SCOPE EYE
成長税制としての消費税 森信茂樹
会計時評
皮をむいてから 大日方 隆
特集  統合財務報告の可能性を探る――非財務情報開示の国際的展開
業績を数字で表す「財務情報」に加え,「非財務情報」の開示に向けた取組みが進められている。それら2つの「情報」を1つの報告書で示す統合報告により,投資家等のステークホルダーのニーズを満たすとともに,企業は持続可能なビジネスモデルの構築が可能になる。一方で,統合報告を行うための制度が確立していない等の課題も多い。特集では,国際財務報告において統合報告が担う役割とその背景を分析・検討する。
統合報告の特徴とわが国への適用 小西範幸
経済・規制環境のパラダイム変化と統合報告に期待される役割 林 美由紀
国際統合報告審議会(IIRC)による取組み
――価値創造のための国際的なレポーティング・フレームワーク
三代まり子
財務と非財務の統合による経営と開示のダイナミズム――企業経営の視点 興三野禎倫
報告書の変遷から見る「統合」のインプリケーション 金田晃一
非上場企業における統合報告の意義 田中宏昌
投資家から見た統合報告書の利用価値 窪田真之
持続的な企業価値創造のための非財務情報開示 加賀谷哲之
座談会
IFRS主要論点への実務対応<前編> 畑修一
/山床眞一
/湯浅一生
解題深書
リース会計の諸相――リースのオンバランス論理の変容 茅根 聡
連載 リスクに強いサプライチェーン(第3回)
SCM改革のみを行っても,SCMは良くならない 永山達也
学会ルポ
国際会計研究学会第28回大会 梅田勝利

Column
海外会計Review
 IFRS第1号「IFRSの初度適用」の一部改訂  
                    あらた監査法人アカウンティング・サポート部


ASBJ便り

 
三角波
 東証が業績予想開示を全面自由化
OUTSIDE
 労働市場改革に乗り出すイタリア  小平龍四郎
経理・財務最前線
 経理業務変革のトライアングル  田原祐二
IT初心者のための会計システム教室
 経理部長が知っておきたいSVA(株主付加価値)  岡本浩一
IFRSエッセンス講座
 IFRSにおける少数株主持分  秋葉賢一
              
書評
『公正価値会計のフレームワーク』
 ドロン・ニッシム ステファン・ペンマン 著 角ヶ谷典幸 赤城諭士 訳
上野清貴
『効果的な企業会計システムの研究』 昆 政彦 著 西山 茂
相談室
〔会計実務〕 税効果会計について 鈴木卓也
〔法人税務〕 自己株式の取得 佐久間裕幸
〔会社法務〕 労働法関係の法律改正の動向について 南部恵一

編集室より
△従来,企業のディスクロージャーは財務情報が中心となってきましたが,近年では,CSR やガバナンス情報などの非財務情報の開示が進み,その重要性も広く認識されてきています。特集で取り上げた統合報告は,これら2つの情報を統合的に開示するもので,包括的な業績把握や長期的な企業価値の評価に資するものと期待されます。現在,制度確立に向けた国際的な取組みが進められていますが,まだ多くの課題が残されており,今後の動向が注目されます。
△IFRS 導入議論が金融庁の企業会計審議会で行われている一方で,導入における実務面の課題
を検討するIFRS 導入準備タスクフォースでの活動も進められております。IFRS 導入に当たって
は,とにかく日本基準との差異への対応が大変だという声が多く聞かれます。座談会では,積極的
にIFRS 導入の準備を行っている企業の方々にお集まりいただき,今号と次号にわたり,現場の生
の声をお届けします。その実際はどうなのか――本座談会が導入準備の参考の一助となれば幸いで
す。
△昨年11月IASB が公表した改訂再公開草案「顧客との契約から生じる収益」では,収益の認識,測定,開示について新たな考え方が提案されています。従来の収益認識が変わることは取引慣行の見直しを迫られる可能性もあり,影響は大きいといえるでしょう。次号特集では収益について,その概念を整理しながら,認識,測定,開示上の問題を明らかにするとともに,税務やマネジメントへの影響について検討します。
◇企業会計2012年7月号のご案内

特集=収益認識の再検討
       

◇資産負債アプローチによる収益の概念 桜井久勝
◇ IASB 収益認識改訂公開草案のわが国の収益認識に与える影響 大久保孝一
◇営業収益の測定 秋葉賢一
◇再公開草案「顧客との契約から生じる収益」で要求される開示項目 鈴木理加
◇収益認識と税務 勢〆健一・松永夏也
◇収益認識における経営上の影響と留置点 藤原 圭・右田将徳