雑誌詳細

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2019年10月号

2019年8月21日発売号   1,609 円(税込)

特集1

経験者の独自メソッドに学ぶ
「一人法務」の心得

特集2

オープンイノベーションを成功に導く
共同研究開発契約の留意点

特集1
経験者の独自メソッドに学ぶ
「一人法務」の心得
法務強化の流れを受け法学部出身という理由である日いきなり法務担当に任命された社員、ベンチャー企業に法務第一号として迎えられた弁護士......。「一人法務」となった方には、どのように業務範囲を設定すればよいか、社内から気軽に相談される法務部員になるにはどうしたらよいか、一人ではスキルアップ・業務改善に限界がある......といった共通の悩みがあると聞きます。本特集では、こうした悩みを独自の方法で解決し、活躍されてきた「一人法務」のみなさまにお集まりいただき、「一人法務」の大変さを成長チャンスに変える心得を伝授いただきました。
企業法務総合

業務範囲・ワークフローはどのように決める?
ゼロから始める「一人法務」の体制整備
橋浦尚志

コンプライアンスの強化、技術革新による新しいビジネスや海外展開の検討等にあたり、法的リスクの管理の観点から、法務の重要性が増している。これらを背景に、大企業はもちろん、中小企業においても法務部門を設けることが多くなっている。しかしながら、特に中小企業においては、ゼロから法務部門を構築しなければならず、かつ一人法務となることが多々ある。筆者が現在の会社に入社した際の最も重要なミッションは、法務部門を立ち上げるというものであり、まさに一人法務に任命され、ゼロから法務部門を構築するという状況であった。その経験をふまえて本稿では、一人法務に任命され、ゼロから法務部門を構築する方法を検討する。

企業法務総合

2人目採用を意識し、属人性の排除を
継続的な業務改善のコツ
片岡玄一

一人法務は、他者の目が入らないことから、法務担当者自身がみずから積極的に業務改善に動かなければ、旧来の運用が改善されることなく維持されてしまう傾向にある。 そこで本稿では、今日からすぐに取り組める、一人法務においても継続的に業務改善を行っていくための具体的な方法を提案したい。

企業法務総合

法学未修者が「一人法務」になったら?
法律論の基礎と企業法務のリーガルマインド
品川皓亮

法務部の実務においては、日々舞い込んでくる案件に対処するため、個々の法令や判例を調べたり論点を検討することは多いが、それらの議論の土台となる基礎的なルールや考え方を学ぶ機会は少ない。法学部で法律を勉強する場合、憲法・刑法・民法などの学習を通してこれらを身につけていくのだが、非法学部出身者の場合はそうはいかない。そこで本稿では、まず、「法的三段論法」や「法令を分類する視点」など、実務でも重要となる法律論の基礎(I)を紹介した後、経営者から信頼される法務部になるために必要となる企業法務におけるリーガルマインド(II)について論じる。

企業法務総合

時間・人員の不足を戦略的に克服する
契約業務プロセスの構築
齊藤友紀

一人法務は、時間や知識、予算といった資源の不足という制約条件に必ず直面する。この課題を意識しながら、本稿では、契約審査や契約書の起案のテクニックにではなく、業務フローの整備や情報収集を含む広い意味での契約業務のプロセスに光をあて、契約業務を戦略的にデザインしていくうえでの課題と工夫を検討していく。

企業法務総合

信頼される「一人法務」になるための
社内・社外折衝における工夫
小林洋光

「誰が言ったかではなく何を言ったか」「人ではなくコトに意識を集中する」1とは、株式会社ディー・エヌ・エーの社風を表す有名な一節であるが、「誰が言ったか」で物事が決まりがちなのも事実である。A氏が言えばOKだが、同じことをB氏が言ってもNGとなる経験は誰にでもある。本稿では、一人法務の社内外折衝において、なぜA氏の主張はスルッと通るのか、そのために何が必要かについて、筆者の考えを述べていきたい。

