雑誌詳細

business202302.jpg

2023年2月号

2022年12月21日発売号   1,800 円(税込)

特集1

Legal BOOK 2023
――実務家による法務選書

特集2

「システム開発法務」基礎から最新論点まで

特集3

法務が押さえておきたい
最新企業情報開示の改正点と実務対応

特集1
Legal BOOK 2023
――実務家による法務選書
法務の最前線に立つ弁護士・法務部員の方々は,どのような本に支えられてきたのでしょうか。とりわけ若手の法務の方々は,「どの本を参考にして勉強すればよいかわからない」といった悩みに直面することも多いと思います。そこで,若手法務部員・若手弁護士の方々に向けて,"法務業務の指針となる"良書をご推薦いただきました。選定書籍の分野もさまざまであり,読者の皆さまに新しい出会いがありますよう想いが込められています。
企業法務総合

弁護士Choice
若手法務部員・弁護士のファーストステップ
井深 大

法務部に所属する方々や若手弁護士を対象に,私が参考とする書籍を4冊紹介する。これらの中には定番と評されるものもあるが,今回は他の若手弁護士が読んだことがないと予想される書籍についてもあえて選択してみた。

企業法務総合

仕事の流儀を知る
大川 治

筆者の所属する事務所に新人弁護士が加わったとき,推奨している本がある。折に触れ,筆者自身が参照する本もある。これらの本は,「仕事のやり方」に関する本と,「仕事の中身」に関する本に分かれている。そうした中から,おすすめの本をご紹介したい。企業法務部門と法律事務所とでは目の付けどころが違うと思うし,若手向けということでやや極端な選択となっているところもあるが,少しでも参考になれば幸甚である。

企業法務総合

契約業務の必携書
菅野邑斗

(若手)法務部員・弁護士が,契約書の作成・レビュー業務を効率よく対応するにあたっては,適宜,書籍の力を借りることが重要になってくるが,他方で巷には多くの書籍が市販されており,どれを手に取ればよいか大変悩ましい。そこで,本稿においては,若手弁護士の筆者が日頃の業務でよく参照する書籍について,紙幅の都合上,ごく一部のみ紹介する。

労働法

労働法分野で迷ったらこの1冊
小鍛冶広道

企業法務パーソンとしての労働法務に携わるうえで「必携」といえる書籍はいくつか存在するところであるが,これら「必携」書籍を紹介するだけではつまらない。そこで本稿では,こうした「必携」書籍についてはざっと紹介するにとどめ,「労働法分野で迷ったらこの1冊」を紹介する。

企業法務総合

多面的・実践的な法務スキルを養う
飛松純一

若手法務部員の方にとっては,細かい条文知識やマニアックな法的論点に通暁するよりも,具体的な事案に接した際,分野横断的に論点を漏れなく拾い上げ,効率的な問題解決の道すじを立てられる能力・センスを身につけることのほうがよほど重要である。また,定型的な相談や契約書レビューについては外部の法律事務所に頼らずに迅速に対応できる足腰を鍛えることも大切であろう。このような観点から,有益と思われる書籍を3冊ピックアップした。

競争法・独禁法

独占禁止法の精髄
長澤哲也

特有の体系を有し「経済の基本法」とも呼ばれる独占禁止法(以下「独禁法」という)については,「つまみ食い」的なリサーチでは歯が立たず,まずは基本的な考え方を理解することが重要となる。そのうえで,実務家向けの言葉で書かれた解説書や,基本体系に沿って情報が網羅的に整理された書籍が求められる。

企業法務総合

実務家が書いたM&A・ガバナンスの良書
邉 英基

M&A関連の書籍を3冊,ガバナンス関連の書籍を1冊選定している。いずれも実務家が書いた文献であり,若手の方々でも読みやすく,かつ,実務に出てすぐに役立つノウハウが詰まっている。若手のうちは,わからないことを一つずつ丁寧に確認し理解していくという作業がどうしても必要になるが,そのような実務上の知識の土台作りに活用いただきたい。

