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株価対策まとまる

 去る2月9日、株価下落に対する一連の対策が明らかになった。
 1つは、与党3党が株価対策の中間報告をまとめ、必要な法案を通常国会で成立させる意向を固めたことである。もう1つは、日銀が公定歩合を5年5ヵ月ぶりに引き下げ、0.35%としたことである。
 昨年春以降、株価は下落傾向をたどり、足元では持ち合い解消売りに不安定な動きを続けている。このため、銀行などの保有株式の含み益が消滅し、評価損の状態に陥ったと見られる。これが金融システム不安を再燃させ、ひいてはアメリカの景気後退とあいまって、日本経済に悪影響を与えている。これに対して与党は自民党を中心に株価対策の検討を急ぐと同時に、日銀に対して量的緩和などの金融政策の発動を強く求めていた。
 与党がまとめた株価対策は次の項目から成り立っている。


 最も重要なものは、今国会で商法を改め、企業が自己株式を金庫株として取得できるようにする措置である。現在、自己株式の取得は消却目的でしか認められていないため、企業は金庫株制度の導入を強く求めていた。他方、金庫株の取得を認めると、企業が自己株式を売買して不公正な取引を行なう危険性がある。このため、インサイダー取引や株価操縦などの防止制度を整えなければならない。
 これに加えて今国会で法案を提出するものは、土地の評価益を自己資本に算入できる土地再評価法の期限を1年間延長することと、株式投資単位の引き下げである。後者は、1投資単位当たりの純資産が5万円以上なければならないという商法の規定があるため、株式の投資単位が大きくなりすぎて個人投資家が買えないと言われているため、それを見直すものである。
 その他、今後の課題としてあげられたものは、日銀に対する金融政策の要請、個人の株式譲渡益課税軽減など証券税制の見直し、確定拠出年金制度法案の今国会での成立、自社株運用型年金の創設、株価指数連動型の上場投資信託の導入などである。
 以上に対する市場の見方は、株価対策としての即効性はないというものだろう。市場への直接介入はともかくも、税制等資金を用いた措置が盛り込まれなかったからである。
 一方、日銀は与党の強い圧力を受けるなか、金融政策決定会合で公定歩合の引き下げと、銀行に対する新しい貸出制度(日本版ロンバート貸出)を3月に創設することとした。無担保コール翌日物金利の誘導目標は0.25%で据え置かれため、公定歩合の引き下げは象徴的な意味合いが強い。またロンバート貸出は無担保コール翌日物金利が急激に上昇した場合にも公定歩合で貸し出す制度であり、金融システム不安が発生した場合の対抗措置として機能することになる。

企業会計審議会、新メンバー公表
 去る平成13年2月2日、企業会計審議会(金融庁所管、会長:若杉明高千穂商科大学教授)は総会を開催し、中央省庁再編にと伴う、部会の設置、部会長の指名等議事の運営に関する事務的な事項についての整備を行った。
 組織図ならびに各部会のメンバーは以下のとおり。


企業会計審議会名簿(平成13年2月2日現在)
会  長 

  若杉明高千穂商科大学教授
 安藤英義一橋大学教授
 伊藤進一郎住友電気工業椛纒\取締役副社長
 大塚宗春早稲田大学教授
 神田秀樹東京大学教授
 北村敬子中央大学教授
 斎藤静樹東京大学教授
 須田美矢子学習院大学教授
 山栄子武蔵大学教授
委 員

  友永 道子公認会計士
 中島公明財企業財務制度研究会専務理事
 中地宏日本公認会計士協会会長
 中村芳夫社経済団体連合会常務理事
 林興治鞄本経済新聞社取締役電子メディア局長
 平松一夫関西学院大学教授
 宮島司慶応義塾大学教授
 森金次郎日本税理士会連合会会長
 八木良樹鞄立製作所代表取締役副社長
 山浦久司明治大学教授
 脇田良一明治学院大学学長
 伊藤大義日本公認会計士協会常務理事
 葛馬正男東レ鰹務取締役
 加藤厚公認会計士
 角田博社経済団体連合会経済本部長
 黒川行治慶應義塾大学教授
臨時委員

