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『企業会計』2023,75巻3号,81-88頁 
Accounting,Volume 75, Issue 3, March 2023, Pages 81-88
DOI:https://doi.org/10.34615/acc-pr.3-2
Published online February 3,2023 
© CHUOKEIZAI-SHA,INC 2023
企業会計
PRINT ISSN:0386-4448


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定価1,650円(本体1,500円+税)

リジョインダー
語りえぬものを無視した批判は無意味である
―「管理会計の脱構築―現代哲学からのアプローチ」を理解するために―

國部 克彦*
* 神戸大学大学院教授

《要 旨》
  太田氏は,「管理会計の脱構築―現代哲学からのアプローチ」を批判するつもりで,論文を書いたようであるが,そこで議論されている批判の対象は國部論文のどこにも書かれていないことばかりで,全く批判になっていない。その理由は,「語りえぬもの」があることを認めない,極めて狭い視野からの議論に終始することが学問であると信じ込んでいるためである。このような研究姿勢は学問の閉塞しかもたらさない。

《キーワード》
脱構築,リスポンシビリティ,語りえぬもの,管理会計

Rejoinder
Criticism Ignoring What We Cannot Speak About is Meaningless:
Understanding "Deconstruction of Management Accounting: A Modern Philosophical Approach"

Katsuhiko Kokubu*
* Professor, Kobe University

《Abstract》
Mr. Ohta submitted his paper with the intention of criticising "Deconstruction of management accounting: an approach from contemporary philosophy", but the targets of the criticisms are what are not written anywhere in the paper. Thus, it is not criticism at all. The reason for this is that he mistakenly believes that the study of science is to be confined to an extremely narrow perspective, not acknowledging that there are "what we cannot speak about" in the world. Such a research stance can only lead to a blockage in academia.

《Keywords》
de-construction, responsibility, what we cannot speak about, management accounting

《参考文献》
國部克彦(2017)『アカウンタビリティから経営倫理へ―経済を超えるために』有斐閣。
國部克彦(2020)「管理会計の脱構築―現代哲学からのアプローチ」『會計』197(2):58-71頁。
野矢茂樹(2010)「解説『青色本の使い方』の使い方」ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン『青色本』(大森荘蔵訳)ちくま学芸文庫。
古田徹也(2020)『はじめてのウィトゲンシュタイン』NHK出版。
ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン(2003)『論理哲学論考』(野矢茂樹訳)岩波文庫。
ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン(2013)『哲学探究』(丘沢静也訳)岩波書店。
ヘンリー・ステーテン(1987)『ウィトゲンシュタインとデリダ』(高橋哲哉訳)産業図書。
ジャック・デリダ(2019)『プシュケー―他なるものの発明Ⅱ』(藤本一勇訳)岩波書店。