会社法 ファイナンス

これは押さえよ!会社法・金商法の必携書
三浦亮太

企業の実務担当者と若手弁護士におすすめしたい書籍として,会社法に関しては筆者が必ず読む基本書と実務書を,金融商品取引法に関しては入門書を紹介する。

企業法務総合

法務部員Choice
法的三段論法の「足腰」を鍛えなおす
青谷賢一郎

企業法務の現場では,法令や社内規程,契約条項などのルール(以下,まとめて「法ルール」という)を目の前の「事実関係」にあてはめて何らかの結論を出す,という法的三段論法が繰り返される。本稿では,法的三段論法のいわば「足腰」を鍛えなおすべく,「法ルール」と「事実関係」について,これまで以上に広く,深く,骨太に捉えていく一助となるような書籍を紹介する。

企業法務総合

法的知識・スキル習得への近道
飯田浩隆

契約書審査や法律相談では,法律上の論点を特定してその答えを導き出すことが必要になる。また,取引のトラブル事例やその法的な考え方についての知識が有益である。そのような観点から,若手法務部員におすすめしたい書籍を3冊紹介する。なお,文中意見にわたる部分は,筆者の個人的見解である。

企業法務総合

法務初心者の第一歩
飯田裕子

本稿では,筆者自身がはじめて法務職に着き,ベンチャーの一人法務として約2年奮闘してきたなかで,今振り返って「最初に読んでおきたかった」と思う5冊を紹介する。法曹資格者の方からすると「知っていて当然」と思える知識でも,初心者法務にとっては未知の世界となるため,法律知識がない状態で法務職になった方に向けて,まずは最低限の知識を身につけるための入門書として,参考にしていただきたい。

企業法務総合

SDGs・コンプライアンスに当事者意識を持つための4選
小林 貴

「テクノロジーと倫理」「ビジネスと人権」「ジェンダー平等」「コンプライアンス」という4つのテーマについて,若手法務・コンプライアンス担当者が「自分ごと」として考え,自社での法務・コンプライアンス業務を通じてより良い社会を目指すきっかけとなり得る書籍を紹介する。

企業法務総合

他分野からヒントを得るための必読書
林 大介

会社の法務担当者として成果をあげるためには,法律の専門知識や法的思考力に加えて,経営学,心理学,ファイナンスといったビジネスに関連する他分野の知見が役に立つ。主に若手法務部員の方々を念頭に,「仕事のためになり,面白い」という観点で選んだ4冊を推薦する。

企業法務総合

契約業務・M&Aでまず読むべき書籍
山本英龍

法務解説書のうち,契約書やコーポレート関連の分野は特に書籍数の多い分野である。企業法務で契約書やM&Aを日常的に対応している筆者が,初学者の方が取り組みやすい書籍を3冊紹介する。

地平線
「心理的安全性」確保の必要性
――認知資産の多様性を活かすための法務
企業法務総合

稲谷龍彦

近時,さまざまな場面で「心理的安全性」という語を目にする機会が増えている。心理的安全性とは,「あらゆる人が自分の意見を率直に述べ,自分らしくいられる文化」のことを指す。

Trend Eye
生成AIの衝撃と責任あるガバナンス
テクノロジー・AI

水野 祐

2022年に入って,「DALL・E2」「Midjourney」などの簡易な指示・テキスト(プロンプト)から印象的な画像を生成する画像生成AIが次々と公開された。そのなかで同年8月に公開された「Stable Diffusion」の登場は,機械学習アプローチのAIが次のフェーズに入ったことを確信させるに十分だった。

特集2
「システム開発法務」基礎から最新論点まで
システム開発をめぐるトラブルは近年多様化しており,紛争化したときの損害賠償額は莫大なものとなり得ます。他方で,直接の関わりがない法務部員にとっては,この分野はとっつきにくいと感じられるかもしれません。 そこで,本特集ではITの基礎知識・業界の動向を整理するとともに,契約上の法的対処,さらにはAI開発まで視点を広げ,IT法務のリテラシーを高めることを目的としています。
企業法務総合 民法・PL法等

