2026年10月号
改訂の背景と全体像
中野常道・山田智希・宮本浩河
2026年コーポレートガバナンス・コード改訂は,コーポレートガバナンスの「実質化」を図るべく,プリンシプルベースに立ち返ることが目指され,コンプライ・オア・エクスプレインの対象とならない「解釈指針」の新設など,過去の改訂以上に全体構成にかかわる変更が加えられている。本稿では,各企業において改訂内容への具体的な対応を考える前提として,今般の改訂の全体像について,その背景にある問題意識とあわせ概観していく。
取締役会に求められる役割①
コーポレートセクレタリー・独立社外取締役
中野常道・山田智希・吉川智美
改訂CGコードにおいては,取締役会の機能強化に関し重要な内容が盛り込まれている。特に,取締役会事務局(コーポレートセクレタリー等)に関する内容は,従前のわが国における事務局のあり方に一石を投じるものであり,その背景にある問題意識を正確に理解し,実務上の対応を検討することが求められる。本稿では,「取締役会事務局」「独立社外取締役」をキーワードとして,取締役会のあり方に関する本改訂の内容について解説する。
取締役会に求められる役割②
成長投資・キャピタルアロケーション・経済安全保障
中野常道・山田智希
本稿では,改訂コードの内容を手がかりとして,現代における取締役会が果たすべき役割を,「成長投資」「キャピタルアロケーション」「経済安全保障」という3つの切り口から整理する。改訂コードでは,中長期的な「成長の道筋」を描きつつ,さまざまな形の成長投資を検討の俎上に乗せたうえ,中長期的な成長に資する経営資源(特に現預金)の配分について議論を深めることが期待されている。同時に,昨今の地政学リスクをふまえ,経済安全保障の観点から「攻め」と「守り」の両面を意識した新たなリスクマネジメントが求められている。
株主との向き合い方
総会前開示・反対票をふまえた対応等
中野常道・山田智希・角田怜央
本稿では,改訂コードが企業と株主との対話のあり方についてどのような指針を提示しているか,概観する。改訂コードは,近時特に注目されることの多い有価証券報告書の総会前開示,総会後における反対票の分析と説明,そして総会前後か否かに関わらず株主との恒常的な対話を企業活動に反映させていく仕組みの重要性を示しており,「会議体から組織体へ」という株主総会をめぐる考え方の変容を念頭に,企業として株主に対し戦略的にリーチし自社の取組みに関する理解を得ていく姿勢が求められている。
開示等における実務対応と今後の展望
中野常道・山田智希
本稿では,改訂コードへの対応を実務の観点から整理しつつ,CG報告書や有価証券報告書・事業報告等の各種開示において,改訂コードへの取組みをどのように示していくべきか,検討する。そのうえで,本改訂において新設された「解釈指針」とどう向き合うべきか,そして,CGコード以外のさまざまな動向も見据えながら,企業はこの困難な時代においてよりよいコーポレート・ガバナンスの実現に向けどのような姿勢が求められるかについて,最後に考えてみたい。
古谷一之
近時,公正取引委員会(以下「公取委」という)の積極的な法執行を背景に,「取適法」と「フリーランス法」への対応が企業法務において重要度を増してきている。「取適法」は,日本経済がデフレからインフレに移行するなかで,コストカット型の経済から価格メカニズムが機能する成長型の経済に変えていこうという政策目標の下で,20年ぶりの下請法改正により法律の名称が改められたものだ。
川島友貴
固定価格買取制度(FIT制度)が2012年に開始されて以降,太陽光発電設備の導入は急速に拡大した。太陽光パネルの製品寿命は20年から30年程度とされ,FIT制度開始から20年が経過する2030年代前半以降,大量の使用済みパネルが廃棄されることは避けられない。国の試算によれば,廃棄される太陽光パネルの量(以下「排出量」という)は2030年代後半にピークを迎え,年間50万トン程度に達する見通しである。グリーントランスフォーメーション(GX)の実現に向けて再生可能エネルギーの主力電源化が進められる一方,その「出口」をいかに制度として整備するかが喫緊の政策課題となっていた。
岡芹健夫
