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 IASBは3月31日付で以下の基準の設定、改訂を公表した。2005年からIFRSを採用する際に適用される基準は同日を期限として成立したものとされており、IASB側の作業は終了したことになる。今後はEU等の受け入れる側が採用の可否を検討していく段階に移る。


IAS39「金融商品:認識及び測定」の修正:「金利リスクのポートフォリオ・ヘッジに対する公正価値へッジ会計」


 銀行業界からの要請を入れて、金利リスクのポートフォリオ・ヘッジ(マクロヘッジ)に対し公正価値ヘッジ会計による処理を適用する条件を定めたもの。
 金融商品をめぐる基準については全面的に時価会計の導入を図るIASBに対しての異論も多く、今後も改訂が行われていくものと思われる。
IFRS3「企業結合」
 旧基準のIAS22を廃止するとともに、関連するIAS36「資産の減損」、IAS38「無形資産」もあわせて改訂された。主な改正点は、
 ・パーチェス法の全面適用(持分プーリング法の禁止)
 ・のれんは定期償却をせず減損評価
 ・受け入れた資産、負債(偶発負債を含む)は公正価値により計上
 ・企業結合に伴うリストラに関する費用については結合後の費用に計上
 次のフェーズとして、パーチェス法による処理の各国基準との収れん、ジョイントベンチャーや共通支配下の企業同士の企業結合、フレッシュ・スタート法の検討などが予定されている。


IFRS4「保険契約」


 2005年適用開始に向けた第1フェーズとして開示や認識・測定に関する実務の改善を定めたものであり、本格的な内容は第2フェーズに持ち越された。


IFRS5「売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業」


 米国会計基準との収れんを目的としたFASBとの共同プロジェクトによる結果として発表されたものであり、廃止事業への分類時期や財務諸表上の開示内容をFAS144「長期性資産の減損又は処分に関する会計処理」に揃える方向で差異を削減している。これにより旧IAS35「廃止事業」は廃止される。

株式に基づく報酬の改訂草案


 FASBは,さる3月末に公開草案「株式に基づく支払い〜基準書第123号および第95号の改訂」を公表し,6月30日を期限として意見を求めている。第123号は,従業員に付与したストック・オプションまたは類似の持分商品を公正価額に基づいて会計処理することを奨励はしているが要求してはおらず,公正価額に基づく影響額を開示することを条件に,本源的価値(オプションの基礎となる株式の価格が行使価格を超過する金額)により会計処理するAPB意見書第25号「従業員に発行した株式の会計」の適用も認めており,後者は利益の過大表示につながるとの批判が少なくなかった。
 草案は,(決済時に株式を発行する)持分商品と交換に提供を受ける従業員の勤務費用を,公開会社は付与日現在の公正価額により測定し,権利確定までの期間にわたって認識することを求めるよう提案している。一方,公正価額を合理的に見積もれない場合と,(決済時に現金を交付する)負債と交換に提供を受ける従業員の勤務費用は,付与日現在の公正価額により測定し,その後貸借対照表日ごとに公正価額を再測定して,権利確定までの期間にわたって認識する。
 付与日現在の公正価額は,同一または類似商品の観察可能な市場価格が入手できればそれを用いるが,一般にそれにあたるものはないことが多い。そのときはオプション価格形成モデルにより,行使価格,オプションの条件,付与日現在の基礎になる株式の価格,株価の予想変動率,予想配当,安全利率などを使用して計算するが,計算にあたっては,そのオプションと商品の独特の特徴や,特定の事実および状況を織りこむ。草案はそのため,ブラック・ショールズ・モデルまたは2項モデルに代えて,いろいろの条件を組み入れることのできる「格子(lattice)モデル」を採用すれば,より望ましい見積りができるとしているが,それに切り替えることを求めてはいない。
 付与日後に持分報奨を改訂したときは,改訂時における改訂前と改訂後の公正価額の差額により増分費用を認識する。
 従業員株式購入制度については,一般株主と同じ条件により,購入資格のある従業員のほとんどすべてが公正な条件で参加できる場合にのみ,報酬部分を含まない制度と認める。
 対応して認識する費用がない税の軽減額(tax benefit)は資本剰余金に含め,それに起因するキャッシュ・フローは,キャッシュ・フロー計算書作成に際し,税金からは除外して財務活動による現金流入額に含める。逆に対応して認識する費用の軽減額のない税金は損益計算書の法人税等に含める。
 非公開会社は,従来公正価額による方法と(公正価額を計算する際に予想変動率を使わない)最小価値による方法が認められてきたが,草案は,この最小価値による方法を廃止し,公正価額によるか,または本源的価値による方法のどちらかを採用するよう提案している。
 草案は,改訂基準書を公開会社と公正価額に基づく方法を採用する非公開会社には2004年12月15日後に開始する事業年度から将来に向かって強制適用するよう提案している。早期適用は奨励されるが,遡及適用は認められない。