企業法務総合

法務専門の人材コンサルタントが教える
「一人法務」採用企業の動向と求職者の適性
松本宣幸

売手市場と言われる昨今において、法務職もご多分に漏れず求人過多の状況が続いており、そのなかでも「一人法務」の求人は増えてきている。本稿では、弁護士・法務領域に特化した人材エージェント会社で多数の就職・転職支援に立ち会ってきた小職が、人材コンサルタントの立場から、「一人法務」の実例を交えながら採用企業・求職者の実態をお伝えしていきたい。

企業法務総合

いつ・どのような人を採るべきか?
2人目採用・組織設計のポイント
伊藤正人

本稿では、一人法務の会社が法務機能の拡大を検討した際に、2人目としてどのような人物を採用すべきか、法務組織の設計はどのように検討すべきかを解説する。

企業法務総合

寄り添い法務のススメ
小関綾子

いつものように契約書のチェック依頼がきて、詳細をヒアリングしていく過程で、法律に抵触しそうな内容であることが判明したとします。ただちに法律違反を問われる事案ではないものの、法律上は刑事罰が用意されているような事案の場合、一人法務としては、外部の顧問弁護士に相談をすることが第1の行動になるかと思います。

企業法務総合

創意工夫し「サボる」を心掛ける
エンターテインメント系IT企業法務グループマネージャー

これまで法務がいなかった会社に一人法務として入って起きたことは、「これまではナアナアだったのに、何か面倒なことを言う人がきた」と敵視される、もしくは、初の法務スタッフというだけで社内のステータスが勝手に上がり遠巻きにされる、結果、充分なヒアリングができず問題がおこり、後始末に追われてしまう、という事態でした。

企業法務総合

「一人」法務≠「独り」法務
IT企業(東証一部上場)法務

一人法務の工夫。それは、「独り」法務ではないことに気づくことにあると思います。一人で法務をしていると、自身の知識や技術の不足が気になり、書籍やセミナー等により、それらを補いたいと思うものです。それは正しい解決の1つですが、それだけが解決の方法でしょうか。

企業法務総合

外部弁護士を最大限活用する方法
桐山直也

本誌には、以前、私の転職回数の多さを自慢する原稿を書かせていただきましたが(2018年1月号特集1参照)、今回は、現在、私が勤めている投資銀行のフロント部署における外部弁護士とのかかわり方について、社内唯一の弁護士として普段心がけていることを述べたいと思います。ちなみに前回から転職はしていません。

企業法務総合

業務品質向上のための4つの能力
堀切一成

私は、新卒で入社した通信機材の専門商社で7年間営業に従事した後、司法書士事務所を経てJASDAQ上場ITベンチャーの「一人法務」に転身しました。当初は「NDAって何ですか?」というレベルでしたので、法務の経験、知識、技術を積み上げるのに人一倍苦労しましたが、今思うと、私に限らず法務担当者が一人になる可能性は意外と高いのではないかと思います。

企業法務総合

一人法務のキャリア設計
小倉 大


本稿では、一人法務がどのようなキャリアを歩んでいけるのかについて考えてみたいと思います。法務部員が複数いる会社の法務スタッフとしてキャリアをスタートした場合、定型的な契約書のチェック、利用規約、約款のアップデートなどから業務が始まることが多く、まったく新しい契約書を1から作成することはそれほどありません。入ったばかりの法務部員に求められることは、書いてあることを理解する能力と民法(契約法)への適切な知識です。

企業法務総合

ジェネラル・カウンセルとしての一人法務
堀籠 雄

「一人法務」の体制になっているのには、会社によって、さまざまな経緯や理由があることでしょう。会社自体の規模が小さく、本部機能は少数精鋭という方針かもしれませんし、法務機能が軽視された結果、人的リソースが割かれていないだけかもしれません。

