雑誌詳細

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2017年11月号

2017年9月21日発売号   1,609円 円(税込)

特集1

自社グループに潜むリスクを知る
海外子会社の法務マネジメント

特集2

ベンチャー投資・買収の実務ポイント

特集1
自社グループに潜むリスクを知る
海外子会社の法務マネジメント
海外子会社の不祥事がグループ全体の企業価値を毀損する事件が相次いで報道され、自社における海外子会社管理の見直しが急務となっています。ガバナンス体制や、買収時の「高値づかみ」、現地従業員と日本本社のコンプライアンスに対する認識の違いなど、さまざまな要因への対策が必要です。 しかし、国内子会社以上にリスクの認識が難しく、優先順位も低くなりがちなため、「何から手をつけたらよいか、どう対応したらよいかわからない」という声を多く聞きます。そこで、買収時から、管理体制の構築・運用におけるポイントを取り上げ、海外子会社管理の今後のあり方を検討します。
国際 コンプライアンス

リスクを知れば8割成功!
リスク把握・回避の勘所
中島 茂

現代はすべての企業活動が否応なくグローバル活動を迫られる時代である。だが、国内でさえ子会社管理は難しい。子会社の自主性尊重とグループ管理体制をどう調和させるかという根源的な課題がある。海外の場合は、さらに物理的な遠さ、文化の違い、法制度の違いといったリスク要因が加わる。東芝や富士ゼロックスの問題はこうしたリスク状況を背景に起きたものであり、すべての企業にとって他人ごとではない。海外子会社のリスクをどのように管理してゆくべきか、その方向性を多角的に検討した。

国際 コンプライアンス

社外役員の舵取りが鍵
合理的な買収意思決定を支えるガバナンス体制
長谷川俊明

海外子会社をM&Aで取得する日本企業が増えている一方で、日本企業がM&Aで取得した海外子会社に大きな会計不祥事が相次いでいる。 それら不祥事の原因を海外子会社が作ったかというと、むしろ日本企業が作ったとするほうが当たっている。日本企業による海外M&Aの失敗をなくすには、何よりもまず、日本企業によるM&Aでの「意思決定過程の合理性」を担保できるガバナンス体制を向上させることである。

国際 コンプライアンス

管理基本規程、内部統制基本方針、取締役の評価から考える
海外子会社ガバナンス体制の構築
高橋 均

会社法で規定している企業集団の内部統制システムの範囲に、海外子会社も含まれる。 他方、海外子会社には国内子会社とは異なるリスク管理の困難もある。そこで、海外子会社特有の課題を認識しつつ、親会社として海外子会社のガバナンス体制の構築のために、海外子会社管理基本規程の制定、事業年度ごとの海外子会社向け企業集団の内部統制システムの基本方針の策定、海外子会社トップの評価基準に内部統制システムの遵守状況を加えることが考えられる。

国際 コンプライアンス

3つの類型に見る
管理体制の選択ポイントと親会社の役割
杉山雅彦

企業を取り巻く事業環境、対応すべきリスクの変化スピードが格段に速くなっている現状においては、海外子会社の管理手法と合わせてガバナンス体制も適時に変えていく必要がある。海外子会社管理の業務プロセスは多岐にわたる。本章においては、個々の業務プロセスを束ねるうえで、海外子会社をどのように管理すべきかについての考え方を紹介する。

国際 コンプライアンス

会計不正の予防・早期発見のための
適切な経理機能の構築・運用
吉形圭右・南原亨成

海外子会社における会計不正の中には、親会社の企業価値に大きなダメージを与えるような事例も少なくない。こうした事態の発生を避けるためには、親会社経営陣が、海外子会社において会計不正が起こりうるリスクがあることを念頭に置き、グループとしてそのリスクに対応する管理体制を構築することが重要となる。 本稿では、会計不正の予防・早期発見の観点で最も重要と考えられる経理機能について、そのあり方と実務面での留意点を解説する。

国際 コンプライアンス

優先順位をどうつける?
管理体制の「現実的な」運用ポイント
梅津英明

近年の日本企業の積極的な海外進出に伴い、海外子会社管理に取り組む企業が増えているものの、実務上、何からどのように取り組むべきか悩んでいる企業も多い。本稿では、日本企業においてよく見られる実務上の悩みをふまえ、当初から完璧な管理態勢を目指すことの実務上の弊害も意識し、海外子会社管理では現実的に何からどのように取り組むべきか、どういった施策が実務上取り組みやすいかについて検討を試みたい。

国際 コンプライアンス

日本電産「海外キャラバン」に見る
ローカルスタッフとの対話を通じたコンプライアンス
矢口敬子

本稿では、日本電産の海外子会社におけるコンプライアンス推進のための取組み「海外コンプライアンス・キャラバン」について紹介したい。

特集2
ベンチャー投資・買収の実務ポイント
企業法務総合 ファイナンス

経営者・法務担当者が持つべき戦略的視座
水島 淳

事業会社によるベンチャー投資・買収には、他のM&A取引とは異なる戦略上の視点が存在する。本稿では、ベンチャー投資に関して、そもそもの大目標設定やとりうる投資手法、個々の投資における交渉戦略、バリュエーション交渉やデュー・ディリジェンス、最終契約の戦略上の視点を概観し、また、ベンチャー企業の買収に関し、買収目的の設定、交渉枠組の設計、デュー・ディリジェンスや最終契約における戦略上の視座について論じる。