  小宮山賢公認会計士
 品川芳宣筑波大学教授
 内藤文雄神戸大学教授
 西川郁生日本公認会計士協会常務理事
 藤田敬司日本ユニシス鰹勤監査役
 万代勝信一橋大学教授
 山田辰己公認会計士
 岩田研一三菱地所滑驩譁{部経営企画部副長
 引頭麻実椛蝌a総研シニア・アナリスト
 梅山勉鰹Z友銀行財務企画部次長
 太田恵子公認会計士
専門委員

  大日方隆東京大学助教授
 川村義則早稲田大学専任講師
 逆瀬重郎鞄立製作所財務部副部長
 長坂武見ソニー褐o理部連結管理担当部長
 松野恒博トヨタ自動車褐o理部主計室長
 都正二新日本製鐵轄燒ア部決算グループリーダー
 渡辺茂竃村総合研究所経済研究部上席研究員
 秋葉賢一公認会計士
 荒木和郎日本公認会計士協会リサーチ・センター研究員
 金井沢治公認会計士
幹 事

  山康宏日本公認会計士協会リサーチ・センター研究員
 鳥飼裕一財企業財務制度研究会主任調査役
 那須伸裕公認会計士
 原田晃治法務省民事法制管理官
 松岡寿史公認会計士


 企業会計審議会企画調整部会名簿(平成13年2月2日現在)
部会長 若杉明高千穂商科大学教授
部会長代理 安藤英義一橋大学教授
委員

斎藤静樹東京大学教授
 山栄子武蔵大学教授
 中島公明財企業財務制度研究会専務理事
 八木良樹鞄立製作所代表取締役副社長
 脇田良一明治学院大学学長
臨時委員

  角田博社経済団体連合会経済本部長
 西川郁生日本公認会計士協会常務理事
 山田辰己公認会計士
幹事

  鳥飼裕一財企業財務制度研究会主任調査役

 

企業会計審議会第一部会名簿(平成13年2月2日現在)
部会長 斎藤静樹東京大学教授
部会長代理 神田秀樹東京大学教授
委員

  安藤英義一橋大学教授
 伊藤進一郎住友電気工業椛纒\取締役副社長
 大塚宗春早稲田大学教授
 北村敬子中央大学教授
 山栄子武蔵大学教授
 中島公明財企業財務制度研究会専務理事
 中村芳夫社経済団体連合会常務理事
 森金次郎日本税理士会連合会会長
 八木良樹鞄立製作所代表取締役副社長
臨時委員

  葛馬正男東レ鰹務取締役
 黒川行治慶應義塾大学教授
 小宮山賢公認会計士
 西川郁生日本公認会計士協会常務理事
 万代勝信一橋大学教授
 山田辰己公認会計士
専門委員

  引頭麻実椛蝌a総研シニア・アナリスト
 梅山勉鰹Z友銀行財務企画部次長
 大日方隆東京大学助教授
 長坂武見ソニー褐o理部連結管理担当部長
幹事

  金井沢治公認会計士
 原田晃治法務省民事法制管理官
 松岡寿史公認会計士

 

企業会計審議会第二部会名簿(平成13年2月2日現在)
部会長 脇田良一明治学院大学学長
部会長代理 宮島司慶應義塾大学教授
委員 

  伊藤進一郎住友電気工業椛纒\取締役副社長
 須田美矢子学習院大学教授
 友永道子公認会計士
 中地宏日本公認会計士協会会長
 林興治鞄本経済新聞社取締役電子メディア局長
 山浦久司明治大学教授
臨時委員

  葛馬正男東レ鰹務取締役
 加藤厚公認会計士
 角田博社経済団体連合会経済本部長
 内藤文雄神戸大学教授
 藤田敬司日本ユニシス鰹勤監査役
専門委員

  梅山勉鰹Z友銀行財務企画部次長
 松野恒博トヨタ自動車褐o理部主計室長
 渡辺茂竃村総合研究所経済研究部上席研究員
幹事

  山 康宏日本公認会計士協会リサーチ・センター研究員
 那須伸裕公認会計士
 原田晃治法務省民事法制管理官

 

企業会計審議会固定資産部会名簿(平成13年2月2日現在)
部会長 辻山栄子武蔵大学教授
部会長代理 中島公明財企業財務制度研究会専務理事
委員

 大塚宗春早稲田大学教授
 神田秀樹東京大学教授
 斎藤静樹東京大学教授
 中村芳夫社経済団体連合会常務理事
 平松一夫関西学院大学教授
 八木良樹鞄立製作所代表取締役副社長
臨時委員

