雑誌詳細

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2020年3月号

2020年1月21日発売号   1,700 円(税込)

特集1

「対話」の潮流をつかむ
株主総会2020

特集2

働き方改革の実現に向けた
「労働時間」管理の実務

特集1
「対話」の潮流をつかむ
株主総会2020
2019年6月総会では、株主提案が過去最高を記録しました。CGコードの各原則への対応も定着しつつある今、株主の求める株主総会の姿に変わりつつあります。となれば、今後ますます必要となるのは各社の工夫。「対話」の促進に向けた総会当日の取組みもさることながら、招集通知の記載方法や議決権行使基準の動向についても、事前のリサーチが肝心です。本特集では、2019年総会を振り返りながら、本年度の総会に向けた準備のポイントにつき丁寧に解説しました。株主の信頼を勝ち得るためにできることは何かを考える題材として、ぜひともご活用ください。
会社法

お土産の是非、機関投資家との建設的対話、社外取締役の説明責任
2020年株主総会環境整備の工夫
松山 遙

株主総会は、会社にとって「株主との対話」のための重要な会議であり、これを通じて個人株主との間でどのようなリレーションを築くのか、機関投資家との間でいかに建設的な対話を行うのかを検討・工夫する必要がある。さらに、これからの株主総会においては、経営陣だけでなく社外取締役・社外監査役にも一定の説明責任を果たすことが求められる。

会社法

電子提供制度を見据えた対応を
招集通知の任意開示、インターネット開示の最新トレンド
新見麻里子

本稿では、株主総会招集通知におけるインターネット開示の動向およびCGコード等をふまえた非財務情報等の任意開示の動向を解説する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、筆者が所属する組織の見解ではないことをあらかじめお断りしておく。

取締役会構成、社外取選任基準、株式報酬の希薄化率
議決権行使基準の比較と分析
塚本英巨

本稿では、2019年に引き続き、2020年における機関投資家の議決権行使基準の比較・分析を行う。2020年は、①独立社外取締役の割合に関する基準、②社外取締役の選任議案に関する基準として兼務数および取締役会への出席率ならびに③株式報酬における希薄化率に関する基準を取り上げる。

会社法

2019年の提案内容・最新議論を押さえる
活発化する株主提案の動向と実務対応
太田 洋・松原大祐・政安慶一

2019年6月総会において株主提案を受けた上場会社の数は過去最高の54社となった。そのうち、機関投資家からの株主提案においては株主還元を求める提案が多い。株主提案権の限界が争われた裁判例も登場しており、2019年12月4日に成立した改正会社法では、株主提案権の濫用的な行使を制限する見直しが行われている。上場会社においては、株主提案の予兆をモニタリングしたり、日頃から機関投資家を含む株主と継続的に対話を行い、会社の経営戦略等について理解を得ておくことが重要となろう。

会社法

役員報酬、パワハラ問題、市場再編等
2020年総会の質問予想テーマと準備のポイント
奥山健志

2019年の定時株主総会では、各社とも、引き続き株主との対話を意識した株主総会運営が行われており、総会当日に株主からの質問があった会社も、引き続き増加する傾向にあった(質問がなかった会社は20.7%(前年調査比0.6ポイント減)であり、5社に4社は総会当日に質問があった)1。2020年の定時株主総会でも、この傾向は継続する可能性が高い。本稿では、2020年の総会問答で予想されるテーマに関して、自信をもって回答するため、各社において事前に準備しておくべきポイントを簡潔に整理する。なお、本稿の記載中意見にわたる部分はすべて筆者の個人的見解であり、所属する法律事務所の見解ではない。

会社法

column新たな株主総会像
──ハイブリッド型バーチャル株主総会の議論
北村雅史

株主総会プロセスの電子化の新たな動きとして、会議体としての株主総会を電子化するいわゆるバーチャル株主総会の実施が検討されている。自宅パソコン等からインターネットを通じて株主総会に参加・出席することには、法的・実務的にどのような問題があるのだろうか。経産省の「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」における議論をもとに、バーチャル株主総会に係る論点について考察する。

特集2
働き方改革の実現に向けた
「労働時間」管理の実務
労働法

日本人の「働き方」と「労働時間」再考のポイント
――労働経済学の視点から
八代尚宏

2019年度から、時間外労働の上限が月45時間・年360時間と、はじめて法律で明確に定められた。また、高度プロフェッショナル制度では年間の休業日数の制限が、また一般の労働者には有給休暇の最低取得日数も法定化された。これは残業手当さえ支払えば無制限な労働時間が容認されるという、旧来の働き方の抜本的な改革である。しかし、仕事量が変わらず人手不足も解消されないなかで、労働時間だけを削減することは容易ではない。今後は、社会全体で労働時間の抑制を通じた時間当たりの労働生産性の向上等を目指すことが、本来の働き方改革といえる。