わが国では,すでにこの数十年の間に,少子高齢化が進行しており,その状況は改善の見込みが立っていない。そのため,ますます,全人口における高齢者比率の増加と医療費負担の上昇が見込まれるなかで,「持続可能な医療保険制度の実現に向けて,必要な保険給付等の適切な実施と世代間や世代内での負担の公平性の確保を図るため」(厚生労働省保険局「健康保険法等の一部を改正する法律案の概要」),「健康保険法等の一部を改正する法律」が2026年5月29日に成立したところである。
総論:条文に立ち返ることの大切さ
白石忠志
なぜ条文を読むことは重要で有益であるかを明らかにする。複雑な条文を読む際の工夫として,括弧書きや定義規定との付き合い方に触れる。そして,最近では民法にも増えてきた定義規定について,条文を書く側と条文を読む側の間にギャップがあることを指摘する。そのうえで,契約法の条文に現れる主な約束事を解説し,例として商法526条を,あくまで条文の読み方という形式面から,読み解いてみる。
民法521条・522条2項
――契約自由の原則とその制限
幅野直人
521条,522条2項は,契約自由の原則を定める。契約自由の原則は,契約における最も基本的な原則であるが,条文上も「法令に特別の定めがある場合を除き」,「法令の制限内において」とあるように制限を受ける場合があり,実務上はむしろ,契約自由の原則が制限される場面にこそ注意を要するところである。そこで,本稿では,契約自由の原則について概観した後,同原則が制限される場面との関係における留意点について解説を行う。
民法90条・91条
――任意規定・強行規定と公序良俗
幅野直人
契約自由の原則との関係で理解しておくべきは,任意規定と強行規定の区別である。この点は,まず,任意規定と異なる意思表示について定める91条を確認しておくべきであろう。次に,公序良俗について定める90条について解説する。契約の内容が強行規定や公序良俗に反する場合,契約は無効となり,意図した法律効果が得られなくなってしまうという重大な不利益が生ずる。この点で,90条および91条は,実務上も重要な規定である。
民法522条1項
――契約の成立における申込みと承諾
幅野直人
522条1項は,「申込み」と「承諾」によって契約が成立することを定める。そこで,本稿では,同条項の文言と絡め,"申込みとは何か","契約はどの時点で成立するか"について,実務上の留意点を交えて解説する。また,印紙税についても,この「申込み」と「承諾」を理解することが,"どの文書が課税文書となるか"を判断するうえで役立つ。最後に,契約の申込みを受けた者が 商人である場合の留意点について解説を加える。
民法533条
――同時履行の抗弁とM&A
長橋佑太朗
同時履行の抗弁は双務契約における「公平」の観点から設けられた条文である。双務契約を扱う場面では,どのような場合に同時履行の抗弁が発生し,また,どの債務につき同時履行が認められるかを意識した対応をすることが求められる。本稿では,まず,同時履行の抗弁の要件および効果を確認したうえで,M&Aにおける同時履行の抗弁を題材に,実務上の留意点を解説する。
民法536条
――危険負担と契約書のリスク分配
西田達也
536条は,双務契約において,一方の債務が履行不能となった場合に,これに対応する反対給付債務をどのように扱うかという,いわゆる危険負担に関する規定である。実務上は,民法の規定を修正した条項を設けることが多いように思われるが,リスクの分配を検討するにあたり,民法のデフォルトルールを理解することは非常に重要となる。そこで,本稿では,危険負担の基本的な枠組みを概観した後,実務上の留意点について解説を行う。
民法539条の2
――契約上の地位の移転における移転対象の特定と対抗要件
長橋佑太朗
契約上の地位の移転は,平成29年民法改正前から判例および学説上異論なく認められてきたが,同改正によって明文化された。もっとも,契約上の地位の移転によって移転する具体的な債権債務の範囲や備えるべき対抗要件については,明文があるものを除き,依然として解釈に委ねられている。そこで,本稿では,まず,契約上の地位の移転の要件および効果を概観したうえで,対抗要件等の実務上留意すべきポイントについて解説する。
民法415条・416条
――債務不履行による損害賠償
三門理恵
