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会社法 2023年8月号・連載

最新判例アンテナ
第61回 利益相反取引に該当する他社株式の取得取引において,取得株式の客観的評価額と実際の取得価額との間に乖離があったとしても直ちに会社に損害が発生したとはいえないと判断した事例
三笘 裕・布山雄大

A社は,東証2部(当時)上場の株式会社であり,Y1,Y2およびY3(以下「Yら」という)はA社の取締役であった。Y1は自身が代表を務めるB社の株式を100%保有し,B社傘下のC社およびD社(以下「C社等」という)の代表取締役の地位にあった。

会社法 2023年8月号・連載

IPO準備における会社法の基礎
第3回 取締役会の適切な運営⑴
青野雅朗

本連載は,上場準備において比較的論点になりやすいトピックという切り口から,全6回の予定で,会社法の基礎を振り返るものである。第3回は,取締役会の運営に関する論点について取り上げる。取締役会は株式会社の要となる機関であり,その運営に関する論点も多岐にわたることから,複数回に分けて取り扱う。

会社法 2023年7月号・連載

IPO準備における会社法の基礎
第2回 監査等委員会設置会社という選択の検討
青野雅朗

本連載は,上場準備において比較的論点になりやすいトピックという切り口から,全6回の予定で,会社法の基礎を振り返るものである。第2回は,上場準備にあたってもしばしば検討の対象となる,監査等委員会設置会社という機関設計について取り上げる。

企業法務総合 会社法 2023年6月号・地平線

去りし前時代,総会「再出発」のとき 永池正孝

今年の3月総会から株主総会資料の電子提供制度が開始された。委員として参加した経済産業省「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」が提言をまとめてから7年経つが,全国株懇連合会の理事長として,電子提供制度における実務上の論点や課題を整理したことを思うと感慨深いものがある。

企業法務総合 会社法 2023年6月号・特集2

株主総会直前対策

2023年度6月株主総会を迎えるにあたり,総会資料の電子提供はもちろんのこと,総会に関する取扱事項の増加には注意が必要です。コロナ禍においてイレギュラーな対応に追われたのも束の間,株主提案の影響力が増し,そのうえ「変化球」ともとれる質疑を繰り広げる株主への対応など,総会運営は依然,一筋縄ではいきません。詳細な実務動向は本年3月号で解説しているため,本特集ではもう1つアクセントをつけて,現場感満載の総会実務に迫ります。

企業法務総合 会社法 2023年6月号・特集2

株主総会想定問答で押さえておくべきキーワード4選 生方紀裕

本稿では,株主総会の質疑応答の際に問われることが想定される最新の4つのキーワードについて,紙幅の関係から,ごく簡単な概要を紹介するとともに,質疑応答の際の留意点などを解説する。想定問答の作成時や総会直前の記憶喚起に活用いただければ幸甚である。

企業法務総合 会社法 2023年6月号・特集2

どんな球種も打ち返す!
「変化球」想定問答集
瀧本文浩

最近の株主総会における株主の発言傾向をみると,予想もつかない視点からの,「変化球」といえるような質問も珍しくない。コロナ禍が落ち着けば,質問株主も増えて,そのような「変化球」質問もさらに増えるであろう。そこで,本稿では,そうした「変化球」質問についての想定問答の例を挙げ,解説する。

企業法務総合 会社法 2023年6月号・特集2

株主総会の運営・事務に関するQ&A
──株主総会資料の電子提供制度を中心に
野澤大和

株主総会資料の電子提供制度(以下「電子提供制度」という)の適用初年度において,実務の積み重ねがないなかで,例年とは異なる検討および対応が必要となり,総会担当者の悩みも多いのではないかと思われる。本稿では,2023年6月の定時株主総会の準備に向けて,電子提供制度を中心に,実務上問題になり得る株主総会の運営・事務に関する主要な論点についてQ&A形式で平易に解説する。

企業法務総合 会社法 2023年6月号・特集2

株主提案対応実務の最新論点 浦田悠一

2021年7月から2022年6月までに開催された株主総会における株主提案(会社法303条・305条)の数は,判明しているものに限っても,過去最高になった。また,昨年には,これまで株主提案をしたことがなく穏健派と考えられていた投資家が突如株主提案をした事例もあった。定時株主総会における株主提案はもはや他人事ではない。そのようななか,株主提案実務にも数々の進展がみられることから,本稿では,定時株主総会における株主提案対応の最新論点を概観する。

