変わりゆく世界のなかで
――前提を疑い,半歩前を読む
明司雅宏
「企業法務はビジネスや経営に近づくべきだ」などと言われることも多いが,本当にビジネスや経営に貢献できているのだろうか。AIは進化し,世界中で戦争が起こり,温暖化は止まることはない。変わってしまった世界で,法務は何に役立つことができるのだろうか。
ビジネス理解が支える法的思考
――IRACで読み解くリスクの所在と重み
天神 毅
契約に関連するリスクは,企業内法務が対処すべき主要な課題の1つである。このリスクを適切に管理するためには,その基礎として,ビジネスへの広く深い理解が必要不可欠だ。そのような認識に立ち,本稿では,企業内法務におけるリスク管理の具体例を紹介する。
リスクを不確実性と捉え直す
――AIが作る「美しい契約書」の外側をみる
橋本孝史
「法務はビジネスに貢献せよ」といわれて久しい。営利企業に属する以上当然のことが,なお繰り返し語られる背景には,リスクの指摘に終始する法務部門の姿がある。生成AIが「美しい契約書」を量産する時代において,法務に求められる価値とは何か。本稿では,リスク・マネジメントを切り口に,今なお大きな比重を占める契約審査業務において,法務が「契約書の外側」を見ることの意味を,架空の事例を通じ検討する。
経営に覚悟を迫る法務の胆力
――リスクとチャンスを見極める眼
中尾智三郎
30年間の法務人生,最初は法務の向こう側に広がっているビジネスを眺めていたら,気がつくと,ビジネスのなかから法務をみていた。「なんだ,向こう側か」と思って自分自身の真下を掘ってみたら,ちゃんと,そこには法務ローム層があった。ビジネスの世界の地盤にも周囲にも,しっかりと法務の世界があった。そんな法務とビジネスの距離感を概説する。
リスク管理体制の構築と運用
――経営トップを巻き込む働きかけ
谷口好幸
本稿では,自身の経験をもとに,企業のリスク管理体制構築について紹介し,その運用サイクルについて述べることとする。
事業部の意向を反映した契約設計
――製品・サービスにかかる取引契約にみる
迎 奈央子
契約審査においては,AIの活用等により業務効率化が進められる部分がある一方,法務部としては,契約内容およびそれに伴う潜在リスクを理解したうえで,取引の全体像,自社の事業戦略・方針などの必要な情報を事業部から引き出し,それらをふまえた適切な契約設計を行うことで,付加価値を提供できるものと考える。本稿では,製品・サービスにかかる取引について,事業部の意向を反映して契約設計した事例を紹介する。
理屈では語れない契約交渉
――総合商社で学んだ俯瞰と総合の判断
安田拓也
安田拓也企業法務を取り巻く環境は,AIの進化で一変しつつある。だが,ビジネスの成否を決めるのは,データだけでは導けない人間の判断である。リスクをどう設計し,交渉を動かすのか。総合商社の法務部という視点から,AI時代にこそ先鋭化する法務機能について考える。
人ならではの気づくこと
――タレントの不祥事と景表法対応を通して
山田裕香
近年,契約書レビューや法適合性のチェックにおいては,まずAIに一次チェックをさせ,その結果を人間が確認するという流れが一般化しつつある。AIの活用により法務業務の効率は飛躍的に高まったが,経験を積んだ実務家だからこそ気づけるポイントや,人間が真価を発揮できる場面は依然として多い。本稿では,筆者が実務で直面した事例を通じて,「人間ならではの勘所」を紹介したい。
生命・健康に資する契約設計
――医薬品ビジネスにおける法務の関与
森田樹理加
人の生命・健康に直結する医薬品を扱うヘルスケア分野では,品質・供給・スピードや各国の薬事制度といった複数の要素が複雑に交錯し,意思決定は容易ではない。こうした環境では,ビジネス理解は法務にとって重要な前提であるが,それ自体にとどまらず意思決定に接続してはじめて価値を持つ。本稿では,クロスボーダーライセンス案件を題材に,契約設計や事業判断の質がどのように変わりえたのかを具体例を通じて示す。
クリエイティブを止めるな
――テレビ局法務が現場で動く流儀