ファイナンス

基礎から押さえる
ベンチャー投資・買収の用語集
東 陽介・岡野貴明

本稿では、ベンチャー投資における基礎的な用語、優先株式に関する用語、投資契約で使用される用語、ベンチャー企業の買収に関する用語をピックアップして解説している。

ファイナンス

事業評価から最終合意までの手続・交渉の留意点
棚橋 元

ベンチャー買収・投資の双方における初期協議から最終契約に至るまでのプロセスと事業会社が注意すべきポイントにつき解説する。

ファイナンス

条項例に見る
種類株式・投資契約のトレンドと特性
髙原達広

ベンチャー投資で利用される種類株式や投資契約について、条項例をもとにして成熟した事業会社間の提携・投資で見られる特性とは異なる特性を解説する。

ファイナンス

コンバーティブル・エクイティ誕生の背景
増島雅和

シード段階にあるスタートアップ企業による資金調達の一手法であるコンバーティブル・エクイティが誕生した背景と日本での実務の状況について解説する。

判例解説
オリンパス590億円賠償命令にみる
会社に対する役員責任の範囲
ファイナンス

髙橋陽一

本年4月27日、東京地裁は、オリンパスの損失隠し事件について、同社の歴代役員らに約590億円に上る巨額の対会社責任を認めた。本稿では、同判決の内容を概観し、ポイントとなる点をいくつか簡単に指摘する。

実務解説
平成28年度主要企業結合事例
─石油元売統合、鉄鋼製造子会社化を中心に
競争法・独禁法

石垣浩晶・金子直也・矢野智彦・青木雄介

公正取引委員会より6月に公表された、「平成28年度における主要な企業結合事例について」をもとに、近時の主要企業結合事例についての分析を行っている。

コンプライアンス

「不正調査」と「不祥事対応」の正しい理解(下)
─基本事項の再確認
小林英明

不祥事対応と不正調査の関係、不正調査結果の公表について実務のポイントを押さえつつ解説を行っている。

競争法・独禁法 国際

Brexitが欧州競争法に及ぼす影響
クーン・プラトー・押野雅史・花本浩一郎・樋口陽介

Brexitが欧州競争法の公的・私的執行にどのような影響を及ぼし得るのか解説した。

企業法務総合

少子化2018年問題に直面!
学校法人法務の現状と課題
大河原遼平

最近、学校法人に関する課題や問題が世間の耳目を集める機会が増えている。しかしながら、企業関係者にとって、学校自体は経験的に身近な存在でありながらも、その制度や組織、現在の動向や課題等についてはあまりなじみがないのではないだろうか。本稿では主に私立大学を設置する学校法人の制度や抱える課題、近時の重要な法的テーマ等について、いわゆる2018年(2020年)問題など学校法人を取り巻く現状をふまえながら、企業と異なる点を中心に解説する。

地平線
「新国富」指標にみる企業価値の今後
企業法務総合

馬奈木俊介

見えないものが見えるようになってきているというのが最近のトレンドである。 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でネットワーク関係がわかるようになり、AIで、人が行っていた仕事もデータ処理で対応でき、新たな価値を見いだせたりもしている。

Trend Eye
明日の雇用の形? 芸能プロダクション問題に見る
企業と労働者のあり方の未来形
労働法

境 真良

昨年は実に芸能プロダクション(芸能プロ)が話題になる年であった。そのきっかけは日本を代表する男性アイドルグループSMAPだった。SMAPは、所属プロダクションからの独立計画を暴露する週刊誌の報道から動揺し、途中、冠番組でのメンバーによる公開謝罪など、数々の事件の末に、昨年末、自身の冠番組の最終回とともに静かに解散した。

連載
基礎から学ぶ 広告マーケティング法
第1回 広告マーケティング法の全体像
企業法務総合

木川和広

第1回目の本稿では、日本における広告マーケティング法と、それらの法律の適用関係について、俯瞰的に解説したい。

国際

読み方・書き方徹底マスター 法律中国語・基礎講座
第1回 「、」と「、」の使い分け、禁止の表現
森川伸吾

中国内地(すなわち、台湾・香港・マカオを除く中国)の法律は、歴史的理由から平易な用語で簡明に規定されている。これに対応して、契約その他法律文書に用いられる中国語も平易なものとなっている。また、法律の分野では、日本語と中国語の単語には共通性が高い。そのため、中国語をほとんど学習したことがない方でも、基本的な文法・語彙を押さえれば、中国内地の法律文書の内容を正確に理解することが可能である。本連載は、例文の読解を通じて、そのような基本的な文法・語彙を10回に分けて解説するものである。