415条は債務不履行による損害賠償について,416条は損害賠償の範囲について定める。債務不履行に関する理解は,紛争または紛争の激化の予防という観点からも,紛争化した後の対応の観点からも非常に重要である。本稿では,債務不履行に関する基本的な解説を行ったうえで,契約書における損害賠償条項の定め方をはじめとする実務上の留意点を解説する。
民法541条〜543条
――契約解除の要件と契約条項の手当て
井上照久
契約実務において,相手方に債務不履行が生じた場合に契約を解除できるかは重要な関心事である。しかし,民法は債務不履行があれば直ちに解除を認めるわけではなく,催告の要否や不履行の軽微性,契約目的達成可能性などをふまえて解除の可否を判断する仕組みを採用している。本稿では,民法541条から543条を中心に債務不履行による解除の要件を整理するとともに,契約実務上の留意点を解説する。
民法545条――契約解除の効果
井上照久
契約解除は,単に契約関係を終了させ,その拘束力から当事者を解放するだけでなく,すでに行われた給付の処理など,その権利義務に大きな影響を及ぼす。とりわけ,解除の遡及効を前提とする民法545条の理解は,契約条項の設計や紛争予防の観点から重要である。本稿では,解除の法的効果と実務上の留意点を概観する。
民法548条の2〜548条の4
――定型約款の合意・表示・変更
西田達也
548条の2〜548条の4は,定型約款に係る合意の方法(548条の2),その内容の表示の方法( 548条の3),その内容の変更の方法( 548条の4)に関して定めを置き,いわゆる「定型約款」に関する規定を定めている。上記の各条文の条項は,定義も多く定められ,やや複雑な表現になっているため,本稿では上記の各条文の内容を簡略的に解説することとし,その上で,BtoBのウェブサービスにおける免責条項に関して実務上の留意点の解説を行う。
民法562条〜564条
――契約不適合責任の要件と買主の救済手段
天野 清
民法562条から564条は,契約不適合責任における買主の救済手段(履行の追完請求,代金減額,解除及び損害賠償)を定めた実務上最重要の規定であり,各手段の要件や効果を正しく理解することは紛争予防の観点からも重要である。そこで,本稿では,これらの条文の基本的な解釈について解説したうえで,契約不適合責任の判断のポイント,売主・買主それぞれの立場からリスクを制御するための契約書ドラフティングの要点を解説する。
民法566条・商法526条
――契約不適合責任の期間制限と検査・通知義務
天野 清
民法566条と商法526条は,買主が契約不適合責任(民法562条以下)を追及するための期間制限にかかわる重要な規定である。民法では,知った時から1年以内の通知で足りるのに対し,商法では,商人間の売買について,買主の検査・通知義務に加え,契約不適合を6カ月以内に発見して直ちに通知をすることが求められるなど,その違いを理解しておく必要がある。本稿では,両条文の基本知識を整理し,実務上の留意点について解説する。
統計作成等例外規定の新設
岡辺公志
令和8年個人情報保護法改正では,「適正なデータ利活用の推進」の一環として,統計作成等(AI開発を含む)のために要配慮個人情報の取得や個人データの第三者提供を行う場合に関する「統計作成等例外」が新設された。本稿では,その制度概要を解説する。
同意取得に係る例外規定の要件緩和
森田祐行
本稿では,令和8年個人情報保護法改正の4つの柱のうち,「適正なデータ利活用の推進」に含まれる,同意取得に係る例外規定の要件の緩和について解説する。
子どもの個人情報等取扱いの明確化・厳格化
芥川詩門
令和8年個人情報保護法改正では,子どもの個人情報等の取扱いに関する規律を新設し,16歳未満の者について法定代理人の同意取得・通知等の義務を明文化するとともに,16歳未満の者の保有個人データに関する利用停止等請求権の要件を緩和し,未成年者の最善の利益を優先して考慮すべき旨の責務規定を追加した。本稿では,改正の背景と問題意識を概観したうえで改正の具体的内容を検討し,実務上の対応ポイントを整理する。
顔特徴データ等に係る規律の新設
寺門峻佑・梶原尚樹
改正法では,顔特徴データ等の取扱いに関する新たな規律が設けられた。具体的には,「特定生体個人情報」という概念を新設し,取扱いに関する一定事項の周知義務化,利用停止等請求権および第三者提供停止請求権の新設,オプトアウト制度に基づく第三者提供の禁止を定める。本稿では,改正法における顔特徴データ等に係る規律の内容について解説する。