木村浩也・梅岡哲士
テレビ局の法務部は,「守り」の部門というイメージを超えて,どこまでビジネスに貢献できるのか。制作現場からの相談対応では,単にNGを伝えるだけでなく,クリエイティブな代替案を生み出す「思考の土壌」を整える役割が求められる。さらに,コンテンツのマルチユース時代においては,放送後の配信・商品化・海外展開まで見据えた知財戦略を,企画の初期段階から設計することが不可欠だ。エンタメ企業の法務部が担う,攻めの視点とその実践を,現場の内側から紐解く。
「約款上問題ない」で終わらせない
――スポーツビジネスの顧客対応の現場から
「約款上問題ない」で終わらせない
――スポーツビジネスの顧客対応の現場から
法務部門には日々,顧客クレームやトラブルに関する相談が寄せられる。その際,法務は契約条項を確認し,「法的に問題がないか」を検討する。しかし,現場部門から共有された説明のみを前提に判断を下すと,適切な対応ができない場合がある。スポーツビジネスのように顧客との感情的結びつきが強い業界では,顧客体験や実際の運用状況をふまえた事実確認,そしてエンターテインメントを提供しているという意識が特に重要となる。
「止める」から「前に進める」法務へ
――事業部の意思決定の中を知る
飯田裕子
新規事業は事業部のものであり,法務はある程度形になってから関与するもの。そう考えて「待ち」の姿勢になっていないだろうか。筆者は過去の失敗を契機に,法務として新規事業の立ち上げ段階から関与する形へと舵を切った。その結果,契約書の外側にある意思決定プロセスや現場の動きを理解できるようになり,法務判断の質とスピードが大きく変化した。本稿では,その具体的な経験と得られた示唆を共有する。
新規事業でプレゼンスを発揮する
――NOT A HOTEL2ndとDAO立上げの経験から
渡辺徹志
AIが法的アイデアを代替し始めた時代に,インハウス法務は何で差別化を図るべきか。NOT A HOTELで関与した2つの新規事業,信託受益権のセカンダリーマーケットを担う「NOT A HOTEL2nd」と暗号資産を活用した「NOT A HOTEL DAO」への関与を通じて得た答えを論じる。
ソリューション事業を支える組織進化
――最後の関門から伴走者へ
今里優介・岡田奈穂・伊藤麻衣・藤本和也
東京海上グループは,顧客の課題に応えるため,保険による補償の提供と一体化した新たなビジネスモデルとしての「ソリューション事業」構築に取り組んでいる。本稿では,新たなビジネスモデル構築への貢献に向けた法務部の取組みを紹介する。
法務は「部署」か,「文化」か
――「法務に早めに相談しておこう」が生まれる組織
前岡政勝
「もっと早く相談してくれれば」----この言葉が組織で繰り返されるとき,問題は個別案件ではなく法務の位置づけにある。企業法務Matching・司法書士・弁護士,三者の視点から,法務を「処理部門」から「意思決定の文化」へ転換するための実践論を提示する。AIが契約書レビューを担う時代に,法務担当者の価値はどこで生まれるか。
法務は「ビジネスに貢献する」のか
――分離の発想を超えた組織・人材論
丹治広大
法務は「ビジネスに貢献する」ものなのだろうか。この問いにはどこか違和感が残る。生成AIの進展は,契約実務のあり方に変化をもたらすと同時に,法務の役割をあらためて見つめ直す契機となっている。本稿では,こうした変化を前提に,「貢献」という発想そのものを見直し,法務の価値を人と組織のあり方から捉え直すことを試みる。
会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案の概要
黒田 裕
会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案が2026年3月18日に取りまとめられ,パブリックコメントに付された。今回の改正内容はいずれも規制を緩和するものであるが,実務にとって使い勝手のよいバランスのとれた改正となることを期待したい。
株式の発行の在り方に関する規律の見直し