 伊藤大義日本公認会計士協会常務理事
 小宮山賢公認会計士
 品川芳宣筑波大学教授
専門委員

 岩田研一三菱地所滑驩譁{部経営企画部副長
 太田恵子公認会計士
 川村義則早稲田大学専任講師
 逆瀬重郎鞄立製作所財務部副部長
 都正二新日本製鐵轄燒ア部決算グループリーダー
幹事

 秋葉賢一公認会計士
 荒木和郎日本公認会計士協会リサーチ・センター研究員
 原田晃治法務省民事法制管理官


平成13年度税制改正法案,国会に提出
@平成13年度の税制改正の具体的な内容については,1月16日,「平成13年度税制改正の要綱」が閣議決定されていたが,去る2月6日,「法人税法の一部を改正する法律案」および「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され,同日国会に提出された。
@これらの法律案は,いずれも,平成13年度税制改正事項のうちの法律で措置すべき事項が法律化されているものである。
@・@「法人税法等の一部を改正する法律案」は,商法改正による会社分割制度の創設に伴い,合併・分割等の企業の組織再編成に係る税制の整備等を行うことを内容としている。
@・@「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」は,最近の経済情勢等を踏まえ,住宅投資および中小企業の設備投資の促進を図るため,新たな住宅ローン減税の実施,中小企業投資促進税制の適用期限の延長等を行うとともに,金融関係税制について,上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離選択課税を存続する経過措置の延長等を行うこととしている。
@また,社会経済情勢の変化に対応するため,認定NPO 法人に対する寄附に係る特例の創設,贈与税の基礎控除の引上げ,個人の土地等に係る長期譲渡所得に対する税率軽減の特例の延長等の土地税制の改正,合併・分割等の企業の組織再編成に対応するための各種特別措置の整備等を行うほか,適用期限の到来する特別措置についての期限延長,既存の特別措置の整理合理化等を行うことを内容としている。
@両法律案のポイントは,次のとおりである。
 「法人税法の一部を改正する法律案」
@〈企業組織再編成〉
@〇@商法改正による会社分割制度の創設に伴い,企業組織再編成に係る税制を整備
@・ 法人における課税の取扱い:一定の企業組織再編成(企業グループ内の組織再編成,共同事業を行うための組織再編成)について,移転資産の譲渡損益の課税を繰り延べ
@・ 株主における課税の取扱い:株式のみの交付を受けた場合に旧株の譲渡損益の課税を繰り延べ
@・ 租税回避の防止措置
@・ 登録免許税,消費税等
 「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」
@〈住宅税制〉
@〇@新住宅ローン減税制度の創設(控除期間10年間,控除限度額500 万円)
@〇@住宅取得資金に係る贈与税の非課税限度額:550 万円へ引き上げ(現行300 万円)
@〈中小企業投資促進税制等〉
@〇@中小企業投資促進税制:14.3.31取得等分まで適用
@〈金融関係税制〉
 〇@株式等譲渡益についての申告分離課税への一本化を2年延期
@〈社会経済情勢の変化への対応〉
@〇 特定非営利活動法人への支援:認定NPO 法人に対する寄附についての特例措置
@〇 相続税・贈与税
  贈与税の基礎控除:110 万円へ引き上げ(現行60万円)
  相続税の小規模宅地等の特例の拡充(特定事業用など:330 u→400 u,特定居住用:200 u→240 u)
@〈企業組織再編成〉
@〇@各種の租税特別措置における企業組織再編成に係る所要の改正


