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秘密保持契約の心得 鮫島正洋
秘密保持契約(NDA)はあらゆるビジネス取引の出発点となる契約である。NDAを適時に締結し,しっかりとした情報管理を行うことが,ビジネスを成功に導くうえでの要諦であるといっても過言ではない。 本特集ではさまざまな角度からNDAやそれにまつわる関連法制,情報管理のあり方について論じるが,まず本稿においては,後の先生方によって解説される契約条項ノウハウに深く立ち入らない範囲で,NDAを締結するうえでの基本となる考え方について述べることとする。
NDA交渉における悩みどころと具体的対応 酒井智也
本稿では,秘密保持契約(NDA)における契約交渉の基本的な考え方を整理し,交渉の前提として事業部門といかなるコミュニケーションをとるか,実際の交渉の落としどころをどこに見つけていくか等,実務上の悩ましいポイントについてまとめる。なお,秘密保持契約書上,よく論点となりうる秘密情報の範囲等については,さまざまな文献で解説されているところ,これらの解説は本稿では割愛する。
秘密情報授受のリスクについての考えや,締結した秘密保持契約(NDA)の管理を実際に行っているかどうかは,法務部や知財部を擁する企業であってもまちまちである。NDA締結後の管理を実践している企業は,契約管理に多大な人的物的コストがかかることを熟知しており1,自社・他社秘密情報の管理の対象を絞ろうとするし,無用なNDAを締結しないことも意識する。特に契約前の評価期間においては,自社が売り込む側であっても,調達する側であっても,秘密情報の授受やNDAの締結を禁止している日本企業も最近では珍しくなくなった。これは,NDAを取引前の挨拶状のように捉えて締結を求め,締結後の契約管理を行っていない企業とは対照的である。 本稿では,前者の視点で,自社秘密情報の漏えいや目的外利用,他社秘密情報の自社秘密情報への混入(コンタミネーション)を防止するための条項のポイントと規定例を検討する。
英米法の理解をベースとした英文NDAの考え方・作り方 飯島 歩
「英文契約書」の語は,単に「英文で書かれた契約書」との意味を超えて,「英語圏の法制度や文化を背景に作成された契約書」といった意味をもつことが多い。また,英文契約書は,多くの場合海外企業との国際契約に用いられる。そのため,英文NDAのドラフティングにおいては,英文契約書の背景にある英米法の文化を理解し,国際契約に特有の留意点を理解しておくことが重要である。
ふだん,NDAについては,かなり前に作成された自社のひな形や前例を使い回していたりすることなどが少なくないだろう。そのため,NDA作成については,「お決まりのルーティーン」でしかないものと捉えられているかもしれない。しかしながら,そのような自社のひな形なり前例なりが,特に営業秘密防衛の観点から本当に実効性のあるものになっているのか,本稿を通じてあらためて確認されたい。
営業秘密漏えいの典型的類型と初動対応 森本大介
近時,営業秘密の漏えい事案は増加の一途をたどっているところ,企業にとって営業秘密の漏えいは一大事であり,その対応は場合によっては企業の命運を分けるといっても過言ではない。そして,営業秘密漏えい事案においては,初動対応がきわめて重要であるが,漏えいが発覚した後に対応を検討するのでは遅く,万が一営業秘密が漏えいした場合における初動対応のフローをあらかじめ整理しておくことが重要である。そこで,本稿では,営業秘密漏えいの典型的類型と初動対応につき,概観する。
営業秘密漏えい確認後の実務対応 森本大介
「営業秘密漏えいの典型的類型と初動対応」では,営業秘密漏えい時の初動対応および社内調査の進め方について検討したが,営業秘密漏えい事案では,漏えい者や営業秘密の取得者に対するアクションを含めさまざまな対外対応を行う必要がある。もっとも,営業秘密漏えい事案においては,証拠収集が必ずしも容易ではなく,訴訟提起をする場合にもさまざまな論点があるため,転ばぬ先の杖として,営業秘密の漏えいがあった場合の対応方法について理解しておくことが重要である。そこで,本稿では,営業秘密の漏えいが確認された後の実務対応につき,概観する。