判例六法風 IT関連ワード解説
河瀬 季

法務としてシステム開発関連のビジネスに携わる者には,システム開発分野の専門用語に関して,その言葉がいかなる意味で法的問題に結びつく,少なくとも結びつく可能性がある言葉なのかを把握する能力が必要不可欠である。本稿では,システム開発に関連する法的リスクの「勘所」に関する,ある種の「嗅覚」を高めるため,システム開発の現場で登場する用語と,その法的位置づけ,主な裁判例について解説を行う。

企業法務総合 民法・PL法等

システム開発委託契約のレビューポイントとトラブル発生時の対応
影島広泰

システム開発をめぐる法務は,特有の概念とプロセスを理解する必要があるところに難しさがある。また,発注者側の法務担当者にとっては経験を積むことが難しい分野でもあり,契約条項の勘所や,トラブル発生時に何を主張すべきかがわかりにくいところがある。本稿では,システム開発で理解しておくべき用語と概念を説明したうえで,近時のトラブル事例をふまえた注意すべき契約条項と,トラブル発生時の清算についての法的構成を整理する。

企業法務総合 民法・PL法等

ベンダーロックインの概念と契約上の対処
尾城亮輔

ベンダーロックインとは,情報システムの調達において,システムベンダーが顧客(ユーザー)の囲い込みをすることである。IT業界では従前からよく知られている問題であるが,2022年2月に公正取引委員会から報告書が公表されるなど,改めて注目を集めている。本稿では,ベンダーロックインの概念や発生原因として議論されている内容を紹介したうえで,契約上の対処について検討する。

企業法務総合 民法・PL法等

システム開発をめぐる近時の重要判例
伊藤雅浩

2021年にはシステム開発の失敗について野村HDと日本IBMの東京高裁判決,2022年には文化シヤッターと日本IBMの東京地裁判決が出されるなど,いまだもって大型のシステム開発紛争は絶えない。いずれの裁判例も,プロジェクト・マネジメント責任が問題になるなど実務上の関心が高い論点が含まれており,システム開発法務を取り扱ううえで必読であるため,本稿でポイントを紹介する。

企業法務総合 知財

ITサービスにおける著作権法上の留意点
高瀬亜富

デジタルトランスフォーメーション(DX)という概念が社会に浸透した今日,業種のいかんを問わずITサービスとは無縁でいられなくなっている。こうした状況を反映してか,近時,非IT企業であるクライアントからITサービスに関する契約や紛争に関する相談を受ける機会が増えている。ソフトウェア著作権などに関する問題は,こうした相談の典型例である。そこで,本稿では,ITサービスに関する著作権実務の注意事項について,いくつかトピックを取り上げて説明する。もとより,ここでは当該注意事項について網羅的に説明することはできないため,ご留意いただきたい。

知財 テクノロジー・AI

AI開発をめぐる法的論点の展開
内田 誠

AI開発において生じる知的財産権の帰属は,その知的財産の内容をよく理解して適切な帰属を定めることが重要である。ベンダは,学習済みモデルの推論精度の保証ができないが,条件付きで「目標値」を定めることが可能な場合がある。ベンダがAI開発を請負で請けた場合,推論精度を合意していなくても契約不適合責任を負うリスクがある。

特集3
法務が押さえておきたい
最新企業情報開示の改正点と実務対応
2022年6月には金融庁より「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」が,11月には「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案が公表され,企業情報の開示をめぐる動きが活発化しています。サステナビリティ,人的資本といった項目の開示が求められるなか,「開示は法務マターではない」との認識では済まされなくなっています。 法務部員が押さえておくべきポイントを整理し,英文開示といった機関投資家の視点もふまえながら,企業情報開示の最前線に切り込みます。
企業法務総合

