|
SCOPE EYE 企業会計・ディスクロージャー制度を巡る諸課題 金融庁総務企画局企業開示参事官 羽藤秀雄 |
|
|
■Profile■ はとう・ひでお:1957年生まれ。1981年に通商産業省入省後、資源エネルギー庁、外務省在フランス大使館一等書記官、通商産業大臣秘書官,通商産業省機械情報産業局企画官、大臣官房報道室長、経済産業省経済産業政策局参事官等を経て、現職。 はじめに 企業の財務内容が的確に認識され、適正なディスクロージャーが行われることは、企業自身にとっての経営活動の認識や資金調達の手段として、また、投資家にとっての投資情報として不可欠である。特に、企業活動の多様化、国際化の展開を背景として、わが国の企業自身の競争力を高め、資本市場の効率性の向上を目指し、投資家の適切な保護を図る観点からは、会計制度、ディスクロージャー制度、監査制度の充実と強化は喫緊の課題である。現在,国際的な動向を踏まえながら、企業会計審議会、金融審議会、財務会計基準機構・企業会計基準委員会など、行政、関係団体においては広範な検討が行われている。 本稿では紙幅が限られているので、これらの課題への取組みのポイントを紹介させていただきたい。 会計制度 会計制度については、企業会計審議会において、平成14年1月には監査基準の全面改訂、同年8月には固定資産の減損会計基準の整備などが図られ、さらに、企業結合会計の審議が進められている。また、財務会計基準機構・企業会計基準委員会においても、自己株式の会計基準および1株当たり当期純利益の会計基準、これらの会計基準の適用指針、デット・エクイティ・スワップの実務対応報告などが策定され、公表されている。さらに、現在、リース会計基準の見直しやストック・オプションの会計基準について検討が進められており、また、国際会計基準審議会(IASB)における国際会計基準の開発に対応してわが国の意見を発信するなど、活発な活動が続けられている。 ディスクロージャー制度 ディスクロージャー制度については、わが国の証券市場における適正な投資情報の提供を通じた投資家の保護と効率的な市場の構築を図るとの観点から、制度整備に精力的に取り組んできたところである。 現在、金融審議会(第一部会)において、以下の三つの観点からの審議が進められている。 @ 信頼される市場の確立に向けたディスク ロージャーの充実・強化 有価証券報告書等における「リスク情報」、「経営者による財務・経営成績の分析(MD&A)」、「コーポレート・ガバナンス関連情報」の開示の充実、米国企業会計改革法の関連項目 A 経済の活性化(事業資金調達の円滑化、事業再編の迅速化等)に資するディスクロージャー・ルールの整備 適格機関投資家の範囲拡大、少人数私募における50名カウントからの適格機関投資家の除外等 B ディスクロージャーに関する手続等の簡素化・迅速化 組込方式の有価証券届出書についての効力発生期間の短縮、EDINETにより提出される訂正発行登録書に係る発行登録の効力停止期間の短縮等 監査制度 監査制度については、公認会計士監査制度の見直しに取り組んでいるところである。 平成13年10月から、金融審議会(公認会計士部会)において、監査制度と試験制度の両面からの総合的な検討が行われており、以下の六つの観点から、具体的な項目についての審議が進められている。 @ 監査のあり方 公認会計士の使命・監査の目的、業務のあり方、守秘義務の明確化等 A コーポレート・ガバナンスの充実・強化 企業の責任、内部監査・監査役(監査委員会)監査との相互補完、投資家・証券取引所等との関係等 B 独立性の強化 独立性の明確化、被監査企業への非監査業務の同時提供の禁止、監査法人の関与社員の交替制、大規模企業に対する公認会計士単独による監査の禁止等 C 人数の拡大と質の向上 公認会計士資格者についての基本的考え方、試験制度のあり方、資格登録と業務登録の分離、継続専門研修の履行義務づけ等 D 監査法人のあり方 監査法人の制度的位置づけ、監査法人の社員の有限責任の導入、社員資格の拡大、監査法人の財務内容の公開、監査法人の業務の範囲等 E 以上を踏まえた監視・監督機能のあり方 おわりに 以上のとおり、幅広い観点からの総合的な検討を踏まえ、今後、これらの課題について一定の結論が得られたものについては、法律改正を含めた所要の措置の具体化を図っていくこととしたい。 最後に、会計制度、ディスクロージャー制度、監査制度は、経済社会における重要なインフラであるとともに、行政のみならず、投資家、企業、公認会計士、証券取引所、研究者その他の広範な関係者のご理解とご協力を得て、適切な役割を果たし得るものと考えている。関係者の方々には、それぞれのお立場における、これまでのご努力とご協力に深く敬意を表すとともに、わが国の証券市場の健全な発展のために、今後とも一層のご助力をお願いしたい。 |
|
|