新体制後初の解釈指針委員会を東京で開催
 新体制下で初の解釈指針委員会(SIC 、Standing Interpretations Committee)が2月12、13の両日東京で開催された。
 SIC はIAS の細かい解釈や新しい事象への対応のための解釈指針を定めるために設けられている。IOSCO(証券監督者国際機構)がIAS を証券市場での基準として認めるための条件の一つとして挙げたものでもある。
 SIC の活動は解釈指針の草案公表と最終案の作成からなるが、現在以下のような項目が草案作成に向けて討議されている。
 ・ 企業集団内での合併
 IAS では連結決算がすべての会計基準の基本となっているため、IAS22 (企業結合)では企業集団外部の企業との合併について取り扱うこととしており、企業
集団内での合併は対象外となっている。SIC では合併が
IAS22 の対象となるか否かの判定基準を作成している。
 ・ 買収対価として発行した株式の価格
 IAS22 (企業結合)では企業を取得(買収)した対価はその取引日現在の原価で計上されなければならない。SIC では@取引日をいかに特定するかA対価として市場性ある株式を発行した場合に市場価格を用いることが妥当か、を検討している。
 ・ 測定通貨から表示通貨への換算替え
 SIC19 ではIAS21 (外国為替レート変動の影響)、IAS29 (超インフレ経済下の財務報告)に関連して、測定通貨以外の通貨により財務諸表を表示することがより適当な場合に他の通貨での表示を認めているが、SIC ではその場合の換算替えの方法を具体的に特定する予定である。
 ・ 広告宣伝でのバーター取引
 企業がお互いの広告をそれぞれのウエブサイトに掲載し合うなど、広告宣伝活動でのバーター取引を行うことがある。IAS18 (収益)では類似しない役務の給付が交換されたときには、その対価を信頼性をもって見積りできる場合には役務の公正価値をもって収益に計上するように定めている。SIC はバーター取引での公正価値をどのように測定するかを検討している。
 ・ インターネットのウエブサイト作成コスト
 昨今ではインターネットが企業活動に欠かせないものとなっており、なかでも広告や販売のためにウエブサイトを利用することが一般的になっている。IAS38 (無形資産)では広告宣伝や販売促進に関わる支出は費用処理することを求めており、SIC はこの規定をウエブサイトの作成、維持に関するコストの処理にどのように適用するかを討議している。

連結方針および手続
 FASBは1999年2月に公開草案「連結財務諸表〜目的および方針」を公表し,110を超える回答者から意見を受け取った。草案は,他の実体(子)を支配する企業および非営利組織がそのすべての実体を連結することを提案した。その後FASBは,その容認される活動および能力が相当制限された実体については分離して新たに公開草案を発行することにし,当該実体をその範囲から除外した最終基準書を発行するという暫定的な決定をした。そのほかに行った決定には,次のようなものがある。
 ・ 連結範囲は支配のみに基づいて決定し,そのほかに所有率等の特定の最低水準に由来する親の能力は要求する別個の便益の水準は求めない。
 ・ 新たに取得した子の支配が取得日現在で一時的な場合には,昨年6月に発行した減損および処分に関する基準書の公開草案の対象とすることにして,連結除外の提案は削除する。
 ・ 支配について提案した定義は維持する。
 ・ 支配の存在を示す強力な証拠および支配の推定に反論する基礎を提供するいくつかの要因を識別した草案の条項は維持し, 保有者の選択により直ちに行使できる現在所有する転換証券または他の権利を通じて, 実体が有限責任組合員のいる組合の一人だけの無限責任組合員になる権利と地位を
引き受ける一方的能力を有する場合で,証券の転換または権利の行使による費用がその予測される便益を超えない場合には,支配を推定するよう追加する。
 ・ 転換証券,オプション,ワラント等の未行使の権利を通じて子の支配を獲得した場合には,連結財務諸表作成上の支配・非支配(少数株主)持分の配分は,行使したと仮定した方式によって行う。
 ・ 基準書第140号の規定を満たす適格な特別目的実体は,第140号により連結対象には含めない。
 ・ 容認された活動および能力が相当制限された実体をいつ連結すべきかに関する追加規準を設定する。
 ・ 最終基準書は2001年12月15日後開始する事業年度の財務諸表について発効させ,過年度の連結財務諸表は原則として修正再表示する。
 FASBは,最終基準書および能力の制限された実体に関する公開草案を6月30日以前に発行する計画だったが,双方とも発行するために十分な委員の支持を得る見通しがつかず,指針の改善の必要性については合意があり,また6月末で一部委員が交代するため,その後引き続いて検討することになり,職員にそのために必要な作業を行うよう指示した。
 ある委員は,議決権保有者のある者が反対しないという期待に基づく他者と共有しない意思決定能力が存在し得るか,および議決権を得る能力を与える転換証券等の取扱いが有効かどうかを懸念している。


