう!
企業法務総合

法務英語に対する心構え
本郷貴裕

私は学生時代,英語の単位を取得する目的以外で英語を勉強したことがなかった。就活に際して,海外案件にかかわりたいという希望を述べたこともない。電機メーカーに就職時,TOEICは400点台であった。しかし,やがて主に海外案件を担当するようになった。英語力を身につけるために何が正解かわからないなかで努力をするのは暗闇の中をもがくようでつらかった。以下,後から考えればプラスになったと思うことを経験に照らして述べたい。

企業法務総合

法務部員のための
英語コミュニケーションの勘所
柴田純一郎

企業活動のボーダーレス化が加速化する現代,企業内法務部員においても国内外の関係会社,顧問弁護士,取引先,その他関係者と英語でコミュニケーションする機会も多くなっている。英語コミュニケーションというと英語の運用能力に目を向けがちであるが,実は発想の転換が重要である。本稿では,相手・場面別に1つの参考情報を紹介したい。

企業法務総合

英文契約書の基礎知識と基本構成
山本英龍

英文契約に取り組むにあたり,まずは和文契約と比較しながらどのような違いがあるかをみていく。また,英文契約を読むためのスキルやツールにはどのようなものがあるか,そして英文契約の構成が基本的にどのようになっているかを知り,英文契約の基礎知識を学ぶ。

企業法務総合

英文契約書レビューのポイント
増永 将

英文契約書レビューは,和文契約書同様,まず契約書全体の構成を理解したうえで,主要な条項・概念につき理解することがポイントである。ここではレビューにおいてどのような視点を持つべきかを解説したうえで,和文契約書の一般条項に相当する,英文契約書末尾に規定される主要なBoilerplate条項について説明するほか,英文契約書においてよく見かけるその他の重要条項について説明する。

企業法務総合

「英文秘密保持契約」締結時の留意点
小林城治・田原 直

秘密保持契約書は,国際取引や日本国外で事業を行う場面においては英文で作成されることが多く,「Non-Disclosure Agreement(NDA)」や「Confidentiality Agreement(CA)」などと題されることがある。本稿では,秘密保持契約書を英文で作成し,または,英文の秘密保持契約書をレビューするにあたって,留意すべき点をいくつかのポイントにしぼって解説する。なお,米国内の州が準拠法となっている場合における留意点のうち特に特徴的なものを適宜付記する。

企業法務総合 テクノロジー・AI

TOEIC990点のその先へ
AIが切り開く法律英語の新たな舞台
渡部友一郎

AIの登場により,伝統的な積み上げ式の「法律英語」へのアプローチは転換を迫られている。TOEIC990点を超えるレベルが求められる米国外資系IT企業の法務部で苦闘する筆者の視点から,共通する「不合理な信念」を再訪し,DeepLおよびChatGPTの活用に関する情報を共有する。

地平線
日本における報道の「自由」
――法による制限とその現在地
企業法務総合

毛利 透

日本では報道の自由は守られているのか否か? このように二者択一で問われれば,「守られている」と答えるのが正解であろう。少なくとも,「守られていない」わけではない。しかし一方で,「国境なき記者団」が毎年発表している「世界報道の自由度ランキング」では,もう何年も日本は60~70位台の評価が定着している。冷戦期には東アジア唯一の民主主義国だったといってよい日本は,このランキングではもはや韓国や台湾に遠く及ばなくなっているのである。もちろん,このランキングの客観性にはいくらでも疑問を呈することができるが,しかし日本の報道の自由がもはや民主主義国のお手本といえるレベルではないことは,認めざるを得ないだろう。

Trend Eye
改正次世代医療基盤法にみる
医療データの利活用を促進する制度整備
企業法務総合 情報法

鈴木謙輔

2023年5月,次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)の改正法が成立し,公布された。この改正により,従来の「匿名加工」医療情報に加えて,新たに「仮名加工」医療情報に係る制度が導入される。改正は公布から1年以内に施行される予定で,これに伴い,法律名も「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」に変更される。
改正法は,「健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出」の促進を図ることを理由に掲げている。医療データの利活用促進の観点から,新しい仮名加工医療情報の制度内容を考察する。