株式の無償交付の対象範囲,株式交付制度,現物出資制度
水野奨健・谷口理歩
今回の会社法改正の大きなテーマの1つである「株式の発行の在り方に関する規律の見直し」に関して,主に株式の無償交付の対象範囲,株式交付制度の利用範囲・手続等および現物出資制度における検査役の調査を要しない範囲等について,規制の緩和が検討されている。以下では,各論点について,現在の制度の概要および中間試案の内容を概説する。
株主総会の在り方に関する規律の見直し①
バーチャルオンリー株主総会
清水 毅・壱岐祐哉
今般,バーチャルオンリー株主総会の実務上のニーズ等をふまえ,バーチャルオンリー株主総会に関する規律を会社法に設けることが検討されている。本稿では,バーチャルオンリー株主総会に関して検討されている事項を①実施要件,②実施手続等,③セーフハーバールール,④場所の定めのある株主総会の開催請求権の有無,および⑤その他の事項に整理したうえで,その概要を説明し,今後の検討事項を明らかにする。
株主総会の在り方に関する規律の見直し②
実質株主確認制度
西村修一・外村 亮
中間試案で提案されている実質株主確認制度は,A上場会社の側から仲介機関を通じて議決権の指図権を有する実質株主についての情報収集を可能とする制度と,B一定割合以上の議決権の指図権を有する実質株主に大量保有報告書等の提出義務に違反があった場合に議決権停止の制裁を科すことで大量保有報告制度を通じた支配株主についての情報開示の実効性を高める制度から構成される。制度の大枠の方向性は示されたものの,具体的にどのように運用されていくのかについてはまだみえていない部分も多く,引き続き制度構築に向けた動向に注視する必要がある。
株主総会の在り方に関する規律の見直し③
デジタル化に関するその他事項, 「会議体」としての株主総会等,株主提案権等
殿村桂司・塚原健人
会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案では,株主総会のあり方に関する規律の見直しに関して,「バーチャル株主総会及びバーチャル社債権者集会」や「実質株主確認制度」以外にも,株主総会のデジタル化に関するその他の検討事項,「会議体」としての株主総会等に関する規律や株主提案権に関する規律の見直し等が提案されている1。検討事項は多岐にわたるが,いずれも株主総会等の実務に影響を与えうるものであり,今後の議論の状況を注視する必要がある。
企業統治の在り方に関する規律等の見直し①
指名委員会等設置会社制度
岩崎友彦・甲斐凜太郎
2002年当時の状況をふまえて特異な制度として導入されて以来,実質的な変更のないまま維持されてきた指名委員会等設置会社制度は,社外取締役の選任状況の変化等を受け,見直しが検討される局面を迎えている。中間試案では,モニタリング・モデルを指向する会社のための機関形態のあり方の全般的な見直しが中長期的な課題と整理されたうえで,現時点で具体的な支障や不都合が生じている点に絞って現行法の見直しが提案されている。
企業統治の在り方に関する規律等の見直し②
責任限定契約制度,事業報告等・有報の開示
田原一樹・片瀬麻紗子
本稿では,中間試案において「企業統治の在り方に関する規律及びその他の規律の見直し」の一環として検討されている,①役員の責任に関する規律の見直し,特に責任限定契約制度の対象拡大,②事業報告等および有価証券報告書の開示の合理化について,各提案の趣旨・概要,今後の検討課題を概説する。
組織内弁護士の価値を可視化する
――JILAアワードの挑戦と展望
新熊 聡
事務所弁護士の場合,毎年12月に発表される日本経済新聞社の日経弁護士ランキングをはじめ,各種表彰の機会が豊富に存在する。最近は海外メディアによる表彰企画も増加しており,日本の法律事務所もマーケティングの一環として積極的に応募する傾向にある。依頼者側にとっても,これらランキングは専門家を探す際の重要な指標となっている。
団体賞 小規模法務部門 総合賞/パートナー機能賞
インハウス賞/医療・医療機器・医療サービス部門
法務が牽引する新たな価値の社会実装
