改正法施行までの対応事項
――内部規程・実務運用・研修等の見直し
蜂須明日香
内部通報や公益通報に関する法である公益通報者保護法は継続的な見直しが行われているところ,2025年6月4日に改正法が成立し,2026年12月1日の施行を目前としている。改正項目が相応に多岐にわたるところ,内部通報制度の所掌部署としては,社内部署・機関と連携しながら対応を進めていく必要がある。本稿では,社内スケジュール,連携部署等を整理しつつ,施行日までに自社・自グループ内で対応すべき事項を確認する。
パターン別 通報システムの再構築ポイント
――国内グループ会社・海外子会社の有無で変わる運用
諏訪貴紘
改正公益通報者保護法の義務は事業者,すなわち,法人ごとに課される。グループ経営のもとでは,親会社が体制を整えても,子会社ごとの義務履行とグループ共通窓口との整合がとれていなければ,体制整備義務違反等のリスクが生じる。他方,海外子会社には日本法の保護が及ばない場面が多く,EU指令をはじめとする現地法制への対応が別途求められる。本稿では,パターン別に,施行までに行うべき再構築の要点を整理する。
グループ内部通報制度の運用上の留意点
――受付から調査,是正・フォローアップまで
矢田 悠
本稿では,通常の内部通報の運用と重複する面もあるが,グループ内部通報制度の運用において特に重要となる留意点を,受付,調査,是正・フォローアップ,平時のメンテナンスという4つの場面に分けて整理したい。
会社外部からの通報への対応
――フリーランス・取引先事業者の役職員等への窓口整備ほか
堤 大輔
改正公益通報者保護法により,フリーランスが新たに公益通報の主体に加わる。取引先事業者の役職員とあわせ,会社外部からの通報も公益通報として対応すべきこととなる。これらの者は,事業者の業務における不正行為等の情報を把握しうる立場にある一方,取引の停止等をおそれ,自ら申告することには消極的になりやすい。本稿ではこのような観点をふまえ,窓口の整備から周知,運用までの留意点を整理する。
ハラスメント対応と内部通報制度の関係性
――カスハラ・求職者へのセクハラ対策義務化をふまえて
小林敬正
2026年10月にカスハラ・求職者等セクハラの防止措置が義務化され,12月には改正公益通報者保護法が施行されることをふまえ,企業は,ハラスメント相談と公益通報の異同を整理する必要がある。また,相談者本人の判断に依拠せず,受付時から調査途中まで複数段階で公益通報該当性を確認し,疑いがあれば速やかに法務・コンプライアンス部門へ連携する仕組みを構築することが,実効的な制度再構築のポイントとなる。
社内周知・教育と運用の工夫
――従事者の支援や濫用的通報への対応も含めて
結城大輔
2025年の公益通報者保護法改正により,労働者等への周知義務が指針上の義務から法文上の義務となり,指針・指針解説の改正により,周知内容が詳細に定められた。また,改正指針・指針解説は従事者教育を独立の項目とし,教育すべき内容等も加筆している。本稿では,周知・啓発と従事者教育に関する改正内容と実務への影響を整理し,企業がこれに対応するうえでのポイントと,濫用的通報への対応に関する実務運用上の工夫を整理する。
内部通報制度とデジタル・フォレンジック調査
小池赳司
デジタル・フォレンジックは,パソコンやモバイルなどのデバイスや,クラウド上の電子データを解析して,証拠を発見する技術であり,企業の不適切行為の調査等,さまざまな場面で活用される調査手法である。デジタル・フォレンジックは,内部通報を契機とした調査においても活用されるが,発見した証拠の取扱いには注意が必要である。
外国語による内部通報への対応
瀧澤 武
私は過去の職場で,内部通報制度の構築から運用までを担当していた。日本国内だけでなく,中国,台湾,タイ,インドネシア,インド,アメリカ合衆国,メキシコ,ブラジルに所在する関係会社についても,日本のコンプライアンス部門にて一括で通報を受けつけていた。リソースが潤沢にある企業ではなく,さまざまな制限下で試行錯誤を経て制度を運用していたが,とりわけ苦心したのが外国語対応である。そのため,苦心した点を共有し,制度運用の一助としていただければ幸いである。