企業情報開示をめぐる潮流とディスクロージャーワーキング・グループ報告が与える示唆
宮下優一

2022年6月13日,金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループから,企業開示に関する報告書(以下「DWG報告書」という)が公表された。DWG報告書は,非財務情報の重要性の高まりや経済社会情勢の大きな変化,「新しい資本主義」の実現に向けた資本市場の機能発揮等の観点から取りまとめられたものである。本稿では,本特集の総論として,DWG報告書の概要および背景を整理しつつ,DWG報告書が与える実務上の示唆について私見を述べる。

企業法務総合

コーポレート・ガバナンスに関する開示の充実化
安井桂大・西原彰美

2022年6月,「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告─中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて─」(以下「DWG報告」という)が公表され,11月7日には,DWG報告をふまえた開示府令の改正案(以下「改正開示府令案」という)等が公表された。本稿では,コーポレートガバナンスに関する開示の充実化について,DWG報告および改正開示府令案で示された内容を紹介しつつ,実務対応上のポイントについて解説する。

企業法務総合

目前に迫るサステナビリティ情報の法定開示化と法務対応
金子涼一

2022年11月7日,金融庁から「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案(以下「本改正案」という)が公表され,意見公募手続が行われた。本改正案は,2022年6月に公表された「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告―中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて―」(以下「本報告」という)における有価証券報告書でのサステナビリティ開示の充実に関する提言を受けたもので,実務上重要な意義を有する。本稿では,近時のグローバルなESG投資の潮流との関係もふまえつつ,企業の法務担当者が注目すべきサステナビリティ開示のポイントと実務対応の留意点を解説する。

企業法務総合

「重要な契約」の開示見直しに関する対応ポイント
水越恭平

2022年6月のDWG報告をふまえ,有価証券報告書の「重要な契約」の開示の対象・内容が見直される。従来の「重要な契約」の開示枠組みを前提に,企業・株主間のガバナンスに関する合意と株主保有株式の処分・買増し等に関する合意,ローンと社債に付される財務上の特約を対象に,記載の対象・内容を「明確化」することがその内容である。しかしながら,今回の見直しは,単なる「明確化」にとどまらず,従来の開示実務に相当な変容をもたらし,企業・株主の双方においてさまざまな検討・対応が求められる。

企業法務総合 国際

海外機関投資家へ向けた英文開示の実施
齋藤宏一

本稿は,「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告―中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて―」で取り上げられた課題の1つである,英文開示の論点を取り上げるものである。前半では,同報告が指摘する有価証券報告書の英訳の必要性とその実施にあたっての実務上の留意点の検討を行うとともに,後半では英文開示の主な読み手である海外機関投資家の視点を解説する。

実務解説
弁護士法72条とリーガルテックの規制デザイン(上)
企業法務総合

渡部友一郎・角田龍哉・玉虫香里

弁護士法72条とAIを利用した契約業務支援サービスとの関係がひときわ関心を集めている。本稿は,弁護士法72条の先行研究を整理し,リーガルテックの規制デザイン案を解説する。議論が刻一刻と進化するなか,本稿は,ステークホルダーによる議論の最新のスタート地点となり得る。本稿の新規性は規制デザイン案の提示にあり,弁護士法72条の議論について,AI「提供者」に加え「利用者」のリーガルリテラシーから両眼的に考察するアプローチを提唱する。

企業法務総合

Board 3.0の提案とわが国における議論の現状
池永朝昭

最近,Board 3.0がホットトピックとなっており,さまざまな論説が発表され,実務界での関心も高い。そこで,本稿では,Board 3.0の提言を簡略に紹介し,あわせてわが国におけるBoard 3.0の議論の要点を解説する。

