最新号

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2026年1月号

2026年11月21日発売号   1,800 円(税込)

特集1

生成AI時代の法務
――実務の現状と問うべきもの

特集2

営業秘密管理の最新実務
――基本から海外動向まで

特別企画

サイバーセキュリティ×取締役の義務・責任

特集1
生成AI時代の法務
――実務の現状と問うべきもの
業務量の増加や人材不足などを理由にリーガルテックが活用されているが,近年は生成AIの導入も活発化している。そうした時代において法務が現在できることを把握し,今後考えるべきことを検討するのが本特集である。データマネジメントの重要性,ブラックボックス化への対応,最終判断の担い手などAIを取り巻く議論は多岐にわたるなか,法務部門の本質的な提供価値を見つめ直したい。
テクノロジー・AI

法務機能を高度化するデータマネジメント
新堀光城・荒尾宗明

法務部門の業務増大と人材不足を背景に,法務テクノロジーの活用が進む。しかし多くの場合,業務の一部を「効率化」する段階に留まる。AI時代に求められるのは,データを活用し業務の「高度化」を実現することだ。本稿では,その鍵となるデータマネジメントの重要性を指摘し,リスクの予兆を捉える予防法務への実践的アプローチについて考察する。

テクノロジー・AI

リーガル・リサーチ
──信頼できる情報源をどう見極めるか
中村智子

2015年ごろから2019年にかけ,AIを活用したリーガルテックといわれているサービスが生まれた。データベースを用いることが多い基礎的なリーガル・リサーチは,リーガルテックと親和性が高いと思われがちであるが,現在に至るまでリーガル・リサーチについてはたとえば「契約書管理」などから比べるとDX化や生成AIの利用は一部でしか進んでいないようにみえる。本稿ではリーガル・リサーチと生成AI・DX化の現状,これからについて述べていきたい。

テクノロジー・AI

デジタル・フォレンジック
──干し草から針をどう掘り起こすか
池田雄一

不正調査や平時のリスクマネジメントにおいて増え続けるデータ量に効率的かつ効果的に対応するためには,AIを含む新たなテクノロジーの導入が必須である。これまでAIを含む新しいテクノロジーの導入に慎重であったフォレンジック業界が,生成AIの実用化に伴い,その捉え方が徐々に変わりつつある。ブラックボックス化された生成AIについてはなお,慎重な使用が求められる場面がある一方で,効果的に適用できるリスクマネジメント分野の開拓も進んでいる。

テクノロジー・AI

契約管理・レビュー
――眠る資産をいかに動かすか
山本 俊

生成AIはもはや実験段階を超え,契約実務でも確かな成果を上げ始めている。問題は技術の有無ではなく,どの領域にどのように使うか,そしてどんな工夫で人とAIの強みを融合させるかだ。運用設計を誤れば効果は限定的だが,正しく組み込めば,契約管理・レビュー・ナレッジ活用の生産性は劇的に変わる。本稿では,その分岐点と実務への最前線を探る。

テクノロジー・AI

ナレッジ管理
──個人知をどう共有し組織知にするか
齊藤友紀

法務相談は,事業活動を支える重要な業務であるが,そこで得られた知見は属人化しやすいという課題がある。ナレッジ管理とは,こうした組織のなかに散在する知識や経験を収集し,組織全体で再利用できる知識として整理・活用する営みであるが,そこでは業務プロセスのデジタル化と標準化が有効な手段となる。本稿では,法務のナレッジ管理とその課題,またこれらを前提とした法務の役割の変容について概観する。

テクノロジー・AI

社内研修
──AI活用人材をどう育てるか
板倉寿美

生成AI時代においては,より効率的で質の高い業務のため,いかに生成AIを活用するのかは重要な問題である。これに伴い,生成AIを使いこなすための法務部員の能力の質的な変化も必要となり,法務部員のための研修とそこでの生成AIの活用についても同様に重要な論点となってくる。本稿においては,当部における研修での生成AIの活用状況とともに,ITリテラシー向上のための研修などを紹介する。

テクノロジー・AI

AIガバナンス
──安心して大胆に使うためにどう統制するか
ジェイソン・フェルナンデス・落合由佳・早川直史・松橋智美・菊池知彦

AIは今後の企業競争力の源泉となる一方,そのリスク対応も不可欠である。当社は「AI-Native」を掲げ,全社的にAI活用を推進すると同時に,それを支えるAIガバナンスにも注力してきた。倫理・セキュリティ・プライバシー・政策企画など多角的な観点から取り組む,その具体的施策を紹介する。

