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タグ:労働法 」と一致する記事一覧
労働法 2019年9月号・特集1

管理職に知ってほしい
パワハラにならない部下の叱り方・接し方10箇条
小鍛冶広道

筆者は、弁護士として企業側の人事・労務問題に取り組むなかで、クライアント企業の社員向け各種研修を担当する機会が多いのであるが、そのなかでも、管理職向けのハラスメント防止研修は筆者の「一番の持ちネタ」である。本稿では、筆者が実際に管理職向けのハラスメント防止研修で指導している、「パワハラとされない部下の叱り方・部下との接し方」を「10箇条」として披露させていただく。

労働法 2019年9月号・実務解説

公表項目・対象事業主の拡大、「プラチナえるぼし」の創設
改正女性活躍推進法の概要
川端小織

令和元年5月29日に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」という)等の一部を改正する法律が成立した。 平成27年に成立した女性活躍推進法の成果となお残る課題を見据え、さらなる女性活躍推進を実現するために、今回の改正で、女性活躍に関する情報公表項目の増加、対象事業主の策定義務拡大、特例認定制度「プラチナえるぼし(仮称)」の創設などを定めた。本稿は、これらの改正点について解説し、企業の対応について考える。

労働法 2019年9月号・実務解説

経営判断との関係で高年齢者雇用問題を考える
定年制と高年齢有期再雇用者の労働条件
山下眞弘

年功賃金制のもとでは、若年層は賃金が低く、高年齢となるにつれ成果にかかわらず賃金が高くなる。そのため、長期の収支勘定を合わせる仕組みとして定年制が必要とされる。だとすれば、給与体系をフラットにすれば、定年制の必要もなくなり、高年齢者の継続雇用の道も拓け、労働力不足の問題も解消するかもしれない。しかし問題は、いかにして各年齢層に公平な制度設計ができるか。真に働く意欲と能力をもつ高年齢者をいかにして発掘するか。業種等を無視し一律に定年制を廃止して、企業は経営を維持できるか。最近注目の裁判例と法改正も視野に入れて、実現可能な将来展望をしてみよう。

労働法 2019年9月号・地平線

今、企業に求められる"真のパワハラ対策" 原 昌登

2019年5月29日、パワーハラスメント(パワハラ)の防止が法制化された。より具体的にいえば、労働施策総合推進法の改正により、企業等の事業主に周知・啓発(研修等)、相談体制の整備、発生時の対応といったパワハラ防止措置が義務づけられることになる。改正法は1年以内(おそらく2020年4月1日)に施行されるが、中小企業については最大で3年間、防止措置の実施が努力義務にとどめられる。

労働法 2019年9月号・連載

会社がすべきこと・しなくてよいこと
メンタルヘルス不調者への対応実務
最終回 精神疾患と労働災害
向井 蘭

本稿では、精神障害と労働災害に関する実務上の論点についてとりあげた。精神障害と労災認定は、自殺の事案がよく報道でとりあげられるが、自殺以外の精神疾患が労働災害に当たるとして、労災申請を行う事例もよくある。労災認定がなされれば、実務上、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求につながる場合も多く、深刻な紛争に発展する可能性が高くなる。事前にリスクを理解していれば自ずと対応が変わり紛争の予防につながる。

労働法 2019年8月号・特別企画

労働者派遣法の改正 労働法

平成の直前に合法化された労働者派遣は、平成の30年間に躍進・後退・新展開と時の政策に翻弄された。そして、令和に入り派遣労働者の待遇改善の新時代に進む。

労働法 2019年8月号・特別企画

男女の雇用均等・女性活躍の推進 石井妙子

平成の時代、雇用機会均等法、育児介護休業法等の法制が整備され、多くの女性に長期的な就業継続が可能となった。しかし、管理職の女性割合等にみるように、いまだに男女格差が存続している。少子・高齢化を背景に令和の時代の喫緊の課題は、女性活躍推進である。

