雑誌詳細

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2023年12月号

2023年10月20日発売号   1,800 円(税込)

特集1

基礎を知り,新たな潮流を押さえる
製造物責任法(PL法)の最新実務

特集2

民法上の「代理」要点解説

特別企画

総まとめ知財一括法

特集1
基礎を知り,新たな潮流を押さえる
製造物責任法(PL法)の最新実務
平成7(1995)年に施行され,以来大きな改正がなかった製造物責任法。一方で「製造物」の定義には変化がみられ,AIやソフトウェア,自動運転といったテクノロジーをめぐる議論が進んでいます。
欧州では製造物責任指令・AI責任指令が改正される見込みであり,日本における同法の見直しも待たれる状況です。メーカー以外の事業者も理解しておくべき点が多く,そんな製造物責任法の基礎から一歩先までを解説します。
民法・PL法等

製造物責任法の基礎
――責任要件と対策の要諦
尾崎恒康

取引態様の多様化,新技術の登場・発展といった著しい社会変化をふまえ,これまで大きな改正がなかった製造物責任法が改めて注目を浴びつつある。本稿では,同法をとりまく課題や展望,製品事故に備えた平時・有事の対応実務等の諸問題を理解するにあたっての導入として,同法の存在意義や要件解釈を中心に基本的事項をおさらいする。

民法・PL法等

製造物責任が問題となる身近なケーススタディ
村松頼信

製造物責任法は,適用場面が事業活動の多岐にわたり,社会的な影響が大きい法律である一方,条文数は少なく,内容も必ずしも詳細ではない。そのため,具体的に製造物責任法がどのような場面で問題となるかを確認し,運用実態をつかむことが有用である。本稿では,特に近時問題となり得る想定事例を複数取り上げ,裁判実務の考え方をふまえつつ,製造物責任の発生・不発生の境界や実務上のリスクの捉え方について解説する。

民法・PL法等

品質不良,欠陥の判明時における有事対応
小森悠吾

製品の品質不良や欠陥が判明した場合の実務対応について,社内対応のポイント(主に体制整備,情報収集,証拠保全,原因調査,Q&A準備)と社外対応のポイント(主に被害者対応,一般ユーザー対応,規制当局対応)を概説する。

民法・PL法等

BtoB部品取引契約におけるPLクレームへの備え
丹下貴啓

製品事故が発生した際,その構成部品を供給した部品メーカーは,部品の欠陥による被害を主張する者から直接PLクレームを受ける危険のみならず,最終製品メーカーからPLクレームの解決に要した費用の負担等を求められる危険も負う。本稿では,筆者の過去のPLクレーム対応経験をふまえ,部品メーカーが最終製品メーカーと取引契約の交渉を行う際に,これら2つの危険に備える観点から,丁寧に検討すべきと考えるポイントを紹介する。

民法・PL法等 テクノロジー・AI

自動運転社会の到来と議論のゆくえ
――レベル4,そして未解決の課題
古笛恵子

特定自動運行が規定され,自動運転はレベル4に達した。「ドライバー責任からシステム責任へ」と指摘されるが,製造物責任に関する議論は熟していない。完全自動化までの過渡期において,自賠法3条による製造物責任の肩代わりは続く。

民法・PL法等 テクノロジー・AI

AI製造物に関する責任と「修理する権利」
水野 祐

本稿では,製造物責任に関連する2つの新しい国際的な潮流を紹介したうえで,今後の製造物責任の動向に関して考察する。第一の潮流は,AI(人工知能)システムが組み込まれた製造物(以下「AI製造物」という)に関する責任であり,第二の潮流はいわゆる「修理する権利(Right to Repair)」である。

民法・PL法等 国際

海外事業で心得ておきたい
米国・欧州製造物責任法の手引き
ライアン・ゴールドスティン

現代のグローバル経済において,多国籍企業は世界の主要な市場で事業を展開し,さまざまな法的責任を負う可能性がある複数の法的管轄権の適用を受けている。このような環境下にあって,自社の事業が関係し得る法律について知識を得ることは有益である。本稿では,欧米市場で製品を販売する企業が,米国・欧州の製造物責任法および潜在的責任をよりよく理解できるよう,製造物責任法に関する手引きを提供する。