酒井康徳
法務の判断1つが,新規事業の社会実装そのものを左右する――疾患治療用プログラムという未踏の領域に挑むなかで,私は日々その責任の重さと向き合っている。
団体賞 中規模法務部門 イノベーション賞
強い企業法務部門に向けた挑戦
安藤勝利
部門運営の一翼を担う立場となってから6年目を迎えているが,私が特に重視してきた取組みとして,「事業への貢献を高めるため,法務部のメンバーによる果敢な挑戦を後押しすること」を挙げたい。まず,メンバーが実際にどのような挑戦を積み重ねてきたか,具体的な取組みを紹介する。
団体賞 大規模法務部門 総合賞/ガーディアン機能賞
「当事者」であり続けるために
吉田真実
当社の法務部では,多様なバックグラウンドを持つメンバーの羅針盤として,「会社・事業の当事者として,楽しむ姿勢,誠実性,リーガル・エッジをもって,ユーザベースグループの持続的な成長とミッション実現に向けた意思決定を実現する」というミッションを共通言語として掲げている。会社の「当事者」であることを重視しており,法務の一人ひとりが会社の成長を担っていることを意識できるよう,取締役会や経営会議の内容を法務内でタイムリーに発信するなどの取組みを行っている。
団体賞 大規模法務部門 イノベーション賞
AI時代に問われる法務の真価
田中聡美
当社は,テクノロジーの進化とともに市場ニーズに応じて事業ポートフォリオを変革し続けてきた。こうした企業風土のもと,法務部門もまた事業部門のビジネスパートナーとして,より高い付加価値の提供を目指し継続的に改革してきた。
インハウス賞 総合賞/ガーディアン機能賞/製造・サービス業部門
"Innovative Legal"──「守る」を超えて「創る」へ
八嶋章博
法務の根幹には,コンプライアンス,契約審査,紛争対応,ガバナンスなど,企業活動を支える「守り」の機能が存在する。一方で,経営環境が急速に変化する現在,法務部門にも「企業価値をどう創るか」という視点が求められるようになった。
インハウス賞 金融機関部門
地方金融機関におけるインハウスの役割
米須陽宏
私が所属する琉球銀行は沖縄県を拠点とする地方銀行である。都市部と比べ地方は,人的資源や市場規模に制約があるが,特に沖縄県においては,それに加え,県内に所在する複数の金融機関が同種のバックオフィス業務を個別に担う非効率性や,昨今の地政学リスクの高まりをふまえた地域全体のレジリエンス強化の必要性といった特有の課題を抱えている。
特別賞
地方都市・桑名市の挑戦
金子洋三
私は,桑名市役所の組織内弁護士として,法務関連の業務を中心に複数の業務を担当してきた。現在は,魅力ある働きやすい職場づくりにソフトハード両面から取り組んでいるところである。
神田秀樹
日本の上場企業における有価証券報告書の提出タイミングをみると,近年までは定時株主総会直後に提出する企業が多かった。しかし,金融庁の呼びかけもあって,現在では有価証券報告書を総会の1日前ないし数日前に提出する上場企業が増えつつある。
南川克博
2026年12月25日,教育・保育現場におけるこどもへの性暴力事案を防ぎ,こどもの心身と尊厳を守ることを目的とした「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(こども性暴力防止法)が施行される。「日本版DBS」という報道等での呼称になじみのある読者も多いと思う。
福本洋一
今般,DX推進の潮流のなか,日本企業においても生成AIサービスの業務利用が普及・拡大している。DX推進のメリットの1つとして,「生産性や従業員エンゲージメントの向上」が挙げられるが,法務部門を含めた間接部門での活用を進める企業からは,文書作成支援・リサーチ等での限定的な利用にとどまっており,あまりメリットは感じられないという声も多い。本稿では,企業における正しいAI活用のあり方について検討したい。
これで使える! 生成AIプロンプトの設計
――7つの要素を意識した改善策
山本 俊