事業部と進めるNDA関連業務の効率化 古澤弘二
秘密保持契約(NDA)は,多くの企業において,各種取引の初期検討段階から締結される契約であるため,法務部員の契約審査業務の対象としても多くを占める傾向にある。一方で,法務部員の人手不足や高付加価値業務への工数シフトのために,NDAの審査業務の効率化を課題としている企業も少なくないと聞き及んでおり,当社も同様の課題を抱えている。本稿では,その解決のために当社が進めている取組みを紹介する。
2023年サーベイ結果から解き明かす
「指名ガバナンスと取締役会の現在と未来」
久保克行・内ヶ﨑茂・見城大輔・早坂勇祐
サステナビリティ経営に貢献する,指名ガバナンスと取締役会の構築に向けた取組みが始まる。本稿では,2023年指名・報酬ガバナンスサーベイから日本企業の指名ガバナンスと取締役会の実態とあるべき姿を分析する。
LEGAL HEADLINES 森・濱田松本法律事務所編
1月16日,金融庁は,「金融・資産運用特区」における具体的な施策を検討する観点から,地方公共団体から国に対する提案・要望の募集を開始した。
考える法務――基本と初心とささやかな試み
最終回 法務は伝え方が9割
大島忠尚
第1回は「株式会社を代表する者」(2023年6月号) 第2回が「次は勝つ」(同年8月号) 第3回「委任状」(同年10月号) 第4回「公務員」(同年12月号) 第5回「しない約束」(2024年2月号) いずれもビジネス法務では,あまりみたことがないタイトルと題材だったと思いますが,みなさんに「考える場」を提供できたものと自負しています。ここまでお付き合いいただいたみなさんに感謝しつつ,最終回を始めさせていただきます。今回はレクチャー風です。
ライアン・ゴールドスティンの"勝てる"交渉術
第2回 徳を積みながら得をしよう
ライアン・ゴールドスティン
令和6年大相撲初場所。琴ノ若,横綱照ノ富士はともに13勝2敗を挙げ,賜杯のゆくえは優勝決定戦へと持ち込まれた。残念ながら優勝は逃したものの,大健闘して多くのファンを魅了した琴ノ若関。父である元関脇琴ノ若を超え,大関に昇進し,祖父である横綱琴櫻に迫る大活躍をみせたにもかかわらず,彼は数百人にも及ぶファンが集う佐渡ヶ嶽部屋の千秋楽パーティで,開口一番「大変申し訳ありません」と謝罪した。 初めて日本に留学した時から私は相撲が大好きだ。自らの肉体を鍛え上げ,気と技と力で勝負に挑む姿勢や勝利のインタビューには決まって「自分の相撲をとれた」ことが勝因であると答えるのが好きなのだ。実は,この姿勢は訴訟や交渉において非常に重要なのである。 今回は日常に潜む「勝負」にまつわる「あるある」を共有しながら,交渉時における心構えについて考える。
悔しさを糧に――学べば開ける☆
第2話 ギプスの右腕と二刀流
木山泰嗣
ゼミ生に「先生って左利きだったんですね」といわれることがあります。話は,1985年に遡ります。掃除をさぼったことがバレて,原稿用紙に書いた反省文みたいなものを,クラスのみんなのまえで読んだことがあります。
いまでも覚えています あの人の「法務格言」
第8回 「人に負けない,コアになる分野を持て」
原口 亮
この言葉を初めて聞いたのは,今の会社に転職して1年強が経過したころに着任された部長からでした。当時は私もまだ社会人5,6年目で若手時代がそろそろ終わり,中堅に差しかかろうかという時分でした(余談ですが,私は風貌からか当時からベテランと勘違いされることが多かったです)。
Introduction 宇宙ビジネス
第8回 宇宙旅行ビジネスに関する法規制
――日本における現状とその法的整理(前編)
松宮 慎・稲垣 航