内藤 篤
エンターテインメント法務,あるいはその独自性といったものを,どの階層で捉えるか,というようなことを考えるのが,何とはなしに長年の癖のようになっていて,何といってもその本質的部分は「創造」の局面で,たとえば映画を作るうえで,プロデューサーと原作者とがどのような契約を結ぶのか,というようなことがキモとなるわけだが,ではそうして作られた作品をどのように人々に届けるか,つまりは「配給」の局面においても,エンタメ法務の独自性というものは発揮されるもので,再び映画を例にとれば,劇場と配給会社はどのような契約を交わすのか,ビデオ化の際の契約条件はどのようなものなのか,というようなことである。
実務家の視点からの裁判の位置づけとあり方
企業法務において,裁判には,①将来紛争になった場合にどうなるかを示す交渉指針としての役割と②交渉戦略上の一手段(戦術)としての役割がある。また,企業法務分野での裁判によるルールメイキングについては,①仮処分手続の時間的制約,②波及効果を検討するための情報収集の限界,③精密分析と後知恵懸念といった問題があり,その守備範囲の整理が必要ではないかと考えている。
座談会 1頁で判例を伝える難しさ
三笘 裕・江坂仁志・大野開士・高村真悠子・平松慶悟
「最新判例アンテナ」は,企業法務担当者が押さえておくべき判例を1頁で簡潔に届けるという企画として2018年4月号に始まり,ほぼ毎月掲載して,2026年11月号でちょうど第100回を迎えます。第1回から私が監修役を務め,当事務所の若手弁護士4名の執筆チームが毎月交代で執筆し,チームは1年ごとに入れ替わる体制です。本日は,2025年8月号(第85回)から2026年7月号(第96回)までを担当した4名の皆さんと,企業法務における判例の位置づけや,連載の舞台裏についてお話しできればと思います。
訴状の技術とは何か
――法的分析とストーリー構成の視点から
加藤新太郎・佐藤重男
最も基本的な裁判文書といえる訴状であるが,その書き方に悩みを抱える法専門家は少なくないと思われる。良い訴状を作成するためには,文章上の技巧だけでなく,その前提となる緻密な法的分析と裁判所を説得するストーリーの構成が必要である。本稿では,訴状の作成に悩む法専門家に指針を提供するため,裁判官および訴訟弁護士としての筆者らの経験をふまえ,良い訴状を作成するために求められる技術とは何かを示したい。
ケース:一般民事
裁判所に予測可能性を持たせる
圓道至剛
一般民事の訴訟のうち,企業が当事者となることも多い分野として,不動産関連訴訟が挙げられる。本稿では,そのうち不動産賃貸借に関するトラブル(建物明渡し請求)を題材にした設例に基づき,改善点が複数ある訴状例(請求の趣旨・請求の原因部分)の検討を行う。典型的な事例であっても,種々の問題を含む訴状の記載は,実務ではしばしば見かけるので,まずは設例をふまえて訴状例を批判的に検討し,そのうえで解説をご覧いただきたい。
ケース:企業法務
スジの見えない事件を裁判所にどう伝えるか
飛松純一
本稿では,M&A契約における表明保証違反にまつわるトラブルを題材として,実務で目にするような水準の訴状例をもとに,企業法務における訴状作成の留意点について考察する。いわゆる一般民事であろうが企業法務であろうが訴状作成の本質的な考え方には大きな差はないが,企業法務における若干の特殊性を一般論として整理したうえ(後記Ⅱ),訴状例における具体的な記載を個別に検討してみたい(後記Ⅲ)。
「訴状を読む」と「訴状を作る」の違い
――裁判官・弁護士経験をふまえた所感
西野入 傑
本稿では,裁判官の立場(読む立場)からの訴状の見方と弁護士の立場(作成する立場)からの訴状の見方を,訴状という書面の性質に留意しながらそれぞれ検討したうえで,弁護士が訴状を作成する際は,法律上の要請,依頼者の意思,裁判官が訴状を読む際の着眼点など,さまざまな観点からの諸要素を考慮する必要があることをあらためて確認する。
ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する新たな法規制
上野さやか
ヒト受精胚やヒト生殖細胞にゲノム編集技術等を用いることは,将来的に遺伝性疾患等の研究や生殖補助医療に関わる可能性を有する一方,予測しえない遺伝子改変,個体発生への影響,さらに将来世代への影響を生じうる点で強い倫理的・社会的な問題を伴う。これまで日本では,ヒト受精胚等を用いる基礎的研究は関連するガイドラインの下で取り扱われてきた。しかし,ゲノム編集技術等の急速な進展もふまえ,法律による規制を設ける必要性が議論されてきた。
八代英輝
近年,欧米を中心に「修理する権利(Rightto Repair)」を制度化する動きが急速に進んでいる。背景には,電子機器の高度化に伴い,メーカーが修理に必要な部品や技術情報を独占し,消費者や独立修理業者が修理を行うことが困難となっている現状がある。
本稿では,EU指令・米国政策などをもとに,修理する権利の制度化が企業実務に与える影響を整理する。
第221回特別会で成立したビジネス関連法律
高野智子
第220回通常国会召集日である1月23日に衆議院が解散され,2月8日に執行された衆議院議員総選挙を受けて,2月18日に第221回特別会が召集された。特別会では,当初会期150日間および延長会期8日間の間に新規の内閣提出法律案64件が審議され,全件が成立した。そのなかには,以下のようなビジネス実務に重要な影響を及ぼす法律が含まれている。
2026年6月株主総会シーズンの振り返りと今後に向けた留意事項
中澤岳大
2026年6月株主総会は,歴史的な株高と株式分割の広がりを背景に個人株主数が延べ9,000万人1を超える一方,機関投資家等による株主提案が過去最多の水準に達するという,2つの潮流が同時進行するなかで開催された。また中東情勢の悪化に代表される地政学リスクに注目が集まり,その影響が市場参加者の関心事となった。本稿ではそうした状況のもとで開催された本年6月株主総会シーズンの状況を整理し,今後の株主総会に向けた留意事項を確認する。
令和8年金商法・資金決済法改正
暗号資産に係る規制の見直しの概要
芝 章浩
2026年7月15日に成立し同月23日に公布された金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号。以下「改正法」という)は,暗号資産に係る規制の見直し,サステナビリティ情報の開示・保証,スタートアップへの資金供給の促進および有価証券に関する不公正取引規制等の見直しをその内容とする。本稿では,改正法のうち,暗号資産に係る規制の見直し部分の概要について解説する
サイバー対処能力強化法施行直前
基幹インフラ事業者の委託先等に求められる対応
寺門峻佑・滝川航生
サイバー対処能力強化法の施行が間近である。同法は,主として基幹インフラ事業者に対して直接的な義務を課すものであるが,基幹インフラ事業者が同法への対応を進めるにあたり,委託先等の周辺事業者も波及的な影響を受ける場合がある。本項では,周辺事業者への影響とその対応方針について解説する。
金融ライセンス取得事業者に求められるサイバーセキュリティ
――暗号資産に係る質問票・委託先管理を題材に
清水音輝・堀田直孝
本稿は,金融ライセンスを有する事業者(以下「金融事業者」という)において問われるシステムリスク管理態勢について概観するものである。あわせて,金融機関にサービスを提供する事業者が,委託先審査への対応を契機として自社の情報セキュリティ管理態勢を点検・改善する際の留意点についても説明を行う。
改正廃棄物処理法で変わる再生資源の流通・利用
佐藤 泉
有償売却される再生資源は廃棄物処理法の規制対象外であるとされてきた常識を覆す改正廃棄物処理法が2026年6月に成立した。この規制強化は,遅くとも2029年末には施行される予定である。国際紛争の増加と資源価格の高騰のなかで,今後再生資源はどのように集められ,利用されていくのだろうか。サーキュラーエコノミーに関する法規制のあり方が大きな変化を迎えている。
