雑誌詳細

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2025年11月号

2025年9月20日発売号   1,800 円(税込)

特集1

法務担当者のための
クイズで鍛える人事労務の判断力

地平線

「攻めの法務」と「法と経済学」

Trend Eye

企業の環境DD対応の促進に向けたわが国の取組み

鼎談

3年後のあるべき企業法務の姿
~人材・組織・テクノロジーの視点から考える未来像~

特集2

社外取締役の「責任と対応」最前線を学ぶ

時事を斬る

生成AIとフェアユース
――読売新聞社の米国パープレキシティ社提訴を受けて

労働法

採 用
宇井一貴/櫛橋建太

企業は,契約自由の原則(民法)に基づき,誰を,どのような条件で採用するかについて自由に決定することができるが,当然ながらこれも無制限に認められるものではなく,一定の制約を受ける。本稿では,学歴詐称および病歴不告知に対する内定取消し,リファラル採用,ミスマッチ回避のための有期雇用契約について,その可否を解説する。

労働法

労働時間・休憩・休日
池田彩穂里/大宮葵陽

従業員の労働時間・休憩時間・休日の決定・管理は,労働条件の根幹をなすものであり,雇用主にとっても,従業員にとっても非常に重要なものである。近年,長時間労働やこれに伴う健康被害が社会問題となり,働き方改革が進んだことで,労働時間・休日に関する規制はより厳格になり,長時間労働の防止を含む安全配慮義務の観点から,雇用主にはよりいっそう正確な,労務管理が求められており,労働時間・休憩時間・休日に関する労働基準法(以下「労基法」という)の知識の重要性が増しているといえる。こうした背景をふまえ,労働時間・休憩・休日などに関する基礎知識を確認していく。

労働法

労働時間(フレックスや裁量労働制等)
高 亮/田中奈央

労働時間に関しては,業務の性質や労働者の利便性を考慮して,特殊な労働時間制度が設けられている。本記事では,若手法務部員と法務部長との会話を通じたクイズ形式で,裁量労働制とフレックスタイムに関する典型的な論点をわかりやすく記載している。

労働法

賃金の決定と変更
小鍛冶広道

賃金は使用者と労働者との間の労働契約の内容であり,契約の一方当事者にすぎない使用者が一方的に減額することはできない,というのが契約の一般原則である。また,就業規則による賃金制度の一方的不利益変更についても,高度の必要性に基づいた合理的な内容でなければ,その有効性は認められない。賃金の一方的減額変更の有効性判断においては,こうした「基本的枠組み」を常に念頭に置いて検討を進めるべきである。

労働法

配転・降格・出向
藤原宇基/市川一樹

配転・降格・出向は,労働者の賃金,職務内容,就業場所等の労働条件に変更を生じさせるもので,使用者が人事権行使(業務命令)として行う場合,その有効性をめぐってトラブルとなることがある。また,出向については,出向中の従業員の労働災害に関し出向元が安全配慮義務を負うか等,出向中の労働契約関係が問題となりうる。 本稿では,これらの点について,法務部門が押さえるべき重要なポイントを解説する。

労働法

解雇・懲戒
木下達彦

戦略的な整理解雇については人員削減の必要性が高いとはいえないことから,これに応じて解雇回避努力を手厚く行うことが求められる。職種限定社員の整理解雇の場合も配転の打診などの解雇回避努力が求められる。即戦力で採用された職種限定社員の成績不良等による解雇の場合は配置転換等の措置は必須ではないものの改善の機会を付与するのが望ましい。また,懲戒については本人に弁明の機会を与えることは不可欠である。

労働法

有期雇用
古田裕子

有期雇用契約は,労使双方の多様なニーズにこたえる柔軟な働き方を可能とするものである反面,正社員に比べて,立場が不安定であったり,待遇が低くなりがちな問題を抱えている。有期雇用労働者を保護するための規制はさまざまであるが,ここでは,主なものとして,有期雇用契約の更新拒絶(雇止め)を制限する規制,無期雇用契約への転換,不合理な待遇差の禁止(同一労働同一賃金)について取り上げる。

労働法

高齢者雇用
長崎 玲

各設問は,①定年後の継続雇用制度のもとで,有期雇用契約とした場合,契約更新を拒絶できるのはどのような場合か,②継続雇用制度が,有期雇用の従業員にはどのように適用されるのか,③継続雇用における労働条件は任意に定められるのか,という問いに対して回答を試みるものである。