2021年7月に,米国のヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)社およびブルーオリジン(Blue Origin)社による有人宇宙旅行が成功したことは,読者の記憶に新しいことだろう。同年には日本人実業家がわが国の民間人としては初めて,国際宇宙ステーションに滞在した。人々がこれまで飛行機に乗って海外旅行を楽しんでいたように,誰もがお金を支払いさえすれば宇宙旅行を体験できる時代が,民間企業による宇宙旅行サービスの提供により,すぐそこまでやって来ている。
ウクライナで事業を始めよう! ウリバチョバ・イリーナ・ホロブコブ・セルヒー・芦原一郎
日本は,ウクライナ支援で,その豊富な復興の経験から復興支援を中心に重要な役割が期待されている。ウクライナ政府も,EU加入に向けた市場ルール・規制環境の整備や電子公共サービスの導入など,先進の制度を積極的に導入し,外国投資の拡大を促進する条件整備を進めている。 読者には,ぜひウクライナでビジネスを進めてほしいが,まずは,この特集がウクライナでのビジネス環境の概要の理解に役立つことを祈念する。 【章構成】 ・投資環境と投資政策 ・税制と紛争解決制度の概観 ・法人事業(Корпоративний бізнес) ・個人事業・就労
急激な変革の時代に,ビジネス法務を「学」として確立させて,後追いになる法律を待たず,当事者の創意工夫を新しい「契約」によってつないで,課題に対処する。そこにはCSR,SDGsなどが必須の考慮要素として組み込まれる。筆者のその「ビジネス法務学」を実践する一例として,2024年問題に揺れる物流の世界を展望し,新視点を提示する。
「中小M&Aガイドライン」改訂の要点と実務上のポイント 髙井章光
現在,中小企業の経営者の高齢化が進み,中小企業が経営を維持するためには,その後継者候補者に対して円滑に経営権を承継できるかが大きな課題となっている。これは15年ほど前から中小企業最大の問題といわれてきた,いわゆる「事業承継問題」であるが,数多くの中小企業が跡取り不在となっている状況を打開する策として,M&Aによって事業を第三者に承継させる方法を検討している。
【新連載】
ライアン・ゴールドスティンの"勝てる"交渉術
第1回 「交渉力」や「勝利」の概念を多角的に捉えられるスキルセット
ライアン・ゴールドスティン
2007年11月に東京オフィスを開設し17年が過ぎた。開設が決まった時は大好きな日本で仕事ができることがうれしくてたまらなかった。なぜなら弁護士として法廷に立つことも大事だが,クライアントと顔を合わせやすい環境をつくり,ともに戦略を練ることも,訴訟で「勝つ」ためには非常に重要だからである。 日本企業が契約交渉術を磨き,米国企業の法務部門と対等に渡り合えるよう,私は人生をかけて日本企業の代理を務めている。 本連載では,日本企業の代理を務める米国弁護士としての経験を通じて獲得した「交渉術」を提供する。多くの日本企業がグローバル社会で活躍するための「交渉力」醸成の一助となるよう,経験をもとに硬軟織り交ぜて展開していきたい。初回は日本企業と米国訴訟の実際をふまえて「交渉力」の必要性を訴えてみたい。
【新連載】
悔しさを糧に――学べば開ける☆
第1話 パスタのゆでかげん
木山泰嗣
弁護士としての実働から通算して20年を超えた税法学者が,税務の仕事に限らず,学生・受験生のころに経験したエピソードを挙げ,自分の思うようにいかない現状(=悔しさ)を糧に,どのように学び,どんな活路を開いてきたのかを語ります。
LEGAL HEADLINES 森・濱田松本法律事務所編
2023年12月・2024年1月の法務ニュースを掲載。 ■金融庁,四半期報告書廃止に伴う政令・内閣府令改正案を公表(金商法) ■経済産業省・総務省,「AI事業者ガイドライン案」を公表(IT) ■公取委,「実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムの整備・運用のためのガイド」を公表(独禁) ■金融審議会,「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」報告を公表(金商法) ■公取委,「独占禁止法上の『優越的地位の濫用』に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果について」を公表(独禁) ■東証,「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表を公表(ガバナンス) ■政府,セキュリティ・クリアランス法案の提出に向けた最終とりまとめ案を公表(経済安保) ■文化庁,「AIと著作権に関する考え方について(素案)」を公表・パブコメ開始(知財)ほか