テクノロジー・AI

AI時代に問いなおす法務部門の提供価値
丹治広大

AI化・DX化は,業務効率化の議論を超え,法務部門の存在意義そのものを問う局面を迎えている。手段にとらわれず,「何を成し得たい組織なのか」を出発点に,当社の取組事例を紹介しながら,法務部門の提供価値とマネジメントの新たな方向性を探る。

地平線
国境をまたぐ交流・海外への発信の価値
国際

岩倉正和

2025年9月,米国のシリコンバレーで行われた,クロスボーダー投資およびM&A学会(通常XBMA)に参加した。同学会は招待制かつ現地参加のみの学会で,英国ケンブリッジ大学ビジネススクールのピーター・ウィリアムソン教授(元学長)が開会のスピーチを行い,現在の世界の重要テーマは,①地政学リスクによる影響,②AIを中心とする新しい技術革新の波および③世界各国に広がる新しい法規制(特に経済安全保障とAIをめぐるデータ規制)だと述べられ,世界中からの参加者全員が頷いた。同教授の指摘には日本の法律家にも異存はなかろう。この感性を常に持ち磨く重要性は,激動する世界情勢のもとで海外とは常にかかわらざるをえない日本にとって,何人も否定しまい。

Trend Eye
改正製品安全4法の概要と実務上の留意点
消費者関連法

奥田敦貴

2024年6月26日,消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律が公布された(以下「改正法」という)。消費生活用製品安全法(以下「消安法」という)をはじめとする製品安全4法が約20年ぶりに改正され,2025年12月25日の施行を予定している。

Law の論点
カーボン・クレジットに関する開示・表示の実務対応
サステナビリティ・人権

横山丈太郎

SSBJの3基準(下記Ⅱ)が2025年3月に公表され,これらに準拠した温室効果ガス排出量の開示の義務づけ等に関する「中間論点整理」(下記Ⅱ)が同年7月に公表された。本稿はこれらをふまえ,カーボン・クレジット(その意義については,環境省「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)〔第4版〕」3頁等を参照)に関する開示(金融商品取引法)・表示(景品表示法)の法的義務や望ましい実務対応について,「有事」から「平時」(取引時)へフィードバックする形で提案する。

時事を斬る
M&A後の人事・労務設計における課題
労働法

岡芹健夫

◎M&Aの代表的な形態である会社合併や企業買収においては,従来の労働条件が原則としてそのまま継続・承継される。
◎実務上,M&Aの効果を有効に生じさせるために,労働条件の統合が必要となる場合があるが,その際,労働条件の不利益変更が問題となることが多い。
◎労働条件の不利益変更に関しては,不利益を被る従業員の有無や,それらの従業員への配慮といった視点が不可欠となる。

特集2
営業秘密管理の最新実務
――基本から海外動向まで
営業秘密を適切に管理することは,企業活動を行うなかで必須です。適切に管理できず,秘密情報が流出してしまうと,市場での自社の優位性あるいは強みが損なわれ,競争力の低下に直結します。
そこで,本特集では,その基本から振り返りつつ,指針の改訂から海外動向まで,営業秘密管理の最新実務について解説します
競争法・独禁法 知財

営業秘密管理の重要性と基本
島田まどか・村山俊太

営業秘密が流出した場合,当該秘密情報を保持していた企業は,競争上の有利な地位を失うばかりでなく,それが技術情報である場合には,研究開発に要した費用回収の機会を失ったり,それが顧客名簿である場合には,社会的な信用の低下を招き,さらには情報管理の不備に関して責任追及がなされたりするリスクがある。また,営業秘密としての管理が不十分であった場合には,事後的救済の局面において,そもそも営業秘密として認められない,あるいは事後的救済のための証拠収集に支障を来し,十分な被害回復を受けられないというリスクも存在する。

競争法・独禁法 知財

2025年改訂営業秘密管理指針のポイント
松永章吾

2025年3月,経済産業省の営業秘密管理指針が6年ぶりに改訂された。営業秘密管理指針は,営業秘密が侵害された場合の事後的救済として不正競争防止法による差止めや損害賠償請求等の法的保護を受けるために必要となる最低限の水準の対策を示すものである(改訂後指針2頁)。今回の改訂では,2019年以降に蓄積された刑事事件判決を含む裁判例をふまえた営業秘密三要件(不正競争防止法2条6項)がさらに明確化されるとともに,雇用の流動化,クラウドサービスの普及,生成AIの利用拡大といった社会変化に対応した実践的なものとなっている。改訂内容については立案担当者による詳細な解説1が公表されているため,本稿では,裁判例に基づく改訂ポイントを中心に,実務担当者にとって特に重要と思われる点を概観する。