生成AIを法務業務に使っても,出力が浅い,根拠が不明,社内説明に使えない,という悩みは少なくない。本稿では,汎用生成AIの出力を実務で使える形に整えるため,各社公式ガイドラインの共通項を7つの要素として再構成し,契約書レビュー・社内法律相談・条文起案・経営会議向け法的見解書のビフォーアフターを通じて,作り方と直し方,運用上の限界を解説する。
押さえておくべき
海外における知的財産権の権利化支援策
柳澤智也
日本企業が海外市場において競争優位を獲得するには,進出先において知的財産の力を最大限に生かした経営,すなわち「知財経営」を実行することが必要不可欠である。本稿では,中小企業やスタートアップの海外進出先での戦略的な知的財産活動を後押しするための特許庁の海外展開支援策を紹介する。
電子署名に関する実務上の細かい論点
――代理・代行の方法
宮内 宏
本人に代わって電子署名を行う方法としては代理と代行がある。代理の場合には,代理人が本人名義の電子署名を行うため本人による電子署名との違いはない。代行では,代行者の名前は明示されずに,本人名義の電子署名が行われる。本稿では,署名代行の方法や問題点を,電子署名実施方法であるローカル署名,リモート署名および立会人型署名のそれぞれについて述べる。
八代英輝
米国によるイラン攻撃を契機として中東地域の緊張が急速に高まり,ホルムズ海峡周辺では軍艦や無人機の活動が増加している。イランは報復措置として軍事的示威行動を強め,米国も追加的な軍事展開を行うなど,双方の対立は一段と先鋭化している。
飯塚 健・高岸 亘・松田世理奈
AIの進化に伴い,知財法務の現場は大きな転換期を迎えている。本連載では日本ライセンス協会(LES Japan)のYMCワーキンググループ有志の知財実務家が,全4回にわたり,知財×AIの最前線を多角的に解説する。
第1回となる本稿では,チャットツールからエージェントへと進化する生成AIの企業活動への浸透などその現況を概観するとともに,知的財産をめぐるAI規制の動向や主要な論点を整理し,今後の実務に向けた検討の視座を提示する。
LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業編
2026年5月、6月の法務ニュースを掲載。
■東京高裁,リヒテンシュタイン財団が関連する外国子会社合算税制の課税処分取消判決
■公取委,「生成AIに関する実態調査報告書ver.2.0」を公表
TRIPP TRAPP事件最高裁判決
■法務省,「肖像・声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」を開始
■環境省,「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン」等の改訂に関する意見募集を実施
■法務省,「インターネット上の名誉侵害等の損害賠償額等に関する調査報告書」を公表
■東証,「『資本コストや株価を意識した経営』に関する要請のアップデートについて」を公表
■環境省,G7環境大臣会合の結果を公表
■中国,ブロッキング規則に基づく初の禁止命令を発令
■米国国際貿易裁判所,通商法122条に基づく追加関税を違法と判断
■公取委,「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」改正案に対する意見募集を開始
■総務省,「オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会」報告書(案)についてパブリックコメント募集を開始
■著作権法の一部を改正する法律案を閣議決定
最新判例アンテナ
第97回 取締役に対する不正調査費等相当額の損害賠償請求を相当因果関係の範囲内で認めた事例
(東京地判令7.3.27金判1725号10頁)
三笘 裕・中村日哉
X社は,その取締役であったYらに対し,実態のない契約を締結して売上を過大計上し,協力した取引先に返金する不正会計スキームを構築した点,売上架空計上による虚偽の決算書であることを認識しながら東証へ新規上場の申請等を行った点などにつき善管注意義務違反による任務懈怠があり,これにより特別調査委員会および第三者委員会の費用等の支出を余儀なくされたとして,会社法423条1項に基づき損害賠償請求を行った。
