東証、退職給付会計基準の導入に伴い上場審査基準・一部指定基準に特例を制定
多くの新規上場申請希望会社や市場第一部への指定対象会社においても、平成12年4月1日以降開始する事業年度から適用される退職給付会計基準の導入に伴い、費用処理すべき会計基準変更時差異が発生することが予想される。
しかも、この会計基準変更時差異は、会社の選択により一括又は15年以内の一定の期間にわたり按分計算により費用処理されることとなっているが、費用処理方法によっては、企業業績に非常に大きなインパクトを与える場合があると考えられる。
そこで、東証は、退職給付会計基準の導入が上場審査基準等の「利益の額(経常利益又は税金等調整前当期純利益のいずれか少ない方で、たとえば直前期4億円以上)」に多大な影響を及ぼす場合が想定されることから、この会計基準変更時差異の性格を踏まえて、上場審査基準及び一部指定基準上の「利益の額」と「株主資本の額(直前期末の純資産10億円以上)」の算出について特例を制定し、平成12年9月30日から施行した。
今回の特例は、この会計基準変更時差異が会計基準変更時で確定しているものであり、過年度における累積的調整項目としての性格を有していることを踏まえ、諸外国における会計基準変更時差異の取扱いを参考にした上で、会計理論面における妥当性も重視しつつ、新規上場申請希望会社等の財務健全性の観点からの早期償却要望に配慮したものとなっている。
具体的には、現行の制度会計上の利益および株主資本の数値で基準への適合状況を判断することに加え、会計基準変更時差異を期間損益上は費用認識せず、退職給付会計適用初年度の「株主資本」から税効果相当額を加味した形で変更時差異額全額を直接控除するという計算結果によっても、「利益の額」および「株主資本の額」の基準への適合状況を判断することができるようにしたものである。
なお、この特例の適用にあたっては、税効果会計の適用との関係で、上場申請会社等には「株主資本の額」の算定過程を記載した「『株主資本の額』計算書」という書類の提出を求めることとしており、当該書類には公認会計士または監査法人による記載内容が適正である旨の確認も要求している。
また、今回の退職給付会計の導入にあたっては早期適用が認められていないが、退職給付会計基準の適用前の平成13年2月期以前の会社においても、たとえば親会社の平成13年3月期の会計処理との整合性を可能な限り図るために現行制度内で退職給与引当金の積み増しを行なう場合も想定されることから、正当な理由に基づく会計処理の変更に限定して、過年度に係る影響額を上場審査基準及び一部指定基準上の「利益の額」の算定上は除外するという特例を併せて定めた。
金融庁、金融税制に関する研究会を設置
金融庁総務企画部は、去る平成12年10月2日、「金融税制に関する研究会」を設置することを公表した。
この研究会の目的は、わが国の金融・証券市場を活性化させ、透明性・公正性・効率性の高い市場への育成化を図るために、金融に関する税制上の課題について、外部の有識者との意見交換を行うこととしている。
なお、同研究会のメンバーは以下のとおり。
金融税制に関する研究会メンバー
委 員現 職
大 村 敬 一早稲田大学商学部教授
小 畑 哲 哉NTT 第四部門担当部長(税務担当)
神 田 秀 樹東京大学法学部教授
北 原 正 彦三井海上火災保険 審査管理部 次長
関 行 隆中央三井信託銀行 業務部 主任調査役
種 橋 潤 治住友銀行 財務企画部長
田 邊 栄 一三菱商事 財務部長代行
手 島 恒 明日本生命保険 調査部 課長
中 里 実東京大学法学部教授
ロバート・ フェルドマンモルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券
マネージング・ディレクター兼チーフ・エコノミスト
キャシー松井ゴールドマン・サックス証券会社
マネージング・ディレクター兼チーフ・ストラテジスト
吉 川 満大和総研 制度調査室長
渡 辺 努一橋大学経済研究所助教授
金融庁現 職
乾 文 男総務企画部長
藤 原 隆総務企画部審議官
渡 辺 達 郎総務企画部審議官
三國谷 勝 範総務企画部(取引所監理官)
鈴 木 正 規総務企画部政策課長
国の貸借対照表公表,最大債務超過額は776 兆円
10月、国の貸借対照表が公表された。それによれば、公的年金債務の評価方法によるものの、1998年度末で132兆円から776兆円の債務超過になっている。この債務超過額は将来の徴税権を担保とするものであり、いずれ国民の負担になる。
政府の資金調達が増大すると同時に、調達した資金
の使途と、その効率性に注目が集まっている。このため、
資金調達を円滑に行い、政府に対する信任を維持する
ための条件として、情報開示の重要性が増してきている。
現在、情報開示を高めるために政府はさまざまな試みを行なっている。その一環として、10月に国の貸借対照表の試算が公表された。その試算結果は表のとおりである。
〔国の貸借対照表〕(兆円)
有価証券106.5 郵便貯金252.6
貸付金267.8 民間保有短期証券24.6