Lawの論点
デジタル・プラットフォームをめぐる新規制の動向
――EU,英国の立法とわが国の進むべき方向
競争法・独禁法 国際

土田和博

デジタル・プラットフォームの規制は,日本では独占禁止法の執行に依るより,いわゆる透明化法の自主規制+モニタリング・レビューが中心的位置を占めるが,透明化法は,施行後2年以上が経過して,その有効性と限界がみえてきた。デジタル市場の競争性や公正性を確保するうえで自主的な取組みを基本とする透明化法では対応が困難なものは,EUのデジタル市場法など国際的な立法動向を参照しつつ,日本も適切な法規制を検討する必要がある。

特集2
同一労働同一賃金
重要判例総まとめ
2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」において,第一の柱の「物価高騰・賃上げへの取組」として同一労働同一賃金の遵守の徹底が挙げられていることから,都道府県労働局長による是正指導が増えることが予想される。
そのため,各企業においても,いわゆる同一労働同一賃金の遵守状況を再度確認する必要があり,その確認にあたっては,これまでに下された裁判例や判決が参考になることから,本稿では,これまでの重要な裁判例や判決を取り上げて説明する。
労働法 争訟・紛争解決

同一労働同一賃金に関する現状
山浦美紀・山浦美卯

有期雇用労働者と無期雇用労働者とに係る均衡待遇を定めた改正前の労働契約法20条(以下「旧労働契約法20条」という)が平成25(2013)年4月1日に施行され,短時間労働者と通常の労働者とに係る均衡待遇を定めた改正前のパートタイム労働法8条(以下「旧パートタイム労働法8条」という)が平成27(2015)年4月1日に施行された後,短時間・有期雇用労働者と無期雇用労働者とに係る均衡待遇を定めたパートタイム・有期雇用労働法8条が令和2(2020)年4月1日(中小企業においては令和3(2021)年4月1日)に施行された。また,派遣労働者と派遣先の通常の労働者とに係る均衡待遇を定めた労働者派遣法30条の3第1項が令和2年4月1日に施行された。

労働法 争訟・紛争解決

旧労働契約法20条違反の効果等に関する裁判例・判例
山浦美紀・山浦美卯

旧労働契約法20条は,私法上の効力を有し,有期雇用労働契約のうち同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となるものの,同条の効力により当該有期雇用労働者の労働条件が比較の対象である無期雇用労働者の労働条件と同一のものとなるものではなく(補充的効力の否定),同条違反の効果としては,不法行為責任を負うに過ぎない(ハマキョウレックス事件・最二小判平30.6.1労判1179号20頁)。

労働法 争訟・紛争解決

7つの最高裁判例
山浦美紀・山浦美卯

ハマキョウレックス事件(大津地彦根支判平27.5.29労経速2292号26頁,大阪高判平27.7.31労判1135号59頁, 大津地彦根支判平27.9.16労判1135号59頁,大阪高判平28.7.26労判1143号5頁,最二小判平30.6.1労判1179号20頁,大阪高判平30.12.21労判1198号32頁)は,正社員に支給される無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当,家族手当が,契約社員には支給されておらず,また,通勤手当については,正社員は,距離に応じて支給されているにもかかわらず,契約社員には定額の支給であり,さらに,正社員には,定期昇給があり,賞与・退職金の支給も原則あったが,契約社員には,原則それらがなかったことから,当該相違が旧労働契約法20条に反するか否かが争われた事案であって,最高裁判所が旧労働契約法20条に関して初めて判断を行った事案である。

労働法 争訟・紛争解決

その他重要な判例・裁判例
山浦美紀・山浦美卯

7つの最高裁判例が出された前後も,同一労働同一賃金が争点となる重要な判例・裁判例が出されている。以降は,実務上問題となる点をクリアする際に参考となる重要な判例・裁判例について,解説する。

特別企画
法務はどう動く⁉
はじめての「税務紛争」対応
「税務」と聞くと,法務の管轄ではないと遠ざけてしまう方も少なくないでしょう。実際に,複雑な税務をマスターし,実務で使いこなすことは容易ではありません。
しかし,税務に関する紛争が発生した場合,法令の解釈が問題となったり,課税庁等に対して説得的な主張・立証をする必要が生じたりします。ここで本領を発揮するのが法務担当者であり,きたる税務紛争に備え,「税務にも強い○○さん」と言われるような人材になるための視点を提供します。
争訟・紛争解決 税務