本件では,①代表取締役の任務懈怠の有無,②当該任務懈怠と相当因果関係のある損害の範囲等が争点とされているところ,本稿では②の争点を中心に紹介する。
ビジネスはワインとともに
~ソムリエ社労士の発想法~
第4回 五感で伝えるプレゼンテーション
石田恵三
海外から初めて日本にやってきたビジネスパートナーを迎え,日本についてのプレゼンテーション(以下「プレゼン」といいます)をして友好な関係を築きたいとき,話の切り口がさまざまあって,なかなか難しいものです。
AI時代のコーポレート変革
第5回 法務ひとりでは,AIは守れない
――「社長の意思」と部門横断で進めるAI経営
住谷 猛・淵邊善彦・照山浩由
連載はここまで,AIを整備したのに使われない「静かなる拒絶」(第1回),「止める法務」から「進める法務」への転換(第2回),「事故対応力」の設計(第3回),ガバナンスの土台をつくる「作る法務」への移行(第4回)を論じてきた。
浮かび上がるのは,AIガバナンスは法務ひとりでは完結しないという事実である。第5回は,コーポレート全般を統括し,早くから全社の生成AI活用を主導してきた住谷猛氏を迎え,部門横断設計と,その前提にある「経営トップの意思」を論じる。
法務担当者のための著作権入門
第5回 その曲線は機能か美か
竹内 亮
プロダクト・デザインの著作権について,わが国では長く混沌とした状況が続いてきた。商品においては,機能とデザインは双方重要であり,メーカーはデザインについても機能と同様に多くのリソースを割くが,その保護範囲と手段について,今回は,直近の最高裁判例を取り上げつつ,説明する。
最新事例に学ぶ EUの競争法制度と実務
第2回 EU企業結合規制
亀岡悦子
欧州委員会は,EU企業結合規制に基づき,一定の合併,買収,合弁事業の設立などがEU域内の競争に与える影響を事前に審査する。多くの日本企業が,欧州委員会へ自社の取引を届出したり,第三者として他社の取引に対する不服申立てや,競業企業の取引に関する情報提供要請への対応をしたりしており,本制度は日本企業の法務実務にとっても比較的なじみの深いEU競争法の一分野である。本稿では,EU企業結合規制について,法制度の概要と最近の事例から実務の近況を概観する。
業種別 環境法務の最新トレンド
第4回 半導体
川端健太・橘川文哉・時田龍太郎
半導体は,スマホ,自動車,家電など,あらゆる電子機器を動かす必需品である。近年は,データセンターのサーバーに搭載され,人工知能の頭脳の役割を果たすAI向けの半導体の需要が高まっている。
一口海外法務ニュース
石田雅彦・鵜澤圭太郎・三浦康晴
中国の増値税(日本の消費税に相当)は,これまで行政法規である「暫定条例」に基づき課税されてきたが,2026年1月1日から「増値税法」とその実施条例が施行され,法律に基づく制度として位置づけられることとなった。基本的枠組みはおおむね維持されているものの,具体的な取扱いが明確化されるだけでなく,従来のルールが一部変更されており,確認すべき事項は少なくない。
「正しい」が生む組織の死角
――沈黙・緊張・不安を読み解く視座
第3回 正論が言葉を奪うとき
木曽 裕
「その意見を裏づけるデータはありますか」
「対案がないなら批判は控えるべきです」「最終的な責任は持てるのですか」
会議室でしばしば耳にする,問いかけ。組織運営において,ファクトに基づき,対案を用意し,責任の所在を明確にするのは基本であるから,いずれも正しい。
しかし,この「正しさ」が会議の場に何をもたらしているか,立ち止まって点検する必要がある。
和田洋一
親しみやすく平易な文章で書かれているが,中身は正鵠を射ている。さらに実践へと導こうとする著者の姿勢に接し,思わず襟を正す。
本書が本質を突いているのは,経営者と人事とのコミュニケーションが困難であることを実感したうえで書いているためだと思う。