労働法 2019年8月号・特別企画

働き方改革推進法の制定 土田道夫

働き方改革推進法は、雇用社会における「法の支配」の浸透を図るとともに、従業員を企業における主要な利害関係者に位置づけ、その法的地位を強化する意義を有しており、企業法史上、平成から令和へと受け継がれるべき重要なメッセージを発している。

労働法 2019年8月号・実務解説

Q&Aで解説
年休の時季指定義務をめぐる実務課題と解決策
中山達夫

働き方改革関連法は、平成30年6月29日に可決・成立し、同年7月6日に公布された。働き方改革関連法は、「働き方改革実行計画」に基づき、雇用対策法、労働基準法、労働安全衛生法、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法などの法律を一括して改正したものである。 そして、労働基準法の改正のうち、「年5日の年休の時季指定義務」については、大企業・中小企業を問わず本年4月1日から施行されている。具体的には、会社は、年10日以上の年休が付与されている労働者に対して、年休を付与した基準日から1年以内に、5日の年休について時季を指定しなければならないこととされ、違反した場合には30万円以下の罰金も定められている。 そこで、本稿では、直近で実務への影響が大きいと思われる「年5日の年休の時季指定義務」について実務上の留意点などをQ&Aで解説する。

労働法 2019年8月号・地平線

増える外国人雇用と避けられぬ課題 上林千恵子

2019年4月1日より改正入管法が施行された。この入管法は日本の移民政策上、大きな転換点となるだろう。新入管法で規定された新たな在留資格「特定技能」は、事実上、単純労働者の受入れを可能とした資格だからだ。この「特定技能」の在留資格者(特定技能者)は2023年まで最大で34.5万人(「新たな外国人材の受入れについて」(2019年4月))と見込まれる。今後、日本で就労する外国人労働者数は現在よりもさらに増加すると見込まれよう。

労働法 2019年8月号・連載

会社がすべきこと・しなくてよいこと
メンタルヘルス不調者への対応実務
第5回 精神疾患従業員との面談・退職勧奨
向井 蘭

精神疾患に罹患した従業員と連絡がとれず困っている、精神疾患で休職中の従業員に退職勧奨したいがどのように面談をすればよいか等、精神疾患に罹患をした従業員との対応で悩ましい問題が起こり得る。一方で退職勧奨によりパワーハラスメント、精神疾患の症状がより悪化した等主張されるリスクもあり得る。法的リスクを避けつつ、いかに解決を図るか非常に悩ましい論点である。本稿では、精神疾患従業員との面談・退職勧奨についてとり上げる。

労働法 2019年7月号・特集2

Q1「従業員が個人SNSを利用してトラブルを起こした際の対応内容」ほか 大村剛史

従業員が、社内の出来事について虚偽の事実を述べて、会社を誹謗中傷する内容をSNS上に発信したことが、第三者からの問合せの電話により発覚しました。こうしたSNSトラブルについて、会社としてはどのような対応をとることを検討しなければいけないのでしょうか。

労働法 2019年7月号・特集2

Q5「採用活動におけるSNSを用いた調査」ほか 佐藤剛史・濱㟢友彦

当社は、採用活動に際し、SNSを用いた調査を行うことを検討しています。具体的には、応募者の氏名をインターネット上で検索してヒットしたSNSアカウントを閲覧するほか、当社に提出された履歴書等に記載された情報をもとに応募者本人のSNSアカウントをできる限り特定して、それを閲覧して採用活動の参考にしたいと考えていますが、問題ないでしょうか。

労働法 2019年7月号・特集2

Q9「従業員が会社の回線を使って誹謗中傷を行った場合の会社の責任」ほか 深澤諭史

Y社に勤務する従業員Aは、休み時間に会社のパソコンと回線を利用して、Xを中傷する内容の投稿(本件投稿)をSNSにした。本件投稿はXの知るところとなり、Xは本件投稿について発信者情報開示請求訴訟をY社が契約しているプロバイダZに行った。その後、発信者情報の開示を命じる判決が言い渡されて確定し、ZはXに対し投稿に用いられた回線の契約者はYであるとの情報を開示した。Xは、Yに対して、本件投稿について、損害賠償を請求(本件請求)した。①Yとしては、Xの請求に対してどのように対応をするべきか。②投稿をしたのがAであると判明した場合、Yはどのように対応をするべきだろうか。