いまでも覚えています あの人の「法務格言」
第7回 「君の考えを聞いているんじゃない」
日比野光敬
「君の考えを聞いているんじゃない」。管理職になる前の30代前半,企業法務の仕事がおもしろくなってきたときに,法務課長から言われた一言が,いまだに忘れられません。自分なりの考えをもって仕事に臨むことが大切だと思っていたこととのギャップがあったからなのかもしれません。
Introduction 宇宙ビジネス
第7回 衛星ビジネスとルール
――私たちの生活を支える人工衛星(後編)
渡邉宙志・野村遥祐・堀口雅則
前回は,人工衛星を利用したビジネスのうち,主に観測衛星を利用したビジネスについて紹介した。今回は,近い将来に実用化の段階に入っていくと想定される,宇宙空間で提供される「軌道上サービス」について紹介する。
「周辺学」で差がつくM&A
第6回 財務・会計
─のれんとM&Aの失敗編─
山本晃久・山中啓一郎・齊藤 真
法務担当者が理解すべき財務・会計のトピックとして,今回は「のれんとM&Aの失敗」を取り扱う。のれんは主に他社を買収する際に発生する勘定科目であり,用語は知っているが正確に理解していないという方も多いのではないだろうか。そこで,今回はのれんの計上,償却,減損の会計処理について概要を整理したうえで,のれんの減損を含むM&Aの失敗の局面における取締役の責任について解説する。
法務部員はなぜ自社事業を把握すべきか 少德彩子
このお題をいただいたとき,あまりに当たり前すぎて,改めて考えたことがなかったことに気がついた。「法務部員」という限り,企業の法務部の一員であることが想定されるが,企業の究極の目的は,自社事業の健全かつ持続可能な成長による企業価値向上であり,法務部員もその企業の一員であるからには,その目的の実現のために貢献することが当然期待される。その意味においては,そもそも自社事業を理解せずどう貢献することが可能なのだろうか。
2024年株主総会と未来志向 本村 健
株主総会は,当該会社の課題が問われるだけでなく世相も反映する。適法に決議を得ることが第一であり,社会的要請および課題にも的確に対処していく必要がある。一方,ポストコロナ時代を見据え,総会のデジタル化をいっそう推し進める意欲は各社各様であり,総会担当者の未来志向と力量が問われている。2024年総会も,未来の総会に向け実務を見直し,理論が発展する契機としていきたい。
電子提供制度開始2年目の対応 林 良樹
株主総会資料の電子提供制度が開始された2023年総会では,株主宛送付物を中心に保守的な対応をする会社が多くみられたが,2年目となる2024年総会ではアクセス通知のみ,サマリー版の採用社数の増加が見込まれており,サマリー版の採用社数の増加など,より制度趣旨に沿った対応が予想される。本稿では2023年の対応を振り返りつつ,2年目となる2024年総会に向けて各社が取り組むことが考えられる事項について検討する。
アクティビスト対応 川東憲治
かつては「ハゲタカ」「黒船」といったネガティブ(?)なネーミングがなされていたアクティビストだが,昨今は数多くの上場会社がターゲットとなり,その要求事項や行動様式も洗練されつつある。上場会社側もいわゆる「尊王攘夷」的なエキセントリックな対応は減りつつある。両者の攻防をどのように評価,規律するかは株式会社制度や,本邦の資本市場の今後にも影響する。本稿では上場会社側で,きたる株主総会に向けて,アクティビストにどう対処すべきかを検討確認する。
総会シーズンに向けた上場制度の動向整理