特集2
オープンイノベーションを成功に導く
共同研究開発契約の留意点
知財

共同研究開発の最新動向と特有の契約課題
栁下彰彦

企業がスピーディーに新商品または新サービスの開発を実現するために、近時注目されている手法として、オープンイノベーションがある。オープンイノベーションは、企業が他者(たとえば、研究開発型のベンチャー企業や大学)の技術を利用しつつ自社の新商品または新サービスを生み出すことを目指す企業活動であり、共同研究開発契約は、この企業活動において利用されることが多い。筆者は、ベンチャー企業から委任を受けて、大企業との間で締結される共同開発契約を検討する業務や、企業から委任を受けて、大学や公的研究機関との間で締結される共同研究開発契約を検討する業務を行うことがあるが、近時のオープンイノベーションの浸透によって、これまでの共同研究開発契約において留意すべきとされてきた事項とは異なる事項が重要になるのではないかとの認識を持ちつつある。

知財

当事者間の齟齬を防ぐ
契約書作成上の4つのポイント
和田祐造

契約条項例やその解説を掲載した多くの文献は、共同研究開発契約書を作成するうえで大変参考になる。しかし、当該共同研究開発の成否を左右する重要な条項が、その内容如何で実際に共同研究開発やその後の各当事者の事業にどのように影響を与えるのかについては、契約の条項例等を眺めているだけではイメージしづらい。本稿では、重要な契約条項の内容が事業等に与える影響と、契約書作成につき留意すべき事項につき、事例もふまえて説明する。

知財

実効的な共同研究・開発を実施するためのプロセスと工夫
八田裕之・村上慎也

当社は、富士通株式会社の完全子会社として研究・開発に特化した組織であり、他の大学、研究機関、企業とのオープンイノベーションを積極的に進めている。本稿では、当社が共同研究・開発を実施する際のプロセスおよび共同研究・開発契約を締結するにあたって実務上留意している事項について紹介する。

知財

開発の進捗に応じた柔軟な対応を
共同研究開発のベストプラクティス
吉田麻子

共同研究開発では、契約締結前のスキームの整理からはじまり、ビジネス目標の契約への反映、秘密保持契約書との関係の整理、成果規定の設定、そして、研究開発中に派生する諸問題への対応等、さまざまな課題が発生する。課題解決の際には、共同研究開発の意思決定の構造の把握、リスク分担のバランス感覚や研究開発の現場への配慮も重要である。本稿では、当社における取組みをベースとした留意点をピックアップして紹介したい。

知財

大学研究室側の事情
梅田綾子

本学では、電気自動車の技術を船舶に応用した電池推進船および遠隔操船や自律運航の実現を目指した自動運航船に関する研究を行っているが、昨今の電気自動車や人工知能のブームに伴って社会的な関心が高まり、さまざまな問合せを受けることが多くなってきた。とはいうものの、技術動向の把握にとどまり、必ずしも実際に共同研究契約に至るとは限らないのが現状である。研究テーマをみつけること自体を目的として大学にアプローチしてきている企業もあり、事前に何度もミーティングを重ねたうえで、どのような共同研究を行うか決定していく。

実務解説

会社法

株主提案の内容・賛成率に変化
2019年6月総会振り返り
阿部真理子

改訂コーポレートガバナンス・コード(以下「改訂CGコード」、あるいは単に「CGコード」という)が昨年6月に公表され、その後、昨年末までの間には、改訂CGコードに基づくCG報告書が上場各社より提出された。本稿では、本年6月総会が、改訂CGコード対応後の初めての3月決算上場会社の定時株主総会であることをふまえ、執筆時点で確認することのできる各種公開資料のほか、三井住友トラスト・グループにおける証券代行業務の受託会社(以下「当社グループ受託会社」という)を対象とする調査結果による本年6月総会の概況を説明するとともに、改訂CG コードに対する上場各社の取組状況、今後の留意点等についても若干触れるものである。

会社法

「公正なM&Aの在り方に関する指針」の概要と実務上の留意点(下)
西村修一・濱口耕輔

前号では、本指針の全体像とそこで取り上げられている公正性担保措置の概要について、実務上問題となり得る論点を中心に解説をした。本号では、公正性担保措置のうち最も重要性が高くかつ実務上の影響が大きいと思われる特別委員会について、特に本指針の公表により従前の実務がどのように変わっていくことが予想されるのかという点に焦点をあてて解説をする。