企業会計基準委員会,委員の改選およびアドバイザーの新設


 1 企業会計基準委員会委員の就任
 任期満了に伴う委員の改選が行われ、3月30日開催の理事会において、下記のとおり委員が選任(再任10名、新任3名)され、4月1日付で就任した。
 なお、委員長の斎藤静樹氏と副委員長の西川郁生氏は4月13日の企業会計基準委員会で再任された。
■企業会計基準委員会委員名簿(五十音順)
石井泰次(鞄結桴リ券取引所上場部長(前)・常勤)、猪ノ口勝徳(日本生命保険相互会社保険計理人)、梅山勉(全国銀行協会参与・新任)、加藤厚(中央青山監査法人代表社員)、神田秀樹(東京大学法学部教授)、小宮山賢(あずさ監査法人代表社員)、斎藤静樹(明治学院大学経済学部教授)、逆瀬重郎(鞄立製作所財務一部主管)、辻山栄子(早稲田大学商学部教授)、西川郁生(新日本監査法人代表社員(前)・常勤)、山田浩史(松下電器産業褐o理グループ参事・新任)、吉川満(椛蝌a総研参与・資本市場調査本部長)、米家正三(伊藤忠商事叶H料経営管理部長・新任)
 2 企業会計基準委員会アドバイザーの新設
 企業会計基準委員会の審議に有用な意見、示唆を表明する役割を担う「アドバイザー」が新設された。
 アドバイザーは、委員会での議決権はないが、より高い視野や広い分野からの意見および示唆が期待される。今回のスタートにあたっては、とりわけまとまった意見を表明する機会があまり多くない投資者の視点を多く取り入れ、3月30日開催の理事会において、以下の7名が選任された。
 アドバイザーについては新しい制度であり、今後実績を踏まえ、必要に応じて運営・構成などを、委員会の審議により役立つように適宜見直していく予定。
■企業会計基準委員会アドバイザー名簿(五十音順)
石井一眞(第一生命保険(相)取締役)、佐藤行弘(三菱電機鰹辮ネ常務執行役兼取締役経理部長)、辻松雄(全国銀行協会企画部次長)、藤田裕一(東京海上火災保険褐o理部次長)、丸山明(野村證券且キ行役)、山本高稔(モルガン・スタンレー証券会社副会長)、吉野直行(慶應義塾大学経済学部教授)

日本公認会計士協会、減損会計適用指針に対応した実務指針等の改廃を公表


 日本公認会計士協会は、昨年10月に企業会計基準委員会より公表された減損会計適用指針の第66項で改廃の検討が必要であるとされた実務指針等の改廃を行い公表した。概要は以下のとおり。
 1 監査第二委員会報告第2号「休止固定資産の会計処理及び表示と監査上の取扱い」の廃止(3月17日付)
 本報告で示されている@休止固定資産についても減価償却を行い、原則として営業外費用として処理すること、A固定資産に含めて表示した休止固定資産の金額が重要である場合には、その旨およびその金額を注記すること、に関する取扱いについては、すでに実務慣行として定着していることから廃止されることとなった。なお、本報告が廃止されても従前と同様の取扱いとなる。
 2 監査委員会報告第77号「追加情報の注記について」の改正(3月17日付)
 本報告では、3.2「@資産の使用・運用状況等の説明」で重要な休止固定資産がある場合は追加情報として注記する旨を記載していたところ、上記「休止固定資産の会計処理及び表示と監査上の取扱い」の廃止に伴い必要な手当てを行った。また、関連規則や他の監査委員会報告等との用語の統一などの修正も行われた。本改正は、平成16年3月31日以後終了する連結会計年度および事業年度に係る監査から適用される。
 3 監査委員会報告第69号「販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い」の改正(4月6日付)
 本報告では、今回次の改正を行っている。
 @ 固定資産から棚卸資産(流動資産)に振り替える場合の取扱いを追加した。合理的な理由に基づき変更する場合には、保有目的の変更自体が当該固定資産の減損の兆候に該当する可能性があるので、固定資産の減損会計基準に従い、減損の認識および測定の手続を実施した後の帳簿価額により、固定資産から流動資産に振り替えることとなる。
 A 平成12年7月6日に本報告を公表した後、商法改正、商法施行規則の制定・改正、不動産鑑定基準の改正が行われていることに対応した手当てがなされた。
 本改正は、平成16年3月31日以後終了する連結会計年度および事業年度に係る監査から適用される。
 4 会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」等の改正(4月6日付)
 @ 会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」について
 連結調整勘定の減損処理について、減損会計基準および減損会計基準適用指針に従うことを明文化した上で、連結調整勘定の一時償却に関する項目の一部を削除し、かつ連結調整勘定の償却としての位置付けを明確化した。また、追補版である「株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針」とあわせて用語の修正を行った。
 A 会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」について
 連結調整勘定相当額の会計処理は上記@の実務指針に基づくこととされ、具体的な会計処理までは言及していないため、改正は不要と判断された。
 なお、上記@の資本連結実務指針第30項、第32項および第33項の改正は減損会計基準および減損会計適用指針を適用した事業年度から適用されることに注意する必要がある。