企業法務総合 会社法 2023年6月号・特集2

デジタル技術の早期実装
法改正にも完全対応したアステリア流・バーチャル株主総会のすべて
平野洋一郎

「場所の定めのない株主総会」(バーチャルオンリー株主総会,以下「バーチャル株主総会」という)が法的に認められたのは,2022年の制度改正からだ。当社では,上場当初よりリアル会場とオンラインの同時開催でのハイブリッド型株主総会に取り組んでいる。2017年からはブロックチェーン技術を活用した透明性の高い投票システムを導入するなど,改善を重ねてきた。2022年6月には法的な要件を満たしたうえで,完全にオンライン環境で株主総会を実施した。本稿ではバーチャル株主総会の具体的な内容や課題について紹介する。

会社法 民法・PL法等 2023年6月号・連載

【新連載】
考える法務――基本と初心とささやかな試み
第1回 株式会社を代表する者
大島忠尚

法務に携わるみなさんのもとには,小さな問題,大きな問題が区別なくやってきます。どれも「みなさんならすぐに解決できる」「解決の糸口を与えてくれる」と思って相談にくるものです。しかし実際のところ,何が正解なのかわからないような問題も多いはずです。どの案件でも,ベストな回答を目指して,考えるほかありません。 本連載はそんなみなさんの,そして私の日常をふまえたものにしていくつもりです。一緒に考えましょう。

会社法 2023年6月号・連載

【新連載】
IPO準備における会社法の基礎
第1回 社外取締役設置に関する規律
青野雅朗

未上場会社が株式上場を目指すにあたり,遵守すべき規律や,それに応じて整備すべき事柄は多岐にわたる。その中でも,会社法の規律は会社のあり方を定める最も基礎的なルールであり,それゆえ,上場準備という文脈において会社法上の整理が論点になることも多い。本連載は,上場準備において比較的論点になりやすいトピックという切り口から,全6回の予定で,会社法の基礎を振り返る。第1回は,上場会社に社外取締役の設置を求める規律の内容を振り返るとともに,要件充足性についてしばしば悩ましい問題にも直面し得る社外取締役の要件等について取り上げる。

会社法 2023年5月号・Lawの論点

定款の定めに関する近時の裁判例 近藤光男

会社法には,定款と法令とを並列させて規定している条文は少なくない。たとえば取締役は法令および定款を遵守する義務を負い(355条),株主の差止請求が認められるのは取締役が法令または定款に違反する行為についてである(360条)。しかし,総会決議について,内容の法令違反は無効となるが(839条),定款違反は取消しの対象となるに過ぎないこと(831条1項2号)をはじめ,法令違反と定款違反とで意味するところは同じではない。一般に定款は,会社法およびその精神に違反することはできないと解されるのであり,その一部の効力が認められない場合があり得る。ここに定款規定の限界が問題となる。

企業法務総合 会社法 2023年3月号・特集1

ガバナンスの「実質化」が問われる
株主総会2023

2023年株主総会の準備シーズンがやってまいりました。目下の対応事項としては,総会資料の電子提供制度,さらには尾を引くコロナウイルス禍における総会運営があげられます。他方で人的資本やスキル・マトリックスといった,投資家への開示事項の増加に頭を悩ませている担当者も多いのではないでしょうか。 株主総会のあり方は各社各様であるものの,本特集が2023年総会の指針となり得るよう,広範に実務上の留意点・関心事項をカバーしています。

企業法務総合 会社法 2023年3月号・特集1

デジタル化の進展とともに変容する株主総会実務 井上 卓

政府主導による近年のガバナンス改革は目覚ましく進展し,株主の議決権行使の環境も大きく変容した。アクティビスト株主の活動も活発化し,株主提案が積極的に活用される事例がみられるようになった。本稿では,コーポレート・ガバナンスをめぐる議論の進展を中心とする環境変化を概説するとともに,2022年6月総会に現れた特徴的な事例を紹介する。