労働法

ハラスメント
渡邊 徹

近時,パワハラのみならず,カスタマーハラスメントに対する事業主の措置義務も立法化され,職場におけるハラスメントに関する相談・紛争は,まさに労務問題の主要な関心ごとである。快適な職場環境を構築,維持するにあたっては,ハラスメント対策は重要な問題であるが,ハラスメント問題へ対処するにあたっての方向性を十分理解していない法務担当者が意外に少なくない。各設問において多少の勘所を示しておきたい。

労働法

メンタルヘルス・休職・安全配慮
向井 蘭

近年,職場におけるメンタルヘルス不調の問題は,企業が直面する最も重要な人事労務課題の1つである。 法務担当者には,個別の事案に対する法的な助言にとどまらず,紛争を未然に防ぐための社内規程の整備や,人事部門・産業保健スタッフと連携した体制構築を主導する役割が期待される。特にメンタルヘルス不調は,その発生から休職,そして復職に至るまで,各段階で慎重かつ適切な判断が求められ,判断に迷うグレーな領域も少なくない。本稿では,法務担当者が押さえるべき「メンタルヘルス・休職・安全配慮」に関する重要ポイントを,実践的なクイズ形式で解説する。

地平線
「攻めの法務」と「法と経済学」
企業法務に求められる役割として,違反行為の防止・コンプライアンスや不祥事発覚時の対応などの「守りの法務」(ガーディアン機能)のみならず,経営や他部門に法的支援を提供することで会社の事業・業務執行を戦略的かつ効率的に実施するための「攻めの法務」(パートナー機能)があるという認識が定着しつつある。このことは,筆者も,社会人大学院で学生と接するなかで,日々,実感している。
Trend Eye
企業の環境DD対応の促進に向けたわが国の取組み
本稿では,足元の日本企業の取組状況や,昨年度開催された「環境デュー・ディリジェンス対応促進に向けた懇談会」のポイント,今後の取組みの方向性について述べたい。
鼎談
3年後のあるべき企業法務の姿
~人材・組織・テクノロジーの視点から考える未来像~
経済産業省が主催した「国際競争力強化に向けた 日本企業の法務機能の在り方研究会」(以下「在り方研究会」とする)から「国際競争力強化に向けた 日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書 ~令和時代に必要な法務機能・法務人材とは~」(2019年11月19日)が提案されてから5年以上が経過した。報告書での当時の議論をベースに,現在の法務が抱えている問題,その解決を見据えた3年後の法務の姿を法務プロフェッショナルである3人が描き出す。
特集2
社外取締役の「責任と対応」最前線を学ぶ
コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)原則4-8は,「独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべき」としています。また,「稼ぐ力」の議論でも社外取締役について言及され,期待される能力・役割は,従前に比べてますます幅広くなってきています。 そこで,本特集では実務の最前線について,4つのテーマ「M&A」「社内コンプライアンス」「社外コンプライアンス」「損害賠償事案」に沿って解説します。
会社法 コンプライアンス

M&Aにおける社外取締役の役割
 
中西和幸

上場企業は,M&Aにおいて買収する側と買収される側のどちらの立場にも立つ可能性がある。また,買収には,取締役会の同意ある買収と同意のない買収がある。それぞれの場面において,社外取締役は,何を重視し,何に注目し,何をすべきか,問題となる。M&Aが時代とともに変化してきていることをふまえて解説する。

会社法

不正発覚時における社外取締役の存在意義
太子堂厚子

企業価値を毀損する重大な不祥事が発生した場合,株主の負託を受けて経営の監督を担う社外取締役が,実効的に機能していたか否かが厳しく問われる傾向が強まっている。社内のコンプライアンス違反等の不正の発覚時において,社外取締役はいかなる機能を発揮するべきであろうか。本稿においては,不正の調査・原因分析,公表,再発防止等の各局面,および,それに備えた平時において,社外取締役が果たすべき役割について述べる。

会社法 コンプライアンス

コンプライアンスにかかる国内外の動向と社外取締役
――ビジネスと人権・海外贈賄・海外子会社管理

青戸理成

近年,ビジネスと人権の問題がクローズアップされ,海外公務員に対する贈賄規制が強化され,また海外子会社の不祥事が問題になるなど,社外におけるコンプライアンスが問題となっている。本稿では,取締役の業務執行を監督する役割を担う社外取締役がこのようなコンプライアンスに対しどう対応すべきかについて解説する。