かかわる前に押さえておくべき
税務紛争の要点と手続の流れ
川畑 大

「税務」は「法務」とは別分野であり経理部・財務部の仕事と思われる方は多いだろう。現に,税務紛争の始まりともいえる税務調査を担当する部署は,経理部や財務部であることがほとんどであり,また,不服申立てや税務訴訟の数も多いとはいえないため,法務部が「税務」に関わる機会は決して多くはない。しかし,税務調査から税務訴訟に至るまでの手続は,複数の段階に分かれており,専門的知識を必要とする特別な手続もあるため,事前に知っておかなければいざという時の対応が困難となる。以下においては,国税当局による処分を争う場合を中心に税務紛争に関する各手続の説明を行う。

争訟・紛争解決 税務

税務争訟解決に貢献する法務部員の役割
堀 招子

課税処分がなされることが予想される場合,企業としては,修正申告に応じるか,課税処分について争うことにして,不服申立てや税務訴訟を提起するかにつき検討・判断し,争うことにした場合は,その後の対応をしなければならない。本稿では,その際の,法務部における検討のポイントや,専門家等との連携等について解説する。

争訟・紛争解決 税務

取引類型別・当局が着目するポイント
小山 浩

法務部員が税務調査において調査官が着目するポイントを理解しておくことで,財務・経理部員と協力して税務調査に的確に対応することが可能となる。本稿では,調査官と議論になりやすいM&A取引,グループ内取引および国際取引を取り上げて解説したい。

争訟・紛争解決 税務

税法を知るために最初にみるべき判例5選
木山泰嗣

税法の対象は多岐にわたるが,国税の主要税目を中心に「最初にみるべき判例」を挙げるとすれば,①ホステス源泉徴収事件,②武富士事件,③節税マンション事件,④制限超過利息事件,⑤雑所得貸倒事件の5つになる。5選は,いずれも税法の重要論点を内在する。

実務解説
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の解説
労働法

野田 学・白石紘一

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」は,いわゆるフリーランスに業務を発注する場合に広く適用される可能性があり,実務に大きな影響を及ぼすと予想される。本法による規律の詳細は,今後,公正取引委員会規則,厚生労働省令,政令,ガイドライン等(以下,総称して「政省令等」という)によって具体化されるが,以下,現時点で判明している本法の内容等と実務への影響につき解説する。

金商法・資金決済法

「給与デジタル払い」導入に向けた実務プロセス
吉森大輔・谷崎研一

「給与デジタル払い」が解禁され,導入に向けた体制整備が進められている。今後,事業者においても,本格的に導入の可否を検討する段階に移行するものと想定される。本稿においては,事業者における検討の一助になることを目指し,導入を検討する際に考慮すべきポイントおよび必要となる導入手続について,整理していく。

企業法務総合

第211回通常国会で成立したビジネス関連法律
星 正彦

国際政治・外交ではG7広島サミットが話題となったが,第211回通常国会では,令和5年度予算のほか,新規の内閣提出法案60件(他に継続1件)が審議され59件(継続1件を含む)が成立,以下のようなビジネス実務に重要な影響を及ぼす法律も着実に成立した。

消費者関連法

適格消費者団体による説明・資料提供要請への対処法
玉置貴広

令和4年消費者契約法改正,令和5年景品表示法改正により,適格消費者団体が事業者に対して説明や資料提供を要請できる制度が新しく導入されるなど,適格消費者団体の活動を強化する法改正が重ねられている。本稿では,適格消費者団体から説明や資料提供の要請を受けた際の訴訟外における対応につき,架空事例を題材にして解説する。

競争法・独禁法 国際

米国FTCによる「競業避止義務条項」規制案と今後の展望
飯谷武士・伊藤祐太朗

本年1月,米国の連邦取引委員会(以下「FTC」という)は,競業避止義務条項を原則として禁止する規制を導入する方針を公表した。グローバルに展開する企業にとって,その概要を把握する必要性は高いと思われる。本稿では,FTCの今般の規制案の概要と今後に向けた留意点を紹介する。

