飲料容器のライフサイクルにおける環境負荷|SDGsへの取組み(13)

SDGsへの取組み

飲料に用いられている容器は、その素材や利用形態、リサイクル率などにより環境負荷が大きく異なっています。以下、古い資料ですが、環境経済学を研究している大学教授に教えていただいた「平成16年度容器包装ライフサイクル・アセスメントに係る調査事業」(2005年2月・財団法人政策科学研究所発表)を参照します。

瓶の場合は、何度も使うビール瓶(633ml)はワンウェイ瓶(250ml)に比べて、生産・輸送・再生・廃棄等を含めたライフサイクルにおけるエネルギー消費量やCO2・窒素酸化物・硫黄酸化物の排出量が、おおむね3分の1程度にとどまっています。繰り返し再利用することが環境保全につながっていることがわかります。

問題は、われわれが日常的に使用している飲料容器のライフサイクル全体での環境負荷です。
350mlのスチール缶とアルミ缶を比較すると、近年はアルミ缶のシェアが上昇している感がありますが、エネルギー消費量・CO2排出量についてはアルミ缶がスチール缶のおよそ2割増し、窒素酸化物・硫黄酸化物はおよそ1.5倍になっています。
スチール缶と500mlのペットボトルの比較では、エネルギー消費量・CO2排出量はペットボトルがスチール缶の概ね3~4割増し、窒素酸化物は同等で、硫黄酸化物は逆にスチール缶がペットボトルの8割増し程度になっています。

紙パックの場合はこれまで示したような観点での環境負荷は他の素材に比べて低いのですが、プラスチックストローが使われていたり、植物由来プラスチックのキャップを用いていたりします。前述の教授によると、植物由来であっても生分解性でないものがあったり、海中で分解されにくかったりするようです。

教授によれば、ペットボトルを使うならドイツで行われているように、丈夫な容器にして使用後は洗浄して何度でもリユースするのがよいのでは、とのことでした。その場合は、各飲料メーカーが容器を共通化するほか、消費者も容器の多少の傷は気にしないなどの意識改革が必要になるでしょう。当社では、「脱プラスチックに向けた取組みの第一歩|SDGsへの取組み(12)」でお伝えしたとおり、できるところから取り組みを始めております。