企業法務総合 会社法 2023年3月号・特集1

ガバナンス改革を先導する株主提案の動向 三谷革司

政府主導による近年のガバナンス改革は目覚ましく進展し,株主の議決権行使の環境も大きく変容した。アクティビスト株主の活動も活発化し,株主提案が積極的に活用される事例がみられるようになった。本稿では,コーポレート・ガバナンスをめぐる議論の進展を中心とする環境変化を概説するとともに,2022年6月総会に現れた特徴的な事例を紹介する。

企業法務総合 会社法 2023年3月号・特集1

株主総会資料の電子提供制度に係る準備対応 斎藤 誠・牧村卓哉

上場会社においては,令和元年法律70号による改正後の会社法等により,株主総会資料の電子提供制度を採用することが義務づけられた。本制度については,2022年9月1日に施行され,同日時点の上場会社においては2023年3月以降に開催される株主総会より開始される。本稿は,本制度の開始に伴い,上場会社各社において検討を要する事項とその準備対応について紹介するものである。

企業法務総合 会社法 2023年3月号・特集1

総会事務の指針となる重要判例 西岡祐介

令和に入ってからも株主総会関連の重要裁判例は多く出されている。その中でも本稿では,株主総会の当日事務等に関連する重要裁判例をいくつか紹介し,その実務対応について触れたい。

会社法 2023年3月号・特集2

会社法/提案株主を含む株主の株主総会への出席制限の可否 鍵崎亮一

Y1株式会社(スルガ銀行株式会社)の代表取締役であるY2(債務者)は,2022年6月29日を会日とする定時株主総会の招集に際し,新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から,株主総会の出席について,希望者数が座席数を超える場合には抽選とする事前登録制とすることを通知した。

会社法 2023年3月号・特集2

会社法/三ッ星事件(買収防衛策発動に対する差止めが認められた事例) 大草康平

X(アダージキャピタル有限責任事業組合)は,Y(株式会社三ッ星)の株式を,2021年7月~10月にかけて市場内で,持株比率(自己株式を除いて計算した比率。以下同じ)にして7.01%取得した。また,Xの関係者ら2は,同年10月〜2022年3月にかけてYの株式を取得し,2022年3月末の時点において,XおよびXの関係者ら(以下これらを総称して「Xら」という)が保有するYの株式の持株比率は,合計21.63%となっていた。

企業法務総合 会社法 2023年3月号・特集2

商事紛争/東京電力株主代表訴訟 松澤 香

東北地方太平洋沖地震に伴う津波により,福島第一原発事故(本件事故)2が発生した。本件は,東京電力の株主が,当時の取締役において,福島県沖で大規模地震が発生し,福島第一原発に津波が遡上して過酷事故3が発生することを予見し得たから,その防止に必要な対策を速やかに講ずべきであったのに,これを怠った取締役としての善管注意義務違反等の任務懈怠があり,これにより本件事故が発生し,東京電力に損害を被らせた等として提訴した株主代表訴訟である。

会社法 2023年3月号・特集2

商事紛争/訴訟代理人(取締役責任調査委員会の委員であった弁護士)の訴訟行為排除申立事件 坂尾佑平

本事案は,関西電力株式会社(以下「本件会社」という)による,本件会社の元取締役ら(以下「元取締役ら」という)に対する会社法423条1項に基づく損害賠償請求訴訟(以下「本件訴訟」という)において,元取締役らが,本件会社の設置した取締役責任調査委員会(以下「本件責任調査委員会」という)の委員であった弁護士(以下「本件弁護士」という)が本件会社の訴訟代理人として訴訟行為をすることは弁護士法25条2号および4号2の趣旨に反するなどと主張して,本件弁護士の訴訟行為の排除を求める申立て(以下「本件申立て」という)を行った事案である。

会社法 2023年3月号・連載

最新判例アンテナ
第56回 株主総会会場に入場できる株主を事前登録に基づく抽選により選定したことに関して,株主による株主総会開催の差止め等を求める仮処分命令の申立てが却下された事案
三笘 裕・河野ひとみ

Y1社の代表取締役であるY2は,2022年6月,定款上株主総会の開催地とされる静岡県沼津市に所在する施設の一室(以下「本件会場」という)にて,同月29日に定時株主総会(以下「本件総会」という)を開催する旨の招集通知を発するに際し,新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から,事前登録に基づく抽選制による株主総会会場への入場制限(上限206名)を行う旨通知した。抽選に外れた株主は,書面またはインターネットによる議決権の行使が可能であるが,本件総会へのウェブ参加等の措置は設けられていない。