企業法務総合

立法担当者による
令和4年消費者契約法・消費者裁判手続特例法改正の解説
上野一郎・玉置貴広・西川 功・伊吹健人・土田悠太・小林直弥

2022年5月25日,消費者契約法(以下「契約法」という)および消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(以下「特例法」という)の一部を改正する法律が成立した。同法律のうち,契約法の取消権,不当条項,事業者の努力義務等に関する改正部分は,2023年6月1日から,その他の部分は,2022年6月1日から1年半を超えない範囲で政令で定める日から施行される。本稿では契約法については取消権,不当条項,事業者の努力義務に関する改正内容を,特例法については制度の対象範囲の拡大,和解の早期柔軟化,消費者への情報提供方法の充実に関する改正内容を立法担当者が解説する。

企業法務総合 知財

ECサイトからのクレジットカード情報漏えい事案における法的留意点(下)
山岡裕明・町田 力・柏原陽平

近年EC市場の拡大を受けて増加しているECサイトからのクレジットカード情報(以下「クレカ情報」という)漏えい事案について,インシデント発生時における法的留意点を解説する。迅速な対応が要求されるインシデントレスポンスの際に必要となるフォレンジック調査,関係者対応,改正個人情報保護法に基づく対応,公表等の各対応段階における基本的な流れや実務上のポイントを筆者らの実務経験に基づき紹介する。

企業法務総合 会社法

PICK UP 法律実務書
『教養としての「会社法」入門』
仁田道夫

私の専門分野は労使関係論・人事労務管理論である。労使関係の一方当事者は会社であるから,会社法は多少関係がある。しかし,会社法を扱った書物の書評者として適格なのかとなると,疑問もある。ただ,本書は,専門家限定というよりは一般向けであり,私のような非専門家が書評することにも意味があるかもしれない。

連載
最新判例アンテナ
第55回 新株発行について,既存株主の持株比率を大幅に低下させ,発行会社の現経営陣の支配権を維持することを目的の一つとして認定しつつも,主要な目的であるとの疎明はなされていないと判断した事例
会社法

三笘 裕・萩原宏紀

X社は,Y社(東証上場)の株式の取得を進め,令和3年6月頃からY社筆頭株主としてY社に対し取締役候補者の推薦を含む提案を行っていた。Y社は,令和3年10月頃からA社との間で複数回の協議を経て資本業務提携につき合意し,令和4年1月26日に,A社に対する第三者割当により普通株式を発行する(以下「本件新株発行」という)旨の取締役会決議を行った。これによりX社の持株比率が37.67%から21.9%に減少し,他方でA社の持株比率が40.23%となることが見込まれた。X社は,本件新株発行が著しく不公正な方法(会社法210条2号)に当たることなどを理由として,本件新株発行の仮の差止めを求めた。原審は申立を却下した。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所編

10月20日,知財高裁は,大合議判決により, 特許法102条2項(侵害者が侵害により得た利益を 被侵害者の逸失利益による損害として推定する旨の 規定)と3項(被侵害者が侵害者に対し,その特許 発明の実施に対して受けるべき金銭の額の相当額を 損害として請求できる旨の規定)の適用関係に関す る判断を示した。

企業法務総合

新連載 Study Abroad Journal(留学体験記)
第1回 ジョージタウン大学
中野進一郎

私は2022年7月から,Georgetown University Law Center のNational and Global Health Law LL.M.に留学しています。

国際 コンプライアンス

グローバル・インベスティゲーションの実務
最終回 米国における企業犯罪へのアプローチ
――企業を動かすインセンティブ設計
深水大輔

グローバル・インベスティゲーションや企業犯罪に関する対応策を検討する際は,前提として,企業犯罪に対する米国のアプローチを理解し,その内容が日本とは大きく異なることや,その時々の執行ポリシーを正確に理解したうえで戦略を練る必要がある。そこで,本稿においては,米国における企業犯罪対策のアプローチの概要を説明する。