企業法務総合

法務関連5項目をリストアップ
「成長戦略実行計画」の要点解説
吉井一洋・横山 淳・金本悠希・是枝俊悟・藤野大輝

令和元年(2019年)6月21日、政府の成長戦略実行計画(以下「実行計画」という)が閣議決定された。実行計画では、令和の新時代において、わが国が第4次産業革命の新たな汎用技術の潜在力を最大限にいかし、生産性向上や経済成長につなげるためには、企業組織のあり方や個人の仕事の内容・仕方など、経済システム全体の再構築を図る必要があるとしている。そのうえで、全部で16項目(Society5.0の実現7項目、全世代型社会保障への改革3項目、人口減少下での地方施策の強化6項目)について改革・見直しに向けた計画を掲げている。本稿では、このうち、企業の法務担当者の関心が高いと思われる5項目を取りあげ、実 行計画での記述のみならず、関連する報告書その他の内容なども織り交ぜながら解説する。

国際 知財

中央労働委員会の判断基準にみる
コンビニオーナーの「労働者性」

2019年3月、中央労働委員会が、コンビニエンスストア(以下「コンビニ」という)のフランチャイズ加盟店を経営する加盟者は労働組合法上の労働者にあたらないとし、加盟者側の組合が求めていた団体交渉にコンビニ本部側が応じる必要性はないと判断した。 コンビニ業界においては、現在、労働法において加盟者側の保護を図るべきかということが課題であり、本稿はこの点につき概説する。

国際 知財

外国企業の事業リスクが大幅に低減
中国知財関連法の最新改正と企業実務への影響
原 洁

近時中国では知的財産権に関する法令の改正が頻繁に行われている。そのなかには、行政法規である「技術輸出入管理条例」(技术进出口管理条例)や「中外合弁経営企業法実 施条例」(中外合资经营企业法实施条例)のほか、法律である「商標法」(商标法)や「不正競争防止法」(反不正当竞争法)も含まれている。これらの法令の改正は、主に、技術輸入規制の緩和と知的財産権保護の強化を基本としつつ、中国政府がさらに外資を引き入れ、国際技術協力を強化する姿勢と決意を示した内容となっている。

会社法

ガバナンス改革の注目点となるか
社外取締役を取締役会議長とする際の留意点
塚本英巨

上場会社をめぐるガバナンス改革において、今後、「取締役会議長と最高経営責任者 (CEO)の分離」、とりわけ、社外取締役を取締役会議長とすることが求められることが予想される。社外取締役を取締役会議長とする上場会社はまだ少ないが、本稿では、そのような会社が今後増えることを見据えて、取締役会議長たる社外取締役およびそれを支える 取締役会事務局における留意点を解説する。

税務

争う・争わないの判断ポイントは?
税務争訟の全体像
岩品信明

税務調査が進み、税務当局と企業との間で個別の項目についての意見を交換し、課税されることが予想されると、企業としては、課税を認めて修正申告をするか、課税を認めずに税務争訟を提起するかを検討してその後の対応を講じなければならない。一般的に、多くの企業は税務争訟の経験があまりないが、税務争訟の仕組みや対応を決めるべきポイントを理解しながら慎重に自社の対応を決めなければならない。本稿では、税務争訟の全体像や特徴を説明しながら、税務争訟で争う際の判断のポイントを解説する。

企業法務総合 民法・PL法等

複雑化する現代取引における「注意義務」を再考する
過失の認定基準とリスク回避・低減へ向けたロードマップ
遠藤元一

事業者間で商品・サービスを提供する取引に関する契約を締結したにもかかわらず、関係当事者の多様化、取引形態・仕組みの複雑化、関連法令が複雑に絡み合うこと等から、 契約を締結した本旨に適合した商品・サービスを提供できない事態や、あるいは商品・サービスは提供したものの、契約の履行の過程等において顧客に損害を被らせるような事態が発生することがある。本稿は、商品・サービスを提供する企業が、上記のような事態を防止し、さらに仮に直面した場合でも、リスクを低減するためにはどのような点に留意したらよいかに絞り、具体的なロードマップを素描することを試みる。