労働法 2019年7月号・連載

会社がすべきこと・しなくてよいこと
メンタルヘルス不調者への対応実務
第4回 精神疾患従業員の問題行動
向井 蘭

精神疾患に罹患した従業員にもさまざまなタイプがあり、なかには他人を攻撃したり、妄想や幻覚による被害を訴えたり、休職期間中に問題行動を起こす者もいる。治療や休養のための休職命令を行うべきか、秩序維持のために懲戒処分を行うべきか、実務では迷う点が多い。本稿では、精神疾患従業員の問題行動に対する対応についてとり上げる。

労働法 2019年6月号・特集2

在留資格の確認、労働条件の明示が肝要
トラブルを未然に防ぐ外国人採用時の対策
川上善行・島田貴子

本年4月1日、改正「出入国管理及び難民認定法」(入管法)が施行された。この法改正は、一定の専門性・技能を有する外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築するため、相当程度の知識・経験を要する技能が必要な業務に従事する外国人向けの在留資格「特定技能1号」や、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格「特定技能2号」の新設などを内容とする。改正の影響についてはさまざまな議論がなされているが、今後、中小企業などにおいて人手不足が深刻化するなか、一層外国人労働者が増加することは確実であろう。そして、それに伴って外国人の雇用をめぐるトラブルも増加することは避けられない。本稿では、そのようなトラブルを少しでも防止するために、外国人労働者の採用時にどのような点に留意すべきかについて説明する。

労働法 2019年6月号・特集2

頻出事例にみるトラブル発生時の対応ポイント
――残業、社会保険、宗教、日本人との結婚
真下陽子

グローバル化や労働力不足などを背景に、外国人労働者を雇用することは多くの企業にとって不可欠である。2019年4月の改正入管法の施行により、外国人労働者の活用はますます加速していくことが見込まれる。その一方、外国人労働者のさまざまな文化や言語、信条、習慣の違いにより、トラブルが発生していることも事実である。本稿では、外国人労働者をめぐる日常的なトラブルの実例をとり上げ、企業対応のポイントを解説する。

労働法 2019年6月号・特集2

株式会社イトーヨーカ堂
トラブルを予防する当社の工夫
久保村俊哉

現在、当社では全国160店舗、約38、000人の従業員が働いている。近年の採用事情は、こと流通小売業界では深刻で、有効求人倍率が12倍に達するとも言われており、当社でも正規社員・非正規社員(以下「パート社員」という)の採用に苦心している。他方、外国人労働者の人数は増加傾向にあり、2018年2月現在で約1、300人が在籍している。都心の店舗の在籍比率は高く、一番多い店舗では4割を超えている。国籍別では、約十数カ国の方が就労しており、特に東南アジアの割合が多く、中国、フィリピン、ミャンマーの3カ国の合計が外国人労働者全体の約7割を占めている。

労働法 2019年6月号・地平線

社内規定はメンタルヘルス問題の解決に役立つか 三柴丈典

筆者の回答は、Yesである。ただし、現場課題との相互作用が前提である。以前、厚生労働科学研究費をいただいて企業等でメンタルヘルスに関わる方々を対象に実施した社会調査(「『諸外国の産業精神保健法制度の背景・特徴・効果とわが国への適応可能性に関する調査研究』報告書」(2013年)653頁以下)で興味深い結果が出た。メンタルヘルスに関する組織内規定の整備状況について尋ねたところ、不調者への就業上の配慮や人事措置(約58%)、産業医との面談等(約55%)、休復職管理(約53%)などに関するものがよく整備され、逆に、主治医との連絡(約2割弱)、個々人のストレス耐性の強化(約2割弱)などに関するものはあまり整備されていなかった。