東証、平成16年3月期決算会社における第3四半期業績の概況の開示状況を発表


 東証では、市場第一部・第二部上場会社に対し、昨年4月1日より開始する事業年度から、第1四半期および第3四半期について、売上高(またはこれに相当する事項)を最低限の開示項目とする「四半期業績の概況」を開示することを義務付けている。また、本年4月1日より開始される事業年度からは、一定の経過措置を講じつつ、より詳細な四半期財務情報の開示を必要とする「四半期財務・業績の概況」の開示を求めることとしている。そこで、さる3月31日、平成16年3月期決算上場会社(1,688社)の第3四半期(平成15年10月‐12月)の業績の概況の開示状況についてとりまとめ発表した。内容は以下のとおりである。
 1 開示時期
 平均開示所要日数は36.1日であり、第1四半期(平成15年4月‐6月)(36.0日)とほぼ同様のものとなった。本決算・中間決算発表と比較すると、全体として早期の開示がなされている。また、第3四半期末後1カ月半以内(2月15日まで)に開示を行っている会社が約9割(1501社(88.9%))を占め、1月内に開示を行っている会社も602社(35.7%)あった。最も早い開示日は1月5日、最も開示が多かった日は1月30日(195社(全体の11.6%))、次いで開示が多かった日は2月10日(172社(同10.2%))であった。
 なお、第3四半期は、第1四半期ほど特定の日(第1四半期:8月8日(273社(16.2%)))への集中は見られなかった。
 2 開示する情報の連結・個別の別
 連結ベースの開示を行った会社(1,377社)のうち、連結ベースのみ開示を行った会社は929社、あわせて個別ベースの開示を行った会社は448社であった。
 3 開示項目
 売上高等は全社(1,688社)が開示している。また、損益に関する項目として、営業利益を開示している会社が873社(51.7%)、経常利益を開示している会社が885社(52.4%)、四半期(当期)純利益を開示している会社が837社(49.6%)、これらのすべての項目を開示している会社が831社(49.2%)、これらのうちいずれか1つ以上の項目を開示している会社が891社(52.8%)であり、全体の半数を超える会社が損益に関する何らかの開示を行っている結果となった。さらに、財政状態に関する項目として、総資産を開示している会社、株主資本を開示している会社がともに773社(45.8%)であった。
 また、これらの損益に関する項目および財政状態に関する項目は、原則として本年4月1日より開始される事業年度から適用が開始される四半期財務・業績の概況の開示において開示が必要となるものであるが、開示会社数は、第1四半期から、経常利益、四半期(当期)純利益、総資産、株主資本の各項目について100社以上増加している。
 4 開示様式
 売上高に代えて「これに相当する事項」を開示することを想定している様式では、建設業用様式が114社(6.8%)、銀行業用様式が84社(5.0%)、損害保険業用様式が7社(0.4%)、業績予想により代替する場合用の様式が25社(1.5%)となっている。
 5 (要約)貸借対照表・(要約)損益計算書等の添付
(要約)貸借対照表が733社(43.4%)、(要約)損益計算書が747社(44.3%)と、全体の4割を超える会社が添付している。添付会社は、第1四半期から、いずれも100社程度増加している。
(要約)貸借対照表および(要約)損益計算書は、原則として本年4月1日より開始される事業年度から適用が開始される四半期財務・業績の概況の開示において添付することが必要となるが、733社(43.4%)がすでにこの条件を満たしている。
 6 業績予想
 業績予想数値を開示している会社が1,158社、数値の開示はないが、直前の業績予想から変更がない旨または見直しを行っていない旨を記載している会社が359社あった。
 7 開示対象期間
 9カ月間の累計についてのみ開示を行った会社が1,502社、9カ月間の累計および直前3カ月間の双方について開示を行った会社が72社あった。なお、直前3カ月間についてのみ開示を行った会社も7社あった。
 8 四半期財務情報作成に当たっての簡便な方法の採用
(要約)貸借対照表および(要約)損益計算書を添付した会社733社のうち、何らかの一部簡便な方法を採用している旨開示している会社は334社あった。採用した簡便な方法として内容の記載があったものでは、税金費用に関するものが最も多く、228件あった。また、固定資産の減価償却に関するものが67件、引当金の計上基準に関するものが57件、たな卸資産のたな卸高に関するものが35件あった。