会社法

アメリカにおけるコーポレート・ガバナンスをめぐる視点の転換と日本への示唆
佐藤 剛

2008年の金融危機から約10年、アメリカ経済は金融市場をコアにして安定を回復したが、その恩恵を受ける少数の富裕層と取り残された大多数の勤労者層にアメリカ社会は分断され経済格差は拡大している。マックスヴエーバーが1905年に「鉄の檻のアメリカの資本主義は、異常な尊大さで粉飾された機械的化石と化する道を歩んでいく」(マックスヴエーバー著、大塚久雄訳『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫、1989)と予見したとおり、現在のアメリカの資本主義はデモクラシーとのパワーバランスを失い機能不全に陥っている。

コンプライアンス

海外リモートアクセスをめぐる諸問題
──事業者の現実的リスクとしてのサイバー事件捜査
板倉陽一郎

サイバー事件捜査においては、サーバが海外に所在している場合に、ここからデータを複写する、海外リモートアクセスが行われることがある。メールやストレージサーバが海外に所在していることは常態化しており、捜査手法としては稀でないことになるが、リモートアクセス令状はこれを予定しておらず、適切でない海外リモートアクセスが行われた裁判例も複数みられる。事業者としては、慣れない捜査機関の違法な捜査に応じた場合、これによって起きる権利利益侵害について責任を負うことも考えられ、論点とリスクの把握が必要である。

LAWの論点
「一票の格差訴訟」の成果と課題
企業法務総合

升永英俊

改憲の問題は、今国民が直面している最も重要な憲法問題です。改憲発議は両院の国会議員の総議員の3分の2以上の賛成を要件とします(憲法96条1項)。 憲法は、【憲法の投票価値の平等の要求を充たさない手続の選挙で選出された国会議員 (すなわち、国会活動を行う正統性を欠く国会議員)を含む衆院/参院が改憲発議をすること】を予定していません。 人口比例選挙訴訟は、憲法の投票価値の平等の要求(すなわち、一人一票)の実現を目的とする裁判です。 以下、人口比例選挙訴訟(一票の格差訴訟または選挙無効訴訟という)の10個の各論点 を問答形式で議論します。

地平線
「Nice Compliance」の追求を ----弁護士が果たすべき役割
会社法

今井和男

企業にとってコンプライアンスが何よりも優先すると言われて久しい。平成8年から10年にかけて起こった企業不祥事の反省から「企業倫理の確立」が叫ばれ、コンプライアンスと内部統制 システムの確立が急務とされた。米国 SOX法・日本版SOX法(金商法)の内部統制システムの元となった米国トレッドウェイ委員会が1992年に公表したCOSO報告書のフレームワークの目的の 1つとして掲げられていた「compliance」が、「法令遵守」と当初訳されて日本に導入された。これが誤解の原因であった。

トレンド・アイ
日産は"日本企業"か?
比較コーポレート・ガバナンスから検討する日産・ゴーン事件の教訓
会社法

ブルース・アロンソン

日産自動車・ゴーン事件をめぐる基本的な事実関係は、今なお明らかになっていない。 2つの相反する見解が存在し、そのどちらが正しいかを判断するのは時期尚早であろう。2つの見解とは次のようなものである。

連載

企業法務総合

LEGALHEADLINES
森・濱田松本法律事務所

2019年6月〜7月

会社法

最新判例アンテナ
第18回 不服申立ての機会が与えられないまま確定した外国裁判所の判決に係る訴訟手続につき、 民事訴訟法118条3号の手続的公序の適合性を判断した事例
(最二小判平31.1.18民集73巻1号1頁)
三笘 裕・小宮慶久