会社法 コンプライアンス

損害賠償事案の発生と社外取締役の義務・役割
山田和彦

損害賠償事案が発生し,社外取締役が職務上把握した場合,執行側から独立した立場から執行側の対応が経営判断の原則に照らして適切か,監督することが求められる。とりわけ,経営判断の原則に照らして大きな判断が必要となる和解の場面を中心に,社外取締役に求められる義務・役割について解説する。

実務解説
大川原化工機事件の分析
――外為法の解釈と平時対応の留意点
国際

大川信太郎/佐藤浩由

本稿では,大川原化工機事件の概要を紹介したうえで,外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という)のコンプライアンスおよび刑事事件対応の観点から,企業が得るべき対応策を検討する。

企業法務総合

2025年6月総会振り返り
――機関投資家の動向分析を中心に
飯塚 元/西口阿里沙

本稿では,各種公開資料のほか,みずほフィナンシャルグループにおける証券代行業務の受託会社を対象とする調査結果(以下「当行調査」という)に基づき, 2025年6月に開催された株主総会(以下本年6月総会」という)の概況を説明するとともに,今後の株主総会の方向性・展望等について検討する。

労働法

セキュリティ・クリアランス制度と労務への影響
金山杏佑子

セキュリティ・クリアランス制度は2025年5月に始動し,経済安全保障分野の機密管理を担う制度である。日本固有の雇用慣行や人事運用と整合させることは容易ではなく,制度始動直後である現在,各企業は試行錯誤のなかで対応を進めている。今後の本格的な運用局面に向け,早期の備えが急がれる。本稿では制度の要点と労務実務への影響を概観し,類似制度の比較を通じ今後の制度対応の方向性について実務的視座を提示する。

競争法・独禁法 M&A

令和6年度主要企業結合事例にみる規制の最新動向

石垣浩晶/金子直也/矢野智彦/益田 拓

令和6年度の企業結合届出件数は437件と前年度から大幅に増加しているが,届出前相談の活用の一般化を反映しすべての事例が第1次審査で処理された。市場シェアを目安とする公正取引委員会の規制の相場観には変化がないとみられるが,市場シェアが高くても規制されなかった事例や,合算シェアが低くても規制された事例も開示されており市場構造や多様な競争圧力の評価が重要であることがわかる。クボタによる日本鋳鉄管の株式取得は,初めてグリーンガイドラインが適用された画期的事例であり注目に値する。ANAHDによる日本貨物航空の事例では,GUPPIを用いた経済分析に基づく問題解消措置の設計が行われており,企業結合審査における経済分析の有用性の拡大を示唆している。

金商法・資金決済法 M&A

令和6年公開買付制度等改正の全体像
近澤 諒/相原海斗

公開買付制度に関し,2024年5月に金融商品取引法の改正法が成立していたところ,今般,改正法の施行日が2026年5月1日と定められるとともに,その政省令 についても改正がなされ,改正後の制度の全体像が明らかになった。これらの改正は,日本の公開買付けやM&Aの実務に少なくない影響を及ぼしうるものであり,上場会社のM&Aにかかわる実務家においては施行に向けて内容を把握しておく必要がある。

M&A

ライフサイエンス・ヘルスケア分野のDD実務
――薬事規制および知的財産権の観点から(前編)
美馬拓也

本稿では,ライフサイエンス・ヘルスケア分野におけるM&Aに特有のデューデリジェンスの視点について,前後編の全2回にわたり解説する。前編にあたる本稿では,主に薬事規制に関する留意点を中心に取り上げ,その要点を整理する。後編では,デューデリジェンスの文脈での知的財産に関連する論点を取り上げるとともに,本分野での業種の多様性ゆえに網羅的な整理は誌面の都合上困難ではあるが,筆者の実務経験をもとに,製薬メーカー,医療機器メーカー,化粧品ビジネス等の各領域における事業特性に応じたデューデリジェンスの実務的アプローチについて紹介することも試みる。

競争法・独禁法

独占禁止法コンプライアンスの向上に向けた公正取引委員会の取組み

岩下生知/川島広己

公正取引委員会は,独占禁止法の厳正な執行(エンフォースメント)との「車の両輪」として,競争環境の整備に向けた支援・唱導活動(アドボカシー)に取り組んでいる。その一環として,今般,企業コンプライアンスに関する実態調査および「実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムの整備・運用のためのガイド」の改訂を実施したため,これらについて紹介する。