銀行と消費者金融が本格提携へ


 3月末、三菱東京フィナンシャル・グループと消費者金融第2位のアコムは、従来の提携関係を強化すると公表した。
 三菱東京は子会社、東京三菱キャッシュワンを通じて消費者金融に乗り出しており、そこにアコムも35%の資本を出資している。また三菱東京は三菱信託を介してアコムの株式を2.2%保有している。このように、三菱東京とアコムは緩い提携関係にあった。しかし、肝心の東京三菱キャッシュワンは貸出が伸びず、苦戦しており、財務体質の改善と業務体制の抜本的な強化が急務となっていた。
 今回の提携の主要な内容は、三菱東京が既存の三菱信託分と合わせてアコムの発行済み株式の15%を取得、アコムも三菱東京に対して消費者金融に関する業務ノウハウを全面的に供与というものである。三菱東京とアコムが本格的な提携関係を結んだことは、三菱東京が消費者金融に本腰を入れるとの意思表明でもある。大手銀行各行は消費者金融会社との提携を何らかの形で進めていた。三井住友と三洋信販、住友信託銀行とアイフル、UFJとプロミスという形である。ただし今回の三菱東京のような、本腰を入れた提携関係は初めてである。
 このように銀行と消費者金融が本格的な提携関係を結んだのには、それなりの理由がある。
 銀行側にとっては、消費者金融子会社の建て直しもさることながら、グループ全体の収益力の強化がそもそもの目的だ。かつての収益の柱であった企業向けの貸出は縮小傾向が続いている。三菱東京をはじめとする大手銀行グループの場合、不良債権処理にある程度の目処が立ち、今後の課題が収益力の確保に移ってきている。消費者金融は企業向けの貸付よりも高金利が期待できるうえに、貸出量も安定した推移にある。それだけに銀行として、是非とも強化したい分野である。
 一方、消費者金融とすれば、従来のマイナスの企業イメージを払拭するという目的がある。同時に、個人の自己破たんの増加にともなう収益力の悪化により、業績も転機を迎えている。このため、大手銀行の信用力という後ろ盾を得て、新たな事業展開を模索することも大きな目的だろう。
 以上の背景から考えると、第二、第三の本格的な提携関係が出てきたとしても不思議ではない。

所得税法等の一部改正法,参議院本会議で可決・成立


 さる2月3日に閣議決定され,同日に国会に提出されていた国税関係の平成16年度の税制改正案である「所得税法等の一部を改正する法律案」については,2月17日に衆議院本会議で財務大臣の趣旨説明と審議が行われ,財務金融委員会に付託された。2月25日には,衆議院財務金融委員会において提案理由の説明が聴取され,2月26日および27日に審議が行われた上,3月5日には賛成多数で可決され,同日の衆議院本会議で可決された後,参議院に送付された。
 参議院においては,3月12日の参議院本会議において,財務大臣の趣旨説明と審議が行われ,財政金融委員会に付託された。参議院財政金融委員会では,3月18日に提案理由の説明が聴取され,同日,3月24日および25日に審議が行われた後,3月26日には賛成多数で可決され,同日の参議院本会議で可決・成立した。
 今国会で成立した「所得税法等の一部を改正する法律」は,現下の経済・財政状況等を踏まえつつ,持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け,住宅・土地税制,中小企業関連税制,金融・証券税制,年金税制,法人税制,国際課税等につき所要の措置を講ずるものであり,3月31日に,関係政省令とともに公布されている。


