SCOPE EYE
財政規律の確立と成長のために資金の流れを変えること 吉野直行
論壇
再度,会計教育研究の本格化を望む 柴 健次
特集  財務報告の変革のあり方と展望
従来の財務報告は,投資家の意思決定の基礎となる企業価値評価に対して有用性を持っていたが,昨今のビジネスモデルの変化により,これまでの財務情報では,企業価値を説明するのに不十分になりつつあるとの声があがっている。投資家への適正な情報提供と,それを通じた市場機能促進のために,財務報告はどの様に改善されていくべきか。そのあり方と今後の展望について検討する。
財務報告の変革と展望 広瀬義州
財務報告の変革と価値創造プロセス 尾畑 裕
財務報告の変革と財務諸表情報 徳賀芳弘
財務報告の変革と会計基準 桜井久勝
財務報告の変革と企業価値評価 伊藤邦雄
特別企画 想定外の事態に備える経理部門の検討ポイント
事業継続計画(BCP)とは何か 宮原 潤
経理・財務部門のBCPへの検討ポイント 池田悦博
災害等想定外の事態における会計・監査上の留意点 桑原清幸
OPINION
トヨタの最近7か年間における連結財務諸表上の資本構成の変容と
包括利益の変動について
末政芳信
Research
日本企業の経営計画の実態(下) 梶原武久/新井康平
福嶋誠宣/米満洋己
時事解説
米国基準の使用期限の撤廃に係る連結財務諸表規則等の改正について 徳重昌宏/中村慎二
学会ルポ
日本会計研究学会第70回大会

Color Section
三角波
 震災からの復興に係る増税措置について
アウトサイド
 「21世紀の不満の冬」に思う  小平龍四郎
会計時評
 増税+国債償還=世代“内”所得移転  福井義高
経理・財務最前線
 会計基準雑感――IFRSと向き合って  佐々木 晋
おさえておきたい世界のIFRS事情
 ドイツ  有限責任監査法人トーマツIFRSセンター・オブ・エクセレンス
投資家が見たIFRS 財務諸表はどう変わる?
 新しい金融資産会計に期待  窪田真之
サロン・ド・クリティーク
 インタンジブルズを巡る議論の国際的な動向(続)  山内 暁
書評
『条件付監査意見論』永見 尊 著  千代田邦夫
『シンプルIFRS』ブルース・マッケンジー他 著 河ア照行 監訳  田中建二
ASBJ 企業会計基準委員会ニュース

              
相談室
〔会計実務〕 棚卸資産保有および評価の適正性について 木下徳明
〔法人税務〕 上場有価証券の評価損 佐久間裕幸
〔会社法務〕 原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針の概要 足立 格

編集室より
△財務報告の主な目的の一つに,証券市場を通じた投資家への情報提供が挙げられます。しかし,昨今のビジネスモデルの変化に伴い,これまでの伝統的な財務情報では,企業価値を説明するのに不十分であるという声も上がりつつあるようです。これからの財務報告はどの様に変わっていくべきか。特集では,新しい企業価値評価モデルの提示を中心に,財務報告の今後のあり方について検討しました。
△2011年は3.11の東日本大震災やその後の度重なる余震,また台風15号など多くの自然災害に見舞われた1年でした。こうした想定外の事態が起きた際に,いかに効率的に素早く業務を復旧できるかということは企業経営にとって重要なポイントです。特別企画では,想定外の事態に備えるための行動計画である事業継続計画(BCP)や,会計・監査上の留意点について取り上げました。
△2001年の会計ビックバン以来,約10年が経過しました。わが国の企業会計にとって,この間ASBJの設立や会社法の制定,またIFRSの議論とわが国会計の考え方や制度が大きく変化した時期といえます。次号の新年特集ではこの10年間を振り返り,企業会計制度の変遷や,会計・監査の役割の変化を俯瞰するとともに,これからの方向性について展望します。
△1年間ご愛読いただき,ありがとうございました。
◇企業会計2012年1月号のご案内

特集=21世紀の企業会計:10年を振り返って

◇会計基準設定機関の変化 大石桂一
◇財務会計の概念フレームワーク 山田康裕
◇割引現在価値会計と会計基準 角ヶ谷典幸
◇会計間連法の変化と財務報告 秋坂朝則
◇情報の伝達媒体 坂上 学
◇財務諸表の体系の変化 齋藤真哉
◇会計不正と監査の役割 内藤文雄
◇内部統制報告制度 町田祥弘
◇保証水準と監査人の役割と責任 松本祥尚
◇監査基準の変化と国際監査基準 林 隆敏