競争法・独禁法 知財

近時の裁判例からみる秘密管理性要件
渡邉遼太郎

営業秘密侵害が争われる裁判では,さまざまな点が論点になるものの,やはり最も争われるのが秘密管理性要件である。本項では,近時の裁判例をふまえ,秘密管理性が認められるためにはどのような営業秘密管理をしておくことが望ましいかについて,検討する。

競争法・独禁法 知財

秘密保持契約における実務上の工夫
波田野晴朗

本稿では,平時における企業の秘密情報の管理について,実務上重要となる秘密保持契約を中心に解説する。秘密管理の基本的視点をふまえつつ,定型的な対応になりがちな秘密保持契約について,秘密保持義務を強化するための実務上の工夫や,他社から受領した情報を柔軟に利用するための実務上の工夫について,具体的な条項例とともに紹介する。

競争法・独禁法 知財

営業秘密の持出し事案における対応フロー
蔦 大輔・北澤誠己

本稿では,営業秘密の持出し事案(営業秘密の漏えい等)における対応フローを概説する。

競争法・独禁法 知財

米国・EU・中国の状況整理
――日本企業が直面しやすい紛争リスク
宍戸一樹・千賀福太郎・青木修二郎

海外(特に米国のDTSA,EUの秘密保持指令,中国の反不正当競争法)における営業秘密保護制度の概観を日本の不正競争防止法(以下「不競法」という)と対比して紹介する。また,日本企業が海外展開する際に直面するリスクを紹介する。

特別企画
サイバーセキュリティ×取締役の義務・責任
企業法務総合 情報法

サイバーセキュリティの会社法上の位置づけ
――自然災害との比較を通じた考察
山岡裕明・髙間裕貴・柏原陽平

近年,株主代表訴訟において取締役の善管注意義務違反が問われる事例が増加している。サイバーリスクは,自然災害と同様に事業継続にかかわるものであり,かつ,第三者への損害リスクを伴うものであるため,経営層の責任が問われる可能性が高まっていると思われる。本稿では,自然災害との比較を通じてサイバーリスクの特徴を整理しつつ,サイバーセキュリティに関する取締役の法的義務について考察する。

企業法務総合 情報法

サイバーセキュリティに関する取締役の責任
――米国における株主代表訴訟をふまえて
山岡裕明・髙間裕貴・柏原陽平

前稿では,自然災害との比較を通じてサイバーセキュリティの会社法上の位置づけについて検討した。それでは,善管注意義務の対象にサイバーセキュリティを講じる義務が含まれることを前提に,どのような点に留意すべきか。日本においては議論の蓄積が限られるため,本稿では,サイバーインシデントに関する米国の株主代表訴訟の裁判例を紹介のうえ,サイバーセキュリティに関する取締役の法的義務の具体的な内容について考察する。

実務解説
中小M&A市場改革の中間地点
M&A

皿谷 将

中小M&A市場は拡大を続けてきた一方,課題もみえてきている。本稿では,中小M&A市場改革に向けた検討の背景と,「中小M&A市場改革プラン」における「譲り渡し側」「市場」「譲り受け側」のそれぞれの観点からの施策の方向性について,中小M&A実務に影響が生じる可能性のある事項にも言及しながら概説する。

税務

PGM事件をふまえた
組織再編における税務上の包括否認リスク
岩品信明

組織再編は,含み損益課税の繰延べや繰越欠損金の引継ぎなど企業の税務に重要な影響を与えるため,税務調査における主要な調査項目となっている。適格要件や繰越欠損金の引継要件を充足していても,包括的否認規定(法人税法132条の2)の適用により,企業の行為または計算が否認されて多額の更正処分を受けるおそれがある。ヤフー事件,TPR事件において包括否認規定の適用が問題となり,今般,PGM事件控訴審判決が出たため,包括否認リスクについて検討したい。

企業法務総合 民法・PL法等

改正マンション法のポイントと実務への影響
――区分所有建物の管理と再生の円滑化
佐藤 元

区分所有法を含めたマンション法制全体の改正法が成立した。近年,分譲マンションは建物の老朽化と区分所有者の高齢化のいわゆる「2つの老い」に直面しており,マンション管理・再生における合意形成の困難化等が指摘されるなか,本改正は管理・再生の円滑化の方策を導入するものである。2026年4月1日より施行される新区分所有法を中心に改正マンション法のポイントと実務に与える影響を解説する。

