雑誌詳細

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2020年4月号

2020年2月21日発売号   1,700 円(税込)

特集1

今こそ変化のとき
電子契約のしくみと導入プロセス

特集2

各国の基本枠組みと最新動向
輸出規制コンプライアンス

特集3

"クレーマー"から従業員をどう守る?
企業に求められる「カスハラ」対策のすべて

特集1
今こそ変化のとき
電子契約のしくみと導入プロセス
「なぜ今の時代、契約書だけが紙なのか......」。そんな疑問・不満を持ちつつも、日頃の業務に追われていたり,実態がわからなかったりといった理由から、「電子契約」導入にふみきれない企業も多いのではないでしょうか。一方で、働き方改革の浸透による業務効率化の要請に伴い、あらゆる場面でペーパーレス化の検討が本格化し,「電子契約」を検討する必要性は確実に高まっています。本特集では、そもそも「電子契約」とは何なのか、どのような種類があるのか、訴訟ではどのように扱われるのかにつき、丁寧にご解説いただきました。また、「企業の導入実例」では、「切り替えコスト」を乗り越えた先駆者の体験談と工夫が寄せられました。契約実務の転換期において、本特集がみなさまの検討の一助になれば幸いです。
企業法務総合

電子契約をめぐる法規制と導入の検討軸
宮内 宏

契約書を電子的に作成する電子契約のメリットとしては、印紙代削減、作業効率向上・文書関係費用の削減などがある。ただし、民事訴訟における証拠力確保や税務書類としての保管には一定の措置が必要である。なお、多くの契約類型で契約書を電子化できるが、契約時に紙文書の交付が必要なものもある点に注意しなければならない。

企業法務総合

契約者署名型、サービス提供者署名型、サイン型
電子契約の種類と技術
天野文雄

本稿は、電子契約の技術的側面について解説する。電子契約においては、1どのような内容の契約が2誰と誰の間で3いつ締結されたかを証明するため、電子署名および認定タイムスタンプが用いられている。また、タッチパネルに指やペンで書く電子サインも有力だ。以下では、それぞれの手段のメリットとデメリットを示す。

企業法務総合

二段の推定との関係、証拠提出の方法等
電子契約の民事訴訟上の取扱い
圓道至剛

電子契約の導入検討に際して、企業の法務担当者から「契約をめぐって民事訴訟になった場合にも電子契約で問題は生じないのか」という点について心配する声が聞かれることが多い。本稿では、電子契約が民事訴訟における証拠としてどのように扱われるかを解説し、また実際に民事訴訟において証拠提出する際の具体的な方法等を説明する。

企業法務総合

読者からの質問に回答
電子契約導入・活用Q&A
秋野卓生

電子契約導入に関しては、単なる印紙税の節約といったニーズを超え、情報ガバナンス体制の構築の一環としての検討を期待したい。筆者は住宅・建築・土木・設計・不動産業界の法分野を専門領域としている。同業界は法規制ゆえに電子契約導入が難しい業界であるが、厳しい規制を突破して電子契約導入をしている企業もある。そのパワーの源は、企業の限られた経営資源をフルパワーで活用し、優秀な社員の働き方改革を実践するためのIT活用の一環として電子契約が位置づけられていることである。

企業法務総合

野村ホールディングス株式会社
契約書の全社集約・データ化で購買活動の戦略化を実現
大賀 顕

野村ホールディングスは、ガバナンス強化とコスト適正化施策の一環として「購買の一元化」プロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトのもとで、取引先との購買に掛かる契約書・契約情報の集約を進めてきた。また、電子署名を用いて契約締結を行う「電子契約サービス」を導入し、締結プロセスを紙による手続から電子契約へと順次切替えている。今般、これまでの活動を振り返りながら、電子契約サービス導入のきっかけ、導入時の課題と対応、導入後の効果、電子契約導入における気づきをご紹介することで、さらなる社会的利便性向上へつながっていくことを期待し寄稿させていただいた。

企業法務総合

LINE株式会社
準備と工夫でリスクに対応
山本雅道

当社は、次々と新しいサービス・アプリを開発・提供する、とてもスピードの速い会社である。そのため、「御社の契約はすべて電子化されているのですか?」と聞かれることも多い。しかし、電子契約導入にあたっては後述のようにリーガル・セキュリティリスクを含む多くの課題があり、当社でもそうした課題を1つ1つ解決しながら、一部のサービスで電子契約を導入する準備を整えている段階である。電子契約導入のきっかけとして、法務室内外でのニーズの高まりがある。当社では、月に1000通を超える契約書類の処理を行っており、契約締結・管理業務の効率化が喫緊の課題となっていた。書面の多くが押印によって処理されている一方で、海外との契約や相手方の要望によるものなど代表権者の署名が必要なケースもまだ多く、代表権者からの署名取得を担当する。事業部による改善要望が高まっていた。そこで、法務室の業務改善・戦略企画等を担当する「リーガルオペレーションズチーム」1が、電子契約導入プロジェクトを進めることになった。