時事を斬る
生成AIとフェアユース
――読売新聞社の米国パープレキシティ社提訴を受けて
◎読売新聞社が米国生成AI企業パープレキシティを著作権侵害で提訴,わが国初の報道機関による本格訴訟。 ◎米国ではフェアユースをめぐる訴訟が進行中,日米で生成AI企業の防御論理が注目される。 ◎わが国では生成AIの台頭をみすえた法改正,契約実務のアップデートなどの対応が急務。
連載
新連載
法務担当者のための独占禁止法"有事対応"ガイド
第1回 有事対応のアウトライン
競争法・独禁法

神村泰輝

本連載では,公正取引委員会(以下「公取委」という)による独占禁止法(以下「独禁法」または「法」という)違反行為の摘発を典型とする,企業の独禁法"有事対応"を取り上げる。第1回では全体像を概観し,第2回以降は,「カルテル疑義の内部通報を受けた」「ある朝に突然,公取委が営業部門に立入検査に来た」といった事例を設定し,教科書に現れない実務にも触れながら,法務担当者の平時の備え・有事のガイドとなるような解説を試みたい。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業編

■改正下請法の規則案等につき意見募集 ■「IR体制・IR活動に関する投資者の声」を公表 ■行為計算否認規定の適用めぐり納税者勝訴判決 ■気候変動に関する勧告的意見 ■取締役兼務数に関する助言基準導入に関する意見募集 ■「グリーンファイナンス市場の中長期的な発展に向けて」を公表 ■「『為替取引』の実務対応に関する論点整理」を公表 ■「スマホ特定ソフトウェア競争促進法」の政令等改正を公表 ■企業取引研究会の開催を公表 ■「労災保険制度の在り方に関する研究会」の中間報告書を公表 ■「令和7事務年度 証券モニタリング基本方針」を公表 ■生成AIを利用した労務関係のQA作成サービスの弁護士法上の適法性に関する照会に対する回答を公表 ■相互関税の全面適用が開始

争訟・紛争解決

テーマ別「インバウンド法務」の勘どころ
最終回 インバウンド訴訟・紛争解決

増山 健/仲井 晃

本連載では,インバウンド法務を日々取り扱う弁護士らが,対談形式でテーマごとに案件の特徴や問題点等について語る。今回は,外国人や外国企業が,日本で訴訟等の紛争当事者になった場合の紛争解決の実務をテーマとする。

AI・個人情報

デジタルマーケティングの法律相談
最終回 その他の実務上の法的論点

寺門峻佑/林 知宏 /榊原颯子/牧 昂平

本稿では,デジタルマーケティングにおいてしばしば問題となる実務上の論点として,データ契約の内容や,M&Aに関するデータの取扱い等において留意すべきポイントを解説する。

会社法

最新判例アンテナ
第88回 大株主に対して支払っていた相談役報酬等が会社法120条1項の利益供与に該当すると判断された事例(京都地判令7. 1.23裁判所ウェブサイト等)

三笘 裕/平松慶悟

X社は傘下に日刊新聞の発行主体を有する非上場の株式会社であるところ,1984年,約25%以上の株式の権利行使ができるオーナー家一族で取締役のY(前年に急逝した夫に代わり取締役に就任するまで専業主婦であり,企業経営への関与経験はなかった)は,全役員に辞表を提出させて預かった。また,1985年,当時の代表取締役社長甲との間で,「Yの地位,権限を支持,尊重して行動」することを前提に,Yが「甲のX社代表取締役社長たる地位を保証」する確約書(以下「本件確約書」という)を締結した。

企業法務総合 テクノロジー・AI

分野別 規制改革制度のトレンドと活用法
第2回 AI・データビジネス

荏畑龍太郎/乾 直行

第2回では,AI・データビジネスに関する規制改革制度の活用実績を紹介し,AIとリーガルテック・ヘルスケアに関する利用実績が増えている傾向にあること,具体的には,規制のサンドボックス制度の活用実績において,AI・データ・セキュリティ分野の利用実績が多いこと等の特徴を紹介する。そのうえで,AI・データビジネスに関する規制改革制度の利用を進めていく際に必要な業界団体や有識者との調整に関し留意点を述べる。

消費者関連法

差止請求事例から考える
利用規約のチェックポイント
第3回 契約不適合責任の期間制限

小林直弥/土田悠太

商品に不具合等があった場合,事業者は,契約不適合責任を負う。利用規約では,この責任を限定するために,一定期間内に事業者に連絡があった場合に限り,返品・交換等に応じるといった条項を定めることがある。第3回では,近時の差止請求事例を紹介しながら,契約不適合責任の権利行使期間を制限する条項について解説する。