特集2
民法上の「代理」要点解説
民法99条にて定められる代理人の意思表示は,契約交渉の場面でその範囲や錯誤といった点で重要となります。そこで,本特集においては民法上の代理について,条文上の規定から,典型項目である「代理権の逸脱・濫用」「双方代理・利益相反」を中心に,実務上において問題となり得る各点を解説します。
民法上の規範において重要となる「代理」についての知識を改めて確認し,アップデートしましょう。
民法・PL法等

民法上の「代理」(総論)
滝 琢磨・小林尚登

民法の基本的な規定である代理制度の概要について,その概念や要件などを,総論的に解説する。

民法・PL法等

代理権の「逸脱」と「濫用」
――無権代理と表見代理を中心に
滝 琢磨・篠原 崚

「代理権の逸脱」および「代理権の濫用」に関する典型論点につき,平成29年民法改正による変更点を押さえつつ解説する。

民法・PL法等

「代理」における頻出事例
――双方代理と利益相反を中心に
滝 琢磨・三浦大典

古典的なテーマである代理に関する実務上問題となる頻出論点について,双方代理および利益相反を中心に概説する。

特別企画
総まとめ知財一括法
本年度の通常国会で成立した「不正競争防止法等の一部を改正する法律」,すなわち「知財一括法」は,「知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ,スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど,時代の要請に対応した知的財産制度の見直し」(経済産業省ウェブサイトより引用)を目的としています。

かの発明王・エジソンも取得に苦労したといわれる知財権にかかわる本改正について,いざ総チェック!
競争法・独禁法 知財

令和5年改正不正競争防止法
渡邉遼太郎

令和5年改正不競法の成立により,Ⅰブランド・デザインの保護強化の観点,Ⅱ営業秘密の保護強化の観点,Ⅲ外国公務員贈賄罪の拡充の観点で,各改正が行われた。不競法の改正事項は多岐にわたるが,本項では,主な改正事項の要点および必要となる実務対応について解説を行う。

知財

令和5年改正商標法・意匠法
星 大介

本稿では,2023年6月7日に成立した「不正競争防止法等の一部を改正する法律」のうち,デジタル化に伴う事業活動の多様化をふまえたブランド・デザイン等の保護強化を図ることを目的とした商標法の改正(①他人の氏名を含む商標の登録要件緩和,②コンセント制度の導入)および意匠法の改正(新規性喪失の例外適用手続に関する意匠制度の見直し)を実務上のポイントもふまえ,解説する。

知財

令和5年改正特許法
荏畑龍太郎

令和5年改正法のうち,コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備に関しては,主に,送達制度の見直しおよび書面手続のデジタル化に関して特許法等の法改正が行われた。本論考では,上記の各事項につき,改正の要点および実務上の対応について解説する。

地平線
「ファン目線」を届けるYouTuber社外取締役
企業法務総合

濱屋理沙

私はYouTuberである。ワークマンのウェアやキャンプグッズに関する動画を発信するなかで,もっと経営に関する助言ができる立場になりたいと思い,社外取締役に就任した。「YouTuberなんて資質を備えているのか」「ただのお飾りではないか」という批判もあったが,その一方でありがたいことに期待の言葉もいただいている。以前からワークマンの熱心なファンであり,商品を熟知し,共同で商品を30点以上も開発し,シリーズ累計40万着を販売した実績が評価されているのだろう。

Trend Eye
ダークパターンをめぐる規制動向と望まれる対応
競争法・独禁法

岡田次弘

インターネット空間における目まぐるしい技術革新に合わせ,日々,新たな法律用語が生まれているが,そのような用語の1つに「ダークパターン」がある。
この用語は,米国のユーザーデザインの専門家であるHarry Brignullによって2010年に生み出されたとされる。統一的な定義が確立されているわけではないが,一般的には,ユーザーをだまし,またはもしそれがなければしなかっただろう選択をユーザーにさせてしまうような有害なデザイン手法を指す。

実務解説
LGBT理解増進法と経産省職員事件最高裁判決の解説
サステナビリティ・人権

早川 学

2023 年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が成立し,同年7月には経済産業省のトランスジェンダー職員による性自認に基づくトイレ使用の制限に関する最高裁判決が出た。本稿は,性的マイノリティに関して社会的な注目を集めたこれらの法律および判決について解説するとともに,企業への影響について検討する。