企業法務総合

freee株式会社
4つの検討軸から自社に最適なツールを検討
桑名直樹・五十嵐沙織・渡邊涼子

当社では2017年に電子契約ツールを導入した。導入に際してどのような課題意識を持って検討を行ったのか、電子契約ツールを社内で展開するにあたって直面したハードルはどのようなものだったのかについて述べるとともに、実際の導入スケジュール、導入後の変化および今後解決すべき課題について、当社の実例を紹介する。

企業法務総合

株式会社SRA
導入可能な業務を洗い出し、一歩ずつ進める
陶山雄志

当社は、古参のシステムインテグレーターであり、システム開発について長年の経験を持っている企業である。お客様に対してのシステム開発については、常々、効率的であり、安定感があり、拡張性が高い等々......最善のものを提供しようと社員一同意識しているが、自社のシステムとなるとケアが足りていない。システム開発を生業とする当社にとっては医者の不養生と言っていいだろう。長い年月、自社開発のシステムを使い続けていたが、あらゆる場面で登場する紙決裁、過去データの戦略的利用ができる仕掛けがないことなど、非効率な例をあげるときりがなく、基幹システム再構築の必要性は社内課題として幾度となくあげられてきた。しかし、基幹システムをすべて刷新するとなると数億円規模の投資や多方面からの承認、十分な人員の確保が必要となり着手に踏み切れずにいた。こうした状況でも業務は継続していくため、大きな改善でなくとも少しでも業務効率化につなげられることはないかと考え、発注業務の社内決裁・対外契約につき、電子契約を導入することとした。

特集2
各国の基本枠組みと最新動向
輸出規制コンプライアンス
国際 危機管理

丸紅株式会社の取組事例を紹介
法務・コンプライアンス部門の役割・機能
上田晴康・中野光善・阿部正則

国際協調より自国優先主義が拡大しつつある昨今の国際情勢においては、政治動向と貿易規制が密接に関連し、各国の貿易規制は政治動向に合わせて目まぐるしく変化するとともに、域外適用を含め従来よりも格段に強化される傾向にある。企業としては、各国の貿易規制の動向を絶えず注視し、変化に応じた方針・体制を早急に構築する必要性に迫られているが、こうした状況下においては、貿易規制コンプライアンスに法務・コンプライアンス部門が適切に関与することが重要であると考えられる。本稿においては、貿易規制コンプライアンスのなかでも輸出規制コンプライアンスにおける法務・コンプライアンス部門の役割・機能や当社における取組事例につきご紹介したい。

国際 危機管理

米国輸出規制と日本企業における対応実務
眞武慶彦・湯浅 諭

昨今、米中貿易摩擦による輸出規制の強化に伴い、日本企業の取引が米国輸出規制に影響を受ける場面はこれまで以上に増加しつつある。しかし、このような状況下で米国輸出規制に対する十分な体制および対応を確立している日本企業の数は必ずしも多いとはいえない。そこで、本稿では、日本企業にとって特に重要な米国輸出規制とその最新動向を概説したうえで、実務上の対応のポイントを解説する。

国際 危機管理

中国の新・輸出規制の概要と日本企業の関与
手塚崇史・若山 慶

2017年の法案発表以降、しばらく目立った動きがみられなかった中華人民共和国輸出管理法1(以下「輸出管理法」という)が施行に向けて動き出している。2019年12月28日に閉幕した第13回全国人民代表大会(以下「全人代」という)常務委員会の審議後に明らかになった一部の情報(速報ベース)を含め、輸出管理法を概観する。

国際 危機管理

外為法による輸出管理規制と実務フロー
髙橋直樹

日本による韓国に対する輸出規制強化の開始以降、輸出管理制度への関心が高まっている。そこで、輸出管理制度に馴染みのない方々を念頭に置きながら、日本の輸出管理制度の概要を説明し、企業の法務担当者の業務における留意点に言及する。