労働法 2019年6月号・連載

最新判例アンテナ
第14回 抵当権の被担保債権が免責許可決定の効力を受ける場合において、当該抵当権自体は民法167条2項所定の20年の消滅時効にかかるとした事例
(最二小判平30.2.23民集72巻1号1頁)
三笘 裕・小宮慶久

労働法 2019年6月号・連載

会社がすべきこと・しなくてよいこと
メンタルヘルス不調者への対応実務
第3回 復職支援
向井 蘭

復職支援は厚生労働省作成の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」において、職場復帰支援プログラムの策定が推奨されていることから、多くの企業が職場復帰支援プログラムを実施していると思われる。本稿では職場復帰支援プログラムにおいて悩ましい法的論点(試し出勤、生活・睡眠表)をとり上げた。

労働法 2019年5月号・トレンド・アイ

近時の高齢者雇用の傾向と法的課題 岡芹健夫

人事、労務においても、現在のわが国の少子高齢化は深刻である。人口でいえば、平成2年と平成28年との比較をするに、15~64歳の人口は、実数では平成2年で約8、614万人、平成28年で約7、656万人(約11.1%減)、総人口に占める割合になると、平成2年が約69.7%、平成28年が約60.3%(約13.4%減)となっている。しかも、この間、15歳未満の者の総人口に占める割合は約18.2%から約12.4%と3割以上の減少であり、抜本的施策なくしては労働力不足の進行に歯止めがかからない状態である(以上、数字は総務省統計局「人口推計」)。

労働法 2019年5月号・連載

最新判例アンテナ
第13回 業務手当(定額残業代)の割増賃金該当性の判断枠組みを示したうえで、これを肯定した事例(最一小判平30.7.19労判1186号5頁)
三笘 裕・坂口将馬

労働法 2019年5月号・連載

会社がすべきこと・しなくてよいこと
メンタルヘルス不調者への対応実務
第2回 復職・退職判定の勘所②
──産業医判断と主治医診断が異なる場合の対応等
向井 蘭

復職判定の際、会社が産業医に意見を求めることが多いが、産業医と主治医の意見が異なる場合もまま見受けられる。産業医は医師でありながらも、患者の治療を行うものではなく、専門家として就労可能性や労働環境について意見を述べるものであり通常の医師の診断書とは異なった角度から会社も意見を考慮する必要がある。その場合にどのような観点から産業医の意見を判断すればよいか、本稿で記載をした。

労働法 2019年4月号・実務解説

働き方改革で労使関係はどう変わる?
社内労働組合交渉における企業対応の再点検
倉重公太朗

いつの時代も労使関係は重要である。働き方改革の中心にあるべきは、社内労働組合を中心とする、集団的労使関係における対話である。しかし、労使関係のあり方は昔のそれとは異なりつつある。そこで、本稿では働き方改革の本質や近時の法改正の動きから、新時代の労使関係のありようを検討する。

労働法 2019年4月号・連載

会社がすべきこと・しなくてよいこと
メンタルヘルス不調者への対応実務
第1回 復職・退職判定の勘所①
向井 蘭

メンタルヘルスに不調を来して休職中の従業員について復職・退職判定に悩む場合も多いと思う。退職と判断すれば紛争になる可能性があり、かといって復職と判断しても、従前の業務を遂行できる可能性が低い場合がある。紛争リスクを避けつつ、円満な着地が必要になる。本稿では実務上問題になりがちな主治医判断の重要性・情報提供の方法・信用性の争い方等について記載した。

企業法務総合 労働法 2019年3月号・実務解説

Plain Englishによる英文雇用契約書作成のしかた(下) 倉田哲郎・キャロルローソン

本稿では前回に引き続き、雇用契約書を、労使のコミュニケーション手段と捉え、双方の権利義務を、plain(平易)な英語でわかりやすく表現する方法を、例文を用いて解説する。