知財

「著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設」ほか
令和5年改正著作権法の要点と実務対応
大出 萌

2023年5月17日,著作権法(以下,改正後の著作権法を「改正法」といい,改正法の条文を「新○条」と表記する)の改正が国会で可決・成立した。本改正は,文化審議会「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について 第一次答申」(2023年2月)(以下「第一次答申」という)等をふまえ,①著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設等,②立法・行政における著作物等の公衆送信等を可能とする措置,③海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直しを内容とする。本稿では,この3項目を概観のうえ,特に実務上のポイントとなる点を解説する。

企業法務総合

外国人労働者のキャリア多様化へ
「特定技能2号」対象分野の拡大
杉田昌平

2023 年8月末から在留資格「特定技能2号」の対象となる産業分野が,従前の2産業分野から,11 産業分野に拡大された。これにより,技能労働者として来日した外国人のキャリアの多様化が想定され,企業に対しても多様な活躍を推進することが望まれる。

企業法務総合

CVC投資における業務提携契約締結の留意点
石田 学

岸田政権下で「スタートアップ育成5か年計画」が発表されるなど,昨今スタートアップ(以下「SU」という)への注目が高まっており,国内のSUへの投資(以下「SU投資」という)の状況も堅調である。コーポレート・ベンチャーキャピタル(以下「CVC」といい,CVCによるSUへの投資を「CVC投資」という)によるSU投資への関心も高くなっている。本稿では,このようなCVCの投資熱の高まりを受けて,CVC投資における業務提携契約の実務上の留意点について論じる。

ファイナンス

出資者側の視点から検討する
中小企業へのエクイティ・ファイナンス実施上の留意点
小川周哉・菅野邑斗・戸田涼介

本稿では,中小企業庁が,2023年6月22日に公表した「中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス」(以下「本ガイダンス」という)をふまえて,中小企業に対するエクイティ・ファイナンスを実施する際の留意点を解説する。

企業法務総合

ゲーム実況・配信ガイドライン策定のポイント
増田拓也

ゲームのプレイ実況とその配信は,今や文化として定着したといえる。権利者である企業が,実況・配信等に関するガイドライン(GL)を策定することも珍しくなくなった。2023年には,文化庁主催「ゲーム実況・配信に係る著作権セミナー」が開催されたほか,GLで許諾されていない動画を配信した被告人に対し初の有罪判決の言渡しがあり,近時,関心を集めている分野である。本稿は,GLの策定について実務的な検討を試みるものである。

国際

米国司法省による「企業犯罪摘発指針」改訂の影響
井上 朗

バイデン政権下にて,米国司法省は,FCPA を含む不正行為の摘発方針を変更するに至っているが,日本企業にはどのような影響があるのだろうか。本稿では,重要な変更点と内外で事業をしている日本企業にとっての留意点を概説する。

会社法

過年度決算訂正における会社法実務上の問題点
緒方文彦

過年度決算訂正は,実務上頻繁に生じる。本稿では,過年度決算訂正に関する実務があまり浸透していない非上場会社において,過年度決算訂正が生じた場合の会社法上の実務的な問題点を検討する。具体的には,過年度決算訂正が生じた場合に,修正後の過年度の計算書類を再度株主総会で承認する必要があるのか,承認が必要とされる分水嶺はどこにあるのかが中心的な検討事項である。

Lawの論点
東芝代表訴訟判決に対する複眼的評価
コンプライアンス

東芝代表訴訟判決は,東芝が行ったバイセル取引の会計処理は違法とはいえないとするなど,注目に値する判示を含んでいる。そこで,会計・監査の研究者と企業会計法の研究者とが異なる視点からこの判決の意義を探る。

コンプライアンス

1 会計・監査の視点からの評価
町田祥弘

2023年3月28日,東京地裁において株式会社東芝の旧経営陣に対する民事訴訟の判決が下された。5名の旧経営陣に対して約3億円の損害賠償が命じられたものの,PC事業におけるいわゆるバイセル取引については,会計基準違反に当たらないとの判断が示された。この判断は,いくつかの意味で意外であり,会計・監査の観点からは大きな問題を提起する司法判断のように思われる。