国際

グローバル時代のクライシスマネジメント
第7回 グローバル企業に必要な国・地域別のクライシスマネジメント
中澤可武

グローバル企業にとって、日本本社をおく地域を念頭においたクライシスマネジメント方針・手続を単に国内外の拠点にコピーしても実効性は乏しい。国・地域ごとにリスクは異なり、対応の留意点や事前訓練の優先度も異なってくる。 本稿では、まずどこから検討を始めればよいのか、いくつかの日系グローバル企業での先進事例を紐解き説明したい。

企業法務総合

外国人弁護士 世界一周 №4
Brian G. Strawn

企業法務総合

BRUSH-UP 法務英語
最終回 英文メールのマナーとシーン別メールの書き方
橘川真澄

テクノロジー・AI

サイバーセキュリティと企業法務
第2回 情報漏えい事案に関する裁判例にみる企業の責任(1)
山岡裕明

個人情報の漏えい事案に関する主要な裁判例を便宜上紛争当事者ごとに分けて紹介のうえ、そこで抽出した論点を、改めて論点別に整理する予定である。

税務

入門 税務コーポレートガバナンス
第2回 内部統制システムの見直しによる税務コンプライアンスの維持・向上
佐藤修二・武藤雄木・山下 貴

時折、税務調査を機に、役職員による横領などの不正行為が明らかとなり、追徴課税がなされる事例が見られる。こうした場合、取締役は、不正行為の存在を知らなかったとしても、内部統制システム構築義務を怠ったとして、株主代表訴訟で責任を追及されることも想定しなくてはならない。取締役がその義務を果たすためには、最低限、通常想定される範囲の不正行為を防止できる程度の内部統制システムを整備・運用する必要がある。

税務

法務部員のための税務知識
第5回 契約書の作成・取引関係の検討において生じる税務問題(4)─印紙税
岩品信明

印紙税は、法務部において契約書等を作成・検討する場合に日常的に問題になる。そのため、法務部員としては、印紙税の概要と実務において生じる問題点を理解しておくことが必要となる。特に、課税文書の意義や、契約書の意義、請負契約書と類似する文書との区別などは実務においても頻繁に問題になるため、十分に理解しておくことが望ましい。

テクノロジー・AI

情報・テクノロジー法最前線
第7回 ドローンに関する主要な法規制
林 浩美

2015年4月22日、首相官邸へのドローン墜落事件が生じた。当時の航空法は、人が乗ることができる航空機のみを念頭においており、ドローンの飛行を明確に規制する法律はなかった。しかし2015年7月14日には「航空法の一部を改正する法律案」が国会に提出され、同年9月4日に改正航空法が成立、同年12月10日に施行となった。 改正航空法の施行後もドローンの飛行ルールに関する協議は継続している。以下では、改正航空法のほか、プライバシー等・土地所有権に関する規制を取り上げる。

企業法務総合

英文M&A契約書の交渉ポイント
第12回 補償(2) 各論
西 理広・ニック・ツァイ

前号ではIndemnification(補償)の総論を解説した。本号では、より具体的な補償条項のサンプル条項や、補償請求の制限や行使手続について詳細に解説していく。

企業法務総合

先輩に学ぶ!法務ママの活躍録 №5
伊藤亜紀

40代で初めての出産。3歳の娘を追いかけ、抱き上げると体のあちこちが悲鳴をあげる。ネットで「仕事と育児の両立ってムリゲー(設定上クリアが困難なゲーム)じゃない?」という若い(であろう)ママのつぶやきを見つけて救われる。焦る自分に「ひとつずつ、ひとつずつ」と言い聞かせ、日々、不器用に奮闘中。

国際

Next Issueはどこにある? 海外の今を読む
第8回 安定・シンプルを目指す改革は労働者に何をもたらすか?
柴田洋二郎

フランス労働法は、2013年の雇用安定化法以降、重要な改革が目白押しである。2015年のマクロン法およびレプサメン法、2016年のエル・コムリ法といった具合に。いずれも、主導した大臣の名前(マクロン〔現大統領〕は経済・産業担当大臣、レプサメンとエル・コムリは労働担当大臣)が通称となっていることが、法律の重要性を推察させる。

民法・PL法等

要件事実・事実認定論の根本的課題─その原点から将来まで
第14回 要件事実論から見た新民法(債権関係)の概要 ─新民法(債権関係)における要件事実の若干の問題
伊藤滋夫

本号から始める一連の連載は、「新民法(債権関係)における要件事実の若干の問題」という共通の副題のもとに、新民法(債権関係)(平成29年法律第44号)について要件事実の視点から注目するべき要点を述べることを目的とする。

企業法務総合

PICK UP 法律実務書
『法務の技法 [OJT編]』
中村慎二

本書は、日本組織内弁護士協会(JILA)に所属するインハウスローヤー29名がその知識と経験を結集して書き上げた、類を見ない社内弁護士のバイブルである。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所 編