SCOPE EYE
サブプライム問題の行方 高橋 進
論壇
まずは会計の基本機能から――会計基準の設計と会計の基本機能 高尾裕二
会計基準国際化と日本の対応
昨年12月,企業会計基準委員会より新たなプロジェクト計画表が公表された。その中ではEUとの同等性評価に関する項目のほか,IASB/FASBのMOUに関連する中長期的な項目も示されており,東京合意による2011年のコンバージェンス達成に向け,具体的な基準検討計画が明らかになりつつある。
本特集では,収斂へ向けて数年来急速な展開を見せている会計の国際動向を踏まえ,今後コンバージェンスを進める中でわが国がクリアすべき課題について考察した。

会計基準国際化の歴史的経緯と今後の課題――調和からコンバージェンスへ 平松一夫
IASBを巡る国際動向と日本の対応 山田辰己
EUによる同等性評価の最新動向 小津稚加子
IFRS受入れを巡る米国の対応 杉本徳栄
IFRSとのコンバージェンスを巡る日本の展望 坂本道美
コンバージェンスと受容――金融商品取引法・会社法の観点から 弥永真生
時事解説
「工事契約に関する会計基準」及び同適用指針について――企業会計基準第15号・企業会計基準適用指針第18号の解説 豊田俊一
論文
トヨタの連結貸借対照表(SEC基準による)における販売金融関連での金融セグメントの役割 末政芳信
わが国の会計制度の特異性からみた国際会計基準のコンバージェンスへの課題――会社法(商法)と法人税法の視点から 田中敏行
OPINION
松下は石油温風機事故でもなぜ企業価値を向上させたか――レピュテーション・マネジメントのベストプラクティス 櫻井通晴
学会ルポ
 日本経営分析学会第23回秋季大会 木村敏夫
日本会計研究学会第57回関西部会 大野俊雄
日本社会関連会計学会第20回全国大会 宮崎修行
相談室
〔会計実務〕 リスク情報の開示に係る会計問題 木下徳明
〔法人税務〕 改正リース税制の諸問題 長岡勝美
〔会社法務〕 労働契約法とは 早川 学

Color Section
三角波
 税制改正法案の行方
アウトサイド
 成長至上主義改革論の底の浅さ 末村 篤
会計時評
 単一のグローバル会計基準設定主体の青写真 橋本 尚
経理・財務最前線
 内部統制の構築について 松本芳彦
知っておきたい環境会計
 公開草案「資産除去債務に関する会計基準(案)」の概要 小堀一英
不正経理の手口と対策
 貴金属店における商品在庫横領 飯田哲也
サロン・ド・クリティーク
 医療法人における会計・監査研究の課題(2) 藤岡英治
ASBJ 企業会計基準委員会ニュース
書評
『財務会計変遷論』渡辺和夫 著 田中建二

編集室より
△20世紀後半期,経済活動のグローバル化とともに「会計基準の国際的調和化」を求める声が大きくなり,現在ではコンバージェンス(国際基準との収斂)あるいはアドプション(国際基準の採用)を目指す展開となっています。将来的に,単一の国際基準による統合が達成されるかは未知数ですが,一つの基準へと収束する動きはもはや揺るぎ無いものと言えるでしょう。この動きに,日本はどう対応すべきか。高品質な国際基準設定に向けて,いかに日本が参画していくか,また国内的には,コンバージェンス進展に伴う実務上の問題,法制度との関係など,課題は山積しています。本誌特集が,その考察の一助となれば幸いです。
△さる1月30日,東京証券取引所から,従来の「四半期財務・業績の概況」にあたる,四半期決算短信の様式・作成要領の「試案」が公表されました。4月に迫った金融商品取引法上の四半期報告制度導入に向けた関連規定の整備が,ほぼ完成しつつあります。最終公表を待ち,本誌でも解説記事を掲載する予定です。
△食品偽装・不正経理といった企業不祥事の頻発,4月よりスタートする内部統制報告制度への対応などから,改めて「内部監査」に注目が集まっています。リスク管理体制を整備し内部監査を有効に活用することで,不正行為の早期発見や企業内部の問題の把握・改善につなげ,経営に役立てようという企業が増えているようです。次号特集では,企業での取組み事例を踏まえながら,役割が拡大しつつある内部監査の実践的課題を検討します。

◇企業会計2008年5月号のご案内

特集=内部監査の新時代:役割の変化と新たな課題


内部監査の方向性――守りの内部監査から攻めの内部監査へ 堀江正之/不正経理と内部監査 蟹江 章/内部監査をめぐる国際動向 毛利直広/J‐SOX法と内部監査 橋本 勉/内部監査のグローバル展開――海外子会社の内部監査 政木進久/監査役監査と内部監査の連携 松本茂外志/リスク・マネジメントと内部監査 島田裕次・野本 哲/内部監査のアウトソーシング 喜入 博/内部監査としてのシステム監査 和貝享介/内部監査と上場審査 宮原幸一郎