東証、会社分割法制創設に伴う上場制度等の対応について公表
 東京証券取引所は、去る2月20日、本年4月から会社分割に踏み切る企業を対象とする上場制度を新設することを発表した。本年4月1日に会社分割法制の創設を内容とした商法改正が行われることに伴い上場制度等の対応を図るものである。主な内容は以下のとおり。
 1 上場会社の人的分割により営業を承継した会社の速やかな上場について
 上場会社が人的分割を行う場合には、上場会社の多数の一般株主に営業を承継する新設会社等の株式が割り当てられることになることから、この株式を割り当てられた一般株主に対し、できるだけ早期に割り当てられた株式の流通市場を提供するよう対応を図る。これにより、上場会社としても、会社分割実施に対する株主の理解が得られやすくなり、会社分割による円滑な企業再編が容易になる。具体的な対応例は次のとおり。
 1 新設会社等の速やかな新規上場のための対応
 まず、分割前に上場申請を受け付け、分割前の段階から上場会社の事業部門における実績や分割計画等に基づく上場審査を行うこととし、分割期日の1か月前を目途に上場承認及びその旨の公表を行うこととする。また、上場審査基準において、現行基準では対応できない部分、例えば、「株式会社として設立後3か年以上経過していること」を要することとしている設立後経過年数の基準や、「株式会社として一定の株主資本及び利益を計上していること」を要することとしている基準について、分割前の上場会社の事業部門における実績による基準への適合を認めるなどの対応を図る。その一方で、申請会社に対し、新設会社の開示情報を補うための公衆縦覧資料などとするため、上場会社から承継される営業に関する最近2年間の財務諸表に相当する財務情報を記載した資料の提出を求めることとする。この資料には、公認会計士又は監査法人の意見表明の手続を実施することが要される。株券オプション取引制度については、新設会社等がこれらの対応により市場第一部に新規上場される場合には、株券オプションの対象株券の選定に際し、これを速やかに株券オプションの対象にすることができるよう、売買高基準は適用せず、上場株式数基準のみにより行うこととする。
 2 新株の流通の確保
 上記の対応により新規上場される株式、また、株式公開会社の人的分割において承継会社となる上場会社が発行する新株について、通常、40日から50日を要することになる新株券の発行を待たずに、合併や株式移転などの場合の取扱いと同様、(財)証券保管振替機構におけるみなし預託による残高をもって売買・決済を行うこととし、原則として分割期日から上場しようとするもの。
 以上二点の対応により、上場会社の人的分割により発行された株式を分割と同時に上場し、株主に速やかに流通の機会を提供することが可能となる。
 2 人的分割を行う上場会社株主の権利関係の変化への対応について
 上場会社が人的分割を行う場合、その株主に営業を承継した会社の株式が割り当てられ、株主の権利関係に変化が生じるため、その対応を図ることとする。
 1 権利落の期日の基準値段
 上場株式が、例えば、対象株券が株式分割により権利落となる場合には、分割比率によって、権利落の期日の基準値段を調整するなどにより対応することとなるが、人的分割の場合には、株式分割比率のような客観的な比率を設け、基準値段の調整により対応することは困難となる。そこで、上場会社の人的分割に係る権利落の期日については、直接上場銘柄と同様に、東証が基準値段を定めることはせず、また、制限値幅を適用しないことができることとして、需給の拮抗点を
早期に発見し売買を円滑に行うよう対応を図ることする。
 2 株券オプション取引制度の対応
 オプション対象会社が人的分割を行う場合には、権利落の期日の基準値段と同様、客観的な比率を設け権利行使価格の調整により対応することは困難である。
 そこで、取引最終日が会社分割に係る権利落の期日の前日以降となる限月取引については、取引最終日の前倒しを行い、一旦取引を終了し、権利落の後、改めて限月取引を設定することとする。
 3 信用取引制度の対応
 制度信用取引を行っている銘柄について、人的分割が行われ、設立会社又は承継会社の株式を引き受ける権利(以下「承継会社株等引受権」という)が割り当てられた場合には、現行の新株引受権等と同様、当該引受権を金銭換算し調整を行うこととする。
 具体的には、正会員は、承継会社株等引受権の価額に相当する額の金銭を割当期日現在の信用買顧客に支払い、信用売顧客から徴収することとなる。
 その他の対応として、上場会社の人的分割だけでなく、物的分割により設立された会社等の株券の早期上場も可能とするほか、適時開示事実・提出書類や上場廃止基準等を整備するなど、所要の改正を行う。
 なお、改正商法の施行に合わせ、本制度の施行は本年4月1日からの予定となっている。