会社法 ファイナンス 2023年2月号・特集1

これは押さえよ!会社法・金商法の必携書 三浦亮太

企業の実務担当者と若手弁護士におすすめしたい書籍として,会社法に関しては筆者が必ず読む基本書と実務書を,金融商品取引法に関しては入門書を紹介する。

企業法務総合 会社法 2023年2月号・実務解説

PICK UP 法律実務書
『教養としての「会社法」入門』
仁田道夫

私の専門分野は労使関係論・人事労務管理論である。労使関係の一方当事者は会社であるから,会社法は多少関係がある。しかし,会社法を扱った書物の書評者として適格なのかとなると,疑問もある。ただ,本書は,専門家限定というよりは一般向けであり,私のような非専門家が書評することにも意味があるかもしれない。

会社法 2023年2月号・連載

最新判例アンテナ
第55回 新株発行について,既存株主の持株比率を大幅に低下させ,発行会社の現経営陣の支配権を維持することを目的の一つとして認定しつつも,主要な目的であるとの疎明はなされていないと判断した事例
三笘 裕・萩原宏紀

X社は,Y社(東証上場)の株式の取得を進め,令和3年6月頃からY社筆頭株主としてY社に対し取締役候補者の推薦を含む提案を行っていた。Y社は,令和3年10月頃からA社との間で複数回の協議を経て資本業務提携につき合意し,令和4年1月26日に,A社に対する第三者割当により普通株式を発行する(以下「本件新株発行」という)旨の取締役会決議を行った。これによりX社の持株比率が37.67%から21.9%に減少し,他方でA社の持株比率が40.23%となることが見込まれた。X社は,本件新株発行が著しく不公正な方法(会社法210条2号)に当たることなどを理由として,本件新株発行の仮の差止めを求めた。原審は申立を却下した。

会社法 2023年1月号・連載

最新判例アンテナ
第54 回 株主総会前日の営業時間終了の20分前を議決権行使書面の行使期限としたために,議決権行使書面の行使期限に関する規定違反が生じたケースにおいて,株主総会決議取消請求を裁量棄却した事例
三笘 裕・林 嵩之

東証一部上場(当時)のY社の令和元年株主総会では,取締役選任決議および買収防衛策(以下「旧買収防衛策」という)の導入を承認する決議等がなされた。令和2年株主総会(2020年6月19日開催)では,Y社取締役会がY社の株主であるX社にその保有目的等に関して情報提供要請を行うことを承認する決議等がなされた。なお,Y社の営業時間は午後5時20分までであったところ,同年6月4日に発送された招集通知等に記載された議決権行使書面の行使期限は,同月18日午後5時とされていた。

会社法 争訟・紛争解決 2022年12月号・特別企画

東京電力株主代表訴訟地裁判決における役員責任の考察

東京電力株主代表訴訟において,7月13日に東京地方裁判所は取締役に対する善管注意義務違反を認定し,巨額の損害賠償請求を認める判決を下しました(原告・被告ともに控訴中)。この前例のない判決から,どのような示唆が読みとれるのか,学術・実務の両視点から検討します。

会社法 争訟・紛争解決 2022年12月号・特別企画

原子力発電所を有する会社の取締役の任務懈怠 弥永真生

東京地裁令和4年7月13日判決は,東京電力の元取締役につき,13兆円あまりの損害賠償義務を認めた。しかし,この判決は,会社内外の専門家らの評価・判断が著しく不合理でない限り,特段の事情がないにもかかわらず,取締役がこれと異なる評価・判断を行った場合はその判断の過程・内容は著しく不合理と評価されるとするなど,従来の裁判例とは異なる規範を定立しているようにみえる。

会社法 争訟・紛争解決 2022年12月号・特別企画

役員の善管注意義務違反の認定にみる実務上の留意点 水川 聡

2022年7月13日に,株式会社東京電力ホールディングス(以下「東京電力」という)の取締役に対する,東日本大震災に起因する津波による福島第一原発の事故(以下「本件事故」という)に関する責任を追及する株主代表訴訟(以下「本件訴訟」という)の判決(以下「本判決」という)において,被告である取締役5名中4名の善管注意義務違反が認定され,13兆3,210億円という巨額の損害賠償請求が認容されている。本判決はその認容額の大きさもさることながら,実務的に示唆の多いものと考えられるため,本稿では,その留意点等について解説する。