争訟・紛争解決

ストーリーでわかる訴訟手続の基本(民事編)
第1回 訴訟提起に至るまで
大久保由美・福谷賢典

一定以上の規模を有する企業にとって、民事訴訟の当事者となることはそう珍しくはないが、従業員個人という視点で見れば、その職務において民事訴訟に深く関与するのは、 法務セクションの担当者等ごく一部の従業員に限られるであろうし、これらの従業員も、人事異動等があるため、解決まで年単位の期間を要することが多い民事訴訟に最初から最後まで携わることは、実は少ないように思われる。これが刑事訴訟となると、ますますもってレアケースであり、手続の流れを十分に知っている人間は、法務セクションにもあまりいないのではないだろうか。

企業法務総合

ロイヤーの使い方を押さえる!法務のための英単語辞典
第6回 「業務委託」を表す表現
豊島 真

企業法務に携わっていると、運送業務委託契約、コンサルティング業務委託契約など数多くの業務委託契約に出くわす。ところでこの「委託」という言葉、和英辞典をみると多数の英単語が出てくる。業務の委託というときには一体どの単語を使えばいいのか、悩んだことのある方は多いのではないだろうか。というわけで今回は、業務委託に関する英語表現をみていこう。

企業法務総合

第2キャリアとしての弁護士
第7回 ファッション業界の 法律問題を解決するために
海老澤美幸

「ファッションロー」とはファッションビ ジネスのなかで起こるさまざまな法律問題を取り扱う法分野である。近時、"KIMONO" 商標騒動や有名ブランドのコピー商品など興味深いニュースが続いていることも追い風となり、ファッションローの知名度が少しずつ上昇している。この分野に関わる専門家の端くれとして非常に嬉しい限りである。

企業法務総合

先輩・後輩で描く企業法務のグランドデザイン
第3回 経営者に評価される企業法務
須㟢將人・中山剛志・宮下和昌

法務部門の多くは、「予防法務」、「戦略法務」を柱として日々努力していると思うが、実際に会社の経営者に評価されるのは、会社にとっての最悪の「臨床法務」、それも重大事件における「事件処理」(とりわけ独禁法違反における「当局対応」)であったりする。会社にとって危機的な事件や法律違反が発生して初めて、法務の役割やコンプライアンスの重要性が唱えられることは、けっして珍しくない。

企業法務総合

法務部に伝えたい"実効的"内部監査のコツ
第5回 グループ会社は同じ会社?
樋口 達

上場会社の適時開示を眺めてみると、数多くの不正・不祥事が公表されています。そのなかには、親会社本体の事例ではなく、一定数の割合で子会社や孫会社などのグループ会社における事例があります。

会社法

異業種M&Aの成功ポイント
第5回 買収前の留意点2(異業種DD~スタンドアロンの見極め~)
菊池 武・田中大貴・森 詩絵里

企業がM&Aの目的や狙いを発表する際には、「シナジー」という言葉が常套句としてよく用いられる。M&Aにおけるシナジーとは、買った会社と買われた会社のトータルでみて、買収前よりも経済的利益が生み出されている状態を指す。つまり、単純合算以上の効果があれば、シナジーが創出されたといえ、必ずしも両社がプラスになる必要はない。たとえば、買収することで自社の売上が落ちるとしても、子会社の売上が自社の売上の落ち込み分以上に伸びるのであれば、シナジーが創出されたといえる。コストに関しても同様である。

民法・PL法等

債権法改正企業対応の総点検
第5回 契約の解除における債権法改正の留意点
原田茂喜・丸山博久

契約の解除とは、解除権を行使することにより、契約を解消させ契約前の状態に戻すことをいう。解除には、法律の定めに基づき解除権が発生する法定解除と契約の定めに基づき解除権が発生する約定解除の二種類がある(なお、当事者の個別合意により解除権が発生する合意解除も存するが、今回の民法改正に影響を受けるものではないので割愛する)。今回の民法改正で、法定解除の要件が変更される。もっとも、約定解除は、法定解除の要件に倣ってその要件を定めていることが多い。そのため、前提となる法定解除の要件変更に伴い、契約に定められている解除の要件についても、改訂の必要があるかを検討するべきである。