国際 危機管理

各国の輸出規制と今後の動向
──EU、英国、韓国、インド、タイ、メキシコ、カナダ
篠崎 歩

米中貿易紛争をはじめとする国家間の通商関係の緊張の高まりなどを契機として、近時、各国の輸出規制にもさまざまな変化が生じている。米国および中国の輸出規制は、別稿にて詳述されることから、本稿では、各国の経済規模や日本との貿易規模から、関心が高いと思われるEU、英国、韓国、インド、タイおよびUSMCA(メキシコ・カナダ)の輸出規制について取り上げることとしたい。

特集3
"クレーマー"から従業員をどう守る?
企業に求められる「カスハラ」対策のすべて
労働法

安全配慮義務の観点からの検討を
「カスハラ」の定義と企業に求められる対応姿勢
有賀隆之

カスタマーハラスメント(カスハラ)に関しては、厚労省において、企業が顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組みを示した指針が策定されるなど、セクハラやパワハラ等に次ぐ「ハラスメント」の問題として、今後、企業としての対応が求められることになるものと考えられる。そこで、現在カスハラの何が問題とされ、また企業としてカスハラに対してどのような対策を講じる必要があるのかについて概説する。

労働法

まず何から・どう対策すべきか
対応方針策定・社内体制構築の視点
町田悠生子

パワハラ指針・セクハラ指針ともにカスハラへの言及があるが、企業に防止措置を義務づけているのはセクハラ指針のみであり、パワハラ指針は顧客等からのパワハラに関して防止措置を行うことが望ましいとするにとどまる。しかし、従業員に対する快適な就業環境の提供や安全配慮義務の履行の観点からは、顧客等からのセクハラとパワハラとで差はないため、顧客等からのセクハラへの対応レベルに合わせる形で統一的な対策を講ずるべきである。

労働法

事実確認・訴訟の検討等
「カスハラ」発生時の対処法
南谷健太

近年、顧客からの著しい迷惑行為(以下「カスハラ」という)が社会的な問題としてクローズアップされ、従業員の精神的な負担への配慮を含めた対応が重要な問題となっている。しかし、具体的にいかなる対応をとるか判断が難しいケースが多く、仮に対応を誤った場合に、状況がより悪化したり、SNS等を通じて世間に否定的に拡散されレピュテーションが毀損されたりする可能性がある。本稿では、実際にカスハラと思わしき事態が発生した際における望ましい対応について、検討を行うこととする。

地平線
何のための市場改革か
──価値創造の主体たる「上場企業の3要件」
会社法

大場昭義

昨年末、金融審議会は東京証券取引所の市場改革に関する報告書を公表した。東京証券取引所は新市場の骨子を今年の2月までに示す予定となっている。そもそも市場の再編は東京証券取引所と大阪証券取引所の統合以来の課題であった。最近では上場企業が増え続け、その6割が東証一部に集中したため時価総額1兆円以上の企業と100億円未満の企業が混在するという事態も生じ、加えて、東証株価指数に連動するインデックスファンドの拡大とともに、流動性が乏しい企業のファンダメンタルズと株価が乖離するという課題も指摘されていた。

トレンド・アイ
企業活動のグローバル化を支える
信頼ある個人データの自由な流通に向けた取組み
AI・個人情報

木澤浩亮・丸山和子

企業活動のグローバル化や多様化に伴い、データの流通量が指数的に増加している。2016年の越境データ流通量は2001年の200倍弱、さらに世界のデータ流通量全体では、2021年には、2001年の約1、400倍になるという試算もある。このようななか、個人データの十分な保護を図りつつ、自由でグローバルな流通を確保していくことがますます求められている。

実務解説

税務

グループ通算制度や国際課税分野における租税回避対応措置に注目
令和2年度税制改正のポイント
河野良介

令和2年度税制改正大綱では、経済社会の構造変化をふまえ、すべてのひとり親家庭の子どもに対する公平な税制を実現するとともに、NISA(少額投資非課税)制度の見直しを行う一方で、所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応、納税環境の整備等を行う等、さまざまな改正事項が想定されている。本稿は、企業に関係のある事項として、法人課税関係、国際課税関係の分野における重要改正事項を中心に解説する。

企業法務総合

薬機法の誇大広告に対する課徴金・措置命令制度
木川和広・徳備隆太

2019年11月27日の参議院本会議において、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という)の改正案が可決成立し、同年12月4日に公布された。この改正案には、医薬品や医療機器などに関する虚偽・誇大広告に対する課徴金制度と措置命令制度が含まれている。課徴金制度の施行日は公布から2年以内とされており、2021年12月には課徴金制度が導入されることとなるため、対象製品を販売する事業者は、それまでの間に、これまでの広告手法について、医薬品等適正広告基準等への適合性を再確認する必要がある。本稿では、新たに導入される薬機法の課徴金制度と措置命令制度について概説し、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という)の課徴金制度との異同を解説する。