委託先事業者に対する義務の新設・免除
白石和泰・柿山佑人
令和8年個人情報保護法改正では,受託者である個人情報取扱事業者の義務を新設しつつ,委託先の個人情報取扱事業者等としての義務の免除についても規定した。改正の背景と問題意識を概観したうえで,改正の具体的内容を検討し,実務上の対応ポイントを整理する。
漏えい等発生時の本人通知義務の緩和
白石和泰・芥川詩門
令和8年個人情報保護法改正では,漏えい等が発生した場合に,本人への通知が困難な場合に加えて,本人への通知が行われなくても本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合も,本人通知ではなく,代替措置をとることができるものとしている。また,規則改正により,軽微事案等における報告義務の軽減,サイバー攻撃対処能力強化法(ACD法)に基づく報告義務の施行にあわせた報告窓口の一元化,違法な第三者提供の報告対象事態への追加等も予定されている。
特定の個人に働きかけが可能となる情報への規制強化
大井哲也・榊原颯子
現行法では,個人情報について不適正利用(違法または不当な行為を助長し,または誘発するおそれがある方法による利用)の禁止および不正取得(偽りその他不正の手段による取得)の禁止が定められているが(現行法19条,20条1項),個人関連情報,仮名加工情報および匿名加工情報は同規制の対象外であった。
本改正により,特定の個人に対する働きかけが可能となる個人関連情報(「連絡可能個人関連情報」)について,不適正利用および不正取得の禁止が定められるとともに(改正法31条の2),特定の個人に対して何らかの連絡を行うことができる記述が含まれる仮名加工情報および匿名加工情報についても同様に規制された(改正法42条4項,46条の2)。
オプトアウト提供先の身元等確認の義務化
杉浦翔太
いわゆる「闇名簿」問題への対応として,オプトアウト制度に基づく個人データの第三者提供について,提供元に新たな確認義務を課す改正が予定されている。改正法では,提供元であるオプトアウト届出事業者が,提供先の身元や利用目的を事前に確認し,記録することが求められる。さらに,確認を求められた提供先が確認事項を偽った場合には,過料の対象となる。本稿では,改正の概要とその背景,実務上想定される対応について解説する。
課徴金制度の導入と違法行為の抑止力強化
杉浦翔太・林 里奈
令和8年個人情報保護法改正では,違反行為への抑止力を強化するため,違反行為により経済的利益を得た事業者に対する課徴金制度が新たに導入されるとともに,勧告・命令の発出要件を柔軟化し,権利利益侵害が切迫した段階での緊急命令の発出,および重大な権利利益が侵害されるおそれがある段階での命令の発出が可能となった。加えて,違反事業者にサービスを提供する取扱関係役務提供者等に対する措置の要請についても法的根拠を整備した。本稿では,これらの改正の背景と概要を整理したうえで,実務上想定される影響と対応のポイントを検討する。
酒井ひとみ
2000年に発足した民法上の成年後見制度は,四半世紀を経て初めて大規模改正され,2028年秋以降に施行される見込みである。本改正により,法定後見は法定補助に一元化され,包括的代理権は廃止される。超高齢化社会に突入している日本において,本人の保護と取引の安全はどのように調整されることになるのか。本稿では,新制度のポイントを押さえた後,本改正が主に不動産・金融取引の企業実務にどのような影響を与えうるか概観する。
改正外国人雇用管理指針への対応
――労働条件・人事管理・育成就労等
山脇康嗣
外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策(2026年1月23日外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議決定)の策定や2027年4月1日からの育成就労法の施行予定を契機に,外国人雇用管理指針が改正された。外国人雇用管理指針それ自体は法的拘束力を有するものではない。しかし,労働法上および不法行為法上の解釈や入管法上の解釈にあたって参照されうるものであり,外国人労務管理の実務上,重要である。