――PBR改善,英文開示,女性役員の選任,少数株主保護
水越恭平
2024年の定時株主総会シーズンに向けて,各上場会社においては,国内外の投資家の期待をふまえ,東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を受けた対応をはじめ,英文開示の促進,女性役員比率に係る数値目標の設定のほか,上場子会社・上場関連会社を有する上場会社における開示拡充の要請等への対応が望まれる。
株主総会をめぐるデジタル活用の現状と意義 白岩直樹
株主総会をめぐるデジタル活用の場面はいくつか想定されるが,ここでは,特に株主とのコミュニケーションが生じる場面に関して,各種対応の現状と意義についてみていくこととする。今後の検討・対応の参考とされたい。
生成AIがもたらす株主総会実務への影響 生方紀裕
ChatGPTに代表される生成AIは,さまざまなビジネスシーンでの活用が模索され,企業活動のあり方に大きな影響を与えることが見込まれている。定時株主総会対応は,これまでは機械化・自動化が必ずしも活発ではない分野であり,定時株主総会シーズンになると上場会社の総会担当者らには多大な負荷が生じている。そこで,本稿では,生成AIが株主総会実務に与える影響について,法的な観点も交えて紹介する。
半導体をめぐる主要国の規制と産業支援の最新動向 宮岡邦生・工藤恭平
半導体の技術覇権をめぐり,主要国でさまざまな施策が打ち出されている。米国では,人工知能(AI)の開発等にも使われる先端半導体分野を中心に,輸出管理等のツールを駆使して広汎な対中規制が実施されており,日本やオランダでも追随する動きがみられる。一方,補助金等の産業支援や工場誘致の動きも活発化している。本稿では,半導体をめぐる主要国の動向を,規制(ムチ)と産業支援(アメ)の両面から概観する。
経済制裁コンプライアンスの高度化
――地政学リスクの高まりをふまえて
高橋大祐
ロシアのウクライナ侵攻,米中の対立,世界各地で生じる紛争などの地政学リスクの高まりをふまえて,経済制裁に関する規制環境が変容しており,あらゆる日本企業において経済制裁対策の強化が求められている。本論稿では,米国OFAC 規制など経済制裁規制の域外適用リスクやこれに対応するための経済制裁DD などのコンプライアンスのポイントを紹介したうえで,近時の情勢をふまえたコンプライアンスの高度化のあり方を解説する。日本企業が各国規制の間で板挟みになるなかで最適解を模索する一環としての「制裁遵守条項」の活用,経済安全保障リスク管理の観点からの他分野との統合的対応,人権と制裁の交錯において求められる複眼的な思考・対応についても議論する。
株式会社JERAは,株主2社のジョイント・ベンチャーの非上場会社であるが,任意に社外役員の独立性判断基準を制定のうえ,独立社外取締役4名を指定し,公表した。非上場会社においては稀な取組みに至った経緯およびその背景に迫る。
LEGAL HEADLINES 森・濱田松本法律事務所編
11月7日,内閣官房に設置されているGX実行会議の第8回会合にて「クライメート・トランジション・ボンド・フレームワーク」が公表された。
基礎からわかる海事・物流の法務
最終回 傭船契約概論
大口裕司
連載最終回は,船の全部または一部を貸し切って利用する契約,つまり傭船契約を解説する。強力な法務部を有する大手メーカーや商社でも,傭船契約の理解が不十分なことが多いため,まずは本稿で基本をおさえてほしい。
2016年7月,Xは破産手続開始の決定を受け,弁護士が破産管財人(以下「本件破産管財人」という)に選任された。Yは,Xが所有する複数の不動産につき根抵当権(以下「本件各根抵当権」という)の設定を受けており,本件各根抵当権の被担保債権は,YのXに対する複数の貸付に係る債権である。
いまでも覚えています あの人の「法務格言」
第6回 "No pain, no gain"
桑原俊弘