労働法 2019年2月号・実務解説

12カ国を調査
世界各国のセクハラ事情とグローバル企業の対応
山川亜紀子

ハリウッドの大物プロデューサーがセクハラで告発されたことをきっかけに始まった#MeToo運動や、Google経営陣のセクハラへの対応に抗議して社員が全世界でストを展開するなど、セクハラに対する目はますます厳しさを増している。日本では、ひと昔前までは「女性は職場の華」とか、「無礼講」といって、「宴席でのセクハラ発言はおとがめなし」といった意識が蔓延していたが、近年は社会の意識も変わり、企業も重い腰をあげてセクハラ対策に取り組まざるを得なくなった。そして、今日の多様化した社会では、男性がセクハラの被害者になることもある。セクハラは、企業にとって、今や国内でも重大なコンプライアンスリスクであるが、国際的に事業を展開する企業にとっては、極めて重大なリスクである。しかし、いったいどんなことがセクハラになるのか、あるいは、セクハラをしたらどんな処分ができるのか、などは国や地域によって異なる。本稿では、世界のセクハラ事情を概観するとともに、世界でビジネスを展開する企業がとるべき対策を検討する。執筆するにあたりロンドンに本拠をおくフレッシュフィールズブルックハウスデリンガーの協力を得て、米国、ブラジル、フランス、ドイツ、南アフリカ、アラブ首長国連邦(UAE)、豪州、中国、インド、インドネシア、ロシア、タイの計12カ国(以下「12カ国」という)の弁護士に調査を依頼し回答を得たので、それをもとに分析する。

労働法 2019年1月号・特集2

特別寄稿 副業・兼業解禁の意義と課題
─労働法の観点から
土田道夫

周知のとおり、厚生労働省は、「柔軟な働き方に関する検討会報告」(2017年)において、「働き方改革実行計画」(2017年)を受け、原則として副業・兼業を認める方向で普及促進を図る方針を打ち出した。また、2018年には、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という)を公表するとともに、副業許可制を定めてきた従来のモデル就業規則を改め、企業への届出によって原則として副業を営み得る内容に改訂した。企業においても、こうした政策転換を反映して、副業を容認する動向が生じている。働き手の意識も変化しており、総務省「2017年就業構造基本調査」(2018年7月)によれば、副業人口(副業を持つ就業者[267万人]+追加就業希望者[424万人])は691万人に達し、全就業者の1割を超えることが明らかになった。本稿では、こうした状況をふまえて、副業・兼業の解禁が有する意義と課題について、労働法の観点から解説する。

労働法 2019年1月号・特集2

従来の日本型雇用は次のステップへ
副業・兼業解禁の必要性と制度設計3つの視点
白石紘一

これから兼業・副業の導入を検討する企業においては、何を目的として導入するのかを明確に意識する必要がある。昨今の経営環境の変化を背景とすると、①兼業人材の受入れによる人材確保、②イノベーション、③自律的に動ける人材の育成、④採用力の向上、⑤離職防止(リテンション)といったものがあろう。また、制度設計においては、i導入目的を経営陣も含めて共有すること、iiマネージャー層の意識改革を行うこと、iiiデメリットを過剰におそれないことが必要である。

労働法 2019年1月号・特集2

現行制度の問題点をふまえた論点整理
労働時間・健康管理と企業の安全配慮義務
荒井太一

2018年1月に厚労省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下「本ガイドライン」という)が公表されて以降、副業・兼業の解禁について検討を行う企業も増えてきた。他方、導入にあたっては、特に労働時間管理や健康管理について懸念する向きも多いようである。本稿では、厚労省「柔軟な働き方に関する検討会」(以下「本検討会」という)における議論も参考に、副業・兼業における労働時間管理および安全配慮義務について説明する。本稿では、従前より締結されている労働契約の労務提供先を「本業先」と称し、本業とは異なる使用者に雇用されたり、みずから事業を営む場合の労務提供先を「副業・兼業先」と定義して説明する。