企業法務総合

新連載 双日法務部のリーガルオペレーション
第1回 Mission/Value/Competency
守田達也

昨今リーガルオペレーション,リーガルリスクマネジメント,リーガルテックなどの重要性が高まるなか,これらに対する双日株式会社法務部の過去行ってきた取組みおよび今後の課題を整理する良い契機と思い,本連載に取り組ませていただくこととした。振り返るに試行錯誤と失敗の連続といった感があるが,企業法務が歩んできた一つの道のりとして何か参考になれば幸いである。本連載は全6回とし,以下の構成を予定している。
第1回:全体+Mission/Value/Competencyの重要性(守田)/第2回:業務効率化(佐藤)/第3回:人材マネージメント(板倉)/第4回:アウトソーシング(廣瀬)/第5回:グローバル法務(澤井)/第6回:リーガルテック(高林)

競争法・独禁法 コンプライアンス

新連載 営業秘密を守る
第1回 平時に準備しておくべきことはなにか
島田まどか・安藤 文

営業秘密保護への関心が高まるなか,営業秘密を漏えいから守るためどう管理すべきかという平時の問題から,実際に営業秘密が漏えいした,あるいは営業秘密を侵害しているとして他社から訴えられた場合にどう対応すべきかという有事の問題まで,企業は日々さまざまな問題に直面している。本連載は,平時・有事に企業がなすべき対応,および営業秘密をめぐる新たな展開について,全4回に分けて取り上げる。本稿では,自社の営業秘密を保護するため,また,他社の営業秘密を侵害しないために,企業が平時に心がけるべきことについて解説する。

企業法務総合

ワンポイントで解説!技術と法の新世界
最終回 宇 宙
井深 大

宇宙産業は,現実離れしたイメージを持たれがちだが,われわれの生活に欠かせない重要な産業である。インターネットにつながることが当たり前となった今日,人工衛星の重要性が高まっており,衛星通信,測位,リモートセンシングを中心とする人工衛星を利用したサービスが宇宙産業において大きな存在感を見せている。

企業法務総合

マンガで学ぼう!! 法務のきほん
第12話 債権管理の必要性
淵邊善彦・木村容子

会社が事業活動によって取引先に対して金銭債権を取得しても,その債権を回収しない限りは,最終的な利益を実現したことにはなりません。単純化すれば,利益率10%の会社で,回収不能により5,000万円の損失が発生した場合,それをカバーする利益を出すためには5億円の売上が必要になります。多額の債権が焦げ付いて回収不能になると,会社は大きな損失を被ることになり,場合によっては,経営危機に陥ってしまうこともあります。

テクノロジー・AI

経営戦略としてのプライバシー・ガバナンス
第2回 ステークホルダーとの対話
鈴木翔平

パーソナルデータの利活用にはプライバシーの問題が伴う。企業は,これを単にリスクとして捉えるのではなく,むしろ,プライバシー保護の取組みをアピールすることによる商品差別化・ブランド力向上の機会として捉えることが求められる。そして,それを実現するためには,消費者をはじめとしたステークホルダーとのコミュニケーション(対話)が不可欠である。

労働法

対話で学ぶ 人事労務の周辺学
第8回 人事労務と刑事法
嘉納英樹

連載の第8回目では刑事法との交錯を弁護士Aと弁護士B(元検察官)の対話によって解説します。記者会見の実施における留意点や不正競争防止法・競業避止義務についても触れます。

企業法務総合

リスクマッピングでみる
サプライチェーンの法務対応
第6回 ESGへの取組みと独禁法(下)
吉澤 尚・宮川 拓・鈴木修平

前回に引き続き,ESGの取組みを求めることが独禁法その他の問題を生じさせないかについて検討を行う。

税務

税務の有事,その時どうする?
最終回 課税処分に対する不服申立て・税務訴訟
山口亮子・今村 潤・迫野馨恵

本連載では,法務部において対応が求められ得る税務の有事対応について,いざ対応が求められた場合に必要となる基礎知識および対応方法を解説しています。連載最終回となる今回は,課税処分の内容に不服がある場合の不服申立ておよび税務訴訟について解説します。

特別収録
ビジネス実務法務検定試験
2級演習問題
企業法務総合