労働法

多様な働き方における「労働時間」該当性と管理のあり方
荒井太一・原田 昂

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下「働き方改革関連法」という)が、2018年6月29日に成立し、同年7月6日に公布された。働き方改革関連法により、終身雇用制を始めとした従来の日本的雇用慣行のあり方が見直され、新しい働き方の誕生や働き方の多様化が予想される。こうした動きにより、これまであまり意識する機会が少なかったイレギュラーな労働時間の考え方について再度整理する必要性が高まっている。本稿では、働き方改革関連法による労働時間規制の概要、新しい働き方の誕生や働き方の多様化により生じる労働時間の考え方について、実務上の法律問題を取り上げ説明を行う。

労働法

Q&Aで検討する「労働時間」該当性
総論正しい「目線合わせ」のために
小鍛冶広道

2017年1月20日に策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(以下「適正把握ガイドライン」という)は、それまでの「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平13.4.6基発339号)のいわば「アップデート版」であって、人事労務に携わってきた実務家からすれば、さほど目新しい内容が含まれたものではなかったのであるが、そのなかでも、適正把握ガイドラインの冒頭に「労働時間の考え方」、つまり労基法上の労働時間(実労働時間)該当性に関する記載が追加された点は注目されるべきであろう。

労働法

Q&Aで検討する「労働時間」該当性
Q1移動時間①/Q2移動時間②/Q3企業外研修/Q4小集団活動
町田悠生子

労働法

Q&Aで検討する「労働時間」該当性
Q5着替え時間/Q6自己研鑽/Q7ゴルフコンペ
小山博章

労働法

Q&Aで検討する「労働時間」該当性
Q8不活動仮眠時間/Q9SEの電話当番/Q10入院検査
湊 祐樹

労働法

Q&Aで検討する「労働時間」該当性
Q11接待/Q12休憩時間/Q13持ち帰り残業
西頭英明

特別企画
2019年に起きた企業不祥事と
コンプライアンス強化へ向けた示唆
危機管理

山口利昭

企業のイメージダウンにつながりかねない近時の企業不祥事には、グレーゾーンへの不適切な企業対応という面において共通点がある。2019年に世間の話題となった企業不祥事を分析してみると、不正もしくは不正の疑いを知った経営陣が冷静に現状を分析できなくなり、結果として不適切な対応を招来する。その要因は容易には取り払うことはできない。しかし「なぜ有事には冷静な判断ができないのか」その要因を知り、対策を講じることは可能である。

地平線
令和元年会社法改正における
取締役報酬に関する規律の意義と実務への期待
会社法

田中 亘

今般の会社法改正(令和元年法律第70号)は、取締役の報酬等(会社法[以下、新設条文も含め条文番号のみで引用する]361条1項)についての重要な改正を含んでいる。

トレンド・アイ
HFTは「悪」か?
株式の高速取引が及ぼす日本市場への影響

芳賀 良

HFT(HighFrequencyTrading)とは、1、000分の1秒など短い時間で、高頻度に発注や取消しを行う取引の総称である。アメリカのように、同一株式が複数の証券取引所で取引されている場合には、同一株式について気配が同一であっても、注文の各取引所への回送速度に差異が生じることがある。

国際

投資・貿易規制の強化、個人情報保護の拡大等
海外法務ニュース2020
石田雅彦

2019年は、地政学的要因に基づく各種規制や、グローバル化に伴うお金・情報移動のボーダーレス化に伴う問題に対応するためのプライバシー、税務に関する規制の強化が目に付く1年であり、おそらくこの流れは2020年も続くものと思われる。また、新たなビジネス形態に対応するための規制の整備については、各国とも他国の規制の動向を睨みつつ立法を行っている状況であり、日本国内の今後のビジネス環境、規制を予想する意味でも他国の最新の立法について早めに情報を得るメリットは大きい。本稿が、海外事業を行う日本企業の観点から、喫緊に対応すべき事項の洗い出しに加え、今後日本を含む各国の規制の動向を見据えた指針として少しでも役立てば幸いである。

国際

「外商投資法」施行でどう変わる?
中国企業との技術ライセンス契約締結の実務
戸田一成・唐 紅海

「外商投資法」の公布により、中国において外国投資者および外商投資企業の知的財産権の保護がますます強化されている。とりわけ、長年、諸外国に批判されている行政手段による技術移転の強制に関する強行法規の削除等の法改正の動きが大きい。本稿では、このような法改正を分析し、日本企業が中国企業と技術ライセンス契約を締結する際に留意すべきポイントを説明する。

AI・個人情報

行動ターゲティング広告と日米欧のプライバシー保護規制(上)
鈴木翔平・松永耕明

行動ターゲティング広告の出現と発展は、パブリッシャー、広告主、ユーザのいずれに対しても利益をもたらしてきた。しかしながら、その一方で、行動ターゲティング広告を可能とするための膨大なユーザデータの蓄積・利用について、ユーザのプライバシーの観点から、多くの問題が指摘されるようになり、世界的に規制を強化しようとする潮流がある。この論稿では、行動ターゲティング広告の仕組みを簡単に説明したあと、行動ターゲティング広告に影響を与えるEU、米国および日本におけるプライバシー規制の概要を、規制強化に向けた動向をふまえつつ解説する。