日米新租税条約,批准書を交換・発効


 「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」については,日米双方の議会(国会)において承認が得られていたが,さる3月30日,外務省飯倉公館(東京都港区)において批准書の交換が行われた。
 これにより,本条約は3月30日をもって発効し,
 ・源泉徴収される租税に関しては,平成16年7月1日以後に租税が課される額
 ・源泉徴収されない所得に対する租税および事業税に関しては,平成17年1月1日以後に開始する各課税年度の所得
について適用されることになる。

日本監査役協会、理事会を開催し監査委員会の連結計算書類に係る監査報告書のひな型を決定


 日本監査役協会は、4月6日の理事会で次のような議題について決議・報告を行った。
 1 監査委員会の連結計算書類に係る監査報告書のひな型
  監査委員会が連結計算書類に係る監査報告書を作成する際の参考に供する目的で「監査委員会の連結計算書類に係る監査報告書のひな型」を決定した。
 2 報告事項
  1 第31期第2四半期事業報告
  2 協会設立30周年記念式典・第58回監査役全国会議の準備状況報告
  3 第31期における委員会活動
   @ ケース・スタディ委員会
   A 監査法規委員会
   B 会計委員会
   C 監査委員会に関する小委員会
  4 監査役監査基準の普及活動
  5 新創業プロジェクト会議の審議状況
 ここで決定された「監査委員会の連結計算書類に係る監査報告書のひな型」は,翌4月7日に公表された(日本監査役協会ホームページhttp://www.kansa.or.jp、「月刊監査役」5月号掲載)。
 同協会ではすでに、1月に監査委員会監査報告書のひな型(単独)を公表しており、今回は、連結計算書類に係る監査委員会監査報告書のひな型を公表したものである。本ひな型は同協会の「監査委員会に関する小委員会(委員長:松香茂道鞄立製作所取締役・監査委員長)」により検討された。
 なお、連結計算書類制度は3月決算会社の場合は平成17年3月決算からの適用となる(平成14年改正商法特例法附則第8条)。


役員人材バンク新設(社外監査役候補者リストのリニューアル)


 日本監査役協会は平成13年商法改正をうけて、平成14年から社外監査役候補者を求める会員会社に、協会に登録した会員および会員OBをリスト化し、登録者の経験、資格、年齢等の情報を無料で閲覧できる「社外監査役候補者リスト」を設置している。協会はすでに数件の実績があるこのシステムを「役員人材バンク」として大幅にシステム変更し、4月13日にリニューアルした。監査役監査に関する充分な経験と実績を有した協会会員および会員OBを紹介することで、日本における監査役制度そのものの機能強化を図ることがその目的である。
 リニューアルのポイントは、@プライバシーに関する部分を除き、登録者の情報を協会ホームページで閲覧できるようにすること、A登録者が就任を希望する役職の対象を社外監査役のみに限定せずに監査委員を含めた会社役員とすること、B協会会員会社に加え、会員外の会社にも登録者の情報を提供することの3点である。


アメリカにおける公的規制と自主規制の棲分け


 アメリカでは,企業改革法のもとで創設された公開会社会計監視委員会(PCAOB)による「監査基準」の設定が進んでいる。さる2004年3月9日には,監査基準第2号「財務諸表の監査とともに実施される財務報告にかかる内部統制の監査」が確定・公表された。これは,2003年12月17日に公表された監査基準第1号「監査人の報告書におけるPCAOBの基準への言及」に続くものである。第1号では,監査報告書において,従来の「一般に認められた監査基準に従って」という文言に替えて,(今後,設定または承認されていく)「PCAOBの定める監査基準に従って」という文言が使われることを求めていた。第2号では,企業改革法に定められた最重要改革のうちの1つである内部統制報告に関する監査基準を定めたものである。
 これらの「監査基準」は,従来,アメリカ公認会計士協会(AICPA)が定めてきた10の監査基準およびその解釈指針としての監査基準書(SAS)に替わるものであるが,注目すべきは,第2号では,内部統制の報告に当たっては,AICPAが公表している証明基準に準拠することを求めていることである。すなわち,監査基準第2号に見る限り, PCAOBでは,監査にかかる主たる事項については,監査基準の設定を通じて規制していくものの,その実施にかかる指針等については,AICPAの証明基準等を利用していくという,公的規制と自主規制の棲み分けの方針をとっているものと考えられるからである。