会社法 テクノロジー・AI

株主総会のDX化――壁を乗り越えるために
第2回 株主に対する情報発信・対話プラットフォームの構築

川瀬裕司/松原嵩晃/小中亮典

株主総会のDX化は,個人株主に対する情報発信や対話プラットフォーム構築という面での進展が期待されている。第2回目は,個人株主向け一括プラット フォーム(招集通知関連書類等の情報受取や議決権の電子行使が一括で行えるようなプラットフォーム)について,わが国において考えられる取組みを考察するものである。

知財

特許ライセンスのオーラルヒストリー
第3回 わが国における知財活用ファンドの活動
藤木 実

官民ファンド産業革新機構が知財活用ファンドIP Bridgeを設立してから,すでに12年が経過した。民間企業の知財渉外部門からIP Bridgeに転身し,代表取締役としてファンドの経営に携わってきた立場から,日本においては稀有な存在である知財活用ファンドを紹介するとともに,その特許ライセンス活動を振り返ることで,企業における知財活用への意識や関心を高め,各企業の競争力強化のための知財戦略策定に役立てることを本稿の目的とする。

企業法務総合

法と人類学―法がつくられるとき―
第4回 法源は国内法のみにあらず

原口侑子

「家庭内DVはmarriage counsellor(結婚カウンセラー)に相談する・または,かぎつけられる」――昭和日本の仲人に似た文化に驚いたが,それだけではなかった。「そうしたらカウンセラーはチーフ(首長)(以下伝統的なリーダー)に相談して,そこでチーフダム(首長の統治する地域:Kingdomのチーフ版)の慣習法で裁くこともある」

企業法務総合

法律事務所をフル活用しよう! 
専門弁護士に聞くAI時代の新常識
第3回 広告審査のためのAIおよび外部弁護士の活用

染谷隆明/宮内優彰

本稿では,景品表示法の規制内容や同法に違反することで事業者に課されるペナルティ等について解説したうえで,不当表示を防止しつつ広告審査の負担軽減をするために考えられるAIや外部弁護士を活用方法について述べたい。

ファイナンス

投資契約における条項規定の再検討
第3回 株式の移動等のコントロール

石田 学/山下真幸

今回は,投資契約における株式の移動等のコントロールに関する条項を取り上げる。具体的には,株式の移動の制限を解説するほか,少数株主に対してM&Aに応じることを強制し,エグジットを実現しやすくするためのドラッグアロングライトについても触れる。

企業法務総合

企業法務担当者のための「法的思考」入門
第8回 株主間の利益調整①
――1株1議決権の原則

野村修也

株主総会における意思決定は,1人1票の頭数多数決ではなく,1株につき1議決権を与える資本多数決制度を採用している。

企業法務総合

契約書表現「失敗ゼロ」のオキテ
第10回 要件に分解する

藤井 塁

契約書のなかには読みにくい条項もある。そのような条項は個別の要件に分解すると,チェックすべきポイントに気づきやすい。

国際 コンプライアンス

当局のプラクティスから学ぶ米国法
第4回 米国FCPAの動向と執行ガイダンスの改定

ダニエル・センダン/山田香織

2025年6月,米国司法省はFCPAの執行ガイダンスを改定した。この改定により,FCPAの重要性が再確認されただけでなく,より標的を絞った執行体制への移行が示唆されている。本稿では,FCPAにまつわる昨今の動向とFCPAの執行ガイダンスの改定内容を分析し,特にグローバルに事業展開する日本企業などの非米国企業への影響について解説する。

知財

言語学の観点からみる商標実務
第5回 図形の持つ情報伝達力
──文字と図形のどちらが認知されるのか
西村雅子/堀田秀吾

今日,食品や飲料などのパッケージデザインの良し悪しは,売れる・売れないに直結するところ,図形と一体化した商標について,需要者は果たして図形と文字のどちらに着目して商品を選択し,どちらを記憶して後日購入しているのだろうか。そもそも初めから文字商標は記憶していない可能性もある。今回は,文字情報を伴うパッケージデザインの図形部分の認知について検討したい。

企業法務総合

PICK UP 法律実務書
『企業法務のリーガル・リサーチ』
石井隼平

特別収録
ビジネス実務法務検定試験Ⓡ 3級演習問題
企業法務総合