労働法 2019年1月号・特集2

INTERVIEW 多様なキャリアへの理解で実現する
サイボウズ株式会社の複業制度
山羽智貴・野間美賀子

当社では「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」を人事制度の基本方針としています。社員1人ひとり、個性が違うことを前提に、それぞれが望む働き方・報酬が実現できるよう、人事制度を組み立てています。たとえば、当社には「働き方宣言制度」があり(次頁【図表1】参照)、月曜日から金曜日までの時間の使い方、どこで働くのかについて各社員が宣言し、原則その宣言に則って自由な働き方をすることが可能です。複業制度も、多様性を認め1人ひとりが働きやすい環境をつくる取組みの一環として位置づけています。当社の社風として「個性の尊重」「公明正大」「自立」があり、以下で述べるとおり複業制度もこの社風を基礎に運用しています。

労働法 2019年1月号・特集2

始めてみよう!法務部員ならではの「複業人生」 小林洋光

働き方改革法が成立し、今までにない柔軟かつ自律的な働き方が本格的に模索されている。企業内法務は、もともと自律的な業務遂行が求められる点と業界横断的に通用する実務能力が身につく点において、法務部員こそが働き方改革の最前線に位置すると考えている。一方で法務部員による複業1について情報発信が少ないため、複業の機会に気づけない現状がある。本稿では、筆者の複業の経緯と実際を紹介することで、多くの法務部員の複業実践を後押しする一助としたい。

労働法 2019年1月号・連載

福利厚生充実策として注目
給与前払サービス導入の法的課題
右崎大輔

近時、労働人口減少や雇用の多様化を背景に、深刻な人材不足が生じており、企業の「人手不足倒産」という状況も生じている。このような状況を改善するため、企業としては、福利厚生の一環として、給与前払サービスを導入し、求人の際の売りの1つにしている例もある。ここに、給与前払サービスとは、本来の賃金支払日より前に、労働者に対し、賃金(給与)の一部に相当する金銭の支払を受けることができる権利を付与し、労働者の福利厚生を図るものをいう。

労働法 2018年12月号・特集1

近時の裁判例・働き方改革関連法が示す
不合理な待遇差見直しの視点と使用者の義務
橘 大樹

2018年6月29日、働き方改革関連法の成立により同一労働同一賃金(不合理な待遇差の解消)に関する立法が実現した。他方、同年6月1日には現行法に関する最高裁判決が出ており、これらの動きをふまえて実務をどう考えるべきかみていきたい。

労働法 2018年12月号・特集1

パート・有期との処遇差をどう是正?
給与・手当に関する社内規定変更のポイント
岡西淳也

厚生労働省では、平成28年12月20日に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(以下「ガイドライン案」という)を示した。ガイドライン案は、今後、関係者の意見や国会審議をふまえ、労働政策審議会における議論を経て最終的に確定され、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パート有期法」という)の施行時期1にあわせて適用される予定とされている。あくまでガイドライン「案」であるため、現時点においてはこれが何かしらの基準となったり、これを元に行政指導の根拠とされるものではないが、この考え方の元にある労働契約法20条や現行の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パート労働法」という)8条・9条は現在において存在しており、今後はパート有期法の施行も予定されている。先日の最高裁でのハマキョウレックス事件や長澤運輸事件の判決をみても、ガイドライン案の考えと同じ判断をしている箇所があるため、本稿では、このガイドライン案に沿って社内整備について述べていく。

労働法 2018年12月号・特集1

新たな義務を把握する
派遣元・派遣先の対応上の留意点
村上いずみ

派遣労働者は、派遣元事業主(以下「派遣元」という)との雇用契約期間の定めのあるなしにかかわらず、また、パートタイム労働であるか否かによらず、派遣労働者をひとくくりとして、2020年4月1日に施行される、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)の改正法(以下「改正法」という)の適用を受けることとなる。 本稿では、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム労働法に、パートタイム労働者のみならず有期雇用労働者に係る同一労働同一賃金規定も設けられた改正法)における均等・均衡待遇の規定をベースに、派遣労働者に適用される特有の事項に絞り、改正法による労働者派遣事業の運営への影響として、派遣元および派遣先それぞれに必要な対応について解説する。