競争法・独禁法

下請法違反のリスクを減らせるか
「型取引の適正化推進協議会報告書」が実務に与える影響
中野竹司

2019年12月に「型取引の適正化推進協議会報告書」が公表された。報告書では、金型等、「型の所有・取引条件」の明確化、書面化を求めると同時に、「型代金・型相当費の支払」「型の廃棄・保管」「廃棄年数・保管費用項目等の実効的目安」「型の技術・ノウハウ」について適正な取引条件設定を求めている。今後、下請法運用にも影響を与えると考えられ、従来あいまいだった型取引の明確化、適正化が産官学を巻き込み進んでいくことが予想される。

知財

IoT通信規格の標準必須特許
──FRAND実施料をめぐる潜在的争点
池谷 誠

2020年3月以降、わが国の主要通信キャリアが、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスを開始する。5Gとはいうまでもなく、現行の4G(LTE)と比べ高速大容量、低遅延、多数同時接続を特徴とするセルラー通信規格であり、デジタル経済を進化させる中核的技術となるとみられている。そして、5Gを含むさまざまな通信技術が利用可能となることで、IoT(Internet of Things)が急速に進展することが期待されている。

会社法 国際

日・米との比較で検討する
対イスラエル投資、M&Aの最新実務
田中真人

最先端技術を生み出し続ける、スタートアップ大国イスラエル。2014年1月にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が訪日したころから、日本との間のビジネスが急激に発展し、2012年に約2億円だった日本からイスラエルへの投資額は、2017年には約1、300億円に到達した。また、2013年に25社だったイスラエルに進出した日系企業数は、2018年には70社を超えた。2020年3月に念願の日本との定期直行便の就航が決まっており、今後ますます日本企業の進出が予想される。筆者は、2018年9月からイスラエルの大手法律事務所に出向し、多くの日系企業のイスラエル進出・投資等をサポートしてきた。本稿では、筆者の経験をふまえて、主にイスラエルでの投資取引、M&Aにおいて検討すべき法的問題点等について紹介する。

AI・個人情報

行動ターゲティング広告と日米欧のプライバシー保護規制(中)
鈴木翔平・松永耕明

前月号の記事「行動ターゲティング広告と日米欧のプライバシー保護規制(上)」では、行動ターゲティング広告の仕組みと、行動ターゲティング広告に関連するEUのプライバシー保護規制について説明した。今回は、米国における規制について解説する。

連載

企業法務総合

LEGALHEADLINES
森・濱田松本法律事務所

2019年12月〜2020年1月

民法・PL法等

最新判例アンテナ
第24回 相続財産についての情報が、ただちに相続人等の個人情報保護法2条1項にいう「個人に関する情報」にあたるとはいえないとされた事例(最判平31.3.18金判1569号8頁)

三笘 裕・平野裕佳

AI・個人情報

「個人情報保護法」世界の最新動向
第3回 タイ――本年5月27日に適用開始
石川智也

今回より、第2回で紹介したデータプライバシー・コンプライアンス体制を構築する際に行う調査の項目に沿って、日本企業にとって重要と考えられる個人情報保護法制を紹介していく。今回は、本年5月27日に本格的に適用開始となるタイの個人情報保護法について解説する。タイの個人情報保護法は、多くの点でGDPRの内容を取り込んでおり、また、違反の態様によっては現地の責任者が身体拘束される可能性のある刑事罰まであるため、タイに進出している日本企業の関心は非常に高い。なお、本稿における条数は、すべてタイの個人情報保護法の条文番号を指す。

企業法務総合 国際

ロイヤーの使い方を押さえる!法務のための英単語辞典
最終回 「みなす」「推定する」「仮定する」を表す表現
豊島 真

最終回のテーマは、「みなす」「推定する」「仮定する」である。

企業法務総合

対話で学ぶ 法務対応の勘所
第5回 DueDiligence
朝倉 亮

大学卒業後、総合商社の法務部に配属された新人Aは、法律事務所での勤務経験がある社内弁護士Bが率いるチームに所属し、さまざまな案件を担当することになった。

争訟・紛争解決

ストーリーでわかる訴訟手続の基本(民事編)
第6回 和解、判決言渡し、控訴提起の判断等
大久保由美・福谷賢典

甲社が製造し顧客の工場に納入した機械が、乙社から供給を受けた部品の腐食による折損が原因で運転を停止し、甲社はこれにより損害を被ったため、乙社に対する損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。請求金額は、訴訟の中途での増額分も含め、約6000万円である。当該訴訟では、部品購入前の甲社・乙社の担当者間の打合せに参加した甲社のA主任および乙社のB部長の証人尋問が実施されることとなり、2月21日に開かれた証拠調期日において、まずはA主任の尋問が終了した。

