Scope Eye
日本は「国債」で破綻しない 田村達也
会計時評
会計記録と権力 工藤栄一郎
特集 償却か非償却か のれんのゆくえを求めて
  さる7月30日,JMIS案が出され,のれんの会計処理について日本から『意見発信』が行われることとなった。軌を一にしてか,本年だけでもFASBによる非公開会社に対するのれん償却の容認,ASBJなどのグループによるディスカッション・ペーパー「のれんはなお償却しなくてよいか」の公表,さらにIASBフーガ―ホースト議長による議論開始の示唆など,のれんの会計処理に関して,徐々にではあるものの確かな動きが見られているところである。企業会計の現場,さらには会計基準の根幹に大きな影響を及ぼすであろう,この償却・非償却の問題は今後どうあるべきなのか。のれんのゆくえを求めて,多角的な視点から整理・検討する。
のれんの会計処理の変遷と最近の動向 西川郁生
のれんに関する会計処理の歴史
 ――アメリカのAPB意見書に至る過程
清水泰洋
のれんの会計処理と利益測定の意義 大雄 智
のれんと識別可能無形資産 藤田晶子
のれんをめぐる実証研究
 ――最近の展開と課題
永田京子
企業から見るのれんの本質 本澤 豊
連載
ひょっとすると役に立つかもしれない会計のはなし
 H 《使える》仮説検定
福井義高
監査報告書の改革
 第4回 追記情報
松本祥尚
町田祥弘
関口智和
ケースでわかる会計実務
 〈経営者の合理的判断:ケース4〉棚卸資産会計における経営者の合理的判断
鈴木卓也
主要企業における原価企画の現状と課題(10・終)
 原価見積とCADシステムの関連づけ
田中雅康/田中 潔
増田譲二/管 康人
眞田  崇
Report
2014年9月開催第6回会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF) 関口智和
時事解説
「新地方公会計基準及び地方公営企業会計基準適用の方向性」の解説 鈴木 豊
論文
イギリス法におけるデット・エクイティ・スワップ(下)
 ――日本法との比較を中心に
松嶋隆弘
ローカル放送会社におけるコスト管理の現状と課題
 ――サービス産業の原価計算導入効果に関する一考察
加藤典生
ホテル日航プリンセス京都におけるアメーバ経営の導入と実践 庵谷治男
解題深書
企業の情報開示(ディスクロージャー)と会計コミュニケーション研究 上枝正幸
学会ルポ
日本会計研究学会第73回大会
日本財務管理学会第38回春季全国大会 清松敏雄
日本簿記学会第30回関西部会 山ア敦俊
日本簿記学会第30回関東部会 金子善行
国際会計研究学会第31回全国大会 嶋津邦洋

Column
海外会計Review
 持分法の歴史――EFRAGペーパーにおける考察
                     あらた監査法人アカウンティング・サポート部

ASBJ便り

Accounting News

三角波
 外形標準課税の見直し
OUTSIDE
 手足縛られる金融機関の将来像は?                 小平龍四郎
経理・財務最前線
 初任監査役仕事始めへのヒント                      岡   健
Salon de Critique
 サステナビリティとマネジメント・コントロール・システム(2)      東田  明
私の学問遍歴
 会計基準論と人的資源会計の半生B・終                 若杉  明
             
            
              
相談室
〔法人税務〕 たまたま土地の譲渡をした場合 佐久間裕幸
〔会社法務〕 株式投資型クラウドファンディング 増島雅和
書 評
『海外M&Aに役立つグローバル戦略の勘どころ』 小林一郎〔著〕 佐藤 靖
『企業統治と会計行動――電力会社における利害調整メカニズムの歴史的展開』 北浦貴士〔著〕 野口昌良
『江戸時代帳合法成立史の研究――和式会計のルーツを探求する』 田中孝治〔著〕 三代川正秀

 編集室より
▽本号特集で取り上げたのれんの償却・非償却の問題。古くから存在する課題ではありますが,着々と進むコンバージェンスの中で取り残された,いわば『未開の』論点といっても過言ではないと思います。最終的な結論の如何に関わらず,国際舞台でそれぞれの立場を越えて積極的な議論を積み重ねて欲しい,そして,根本的な考え方の隔たりが大きいこのようなテーマでこそ,本当の意味での「収斂」を実現して欲しいところです。小誌としても引き続きのれんのゆくえを追っていきます。
▽早いもので,2014年12月号をお届けすることとなりました。今年を振り返ると,IFRS導入の新方針が出された他,スチュワードシップ・コードやガバナンス・コード策定の動きもあり「改革元年」などとも言われました。ただあくまで”元年”でありますので,これからさらにどう進展していくか,今後も注目していきたいと思います。
▽任意適用を選んだ日本企業が40社を超えたIFRS。今年の政府の「日本再興戦略」にも任意適用企業の拡大促進に努める旨が盛り込まれ,2011年頃のトーンダウンした状況も一変しました。これは取りも直さず,日本の会計制度の将来的展望を考えるとき,IFRSが議論の中心になるということ。次号2015年新年号では,「IFRS導入促進への道筋」について5人の専門家に議論していただきます。ご期待ください。
 企業会計2015年1月号のご案内
特集:会計プロフェッションが選ぶ
    これから押さえておきたいAccounting Topics 30

新春座談会
    IFRS導入促進への道筋
     〜日本の会計制度の将来的展望
   鶯地隆継・逆瀬重郎・熊谷五郎・万代勝信・加藤 厚