有形固定資産170.4 民間保有公債187.6
投資等39.5保険準備金112.8
現預金,その他74.5退職給付等引当金28.8
公的年金関連債務153.0 〜796.9
その他31.9
資産合計658.7 負債合計791.3 〜1435.2
債務超過額132.6 〜776.5
それによれば、資産と負債の差額はマイナスであり、いわゆる債務超過の状態になっている。しかし、この債務超過の評価に際しては、技術的な問題が残っていることと、民間企業の債務超過と異なった意味があることに留意が必要である。
技術的な問題は第一に、すべての資産が開示対象となったわけではなく、美術品、ソフトウエア等が対象外になった点である。第二に、資産について、その減価償却が把握されず、取得価額を基準に価値が推定されている点である。以上から、資産の範囲と、その価値の把握に関する課題が多く残されていることになる。
第三に、財投機関などの特殊法人や地方公共団体などが対象となっていないことも指摘できる。要するに、今回の試算は国(中央政府)単独の貸借対照表であり、国が何らかの責任を有している機関が含まれないため、企業でいう連結ベースでの試算になっていない。
第四に、債務に関する課題もある。その最大のものは公的年金債務の把握である。今回の試算でも3つの評価額が示されている。それによれば、債務として認識する範囲を、現在の積立金だけに限定するのか、それに将来の年金給付の国庫負担分を加えるのか、さらには現行制度における将来給付の全額とするのかによって、年金債務はそれぞれ、153兆円、290兆円、797兆円になり、大きく異なってしまう。
次に、国の債務超過は、ある意味で健全性を示している。国の資産の意義は、民間の経済活動に対してインフラを提供することにある。そして、このインフラの効果は将来にも及ぶので、将来の徴税権を担保にインフラを提供してもいいことになり、この分だけ借金が可能になるからである。見方を変えれば、国の資産に(一定の範囲内で)将来の徴税権を加えた方が、資産価値を正当に評価したことになろう。
以上の課題を検討、再評価したとしても国の貸借対照表が債務超過であれば、このとき初めて国の財政状況が不健全だと断定できる。現時点では、評価のための材料が不十分である。
とはいえ、少なくとも今回の試算で言えるのは、公的年金の評価次第ではあるが、国の財政状況が多分に不健全な状態にあるということだろう。なぜなら、最大776兆円の債務超過額は年間GDPの1.5倍に達しているからである。
政府税調,会社分割等に係る税制の基本的考え方を承認
政府税制調査会(首相の諮問機関,会長:石弘光一橋
大学学長)は、去る10月3日に第2回総会を開催し、法人
課税小委員会でとりまとめられた「会社分割・合併等の
企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」を承認した。
会社分割等に係る税制については,本年5月,会社分割法制の創設を含む商法改正法が可決・成立したことから、13年度の税制改正で対応すべく審議が重ねられてきたところである。この問題は、通常の年度改正事項とは異なり、広範な論点について実務的な詰めなどの膨大な作業を要するため、できるだけ早く基本的枠組みを決めておく必要があることから、9月14日の第1回総会において法人課税小委員会が立ち上げられた後も、9月22日(第9回)、10月2日(第10回)に法人課税小委員会が開催され、会社分割等に係る税制についての基本的枠組みがとりまとめられたものである。
本とりまとめの要約は以下のとおり。
会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方
(要 約)
第一 基本的な考え方
1 企業の組織再編成による資産の取引については、その実態に合った課税を行う。
2 企業の組織再編成に係る法人課税のあり方については、現行の現物出資、合併等に係る税制を改めて見直し、全体として整合的な考え方に基づいて整備する必要がある。
3 企業の組織再編成により移転する資産の譲渡損益については、移転資産に対する支配が継続していると認められる場合に、また、株主の旧株の譲渡損益についは株主の投資が継続していると認められる場合に、それぞれの計上を繰り延べる取扱いをすることなどが考えられる。
第二 資産等を移転した法人の課税
組織再編成により資産を移転した法人について、組織再編成の実態や移転資産に対する支配の継続という点に着目し、以下の場合にその帳簿価額を引き継がせることにより、譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。
1 企業グループ内の組織再編成
@ 企業グループ
企業グループ内の組織再編成は、基本的には、完全に一体と考えられる持分割合の極めて高い法人間で行う組織再編成とすべきである。ただし、企業グループとして一体的な経営が行われている単位という点を考慮すれば、商法上の親子会社のような関係にある法人間で行う組織再編成についてもこの企業グルー