労働法 2018年12月号・特集1

ドトールコーヒー退職金制度にみる
非正規従業員目線の制度設計・運用のヒント
平本智也

わが社では2017年9月1日より、非正規従業員向けの退職金制度を導入した。一方で、本年6月に働き方改革法が成立し、同一労働同一賃金に関連する項目への何らかの対応が同法施行までに求められ、検討を進めていく必要がある。当社の導入した前記の福利厚生プランは、当初、必ずしも同一労働同一賃金対応を意識したものではなかったが、結果的に同対応につながり、その導入過程は多くの企業の参考になると考えられる。そこで本稿では、当社が導入した制度の概要とその過程、その後の制度への従業員の反応などをまとめる。

労働法 2018年12月号・実務解説

給与を仮想通貨で支払えるのか?
─労基法をふまえた留意事項の検討
松本 藍

近年、日本でも仮想通貨に関するニュースをよく耳にするようになり、利用できる店舗が増えるなど普及していくなかで、昨年4月には改正資金決済法が施行され、仮想通貨とは何かといった定義および仮想通貨の取扱いに関するルールが整備された。そして昨年12月には、GMOインターネットグループが、社員の希望に応じて、給与の一部をビットコインで受け取ることができる制度を導入する旨を発表した。今後、給与の一部を仮想通貨で支払う仕組みを導入する企業は増えていくのだろうか。仮想通貨による給与支払の動向および日本における仮想通貨の法的位置づけ、労働基準法(以下「労基法」という)上の取扱いと留意点、そして給与の一部をビットコインで受け取れる仕組みと類似の特徴を持つ従業員持株会制度を比較解説していく。

労働法 2018年11月号・特集2

改正法と新しい働き方への対応
労働時間の適正把握・管理
西 芳宏

【事例1】改正法下での労働時間把握の具体策:2018年6月29日に、働き方改革法が可決、成立し、同年7月6日に公布された。この働き方改革法のうち、改正労働基準法の36協定の上限規制に対して企業が労働時間管理にあたり実務上注意すべき点は何か。

労働法 2018年11月号・特集2

近時の3つの最高裁判決にみる
定額残業代制
横山直樹

テックジャパン事件(最判平24.3.8労判1060号5頁)以降、最高裁は、相次いで定額残業代に関して重要な判断基準を示した。これらの判決に呼応するように東京地裁の運用にも変化がみられることから、以下では最高裁判決を解説したうえで、どのような運用であれば訴訟に耐え得るかを考察したい。

労働法 2018年11月号・特集2

対象業務範囲・みなしの効果・健康管理
裁量労働制
近藤圭介・山口翔平

【事例1】専門業務型裁量労働制の対象業務:当社では、エンジニアに対して専門業務型裁量労働制の適用を検討している。もっとも、昨今は適用対象業務でない業務に従事している従業員に対して裁量労働制を適用した企業が実名報道されるなどしているので、そもそも当社のエンジニアに対して専門業務型裁量労働制を適用できるか慎重に吟味したいと考えている。そこで、専門業務型裁量労働制の適用対象業務の範囲について知りたい。

労働法 2018年11月号・特集2

就業規則・運用の再点検
変形労働時間制
小山博章・林 栄美

【事例1】1カ月単位の変形労働時間制において就業規則に規定が必要な事項;当社では、シフト制を採用しているが、就業規則には、「変形労働時間制を採用すること」と「毎月1日を起算日とする」とだけ記載しており、現場で毎月作成する勤務割表において各日の始業時刻や終業時刻を特定する形で1カ月単位の変形労働時間制を運用している。この就業規則の記載および運用で問題ないか。

