TOPICS-2  IASC新体制へ,理事会メンバーに山田辰己氏選出

   


 新世紀を迎えてIASCは本年1月より大幅な組織変更を行った。IOSCO から要求されていたコアスタンダード制定作業も同機関の承認によって終了し、今後は各国基準の調整よりも国際基準の設定と普及とをリーダーシップを取って行うことに目標を置いた組織となる。1999年11月に公表された報告書「IASCの将来像への勧告」にいう調和者(Harmoniser)から触媒者(Catalyst)や主唱者(Initiator)への変身に沿うものとなっている。
 新体制の主要な組織は次のとおりである。

・ 評議会(Trustees)

  19名からなり、以下に挙げる各組織のメンバーを任命する権利を持  

つ。新体制によって増加する資金の調達も重要な役割になる。
・ 理事会(Board)

  新体制の最も中心とされる組織であり、基準設定の主体となる。
・ 基準助言委員会(Standard Advisory Council)
 国内基準設定機関や会計に関連の深い団体からメンバーを任命、
理事会に基準設定のための必要なアドバイスを与える。
・ 解釈指針委員会(SIC)

IASの実行に解釈指針の草案、最終案を起草する。 理事会は14人のメンバーからなり、うち12人は出身母体の籍を離れてフルタイムで参加することになる。選任にあたっては地域等に配慮はせず、本人の技術的・専門的知識によって選ばれることとされている。
 また、7人は国内基準設定機関との連絡を公式に担当する「リエゾン」メンバーとなる。これにより各国国内基準との同一化を図っていくことに重点が置かれている。
 昨年までの旧組織はいわば各国の職業会計士団体を主体として構成されていたボランティア団体であった。そのためメンバーや資金の面からはこれ以上の発展を考えるうえで限界があり、今回の変更はそれらを克服してIASの位置づけを強化していくための大きなステップとなる。
 初代議長に就任したデービッド・トゥウィーディー卿(Sir David Tweedie・英国)のかじ取りのもとで、新生IASCがどのように動き出すかが注目される。


 また、去る1月26日、ニューヨーク(現地、25日)において、国際会計基準委員会(IASC)評議会議長ポール・ボルカー氏により、新IASC理事会の構成メンバー14名が公表された(表参照)。
 日本からは、山田辰己氏がリエゾンメンバーとして選出。新設されるわが国の会計基準設定主体と連携をとりつつ、本年4月から活動開始予定の新理事会において審議を進めていくこととなる。

IASC新理事会メンバー

[議長]  
D・トゥウィーディー英英国会計基準理事会議長

[副議長]  
T・ジョーンズ英シティコープ主席財務責任者

[理事]  
H・ブルンズ*独ダイムラークライスラー最高会計責任者
G・ジェラルド*仏KPMGパートナー
J・リーゼンリング*米米国財務会計基準審議会
W・マクレガー*豪豪会計調査協会CEO 
P・オマリー*加カナダ会計基準理事会議長
G・ウィッティントン*英ケンブリッジ大教授
山田辰己*日中央青山監査法人代表社員
A・コープ英米国財務会計基準審議会,アナリスト
R・ガーネット南アアングロ・アメリカン社副社長
H・シュミットスイスネスレ財務本部長

[非常勤]  
M・バース米現スタンフォード大教授
R・ハーツ米現PWC パートナー

(*:リエゾンメンバー)