SCOPE EYE
新しい時代における公認会計士協会の役割 山崎彰三
論壇
監査主体―監査人の信頼性とプロフェッショナル教育 瀧田輝己
特集 見えてきた「公正価値測定」の新基準
さる7月9日,ASBJより公正価値の測定・開示に関する会計基準の公開草案が公表された。本草案では適用範囲を金融商品だけでなく,賃貸等不動産の時価開示やトレーディング目的で保有する棚卸資産の評価など広く設定し,レベル区分別の新たな開示等も提案されている。また,適用時期は平成24年4月1日以後開始する事業年度からとしている。本特集では,公正価値の概念を整理するとともに,本草案のポイントおよび開示上の留意点について解説する。
公正価値概念の考え方 古賀智敏
公正価値測定及びその開示に関する会計基準案等について 丸岡 健
公正価値に関する開示上の留意点 大川圭美/藤原初美
座談会
財務諸表作成者から見たIASB「収益認識」草案の実務への影響 池田 悟/砂川 潤/
畑修一/湯浅一生/
中根正文〈司会〉
時事解説
IASB「リース」公開草案について 水田昌義
連載 日本企業における設備投資マネジメント〈第4回・最終回〉
戦略タイプと設備投資予算・経済性評価技法 清水信匡/田村晶子
論文
トヨタのSEC基準による最近6年間の連結利益業績と包括利益について 末政芳信
原価企画の本質と適用可能性――潟tジタのケースを中心として 田坂 公
諸外国の簿記教育と会計の国際化の影響 菅原 智
海外News&Topics 
公開草案「リース」――リース会計の新しいアプローチ あらた監査法人
企業会計研究会

Color Section
三角波
 平成23年度税制改正に向けて
アウトサイド
 市場の声をどこまで聞くのか 前田昌孝
会計時評
 若い会計学研究者に期待すること(2) 山本達司
経理・財務最前線
 会計基準に係る連単の問題について 五反田屋信明
IFRS導入への道
 IFRS時代のM&A 有限責任監査法人トーマツIFRSサービスセンター
リタイアに向けた「マネープラン」
 最近の投資信託に見る問題点A――ジリ貧状態が続く運用パフォーマンス
サロン・ド・クリティーク
 管理会計の批判的研究の動向(1) 丸田起大
ASBJ 企業会計基準委員会ニュース

学会ルポ
日本監査研究学会第33回西日本部会 原利栄子
相談室
〔会計実務〕 製販体制の整理統合に伴う会計問題(その2) 木下徳明
〔会社税務〕 平成22年10月1日前後の清算課税 上西左大信
〔会社法務〕 資金決済に関する法整備とポイント・サービス 堀 天子
書評
『分析的会計研究』 太田康広 編著 佐藤紘光
『変わる会計,変わる日本経済』 石川純治 著 藤田敬司

編集室より
△さる7月9日にASBJより公表された公正価値測定・開示に関する会計基準案では,金融商品のみならず非金融資産も含め,広く適用範囲を設定しています。また,レベル別の公正価値測定額や信頼度の低い公正価値に関する詳細な情報等,新たな開示が提案されており,実務への影響は大きくなる可能性があります。特集では「公正価値」の概念を整理するともに,本公開草案のポイント,さらに先行するIFRSでの開示実例をもとに開示上の留意点を解説しました。
△公正価値を測定する際に用いられるのが割引現在価値です。この考え方は従来より経済学等で使われてきた考え方です。会計の分野でも時価会計の考え方が取り入れられるようになってきて,会計実務へかなり浸透してきたと言えるでしょう。次号特集で割引現在価値に焦点をあて,経済学的,金融論的な観点も含め,理論的に検証します。
△IASBとFASBはさる6月に公開草案「顧客との契約から生じる収益」を公表しました。本草案によれば資産・負債モデルに基づいて収益の認識が行われるため,従来処理とは大きく異なるように見えます。本誌座談会では企業の実務担当者の方にお集まりいただき,実務対応の面からどのような点に影響があるのか,財務諸表作成者の視点から率直なご意見をうかがっております。ご一読ください。
◇企業会計2010年12月号のご案内

特集=割引現在価値測定を考える

◇総論 北村敬子
◇割引計算の経済学的検証 福井義高
◇割引計算の金融論的検証 砂川伸幸
◇割引計算の会計学的検証 石川博行