出向に係る秘密情報管理の実務
――労働法と知的財産法からの考察
菰口高志・杉野文香
出向(在籍出向)は,世に広く用いられるが,秘密情報管理の観点からは種々の思わぬ落とし穴がありうる。本稿では,この問題に関する実務のあり方を労働法と知的財産法の観点から考察する。
知的財産権・ノウハウ・データに係る契約実務の見直し
――公取委等の指針・ひな形をふまえて
和田祐造
「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」(以下「本指針」という)がひな形とともに公表された。製造業に限らず全業種を対象とし,知的財産権に限られずノウハウ・データも取引対象とする点で,契約実務の見直しを促すものである。中小企業としては,大企業による知的財産権等の不当な吸い上げに対抗する武器として,大企業としては優越的地位の濫用とならないよう留意するための指針として有効に活用したい。
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業編
2026年6月、7月の法務ニュースを掲載。
■著作権法の一部を改正する法律が成立
■全銀協,「電子交換所の交換廃止時期の決定および手形・小切手交換廃止時期の明確化について」を公表
■東京地裁,組織再編成に関する行為計算否認事例で納税者勝訴判決
■厚労省,「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を改正
■最高裁,債務相続後に生じた債務免除益について非課税所得に当たらないとの判断
■公取委,「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」および「契約書ひな形」を公表
■6月総会シーズン,集中日開催比率は30.6%
■環境省,「環境課題の統合的取組と情報開示に係る手引き」(別冊)実践事例集を公表
■知財高裁,医薬用途発明および存続期間が延長された特許権の効力範囲に関する事項について意見募集を開始
■金融庁,「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」への市場関係者における対応状況等に関する実態把握結果を公表
■消費者庁,「公益通報ハンドブック」の改訂版を公表
■経産省,早期事業再生法の本年12月11日からの施行に向けQ&A等を公表
■環境省,「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンスの実践」を公表
■総務省,「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第26条に関するガイドライン」(改定案)の公表し意見募集を開始
■東証,「少数株主保護に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」を公表
■最高裁,火災事故による損害と支出を免れた費用の損益相殺と過失相殺との先後について判断
■公取委,「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」を改正
業種別 環境法務の最新トレンド
第6回 食品・飲料製造・農業関連事業
荒井正児・風間喬平
本稿では,食品・飲料製造業・農業関連事業に特に関係しやすい食品廃棄物・食品ロス,容器包装・プラスチック資源,環境表示の各制度を中心に扱う。
AI時代のコーポレート変革
第7回 AIは,データの持ち方で決まる
――固有データを資産化し,AIで増幅する
伊藤 淳・淵邊善彦・照山浩由 60
前回の最後で問いを残した。AIの成果は,どこに蓄積されるのか――データとナレッジを資産に変える設計がなければ,AI活用は使い捨てに終わる。差がつくのは,他社が再現できない自社固有のデータと判断の履歴を,法的にも運用的にも「使える」状態に整え,AIで増幅できるかどうかだ。
第7回は,銀行・官公庁を経て大手IT企業で法務・リスク管理を担った伊藤淳氏を迎え,固有データの資産化と増幅の原理を,外部評価と法的統制の両面から掘り下げる
最新判例アンテナ