会社法 2022年10月号・連載

最新判例アンテナ
第50回 社員が2名の合同会社において,1名の社員の意思に基づき,訴えをもって他の1名の社員の除名を認めた事例
三笘 裕・萩原宏紀

X社は,羽田空港内の格納庫等を取得,賃貸および転売することを目的として設立された2名の社員(A社および一般社団法人であるY法人)からなる合同会社である。A社は事業資金の調達等を,Y法人は国土交通省からの営業許可の取得や資産等の買取り等を,それぞれ担当する旨合意していた。甲は,X社の業務執行社員かつ代表社員であるY法人の職務執行者の地位にあった(以下,かかる甲の地位を「本件職務執行者」という)。

会社法 2022年9月号・実務解説

株主総会資料の電子提供制度の概要と企業対応 青野雅朗

株主総会資料の電子提供制度の創設に関する会社法改正法が2022年9月1日から施行される。関連する定款の変更についてはすでに対応を行った会社が多いと思われるが,そのほかに施行日に向けて対応が必要となり得る事項や,実際に電子提供措置をとることを見据えて検討しておいたほうがよいと考えられる事項について改めて整理しておくことも有用だと思われる。本稿では,そのような観点から,当該制度の概要と留意点等について解説する。

企業法務総合 会社法 2022年9月号・実務解説

書評 会社法は誰のためにあるのか――人間復興の会社法理 浜田道代

本書は,日本の株式会社法制の現状に真正面から槍を突き刺しているかのような,熱い問題提起の書物である。 通説によれば,株式会社は株主のものである。株主総会は会社の最高の意思決定機関である。会社経営の目的は株主価値の最大化にある。上村達男氏は,このような「株主第一主義」こそが,人間疎外の元凶であるという。会社法は,株主のためではなくて,人間のためにある。会社は,人間がより良く生きるための道具立てである。

企業法務総合 会社法 2022年9月号・連載

最新判例アンテナ
第50回 議決権行使の基準日を定めなかった場合,招集通知は発送時点の株主に発送すれば足り,その後に株式譲渡により株主となった者に対して改めて招集通知を発送する必要はない等と判断した事例
三苫 裕・林 嵩之

JASDAQスタンダード市場に上場していたY社は,創業家取締役が中心となって非上場化することを目指して,少数株主をキャッシュアウトすべく株式併合を実施したが,その前に創業家とは関係のないY社株主AがY社株式を買い増したため,Aは株式併合後も引き続きY社株式を1株保有することとなった。そのため,Y社は上場廃止後に改めてY社株式2株を1株に併合する株式併合を実施することとし,基準日を設定することなく臨時株主総会(以下「本件株主総会」という)の招集通知を,発送時点の株主名簿記載の株主(Aを含む5名)に発送した。その後,Aが代表社員を務めるⅩ社(合同会社)は,AからY社株式1株を買い取り,本件株主総会前日に株主名簿の名義書換えがなされたが,Y社からX社に招集通知が送付されることはなかった。

会社法 労働法 2022年9月号・連載

対話で学ぶ 人事労務の周辺学
第3回 人事労務と会社法
嘉納英樹

株式会社において,取締役と会社の関係が委任であるのに対して(会社法330条),従業員と会社との関係は雇用です。両者にはこのような法的性質の違いがあるため,相違点も多いのですが,共通点もあります。連載第3回では人事労務と会社法との交錯につき,株式会社の取締役に焦点をあてながら,弁護士Aと弁護士Bの対話によって解説します。

会社法 国際 2022年8月号・実務解説

中国会社法改正法案の概要と日本企業に与える影響 裘 索

現行の「中華人民共和国会社法」(以下「会社法」という)では,中小投資者と債権者に対する保護の不足や不完全な会社責任追及制度等,既存の法令によっては,解決できない問題が存在している。本稿は,2021年12月24日に公開され,意見募集を求められた「中華人民共和国会社法(改正案)」(以下「改正案」という)について,修正点と現行「会社法」の比較をしつつ,日系企業への影響と実務対応について解説する。

