SCOPE EYE
グローバル資本主義がもたらすもの 中谷巌
論壇
企業再編と取締役の義務・責任 近藤光男
IFRS導入の意義を考える
IFRSを採用する国が増加している中,わが国においてもさる6月16日,金融庁企業会計審議会企画調整部会から「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」が公表され,導入への道程が示された。IFRSの採用はメリットも多い反面,導入に向けクリアすべき課題も多く存在する。
本特集では,IFRS導入の意義と,教育・体制整備・コストといった取り組むべき課題を考察する。
IFRS導入の意義と課題 間島進吾
会計基準の国際的統一の意義と課題 山田辰己
IFRS導入によるわが国会計実務および会計教育への影響 橋本 尚
IFRS導入の実務上の課題とメリット――監査人の視点から 古川康信
IFRSに対応した業務プロセスと経営管理体制の整備 伊藤久明
IFRS適用における投資額(費用)調査からの考察 末永宣之/津金俊宏
講演録 国際会計基準審議会理事メアリー・バース教授●国際会計基準講演会 
国際財務報告基準のアドプションと会計教育・研究に対する影響
時事解説
「金融商品会計の見直しに関する論点の整理」について 小田敏也
OPINION
概念としての「財務諸表監査」の定義と「財務諸表監査」の概念フレームワーク 瀧田輝己
Research
環境配慮型SCMを促進する戦略的マネジメント・コントロールシステムの機能
――質問紙調査の結果から
山根里香/淺田孝幸
海外会計News&Topics
金融危機と金融資産の認識の中止 あらた監査法人企業会計研究会
論文
M&A実施企業の収益性推移の分析 宮宇地俊岳
Academic Eye
国際標準を考える 加登 豊

Color Section
三角波
 IFRSのアドプションに向けて
アウトサイド
 「インセンティブのねじれ」を考える 末村篤
会計時評
 高度専門職業人の養成と会計学系大学院の役割(2) 杉野博貴
経理・財務最前線
 日本の株主総会ビジネスに関わる外資の会社について 依馬直義
知っておきたいIFRSの常識
 企業結合  監査法人トーマツIFRSサービスセンター
‘物言う株主' が会社を強くする
金融危機下のインベスター・リレーションズ(IR)について 柳 良平
サロン・ド・クリティーク
 リスクと会計(2) 福島 隆
ASBJ 企業会計基準委員会ニュース

相談室
〔会計実務〕 著しい稼働率の低下と減価償却問題 木下徳明
〔会社税務〕 自社制作で市場販売目的のソフトウェアの会計と税務 長岡勝美
〔会社法務〕 経営合理化策の一環としての雇用調整の方法と留意点 大澤 玄
書評
『会計制度の実証的検証』 ダン・ハーマン/井上達男/ウェイン・トーマス編 桜井久勝
『財務情報の信頼性』 友杉芳正/田中弘/佐藤倫正編著 齋藤真哉

編集室より
△さる6月16日金融庁企業会計審議会企画調整部会より「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」が公表されました。これによればIFRSの任意適用は2010年3月から,強制適用は2012年を目処に判断するとあり,わが国のIFRS適用の道程が見えてきました。IFRS適用においては,グローバル化する社会の中で,財務諸表の比較可能性を高めたり,国際的な資金調達が容易になることなどが挙げられますが,その一方で対応コストや体制整備,教育の問題など導入までに解決すべき課題も山積しています。特集ではこうした課題について考察しました。
△5月末,ASBJが,「金融商品会計の見直しに関する論点の整理」を公表しました(97頁時事解説参照)。金融商品会計の見直しは,IASB/FASB共同プロジェクト項目(中長期)の一つ。2009年後半にかけては,同プロジェクトの進展に合わせて財務諸表の表示や収益認識など,論点整理の公表が目白押しの予定。弊誌でも,随時取り上げていきたいと思います。
△6月末現在,3月期決算会社による内部統制報告書の提出がピークを迎えています。内部統制報告制度初年度ということもあり,提出までには悪戦苦闘した企業も多いのではないでしょうか。「重要な欠陥」を開示した企業もあったことが新聞等で報道されています。次号特集では,このような「重要な欠陥」があるとされた事例を分析するとともに,2年度目以降の財務報告に係る内部統制のポイントはどこにあるのか,品質改善やコストダウンの観点から解説します。
◇企業会計2009年9月号のご案内

特集=内部統制報告書にみる財務報告に係る内部統制の課題

内部統制報告書にみる不備の事例とその対応 住田清芽/内部統制評価の品質改善 土田義憲・品川陽子/内部統制の効率化 坂井恵

特別企画=GC注記制度改正とリスク情報の拡充

継続企業の前提に関する注記 手塚仙夫/投資家からみた不況下の望ましいリスク情報の開示 窪田真之