令和7年度主要事例にみる企業結合規制の最新動向
石垣浩晶・金子直也・矢野智彦・益田 拓
2026年6月24日,公正取引委員会は令和7年度の主要な企業結合事例を公表した。高シェア案件でも問題なしとされた事例がある一方,措置付承認は5件と増加傾向にあり,経済分析や人流データの活用など審査手法も多様化している。本稿では,日野・三菱ふそう,イオン・ツルハ,今治造船・JMUの3事例について,過去の公表事例と比較しながら措置設計や市場画定のどこが実際に新しく,どこが従来実務の延長にあるのかを整理し,代理人・法務担当者が押さえておくべき実務対応を示す。
日置巴美・平山貴仁
本連載では,個人情報保護法の改正を契機に,企業におけるデータの利活用をめぐる法務を総合的な視点から捉え,改正法のポイントを概観するとともに,関連する法令対応や契約の見直し,ガバナンス体制・ルールの構築・運用等も視野に入れながら,企業実務における法的課題と実務対応について横断的に考察する。第1回では,これらの改正事項に密接に関連するサイバーセキュリティ対策とともに,関係法令や,契約実務等について解説する。
LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業編
7月、8月の法務ニュースを掲載。
■最高裁,当事者である労働組合の代表者とされた者に代表権が認められず,原判決に民訴法312条2項4号の上告理由があるとして破棄差戻の判断
■公取委,「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」改定案に対する意見募集開始
■環境影響評価法施行令の一部を改正する政令の閣議決定
■金融庁・東証,コーポレートガバナンス・コードの改訂を公表
■経産省,「成長投資ガイダンス」を公表
■環境省,「ネイチャーファイナンス実践ガイドライン(案)」を公表
■総務省,「オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会」報告書を公表
■東証,「投資単位の引下げに係るご検討のお願い」を通知
■経産省,「企業買収における行動指針」のポイント,Q&A等を策定・公表
■「貸金業法施行規則の一部を改正する内閣府令」を公布
■法務省,「肖像,声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会 取りまとめ報告書」を公表
■国土交通省,「土地の取得・利用等の在り方に関する有識者会議」提言取りまとめを公表
「正しい」が生む組織の死角
――沈黙・緊張・不安を読み解く視座
第6回 1on1ミーティングと対話の再設計
木曽 裕
月1回の1on1ミーティング。上司がPCの画面を見ながら「最近どう? 何かある?」と尋ねる。部下は「特にありません。業務は順調です」と答え,記録には「問題なし」と入力される。だが数時間後,その部下は同僚とのランチで「あの案件の進め方,本当は納得いっていない」と漏らす。多くの企業でみられる光景ではないだろうか。
一口海外法務ニュース
石田雅彦・川口舞佳・田中愛菜
EUでは,EU域外国からの補助金により域内市場における競争が歪められることを防止するため,2023年より外国補助金規則(Foreign Subsidies Regulation, 以下「FSR」という)が適用されている。FSRは,一定規模以上の企業結合や公共調達について事前届出制度を導入するとともに,欧州委員会に職権調査権限を付与することで,外国補助金による競争の歪曲を是正することを目的としている。
最新判例アンテナ
第100回 定年後再雇用の有期嘱託職員と無期正職員との基本給および賞与の相違につき,賃金の性質・目的および労使交渉の具体的経緯をふまえ,一部不合理と認めた事例
(名古屋高判令8.2.26労経速2616号3頁)
三笘 裕・福原菜々美