企業法務総合 会社法 2022年7月号・特別企画

株主総会におけるSDGs関連想定問答 坂 昌樹・山本哲史・矢本浩教

2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(以下「CGC」という)において,サステナビリティへの適切な対応を行うべきと明示されるなど,企業経営とSDGsへの取組みとの統合が求められている。そこで本稿では,CGCで,気候変動等への配慮,従業員の健康・労働環境への配慮,公正・適正な取引,自然災害等への危機管理などが検討すべき課題として掲げられていることや近時の動向をふまえ,2022年度の総会においてSDGs関連で株主から質問が想定される事項を取り上げ,回答例とともに解説する。

企業法務総合 会社法 2022年7月号・特別企画

社外取締役が押さえておきたい想定問答 松山 遙

企業のガバナンスにおける社外取締役の役割・責務に注目が集まるなか,株主総会においても社外取締役に対する質問が増えてくることが予想される。指名・報酬委員会の活動状況,企業不祥事への対応,女性・外国人といった立場からの意見などについて質問された場合には,社外取締役が直接回答することが望ましく,社外取締役用の想定問答を準備しておくべきである。

企業法務総合 会社法 2022年7月号・特別企画

判例・条文から読み解く 総会運営の留意点 奥山健志

株主総会のなかでも特に総会当日の運営については,会社法上も個別具体的な条文は少なく,実務上は,各種の裁判例から導き出される行動規範に基づく運営が行われている。本稿でもこのように条文や裁判例をふまえ,適正な総会運営を行うために留意したいポイントについて解説する。なお,記載中意見にわたる部分はすべて筆者の個人的見解であり,筆者の所属する法律事務所の見解ではない。

企業法務総合 会社法 2022年7月号・特別企画

総会直前に今一度の確認を!
総会当日・総会終了以降の事務局の動き
磯野真宇

本稿では,株主総会の直前に確認したい事務局の総会当日から総会後の動きについて,項目ごとに整理し,留意点をまとめたい。気になった部分については改めてその詳細を確認いただくなど,総会直前のチェックポイントとして活用いただけると幸いである。なお,本稿において意見にわたる部分は,すべて執筆者の個人的な見解である。

会社法

活用メリットに注目!
「株式交付制度」

令和元年の会社法改正で新設された株式交付制度。株式を対価とした新たな買収手法の1つであり,その活用メリットが注目されています。完全子会社にしない買収,株式の段階的な取得など,柔軟な組織再編が可能になりました。税制上も有利な取扱いとなっており,株式交換等,他の買収手法に比して優れている点も少なくありません。企業における活用事例もみられるようになり,今後はますます増加することが見込まれます。買収手法の新たなトレンドを,本特集でキャッチアップしておきましょう!

会社法 2022年6月号・実務解説

株式対価の買収手法の比較,手続上の留意点ほか
株式交付制度Q&A
邉 英基

令和元年改正会社法により創設された株式交付は,自社株式を対価とした他社の買収手法として有力な選択肢の一つである。本稿では,株式交付の特徴,自社株式を対価とした他の買収手法との違いおよび手続上の留意点について,Q&A形式にて解説を行う。

会社法 税務 2022年6月号・特集3

税務からみた 株式交付制度の活用可能性 小山 浩

令和3年度税制改正において,株式交付に関して株主の課税を繰り延べる措置が導入されたことから,株式交付の活用促進が期待される。本稿では,株式交付の課税関係,活用方法および税務上の留意点を説明したい。

会社法 2022年6月号・連載

最新判例アンテナ
第47回 市場買集めに対して導入された有事導入型買収防衛策のルール違反に基づき,株主意思確認総会におけるいわゆるMoM決議により発動された対抗措置としての差別的新株予約権無償割当てが認められた事例
三苫 裕・秋山 円