コンプライアンス

2 会社法の視点からの評価
弥永真生

東京地判令和5年3月28日〈平成27年(ワ)第31552号ほか〉は,企業が行った会計処理の適法性について判断を下した裁判例としては,これまでの裁判例にはみられない丁寧さとボリュームを持っている。東芝が行ったバイセル取引の会計処理は米国および日本の会計基準違反に当たらないが,インフラ案件の会計処理は米国会計基準に反する違法なものであり,これらの工事に関する会計処理を認識する立場にあり,かつ,取締役であった者は,違法な会計処理を中止させたり是正させたりする義務を怠ったことにより会社に生じた損害を会社に対して賠償する責任を負うとしたものである。

連載
LEGAL HEADLINES
企業法務総合

森・濱田松本法律事務所編

8月14日,一般社団法人サステナビリティデータ標準化機構が設立された。
同機構は,「あらゆる意思決定に役立つ,中堅中小企業に特にフォーカスしたサステナビリティの情報開示」を目指し,サステナビリティデータの開示項目を標準化し,中堅中小企業や非上場企業を中心としたサステナビリティデータ開示を浸透・促進する活動を展開することを目的としている。

企業法務総合

最新判例アンテナ
第65回 退任取締役との間に退職慰労金を支給する黙示の特約が存在する場合に,代表取締役が退職慰労金の支給に関する議案を株主総会に付議しなかったことが,退任取締役に対する不法行為に該当すると判断した事例(福岡高判令4.12.27金判1667号16頁)
三笘 裕・布山雄大

従前,XはA社(株式会社)の代表取締役,YはA社の取締役であったが,2019年に開催されたA社の株主総会において,Yを含む3名が取締役に選任され,Xは取締役に選任されなかった。その後開催されたA社の取締役会で,Yが代表取締役に選任された。A社の株主は,従前,X関係者,Y関係者およびB関係者により構成されていたが,前記株主総会開催直前にYがB関係者の保有株式すべてを買い受ける旨合意し,YはB関係者から前記株主総会についての委任状を取得し,議決権を行使した。

民法・PL法等 国際

海外契約条項の「知らない世界」
第2回 「信義則条項」に意味はない?
ダニエル・アレン・辰野嘉則

わが国の国内契約においては,信義誠実の原則をあえて規定するような条項は,民法上の義則に屋上屋を架すようなものとも思われるところであろう。しかし,それは世界共通のことではない。本稿では,特にコモン・ロー(判例法系)の法域における信義則条項の効果や,その限界について解説する。

企業法務総合

マンガで学ぼう!! 法務のきほん
第22話 敵対的買収の防衛⑴
淵邊善彦・木村容子

敵対的買収とは,経営陣の賛同を得ずに上場会社等の経営権を取得することです。経営権取得の方法としては,株式の公開買付け(TOB)または委任状争奪戦(株主総会で,会社提案の議案に反対する独自の議案を提案し,その可決のために株主から委任状を集めること)によります。これらを行う前に,株式市場で対象会社の株式をある程度買い集めて,経営陣と交渉したり,株主名簿,会計帳簿等の閲覧請求権,株主総会招集請求権,株主提案権等の少数株主権を行使したりするのが一般的です。

企業法務総合

いまでも覚えています あの人の「法務格言」
第3回 「インシャラー 神の思し召すままに」
巻田隆正

英国と香港で法律事務所に勤め,帰国して東京で米系企業法務部に勤務。でも法曹界への入り口は,雨が降ったからでした。
東京,そして同系列会社の大阪にて激務でバーンアウト直前に香港時代の仲間からドバイの法律事務所で働くオファーが来たのも,運か,あるいは運命だったのでしょうか? 

労働法 争訟・紛争解決

ストーリーでわかる 労働審判の基本
最終回 労働審判,異議の申立て,訴訟への移行
福谷賢典・山下 諒

乙社の福岡事業所に3年間勤務し(1年の有期労働契約を2回更新。給与月額20万円),2022年12月末をもって雇止めとなった甲が,2023年4月,雇止めの無効を主張し,乙社を相手方として福岡地方裁判所に労働審判の申立てを行った。第1回期日での審理を経て迎えた同年7月5日の第2回期日において,労働審判委員会からは,甲が期間満了による労働契約の終了を認める代わりに,乙社が甲に対して解決金100万円を支払うとの調停案が示された。

