SCOPE EYE
危機管理と企業会計――定量的判断にまどい尊い命の教訓を見逃さぬために 戸村智憲
論壇
所有者会計行動論の分析射程 小野武美
特集 これからの業績予想開示を考える
わが国の業績予想開示は,適時開示制度の中核的な要素をなしているが,予想数値の作成にかかるコストの増大や,実質的に「強制開示」になっているなどの要因により,見直しを迫られている。特集では,さる7月に東証より公表された「上場会社における業績予想開示の在り方に関する研究会報告書」をもとに,業績予想開示の活用実態や今後の課題を,アナリスト,投資家,IR部門などさまざまな視点から検討する。
業績予想開示の意義と見直しの方向性 伊藤邦雄
上場企業による業績予想開示の法的検討 黒沼悦郎
アナリスト・機関投資家の視点からみる経営者予想開示の在り方について 北川哲雄
業績予想コミュニケーションの重要性――IR実態調査の結果をふまえて 円谷昭一
業績予想に係る投資家サーベイと脱予算経営による改善 柳 良平
OPINION
会計基準の国際的収斂化が日本企業の配当行動に与える影響 加賀谷哲之
Research
日本企業の経営計画の実態(上) 梶原武久/新井康平
福嶋誠宣/米満洋己
海外会計News&Topics
IASB公開草案「投資企業(Investment Entities)」 矢農理恵子
論文
J-SOX ―評価結果の継続利用 土田義憲
わが国行政機関の監査改革に関する提言 別府正之助
損益構造分析と経営戦略――未来志向的財務分析に関する一試案 佐藤 靖
企業統治法制の見直しとその論点――会社の機関を中心として 葭田英人
研究会ルポ
『財務報告の変革』第6回シンポジウム 林川美由樹

Color Section
三角波
 有価証券報告書等の虚偽記載事件への集合訴訟の可能性
アウトサイド
 ブームのMBO,来年累計100件に  前田昌孝
会計時評
 対外不均衡+対外不均衡=グローバル・バランス  福井義高
経理・財務最前線
 IFRS時代の経理財務部門  原田 健
おさえておきたい世界のIFRS事情
 イギリス  有限責任監査法人トーマツIFRSセンター・オブ・エクセレンス
投資家が見たIFRS 財務諸表はどう変わる?
 時価と簿価の使い分けが可能な有形固定資産  窪田真之
サロン・ド・クリティーク
 インタンジブルズを巡る議論の国際的な動向  山内 暁
書評
『財務会計と財務諸表監査』神森 智 著     安藤英義
『製品原価計算論』片岡洋人 著          桜井通晴
ASBJ 企業会計基準委員会ニュース

              
相談室
〔会計実務〕 公正価値測定とその開示について 西田俊之
〔法人税務〕 消費税等に関する事項の法人税法上の動向 上西左大信
〔会社法務〕 グループ取引に対応するためのインサイダー取引規制の見直し議論について 石井裕介

編集室より
△特集では,日本証券経済研究所の報告書をもとに,業績予想開示のあり方についてそのメリット・デメリットを踏まえながら考察しました。わが国ディスクロージャー制度において業績予想は重要な位置を占め,投資家だけでなく,上場会社自身も開示の継続を望むなど,その有用性も広く認められています。ただ一方で,数値作成のコスト増大や,数値の信頼性の問題から,見直しを求める声も多くなっています。四半期報告制度の導入など適時開示制度の拡充が進むなか,業績予想はどのような役割を担うべきか。本特集での考察が,開示制度の今後の検討の一助となれば幸いです。
△近年,米国では,財務報告による投資家への情報提供が不十分だとする議論がなされており,従来の財務情報だけでなく,投資家が必要とする非財務情報を含んだ「改善された財務報告(EBR)」の導入が注目されているようです。一方日本でも同様の問題意識のもと,これからの財務報告はどう変革していくべきか研究が進められております。次号特集では多角的な観点から,新しい財務報告の方向性について考察します。
△別冊企業会計『IFRS40基準のポイント解説』と『IFRS適用までに会社がやっておくこと』が好評発売中です。「ポイント解説」では最新基準のIFRS10〜13号も含めた全てのIFRSを解説しています。「会社がやっておくこと」では部署・部門別にIFRS適用に向け準備すべきポイントをやさしく解説しています。IFRS強制適用の議論の動向は目が離せないところですが,今からきちんと対応できる体制作りと知識を備えておくことは重要です。ご一読ください。
◇企業会計2011年12月号のご案内

特集=財務報告の変革

◇財務報告の変革と展望 広瀬義州
◇財務報告の変革と価値創造プロセス 尾畑 裕
◇財務報告の変革とアカウンティング・トレンド 徳賀芳弘
◇財務報告の変革と会計基準 桜井久勝
◇財務報告の変革と企業価値評価 伊藤邦雄