X社ら(債権者・抗告人)は,2020年6月9日から市場内でY社株式の買集めを進め,同年7月21日には株券等保有割合が32.72%に至り,保有目的を純投資から支配権の取得へと変更した。同年8月6日,Y社取締役会は,有事導入型買収防衛策の導入を決議・公表したものの,その後も,X社らは,同防衛策に定められた手続をとることなく買集めを進めた。同年8月30日,Y社取締役会は,同防衛策に基づく差別的行使条件付新株予約権無償割当て(以下「本件対抗措置」という)の実行を決議し,同年10月22日に実施されたY社の株主意思確認総会(以下「本件株主意思確認総会」という)において,X社らおよびY社取締役ら以外の出席株主の議決権の過半数の賛成を得て,本件対抗措置の発動が承認可決された。これに対し,X社らは,本件対抗措置には株主平等原則に違反する「法令」(会社法247条1号)違反があり,また「著しく不公正」(同条2号)であるとして,その仮の差止めを求めた。原々審は,仮の差止めを認めなかったため,これを不服としてX社らが抗告した。

会社法 2022年6月号・連載

マンガで学ぼう!! 法務のきほん
第4話 株主総会準備と法務部門
淵邊善彦・木村容子

株主総会は会社の最高意思決定機関です。以前は,株式を若干数保有して株主としての権利行使を濫用することによって 会社等から不当に金品を収受・要求したり,総会会場で不規則発言をする総会屋の存在が問題となっていましたが,近年は利益供与の禁止が強化され,総会屋はほぼ存在しなくなりました。代わりに,議決権を積極的に行使する「物言う株主」(アクティビスト)や一般株主の参加が増え,会社もコーポレートガバナンス・コードやIRの観点から積極的に情報提供や対話をする,いわゆる開かれた総会になってきました。そのため,株主提案権の行使や,総会当日の質問や動議も増加しています。

会社法 2022年5月号・実務解説

親会社株式の取得禁止と親子逆転の株式交換・株式交付 金子登志雄・有田賢臣

新しい再編手法の「株式交付」を利用し,親子会社を逆転させることができるであろうか。できるとすれば,親子逆転の株式交換よりも多くのニーズがあるはずだが,きっと,結果は似ていても,株式交換と相違して,子会社が自ら親会社株式を譲り受ける株式交付では無理だと思われたに違いない。昨年7月に中央経済社から『「株式交付」活用の手引き』を出版し,そこで非公開会社での使い方を提案したが,その補充として本稿を追加する。

企業法務総合 会社法 2022年5月号・実務解説

指名ガバナンス改革の方向性──2021年サーベイ結果をもとに(下)
望ましい取締役会を実現するための 理想の指名ガバナンスとは
久保克行・内ヶ﨑 茂・飯干 悟・橋本謙太郎

指名ガバナンスとは望ましい取締役会を実現するための仕組みである。前回の「上」に引き続き,本稿「下」では,2021年指名・報酬ガバナンスサーベイの結果をもとに,指名ガバナンスとスキルマトリックス,後継者計画策定などの関係に注目する。取締役会のあり方について多くの議論があることを考えると,多くの企業にとって指名ガバナンスの整備は急務であると考えられる。

会社法 2022年4月号・実務解説

総まとめ 買収防衛策に関する近時の裁判例の動向と今後の見通し 青柳良則・佐橋雄介・生方紀裕

近時,上場会社に対して非友好的な買収が試みられる事案が増えており,そのような非友好的な買収をめぐる紛争が法廷で争われるケースも増えている。特に2021年は,新株予約権無償割当てを用いた買収防衛策に関する重要な司法判断が相次いだ年となった。本稿では,2021年に出された買収防衛策をめぐる裁判例の概要を説明するとともに,今後の見通しについて論じる。

会社法 2022年4月号・連載

株主による議決権買収の許容性とその規制のあり方 菅原滉平

株主が他の株主に対価を支払い,株主総会における議決権行使を指図したり,委任状を取得したりすること(議決権買収)は許されるだろうか。本稿では,臨時株主総会の招集株主による他の株主への利益供与が問題となった東京高決令2.11.2金判1607号38頁を題材に,議決権買収に関する議論状況を概観する。

企業法務総合 会社法 2022年3月号・特集1

ポストコロナへ向けた転換点
2022年株主総会への展望
井上 卓

2022年の定時株主総会は,1年に1回必ずやってくる上場企業の年中行事では済まされないであろう。株主総会のあり方にも,プレコロナ→ウィズコロナ→ポストコロナという大きな時代の流れのなかで,パラダイム・シフトの波が押し寄せてくることは想像に難くないからである。このような時代にこそ,企業の実務家は,株主総会は何のためにあるのかという基本に立ち返りつつ,未来を見据えた改革に取り組むべきである。