東証、平成12年9月期の中間連結決算発表状況等の集計結果を公表
@東証は、平成12年9月末時点で上場している3月期決算会社1,631社(すでに上場廃止となった会社および上場廃止が決定された会社を除く)の平成12年9月中間決算発表状況の集計結果を公表した。今中間期からは、証券取引法上のディスクロージャー制度の改正に伴い、中間連結決算の発表が義務づけられている。概要は以下のとおりである。
@中間連結決算発表の状況
@中間連結決算発表会社数は、1,504社(9月期中間決算発表会社数比92.2%)であり、中間決算期末から中間連結決算発表までの平均所要日数は50.9日であった。なお、平成12年3月期の連結決算発表の平均所要日数は53.9日であり、前期の本決算と比較して短縮化している。
@また、中間連結発表会社1,504社のうち、中間連結決算と中間個別決算を同時に発表した会社数は、1,315社であり、中間連結決算会社全体の87.4%を占めた。なお、平成12年3月期の連結決算発表における連単同時発表会社は1,231社(決算発表会社数比82.0%)であり、同時発表会社数及び比率は上昇している。
@中間連結決算の発表が最も集中した時期は、11月第4週(20日〜24日)であり、中間連結決算発表会社全体の42.6%を占める641社が発表を行なった。また、最も発表が集中した日は11月24日(金)であり、220社(全体の14.6%)が発表を行なった。なお、平成12年3月期の連結決算発表の最集中日には243社(同16.2%)が発表を行なっており、若干の改善が見られた。
@中間連結決算発表所要日数の分布状況
〜30日〜40日〜50日〜60日〜70日〜80日〜90日合計
77112 341 842 963511,504社
5.1 7.5 22.656.06.4 2.3 0.1 100.0%
@早期発表会社(所要日数20日以内の会社)
@ホギメディカル(10日)、KOA (17日)、日信工業(17日)、日製産業(19日)、日立機電工業(20日)、HOYA(20日)
@中間個別決算発表の状況
@中間個別決算発表を行なった上場会社1,631社(前年9月中間比+92社)の中間期末から発表までの所要日数は48.1日であり、前年の43.5日と比較して4.6日増加した。
@中間個別決算の発表が最も集中した時期は、連結同様に、11月第4週(20日〜24日)であり、中間連結決
算発表会社全体の42.1%を占める686社が発表を行なった。また、最も発表が集中した日は11月24日(金)であり、236社(全体の14.5%)が発表を行なった。なお、昨年の最集中日(11月19日(金))の発表会社数が200社(同13.0%)であつたことと比較すると社数及び比率ともに増加し、連結決算発表とは対照的に集中状況は悪化した。
@早期発表会社(所要日数20日以内)
@ホギメディカル(10日)、マネックス証券(16日)、KOA(17日)、日信工業(17日)、日製産業(19日)、王子製紙(20日)、NECソフト(20日)、東京製鐵(20日)、日立機電工業(20日)、HOYA(20日)


日本監査役協会,第52回監査役全国会議日程が決定
 日本監査役協会では,毎年春と秋に監査役全国会議を開催しているが,今年の春に開く第52回監査役全国会議のスケジュールがこの程決定した。協会としては,この会議に全国より約2,000 名の監査役が出席することを予定している。主なスケジュールは,以下のとおり。
 [第52回監査役全国会議]
日 時 平成13年4月10日(火)10:40〜16:45(会議),17:00〜18:30(パーティー)
 主 題 世界に通用するコーポレート・ガバナンスを求めて
〜21世紀の企業経営における監査役のあり方
 会 場 パシフィコ横浜 国立大ホール
10:40 開会宣言
  (社)日本監査役協会会長@井上輝一
 10:40〜11:00 ご来賓ご挨拶
  (社)経済団体連合会会長@今井 敬氏
 11:00〜12:00 講 演
  (株)小松製作所取締役会長@片田哲也氏
 13:10〜14:10 報告「企業法制の将来に関する最終報告」
14:30〜16:40 パネルディスカッション
  「コーポレートガバナンスの将来と監査役」
  コーディネーター
   東京大学法学部教授@神田秀樹氏
  パネリスト
   アサヒビール(株)代表取締役社長@福地茂雄氏
   松下電器産業(株)代表取締役副社長@村山 敦氏
   日本経済新聞論説委員@森 一夫氏
   (社)日本監査役協会会長@井上輝一氏