連載
【新連載】
いまでも覚えています あの人の「法務格言」
第1回 「君は突破力があるからなぁ」
企業法務総合

櫻井 敦

「頭脳明晰」「冷静沈着」といった,法務パーソンの理想像からほど遠いこんな言葉を私が上司からかけられたのは,入社以来法務一筋でやってきた25年目の秋,初めての異動内示を受けたときのことでした。異動先は中国上海のグループ会社,ミッションは「法務部を立ち上げること」「エリアマネジメント機能を確立すること」。それは,私にとって,のちに続く悪戦苦闘の5年間の始まりの号砲でした。

企業法務総合

【新連載】
「周辺学」で差がつくM&A
第1回 連載の開始にあたって
山本晃久

企業がM&Aを実施するに際しては,プロジェクトチームを組成し,情報管理の観点から限られたメンバーで検討を進めることが一般的である。このプロジェクトチームには,経営企画,各事業部,経理,財務,人事,法務,情報システムなどさまざまな部署のメンバーが横断的に関与することになり,M&Aのうちそれぞれの職掌に関連する部分を担当することになる。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所編

企業法務総合

最新判例アンテナ
第63回 民事執行法197条1項2号に基づく財産開示手続の実施決定に対する執行抗告においては,請求債権の不存在または消滅を執行抗告の理由とすることはできないとされた事例(最決令4.10.6金判1665号8頁等)
三笘 裕・畑中弓佳

XとYは,婚姻し,子をもうけていたが,2016年12月,執行力のある債務名義である養育費支払等契約公正証書(以下「本件執行証書」という)によりYが支払義務を負う子の監護費用に関する合意をし,離婚した。

企業法務総合

裁判例から学ぶ 経営意思決定バイアス
最終回 津波対策を指示しなかった不作為と「集団浅慮」(東京地判令和4年7月13日 LEX/DB25593168)
青谷賢一郎・飯田 高

本連載では,経営意思決定バイアスを学ぶうえで格好の教材となる裁判例を紹介し,当該事例で問題となりそうな意思決定バイアスを中心に解説する。最終回は,津波対策を指示しなかった不作為と「集団浅慮(groupthink)」を取り上げる。

企業法務総合

キャリアアップのための法務リスキリング!
第2回 語学
下林のぞみ

今回のテーマは語学です。ロースクール留学は誰もが行けるものではありませんし,現在の仕事を離れて年単位の時間を費やすことに抵抗がある方もいるのではないでしょうか。そこで,それ以外の方法による語学のリスキリング方法を考えてみたいと思います。語学力についてのコンプレックスを常にかかえてきた筆者だからこそお伝えできることがあると考えています。(以下は主に英語を想定した内容となっていますが,その他の言語にも通じると思います)

競争法・独禁法 知財

ファッションローへの誘い
第2回 素材や着用感は保護されるのか
西村雅子

ファッション製品の質感は,布地や皮革地といった素材により左右され,消費者の着用感や使用感に大きく影響する。素材感や着用感というのは,消費者にとって衣服選択の重要ポイントであるが,これらの点がネット通販やバーチャル試着においては確認しづらいことがネックとなり,実物の素材ではイメージが違う,着心地が悪い(重い,窮屈,など)といった返品理由となる。今回は,ファッション製品の商品選択の重要ポイントとなる素材や着用感については保護されるのか,日本のファッションローの観点から考えてみたい。

労働法 争訟・紛争解決

ストーリーでわかる 労働審判の基本
第5回 第1回期日①
福谷賢典・山下 諒

乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,2023年4月,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。乙社東京本社人事部では,顧問弁護士のYに代理人を委嘱し,福岡事業所で甲が所属していた部署のA1課長,A2主任や,同事業所総務グループのBマネージャーらから事情聴取のうえ,答弁書等を作成,提出した。そして,2023年6月15日,第1回期日を迎えた。

企業法務総合

怒れる弁護士「アンガーマネジメント」を学ぶ。
第6回 パワハラ防止に生かすアンガーマネジメント
宮山春城

同期の弁護士が経営する法律事務所から新人弁護士が短期間で退所しました。これでもう立て続けに3人目です。彼自身もどうやら気付いているようですが,事務所内でのパワハラが原因のようです。労働問題を扱う弁護士やコンプライアンスを任される法務部員であっても,パワハラ行為に及んでしまうことは少なくありません。