連載
【新連載】
商業登記実務基本マスター
第1回 商業登記のアウトライン
会社法

鈴木龍介・真下幸宏・池原征明

商業登記は,企業の法務担当者にとってマストアイテムであり,正しく理解する必要がある。一方で,近時頻繁に行われている関連法令の改正に加え,デジタル化の進展に伴い,商業登記の実務も大きく変容している。
以上をふまえ,本連載では,株式会社の登記を中心に,企業の法務担当者が押さえておくべき商業登記の実務の基本的な事項を確認・整理し,実際の業務の一助となることを主眼とする。連載第1回は,商業登記のアウトラインについて取り上げることとする。

テクノロジー・AI

【新連載】事例でわかる「AI活用」ことはじめ
第1回 社内問合せ業務のAI自動化
坂 昌樹・山田健介

本連載では,企業総務・法務部におけるAI活用について,具体的な活用事例をふまえて,考えられる実装方法と法的留意点について検討する。第1回では,AI活用による問合せ業務の自動化について解説する。企業の総務・法務部門における問合せ対応業務は,時間的制約や反復性といった構造的課題を抱えている。AIチャットボットシステムの導入により,24時間対応体制の構築と人的リソースの最適配分が可能となる。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業編

2026年9月、10月の法務ニュースを掲載

■総務省,電気通信事業関係団体に対し「通信履歴の保存の在り方」に関する要請の実施
■国税庁,非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度(FAQ)公表
■木枯し紋次郎の著作権侵害訴訟・知財高裁判決
■東証,「2025年3月期決算会社の定時株主総会の状況及び今後の動向について」を公表
■東証,「グロース市場の上場維持基準の見直し等について」を公表
■公取委,「実演家等と芸能事務所,放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を公表
■公取委,改正下請法(取適法)関連規則および改正運用基準の成果ならびにパブリックコメントの結果を公表
■法務省,「借地借家法の更新拒絶等要件に関する調査研究報告書」を公表
■法務省,民事裁判情報の活用の促進に関する法律施行規則等に関する意見募集開始
■中国がレアアース輸出規制を大幅強化
■環境省,残留性有機汚染物質検討委員会第21回会合(POPRC21)の結果について発表
■金融庁,インターネット取引における認証方法や不正防止策を強化するための改正監督指針(金融商品取引業者向け等)を公表

労働法

最新判例アンテナ
第90回 労働者派遣法40条の6第1項に基づく申込みみなしおよびその承諾によって成立する労働契約において,従前の労働契約における労働契約法19条各号の事情の引き継ぎおよび同法18条の適用における労働契約期間の通算を否定した事例
(東京高判令6.11.19労判1333号78頁)
三笘 裕・大野開士

A社の従業員であったXは,A社とY社との間の業務委託契約によりY社の業務に従事していたが,その実態は,いわゆる無登録派遣または偽装請負であった。Xは,Y社に対して,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という)40条の6第1項に基づく申込みみなし制度(以下「本件制度」という)に基づき,Y社がXに対して労働契約の申込みをしたものとみなされ,Xがこれを承諾したことによって労働契約が成立したとして,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた。

国際

企業法務のための外為法入門
第2回 支払等に関する事後報告制
大川信太郎

本連載の第2回では,法第3章(支払等)に関する規制のうち,支払等に関する事後報告制を解説する。

競争法・独禁法

法務担当者のための独占禁止法"有事対応"ガイド
第3回 談合・カルテル事件の立入検査対応
神村泰輝

本連載第3回は,公取委による談合・カルテル疑義の立入検査1,いわゆる「dawn raid(暁の強襲)」を受けた当日の有事対応を取り扱う。この検査は事実上拒否できず,混乱のなかでの適切な協力が求められる。もっとも,検査に受け身で対応するだけでなく,その後の社内調査や調査開始日以後の課徴金減免申請(事後減免申請)を見据え,専門家と連携した情報収集や審査官との交渉も重要となる。

企業法務総合

法と人類学―法がつくられるとき―
第6回 制度の中で呼吸する術
――東南アジア企業社会の法文化
藪本雄登

第3回で,私はラオスの村落社会における「統治されないための術」を通じて,近代的な法制度を人びとがどのようにすり抜け,再解釈しているかを紹介しました。今回は視点を少し移し,国家の統治構造の外ではなく,その内側で呼吸する術について考えてみます。これは原口さんが述べる「グローバルな法秩序とローカルな法文化のせめぎあい」とつながります。東南アジア諸国では近年,多くの国で「英米法モデル」や「グローバル会社法制度」が導入され,グローバルな企業統治の整備が進む一方で,その運用現場では,各地の文化的・社会的文脈に根ざした独自の法実践が息づいています。