企業法務総合

株式会社以外のビークルの実務
第2回 合同会社
立花 宏

合同会社は平成18年に施行された「会社法」により設けられた比較的新しい会社類型です。年々、設立数が増加しており、実務における存在感を増しつつあります。会社を設立する際の選択肢としてはもちろん、取引の相手方等として登場する頻度も高くなっていくでしょうから、今後も合同会社を理解することの重要性は増していくものと思われます。そこで、本連載の2回目は、合同会社について取り上げます。

争訟・紛争解決

知って、活用!国際仲裁・国際調停
第3回 主要な仲裁条項・緊急仲裁人手続
岡田春夫

前回(第2回、2020年2月号掲載)では、日本企業に利用されている世界の仲裁機関の比較と、日本の企業等にとって、仲裁機関をどのように選択すればよいのかを解説した。第3回となる本稿では、仲裁条項について解説する。また、次回(第4回、2020年6月号掲載予定)からは仲裁手続の解説に入るが、本稿では、最近重要性を増している、仲裁廷の成立を待っていたのでは間に合わない場合に利用される仲裁手続開始前の緊急仲裁人手続(緊急保全措置命令申立手続)についても解説する。

会社法 国際

米国ジョイントベンチャーの最新実務
第4回 経済条件に関する条項
竹内信紀・田中健太郎・松永耕明

本連載は、米国にて、米国の州法を準拠法として組成されたジョイントベンチャー(以下、「JV」または「米国JV」という)について、公開情報をもとに、米国JVの実例や件数、その一般的なスキーム等を検討し(第1回ないし第3回)、英文のJV契約のサンプル条項を明示しながら、米国JVに係る検討事項および問題点を紐解く(第4回以降)連載である。第4回以降は、上記のとおり、JV契約の各条項の趣旨の検討と、記載例に係る分析に移る。

競争法・独禁法

証拠からみる独禁法違反認定の鍵
第4回 モディファイヤー事件
向 宣明

本連載は、独占禁止法違反を疑われる行為の当時の文書が、証拠としてどのように評価されることになるのか、実例をふまえた検討を行うことで、同種事案への対処についての示唆を得ようとするものである。今回は、本連載第1回の東芝ケミカル事件の判示をふまえつつ、カルテル行為に関する「共同して」等の要件についての判断が示された事例である塩化ビニル樹脂向けモディファイヤー事件(以下「本件事案」という)を取り上げる。なお、証拠の状況を理解するこ とは、判示の趣旨を理解するうえでも有用であり、参考になる。

ファイナンス

トークン・ビジネス法務入門
第4回 暗号資産(仮想通貨)の規制上の取扱い①
芝 章浩

これまでは各種トークンの民事的側面を取り上げてきたが、今回からは規制上の取扱いについて概説を行うこととし、今回はそのなかでも主として「暗号資産交換業」(現行法上は「仮想通貨交換業」)の規制について概説する。なお、今春施行予定の情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律28号)による改正により「仮想通貨」は「暗号資産」に呼称変更され、その規制上の取扱いも大幅に改められることとなる。本稿では、2020年1月14日にパブリック・コメントに付された政令・内閣府令案等(以下「パブコメ案」という)を前提に、改正後の暗号資産交換業規制に焦点を当てて概説するが、パブコメ案については変更があり得る点にご留意されたい。

民法・PL法等

債権法改正企業対応の総点検
第10回 債権譲渡・債務引受・契約上の地位移転に関する債権法改正の留意点
岸野祐樹

企業間の取引では、日常的に、契約に伴う債権が発生する。発生した債権について、債権者は取引の相手方である債務者から弁済を受けるほか、債権譲渡による債権回収や、債権を譲渡担保に供して資金調達を図ることがある。ところが、企業が取り扱う工事請負契約書や売買基本契約書等には「契約当事者は、相手方の事前の承諾を得ることなく、本契約から生じる権利、義務の全部または一部を第三者に譲渡し、または担保に供してはならない」という条項(以下「譲渡制限特約」という)が存在することが多い。契約書に譲渡制限特約が存在する場合、債権譲渡による債権回収や譲渡担保による資金調達という実務上の要請に応えることができないとも考えられる。この点について、改正民法は実務上の要請を受けて取扱いを大きく変更している。