自動車学校を経営するY社を定年退職した後,Y社との間で有期労働契約を締結して嘱託職員の教習指導員として就労していたXらは,Xらの正職員定年退職時と嘱託職員時とで役職を解かれていたこと以外は職務内容および配置の変更の範囲に相違がないにもかかわらず,無期労働契約を締結している正職員との間で,基本給および賞与等の労働条件に相違があることが,平成30年法律第71号による改正前の労働契約法20条に違反すると主張して,Y社に対し,不法行為に基づく損害賠償請求等を行った。
知財法務×AIの最前線――実務課題と展望
最終回 ビジネスにおける生成AI利用
の注意点
羽鳥貴広・加藤希実・松田世理奈
本連載では日本ライセンス協会のYMCワーキンググループ有志の知財実務家が,3回にわたり,進化し続けるAIと知財法務の現況および展望について,それぞれ異なる切り口から解説してきた。最終回では,企業の事業活動において広がる生成AI利用における法的リスクと利用にあたっての対応・留意点を概説する。
ビジネスはワインとともに
~ソムリエ社労士の発想法~
第7回 探偵術
石田恵三
あなたは探偵です。提供されたワイングラスは事件現場。これからテイスティングをしてワインの正体を明らかにしていきます。
業種別 環境法務の最新トレンド
第7回 建設・不動産業
荒井正児・横山優斗
本稿では,建設・不動産業に関し,2025年の省エネ基準適合義務・省エネ性能表示制度,2030年度に向けたZEH・ZEB水準への移行,2050年を見据えたライフサイクル全体の脱炭素化という時間軸に沿って,制度の最新動向と実務上の留意点を概説する。
私の法務を支える一冊
第3回 現代における「自由からの逃走」とは
吉田成希
私からは,ドイツ出身の社会心理学者であるエーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』(東京創元社,1951)をご紹介したい。
最新事例に学ぶ EUの競争法制度と実務
第5回 デジタル市場法(DMA)の概要と執行状況
亀岡悦子
2026年7月,欧州委員会は,デジタル市場法(DMA)に基づき,Googleに対して記録的な制裁金を賦課する決定を発出した。DMAは,従来の支配的地位の濫用やカルテルについてのEU競争法とは仕組みが異なる。伝統的なアンチトラスト審査は,事後的に,違法行為の有無を個別事件ごとに支配的地位や反競争効果の存在を立証する。これに対しDMAは,デジタル市場に特化したEU法に基づき,市場できわめて大きな影響力を持つ事業者を「ゲートキーパー」と指定し,市場支配力や反競争効果を個別に立証することに重点を置かず,適切な行動義務や禁止事項を課し,実行させることに焦点を置く。本稿では,上記の決定と,政治的緊張へも触れながら,DMAの概要とその執行の現状について概観する。
各国別 上場会社買収制度のポイント
第3回 英国系(オーストラリア,カナダ)
稲葉正泰/塚原和明/戸高由貴
第3回では,英連邦主要国であるオーストラリアおよびカナダの上場会社買収制度を取り上げる。両国の買収規制の基本的な枠組みや実務上の特徴を概観するとともに,英国制度との共通点や相違点についても触れながら,その制度の特色を紹介する。
采木俊憲
生きた情報はPC共有フォルダ内だけではなく対人のやり取りのなかで得られる。成果を上げるには社内ネットワークに入る必要がある。いずれも会社員にとっては自明のことだが,インハウスに初めて転じた弁護士のなかには,自負心や責任感から1人で仕事を完結させようとし,かえって成果から遠ざかる者もいる。本書はそのような思い込みを見直す機会を与えてくれる。
PICK UP 法律実務書
『新しい担保のルールがわかる!』
飯島隆博
担保法制の抜本的改革が進んでいる。2024年には企業価値担保権が創設され,2026年5月に施行された。2025年には譲渡担保および所有権留保を統一的に規律する法律が成立・改正され,2027年末までに施行される。これらの法律を解説する書籍や論文はすでに多く刊行されているが,本書の特徴は,登記実務の最前線に立つ司法書士が,担保の本質の理解のために必要十分な内容を,平易に執筆している点にある。