会社法 テクノロジー・AI

株主総会のDX化――壁を乗り越えるために
第4回 株主総会におけるAI活用
倉持 直

企業経営においてAIの活用が広がるなか,株主総会の準備や運営にもAIを活用する事例が増えつつある。AIの活用により業務の効率化が図られるばかりか,その強みである網羅性や新たな気づきを取り込むことができれば,株主との実質的な対話を後押しする取組みにもなりうることから,実務担当者のみならず経営者の関心は高まっている。一方で,株主総会は法定の会議体であるため,生成AIの利用で懸念される事実誤認など,不完全な情報に起因する法的リスクや,取るべき対策は少なくない。

企業法務総合

分野別 規制改革制度のトレンドと活用法
第4回 ヘルスケア
荏畑龍太郎・松田一星

第4回では,まずわが国のヘルスケア分野に関する政策・官公庁等の動きを紹介したうえで,ヘルスケア分野における規制改革制度の活用実績を紹介しつつ,直近のトレンドについて分析する。ヘルスケアビジネスに携わる読者の一助になると幸いである。

企業法務総合

法律事務所をフル活用しよう!専門弁護士に聞くAI時代の新常識
第5回 個人情報保護法・AI
杉浦健二

本稿は,AI時代において企業の法務部門と法律事務所の新たな協働を提案する連載企画の第5回である。今回は,顔識別機能付きカメラシステムを用いた新サービスについて事業部から発案を受けた場面を想定し,法改正動向のキャッチアップが事業に与えるインパクトについて,個人情報保護法の改正動向とあわせて解説する。

M&A

企業法務担当者のための「法的思考」入門
第10回 株主間の利益調整③
――M&A
野村修也

現経営陣が,物的・人的経営資源を有効(たとえばシナジーを生む形で)かつ効率的に活用できていないため,株価が低迷している会社があるとしよう。現経営陣は,この会社を経営することで私的利益を享受しているため,経営者の地位にしがみついていたところ,そこに,自らが経営権を獲得すれば,経営の効率化を通じて株価を引き上げることができると主張する者が現れ,現経営陣の反対を押し切って株の買占めを始めたとする。

消費者関連法

差止請求事例から考える
利用規約のチェックポイント
第5回 消費者の解除権を制限する条項
小林直弥・土田悠太

消費者契約においては,消費者の解除権を放棄させる条項や,解除する際の方法を限定するなど解除権を制限する条項が定められることがある。連載第5回では,近時の差止請求事例を紹介しながら,これらの条項に関する規約作成上の留意点について解説する。

国際 コンプライアンス

当局のプラクティスから学ぶ米国法
第5回 米国司法省規則に基づくデータ規制
――日本企業に求められるコンプライアンス戦略
ブロック・ダール・山田香織

2025年1月,米国司法省は,大統領令14117号に基づく新たなデータ規制(司法省規則)を公表した。グローバルなIT・データ管理体制や取引慣行の見直しが求められる局面にあり,日本企業にとっても,コンプライアンス体制の整備が急務である点について解説する。

企業法務総合

統合報告書の実例から見解くコーポレート・ガバナンス
第5回 エーザイ株式会社(エーザイ)
天野正人

2025年1月,米国司法省は,大統領令14117号に基づく新たなデータ規制(司法省規則)を公表した。グローバルなIT・データ管理体制や取引慣行の見直しが求められる局面にあり,日本企業にとっても,コンプライアンス体制の整備が急務である点について解説する。

書評
PICK UP 法律実務書
『中井康之弁護士古稀記念論文集 切り拓く,創る~実践の道程』
民法・PL法等

藤澤治奈

本書は,弁護士中井康之先生の古稀記念論文集である。中井先生は,数々の倒産や事業再生の事件を手がけ,倒産法の実務および理論をリードする著名な弁護士である。また,平成29年民法(債権関係)改正(以下「債権法改正」という)に際して,法制審議会民法(債権関係)部会の委員を務められた。

PICK UP 法律実務書
『アスベスト給付金申請ハンドブック 図解と記載例で迷わずできる!』
企業法務総合

中嶋浩二

「アスベスト」という言葉を聞くと,どこか遠い昔の問題に思えるかもしれない。しかし実際には,今もなおアスベストが原因で体調を崩し,苦しんでいる人々が多くいる。国は救済のために給付金制度を整えているが,その申請手続は複雑で,「どこから手をつければよいのかわからない」という声も多く聞かれる。そんな現場の不安に応えるために出版されたのが,小林玲生起氏による『アスベスト給付金申請ハンドブック』である。

特別収録
ビジネス実務法務検定試験 1級/2級演習問題®
企業法務総合