民法・PL法等

サブスクリプション・サービスの法的留意点(下)
――サービス・モデル別の検討
中本緑吾

これまで、サブスクリプション・サービスは、おおむねビジネスモデルの視点で語られることが多く、あまり法律面や契約内容に関する検討はされてこなかったように思われる。そこで、本稿では2回にわたり、サブスクリプション・サービスに関する契約(以下「サブスクリプション契約」という)の現状を整理したうえで、法的性質や法律構成等に焦点を当てつつ、その課題と運用について検討したい。

知財

他社の営業秘密侵害防止のための視座と対応策
佐藤力哉

度重なる法改正による営業秘密の保護の強化とともに、他社の営業秘密を侵害したとして紛争に巻き込まれるリスクも増加している。本稿は、そのようなリスクを回避するための視座について述べるものである。

企業法務総合

LEGALHEADLINES
森・濱田松本法律事務所

2019年11月~12月

民法・PL法等

最新判例アンテナ
第23回 売買の目的物である不動産に存した抵当権の実行に関し、民法567条に基づく買主の売主に対する損害賠償請求が認容された事例
三笘 裕・小林雅人

企業法務総合

株式会社以外のビークルの実務
第1回 ビークルのアウトライン
鈴木龍介・早川将和

事業活動等を行うには、そのための器となる事業体(以下、「ビークル」といいます)が必要となります。会社法の制定により合同会社制度が創設され、また、前後して有限責任事業組合や一般社団・財団法人制度が創設されました。これらのビークルは負担する債務に関する構成員の責任、税務上の取扱いや計算書類の開示など株式会社とは異なる点も多く、これらの違いを生かし、よりニーズに即した事業活動等のビークルを選択することができます。

企業法務総合 国際

ロイヤーの使い方を押さえる!法務のための英単語辞典
第11回 「規定する」「定める」等を表す表現
豊島 真

今回は、(法律などが)「規定する」「定める」などというときの表現である。

ファイナンス

トークン・ビジネス法務入門
第3回 権利を表章するトークンの民事法上の取扱い
芝 章浩

前回(2020年1月号掲載)は特定の者との法的関係を伴わないトークンを「権利を表章しないトークン」として、その民事法上の取扱いに関する議論を紹介した。今回は、特定の者との間の法的関係を何らかの形で伴うトークンを「権利を表章するトークン」と呼ぶこととして、その民事法上の取扱いについて、既存の議論を紹介しつつ、その考えられる仕組みについて私見を述べることとする。

争訟・紛争解決

対話で学ぶ法務対応の勘所
第4回 Claim Letter対応
大串嘉誉

大学卒業後、総合商社の法務部に配属された新人Aは、法律事務所での勤務経験がある社内弁護士Bが率いるチームに所属し、さまざまな案件を担当することになった。今回は、ClaimLetter対応である。

争訟・紛争解決

ストーリーでわかる訴訟手続の基本(民事編)
第5回 証拠調期日
大久保由美・福谷賢典

甲社が製造し顧客の工場に納入した機械が、乙社から供給を受けた部品の腐食による折損が原因で運転を停止し、甲社はこれにより損害を被ったため、乙社に対して損害賠償請求訴訟を提起した。当該訴訟では、部品購入前の甲社・乙社の担当者間の打合せにおいて、機械中の部品の使用環境についてどのような説明がなされていたかが主要な争点と整理され、当該打合せに参加した甲社のA主任および乙社のB部長の証人尋問が実施されることとなった。

国際

世界の法律実務・遊歩録
第5回 「裁判官も人間」
サマンサ・タン

「世界の法律実務・遊歩録」では、国際法律事務所のさまざまなオフィスで活躍するロイヤーが、世界のおもしろい・びっくり・どっきりな法律実務やエピソードを紹介していきます。第5回目は、裁判官が個人的な怒りを裁判にぶつけたエピソードを紹介します。

民法・PL法等

要件事実・事実認定論の根本的課題──その原点から将来まで
第26回 法定債権・本連載のまとめ
伊藤滋夫

競争法・独禁法

証拠からみる独禁法違反認定の鍵
第3回 元詰種子事件
向 宣明

本連載は、独占禁止法違反を疑われる行為の当時の文書が、証拠としてどのように評価されることになるのか、実例をふまえた検討を行うことで、同種事案への対処についての示唆を得ようとするものである。今回は、カルテル行為に関する「相互拘束」等の要件についての基本先例とされる元詰種子事件1(以下「本件事案」という)を取り上げる。なお、証拠の状況を理解することは、判示の趣旨を理解するうえでも有用であり、参考になる。

民法・PL法等

債権法改正企業対応の総点検
第9回 債務不履行に関する債権法改正の留意点
齋藤伸一

今回の民法改正では債務不履行に係る部分が多数ある。企業間取引において、債務不履行の問題は重大な関心事である。債務不履行があった場合、契約を解除できるのか、損害賠償を請求できるのかということが問題となる。