"No pain, no gain",この言葉は,私がアメリカのロースクールに留学していた際,ロースクールの教授が授業でよく口にしていた言葉でした。アメリカのロースクールは,ソクラテス・メソッドと呼ばれる形式で授業が行われます。ソクラテス・メソッドでは,学生は授業前に指定された判例を読み込み,授業では,教授がランダムに学生を指名し,質問し,即答を求めます。教授は,学生の回答に解説ではなく,"Tell me why?"と質問を繰り返し,時には学生が何も言えなくなるまで質問を繰り返します。そのような厳しい授業で,教授が学生を質問攻めから解放する際によく口にしていた言葉が"No pain, no gain"でした。
「周辺学」で差がつくM&A
第5回 財務・会計─財務DD編─
山本晃久・渡邉貴久・齊藤 真
前回までの連載のなかでも言及されていたように,M&Aを検討するにあたって財務・会計に関する知見は必要不可欠である。今回および次回では,財務・会計のうち法務担当者が特に理解しておくべきものとして,財務DD(今回),のれんと減損(次回)について取り扱う。
Introduction 宇宙ビジネス
第6回 衛星ビジネスとルール
――私たちの生活を支える人工衛星(前編)
野村遥祐・渡邉宙志・堀口雅則
衛星を使ったビジネスは,われわれの生活に身近な通信・放送等のサービスを提供するものから,衛星の燃料補給,デブリ除去等を行う軌道上サービスと呼ばれるものまで,多岐にわたる。そのため,ルール・法的論点も多岐にわたるが,衛星/軌道上ビジネスへの導入として,今回から前後編2回にわたり仮想事例を用いてその一部を紹介する。
業務提携契約の類型と留意点 重冨貴光
業務提携の主な目的は,他者の人的・物的リソースを活用して自らのリソース不足を補い,自らの事業を構築・維持・拡大することにある。業務提携には「販売」「開発」「生産」の各提携がある。いずれの提携においても,①業務提携によって活用すべき他者の業務・役割および人的・物的リソースの特定,②他者との業務提携を行うに値するか否かの評価作業,③業務提携先以外の他者との提携可能性の見極め,④業務提携契約終了時における事業遂行の安定性確保には留意すべきである。
販売提携(販売店契約・代理店契約・フランチャイズ契約) 岡田さなゑ
自社製品について第三者と販売提携を検討するにあたっては,当該第三者に付与すべき権利や義務の内容を吟味し,それに合致した契約形態を選択しつつ,独占権等の大きな権利を付与する場合には義務も相応に重くするなど,バランスのとれた契約とすることが重要である。
技術提携・共同開発提携 古庄俊哉
複数の企業が提携して共同で製品の開発等を行う技術提携・共同開発提携においては,共同開発テーマに関して各当事者が担う役割,費用負担,進捗状況の報告,得られた成果の帰属・利用,開発中止時の措置等の契約条件を適切に定めておくことが重要である。
生産提携(OEM・ODM) 石津真二
ある企業が別の企業に製造を委託する生産提携(OEM・ODM)においては,委託業務の内容,再委託の可否,最低発注保証,検査(検収),契約不適合責任,製造物責任,知的財産権の帰属・紛争対処,秘密保持義務等の各契約条件を適切に定めておくことが重要である。
国際業務提携契約を締結する場合の留意点 岸本 愛
岡田稿ないし石津稿の解説で指摘した業務提携契約のパターン別留意点は,海外企業との業務提携契約でも基本的には該当する。ただ,海外企業との業務提携契約の場合,相手が海外企業であるがゆえに,別途考慮が必要となる問題がある。本稿ではそれら留意点について解説する。
事業部との連携と工夫の勘所 松本健男
業務提携の交渉をスムーズに進め,遺漏のない契約書を作成するためには,事業部との連携が不可欠である。法務部に所属する読者に向けて,事業部との連携のためにどのような工夫をすればよいか,各段階においてどのようなサポートをすることが適切かについて解説する。
知的財産法・景表法上の要点 北島東吾
スポンサーシップに関係する多種多様な関連法令のうち,実務上,目にすることの多い著作権法,商標法および景表法を中心に,スポンサーシップを行ううえでの留意点について解説する。