労働法 競争法・独禁法 2018年11月号・実務解説

公取委の想定事例を分析
働き方改革に起因する下請法・独禁法違反の概要と企業対応
板崎一雄

平成30年6月、働き方改革を推進するための法律が遂に成立したが、その前月、公正取引委員会は、働き方改革に関連して起きる可能性がある下請法、独占禁止法違反の事例を公表していた。働き方改革によって、なぜ、下請法等違反が起きるというのだろうか。従業員の労働時間減少のために、外注は1つの有効手段と考えられるが、どういった行為が問題になるのか。その概要や対応策について述べたい。

労働法 2018年9月号・速報解説

「働き方改革法」の概要と実務への影響 増田陳彦

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下「働き方改革推進法」という)が平成30年6月29日の参議院本会議で可決成立し、7月6日に公布された。平成28年9月から動き出した官邸主導の働き方改革実現会議は、平成29年3月に「働き方改革実行計画」を公表していたが、その中心内容である、長時間労働の是正に関する労働時間の上限規制と非正規雇用の処遇改善のための同一労働同一賃金に向けた法改正が実行されたこととなる。本稿では、働き方改革推進法の全体概要に触れつつ、労働基準法等の改正を中心に実務への影響について現段階での情報をもとに私見を交えつつ触れる。なお、後述するとおり、今後、改正法の施行通達や省令が出されるため、実務的な取扱いの詳細はこれらをまってさらに検討を要することに留意いただきたい。

労働法 2018年9月号・連載

「同一労働同一賃金」議論を追う
第9回 ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件の最高裁判決
橘 大樹

最高裁は、労働者の賃金のあり方は経営判断や労使交渉により決められるという原則論を尊重しつつ、個々の手当ごとに「趣旨」を確認したうえで待遇差が不合理と評価されるかを検証し、結論として精皆勤手当につき高裁の判断を覆した。

労働法 競争法・独禁法 2018年8月号・LAWの論点

人材市場における労働法と独占禁止法の役割
─「人材と競争政策に関する検討会報告書」をふまえて
荒木尚志

芸能人やスポーツ選手の移籍問題をはじめ、人材市場規制に公正取引委員会が乗り出すかと、各種メディアで注目されていた公正取引委員会・競争政策研究センターの「人材と競争政策に関する検討会報告書」(座長:泉水文雄神戸大学教授。以下「報告書」という)が2018年2月15日に公表された。 もっとも、同報告書は、芸能界やスポーツ界等の特定の業界の人材取引問題に焦点を当てたものではなく、役務提供者たる人材をめぐる市場(人材市場)における人材獲得競争全般について、独占禁止法(以下「独禁法」という)の適用の基本的な考え方を、労働法との関係もふまえて、整理したものである。

労働法 2018年8月号・トレンド・アイ

指導と暴力の境目は?
スポーツにおけるパワハラ認定
関谷健太朗

近時、ハラスメントの問題は企業にとどまらず、スポーツにおいても問題となっており、特にパワーハラスメント(パワハラ)に対する社会的な注目が集まっている。たとえば、女子レスリングにおけるコーチや選手に対するパワハラ問題は大きく報道された。また、直近では、日本代表の選手が所属している女子アイスホッケークラブチームにおいて、男性コーチによるパワハラがあったとして、当該コーチと監督を含めた指導者全員が解任されるというニュースや、大学のアメリカンフットボール部の監督による選手へのパワハラ報道などがあった。

会社法 労働法 2018年7月号・実務解説

調査のポイント・手法を詳解
「働き方改革」後の労務デューデリジェンス
林 和宏

M&Aにおいて、意図した買収効果を実現し、予期せぬ損失を避けるためには、デューデリジェンス(以下「DD」という)によって、買収判断や事業運営を左右するリスクを調査することが不可欠である。また最近、「働き方改革」の機運が高まっており、今後の企業経営は、これに則ることが求められる。そこでM&Aを成功させるためには、「働き方改革」をふまえた労務DDを行う必要がある。

労働法 2018年6月号・特集1

必修分野③ 労働法 冨田啓輔

まず、「労働法」という法律はない。労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法、労働組合法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、職業安定法、労働者派遣法など、労働分野にかかわる法律を総称して、「労働法」という。