企業法務総合

Introduction 宇宙ビジネス
第2回 月開発ビジネスとルール
――人類は再び月を目指す(前編)
大島日向・本間由美子・山崎臨在

現在,世界中で宇宙ビジネスがかつてないほどに熱気を帯びているが,その中でも月開発は最も注目されている分野の1つである。

【仮想事例1】
日本の民間企業A社は,月資源の探査を企図して独自のランダー(着陸船)とローバー(探査車)を開発している。このミッションでは,月面の堆積砂礫「レゴリス」,岩石,水等を採取することが計画されている。さらに,月に存在する可能性がある微生物や植物等の生物資源の発見と獲得を計画している。そしてこれらの資源を第三者に販売する等の形で商用活用することも見込んでいる。

【仮想事例2】
A社は,宇宙旅行時代到来を見込んで,月に遊園地を作るという壮大な事業構想を発表した。A社の計画にはどのような法的論点があるだろうか?

会社法

IPO準備における会社法の基礎
第5回 取締役会の適切な運営⑶
青野雅朗

本連載は,上場準備において比較的論点になりやすいトピックという切り口から,全6回の予定で,会社法の基礎を振り返るものである。取締役会は株式会社の要となる機関であり,その運営に関する論点も多岐にわたることから,第5回も前回に引き続き,取締役会の運営に関する論点について取り上げる。

企業法務総合 テクノロジー・AI

マンガで学ぼう!! 法務のきほん
第20話 生成AIと法律
淵邊善彦・木村容子

生成AIのプロンプトに入力するデータに個人情報が含まれる場合,データの送信や処理は個人情報の利用にあたり,個人情報保護法の規制を受けます。そのため,生成AIに質問して回答を得ることが,個人情報の取得時に特定された利用目的の範囲内であり,本人に対して通知等されている必要があります。

国際 争訟・紛争解決

アメリカ民事訴訟実務の基礎と留意点
第4回 Eディスカバリーの基本
奈良房永・笠継正勲

ディスカバリーにおける文書等提出請求の対象となる情報は,以前は大部分が紙媒体の情報であったが,IT化に伴い電子情報の開示が必要不可欠となり,Eディスカバリーの重要性が飛躍的に増大している。ディスカバリーの基本ルールは変わらないが,電子情報が開示対象になることにより訴訟実務は劇的に変化している。日本企業としては,米国での実務の動向をふまえ,Eディスカバリーの制度を的確に理解し効率的な体制を構築すべきである。

企業法務総合

考える法務――基本と初心とささやかな試み
第3回 委任状
大島 忠尚

「基本と初心とささやかな試み」これがこの連載の副題です。法務に携わるみなさんであれば,日常的に目にし,特に疑問もなく処理しているような普通の素材・題材を「基本」「初心」に立ち戻って考えるための「ささやかな試み」です。これまで「会社を代表する者」「三審制」という基本的な題材をもとにみなさんと考えてきました。今回も,法務に携わるみなさんであればなじみが深い「委任状」を素材に,いくつかの問題を考えてみたいと思います。具体的には捨印,「その他一切の事項」という文言,バックデートという3つのテーマを用意しています。いずれも難しい法理論の問題ではありませんが,考え始めるとよくわからなくなる問題ばかりです。他の記事のように最新の法律問題について情報を提供するわけではありませんが,よろしければ今回もお付き合いください。

テクノロジー・AI

Web3とコンテンツ産業の最新法務
第3回 スポーツ産業におけるWeb3活用事例と法規制
平尾 覚・下田顕寛・稲垣弘則・堤 直久

前回は,コンテンツ産業において暗号資産やNFTなどのトークンを活用する際に留意すべき各種法規制の概要を解説した。本稿では,コンテンツ産業の各論として,スポーツ分野におけるWeb3の活用事例(NBA Top Shot,Sorare,スポーツトークン)と法的論点について概説する。

特別収録
ビジネス実務法務検定試験 3級演習問題
企業法務総合