第99回 議決権の代理行使における株主本人確認方法として,株式取扱規則に基づき全株懇確認指針に従った証明資料等の提出を求めることは,過度に厳格なものでなく許容されるとした事例(大津地判令7.5.27金判1739号40頁)
三笘 裕・奥崎貴大
東証上場会社であるY社の株主であるX社は,Y社の株主に対し委任状を勧誘し,Y社の定時株主総会(以下「本件株主総会」という)において議決権を代理行使しようとした。
一口海外法務ニュース
石田雅彦・若林昌博・細田大貴
近時,AIの利用が各分野で急速に拡大しており,金融分野においても,2026年3月,金融機関等におけるAIの健全な利活用の促進に向けた初期的な論点整理として,金融庁の「AIディスカッションペーパー(第1.1版)」(2025年3月の第1.0版からのアップデート版)が公表されている。AIのリスクに対する各国の認識は大きく相違するものではないが,規制アプローチは必ずしも同じではない。本稿では,世界初の包括的なAI法制であるEU AI規則(Regulation( EU)2024/1689。以下「本規則」という)を,金融分野の観点から概説する。
最新事例に学ぶ EUの競争法制度と実務
第4回 EUにおけるカルテルや違法な協定に対する規制
亀岡悦子
EUのカルテル審査は相変わらず活発で,対象となる分野も拡大する傾向にある。EUのイノベーション・持続可能性への悪影響の観点もより考慮され,デジタルカルテル探知の方法も模索されている。カルテルの立証については,欧州委員会がその権限と責任を有しており,立入検査や質問書への回答などの情報収集を通じて証拠を確保することが原則である。他方,リニエンシー制度,匿名通報制度などに依拠した審査も継続して行われている。
「正しい」が生む組織の死角
――沈黙・緊張・不安を読み解く視座
第5回 報連相の死角――報連相を30年叫んで,届かなかったもの
木曽 裕
月曜朝の定例会議。先週起きた主要取引先への納品遅れが共有された。「なぜ金曜の時点で報告しなかったのか」。部長の叱責に担当課長は言葉を失う。なぜなら,先月,別件の途中経過を報告した際には「その程度は現場で回してほしい」と言われていたからだ。
法務担当者のための著作権入門
第7回 (対談)「正解」のない著作権との向き合い方
竹内 亮・小野田 光
竹内:私はいま本誌で「法務担当者のための著作権入門」という連載を持たせていただいているのですが,書きながらいつも感じるのは,著作権というのは,法務の方にとって「とっつきにくい」分野だということです。裁判例が多くないところがあり「白か黒か」がきれいには決まらないところがある。けれども実務は,どこかで線を引いて前に進まなければいけません。
そこで今回は著作権にくわしい東宝の法務部長の小野田さんに,そもそも著作権法という独特の法律をどうやって身につけてこられたのか,著作権の権利行使についてどのように考えられているのかというところからお伺いできればと思います。
私の法務を支える一冊
第2回 「道徳基盤理論」で紡ぐ法的三段論法
青谷賢一郎
近年の「ルールベースからゴールベースへ」という潮流のなか,法的三段論法の拠り所である「規範」(法令やガイドライン)そのものが曖昧な領域が増えている。「経済安全保障」や「ビジネスと人権」などは,まさにその筆頭格だろう。既存のルールが融解した現場で,その空白をどう埋めるかが,いま問われている。
知財法務×AIの最前線――実務課題と展望
第3回 産業財産権の管理と訴訟
中村凌熙・宮澤真志・松田世理奈
本連載第3回では,知的財産権のうち産業財産権(特許権,意匠権等)を取り上げ,生成AIに関連する現状の実務や近時のトピックを概観する。生成AIによって産業財産権の実務がどのように変わっていくのか,権利化を中心とする知財管理実務と訴訟を含む権利行使実務の2つの観点で整理する。
ビジネスはワインとともに
~ソムリエ社労士の発想法~
第6回 効率的な学び方
石田恵三
私が幹事担当を引き継いだ当初,予算を抑えるために飲み放題プランを利用することが当たり前でした。ただ,飲み放題における焼酎や日本酒,ワインにはクオリティーが低いものが多く,満足していない方も多いことがわかりました。そこで多少費用がかかっても,質のよいワインや日本酒をお店に持ち込んでみました。すると,参加者の満足度が格段に上がりました。