知財

ファッションローへの誘い
第4回 パターン・モチーフの保護
西村雅子

ブランドを象徴するロゴデザインは,どんどんシンプルになっているといわれる(文字のロゴについて,Radek Sienkiewicz "Why do somany brands change their logos and look likeeveryone else?"velvetshark.com)。
筆者の実感としても,ブランドロゴは,よりシャープに,無駄な装飾をなくして洗練化されているように感じる。また,文字商標なしの図形商標のみからなるロゴでブランドを想起させるかだが,その点,一番わかりやすいのがNIKEのSwooshといわれるロゴであり,誰もが,その線図の正確さはともかく,だいたいの形状を描くことができるだろう。
「街頭インタビューでブランドのロゴを描いてもらうテストをしてみたところ,実物に近く描けていたのは,Nike, McDonald's,Appleなどのシンプルなロゴで,複雑なロゴは印象に残りにくいだけでなく,思い出しにくいことも判明した」という(Brandon K.Hill「なぜデザインはシンプルな方が良いのか」btrax.com)。

消費者関連法

その広告大丈夫?
法務部が知っておくべき景表法の最新論点
第2回 アフィリエイト広告・ステマ広告
渡辺大祐

日本の広告市場はマスメディア4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)が重要といわれるが,近年インターネット広告市場の成長が顕著であり,特にソーシャルメディア上の広告の伸びは著しい。そこで,今回はアフィリエイト広告・ステマ広告に関する論点を取り扱う。

企業法務総合 テクノロジー・AI

キャリアアップのための法務リスキリング!
第4回 「最先端」を追い求める学び直し
高井雄紀

リスキリングが重要といっても何を学べばよいかわからない,という方も多いかと思います。
そのような皆さんへ私がオススメすることは,興味分野を掘り下げて「最先端」を追い求めることです。私は,2017年に仮想通貨(現在でいう暗号資産)・ブロックチェーンに触れて,ほとんどの人がまだ知らない分野に可能性を見出し,勝負をすることに決めました。

企業法務総合

考える法務
――基本と初心とささやかな試み
第4回 公務員
大島忠尚

通常の企業法務ではあまりかかわりがないような問題から始めて,最後にはみなさんの業務にもかかわりがある話につなげていきたいと思います。
今回も,読みながらいろいろと考えてみてください。

企業法務総合

「周辺学」で差がつくM&A
第2回 バリュエーション(企業価値評価)
―理論編―
山本晃久・渡邉貴久・近藤慎也

バリュエーション(企業価値評価)は,M&Aの経済条件を検討する際の出発点となるものであり,これを避けてM&Aをすることはできない。大規模な案件では証券会社等のFinancialAdvisor(FA)といった専門家にバリュエーションを委託することが一般的だが,その場合であってもM&Aのプロジェクトチーム内で分析結果を咀嚼し,適切な交渉を経て,合理的な経営判断をする必要がある。したがって,M&Aに関与するにあたってバリュエーションの仕組みを理解することは必須のスキルである。
法務担当者の中には,バリュエーションは他部署に任せておいて,決まったものを前提にドキュメンテーション等に落とし込めばよい,と考えている方もいるかもしれないが,バリュエーションは法務の観点からも重要である。法務アドバイザーを含め法務を担当するメンバーのバリュエーションに関する理解が不十分な場合には,適切な契約書の条項が合意できなかったり,事後の紛争等につながったりするおそれもある。そこで,第2回では,バリュエーションの基礎理論を解説し,第3回ではその基礎理論をケーススタディを通じて実践し,第4回では特に法務の観点からバリュエーションが重要となる局面について解説する。

国際 争訟・紛争解決

アメリカ民事訴訟実務の基礎と留意点
第6回 トライアル前の申立て
(Pretrial Motions)
奈良房永・笠継正勲

訴訟開始からトライアル(公判)が始まる前までの段階にはさまざまな手続があり,ディスカバリーのように当事者間で進められる手続も多いが,当事者間で合意ができない場合は裁判官の判断を仰ぐことになる。訴訟の節目ごとに紛争の最終的な決着を裁判所に求めることもあり,これらは当事者が裁判所に申立てをすることにより進んでいく。今回は各段階のさまざまな申立ての中から,訴訟の行方に影響を及ぼす代表的な申立てを紹介する。

特別収録
ビジネス実務法務検定試験
3級・2級演習問題
企業法務総合