プ内で行う組織再編成とみることが考えられる。
A 個別の資産の売買取引と区別するため、以下の要件が必要である。
・ 資産の移転が独立した事業単位で行われること
・ 移転した事業が組織再編成後も継続すること
2 共同事業を行うための組織再編成
@ 共同事業
以下の要件などにより判定するのが適当である。
・ 事業が相互に関連性を有するものであること
・ それぞれの事業の規模が著しく異ならないこと
・ それぞれの事業に従事していた従業員の相当数が引き継がれること
A 1Aの要件に加え、資産の移転の対価として
取得した株式を継続保有することが必要である。
第三 株主の課税
1 株式の譲渡損益
・ 株主の金銭等の株式以外の資産の交付を受けず、株主の投資が継続していると認められる場合には、譲渡損益を繰り延べることが考えられる。
2 みなし配当
・ 分割型の会社分割・合併により、法人の資産の移転が帳簿価額により処理される場合には、配当とみなされる部分(利益を原資として新株等の交付が行われたと認められる部分)は無いものと考えるのが適当である。
第四 各種引当金の引継ぎ等
・ 会社分割・合併等により移転する資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる場合には、その資産に関して適用される諸制度や、引当金等の引継ぎについても、基本的に従前の課税関係を継続させるとの観点から、組織再編成
の形態に応じて必要な措置を考えるべきである。
第五 租税回避の防止
・ 組織再編成の形態や方法は、複雑かつ多様であり、租税回避の手段として濫用されるおそれがあるため、包括的な租税回避防止規定を設ける必要がある。
第六 その他
・ 分割型の会社分割における分割法人の分割前に納税義務の成立した租税については、基本的に、新設法人等がその承継した財産の価額を限度として連帯納付の責任を負うこととすることが適当である。
・ 会社分割による資産の移転に係る消費税については、合併と同様に取り扱うことが適当である。
日本公認会計士協会,「市場価格のない子会社株式及び関連会社株式に対する投資損失引当金等に係る当面の監査上の取扱い」を公表
日本公認会計士は、去る平成12年10月11日、「リサーチ・センター審理情報〔14〕市場価格のない子会社株式及び関連会社株式に対する投資損失引当金等に係る当面の監査上の取扱い」を公表した。
企業会計審議会から公表された「金融商品に係る会
計基準の設定に関する意見書」(平成11年1月22日)、ま
た、同意見書の要請に基づき作成した会計制度委員会報
告第14号「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」
(平成12年1月31日)により、有価証券の会計処理があき
らかにされたことに伴って、平成12年7月6日付けで監
査委員会報告第22号「子会社又は関係会社の株式及びこ
れらに対する債権評価の取扱い」が廃止された。そのこ
とと関連して、従来から投資損失引当金等の科目で評価
性引当金を計上していた場合の取扱いについて疑義が提
起されたため,今回,取扱いについての提示がなされた。
主な内容は以下のとおり。
@ 市場価格のない子会社株式及び関連会社については、従来から投資損失引当金等の科目で評価性引当金を計上している場合は、平成12年4月1日以降開始する最初の事業年度に限り、投資損失引
当金等について従来と同様の会計処理を行っていて
も、監査上妥当なものとして取り扱うことができる。
A ただし、当該株式のうち金融商品に係る会計基準により減損処理の対象となる株式については、投資損失引当金等による会計処理は認められないものとなっている。
基準書第140号「金融資産の譲渡・サービスおよび負債の消滅の会計」
FASBは、去る9月に1996年に公表した同名の基準書第125号の改訂版である表題の基準書第140号を発行した。改訂の主なものは次のとおりだが、ほかの大部分の規定は変更されずに持ち越されている。
ある企業が適格な特別目的企業であるための条件は、特別目的企業が@譲渡人とは異なることが証明できること、Aその活動が相当制限され、法的文書に明記され、その変更は譲渡人とその関係者以外の受益権者の過半数の承認を要すること、またB保有できる資産にも具体的な制限があるとして、その内容を示した。なお、@の内容は、譲渡人とその関係者によって一方的に解散することはできず、かつ譲渡人とその関係者以外の保有する受益権がその公正価値の10%以上であることを要するとしている。
一方、適格な特別目的企業は、譲渡人またはその関係会社の連結対象としてはならないとした。
証券化による金融資産の譲渡にあたり、譲渡人に特定の制限の対象となる資産を取り戻す能力を与えている場合がある。その能力は、時には勘定除去条項(Removal-of-account provision, ROAP)と呼ばれる。ROAPが売却による会計処理を妨げるかどうかは、 ROAP が特定の譲渡した資産に対して譲渡人が実効的支配を維持しているかどうかによるとして、それを維持している例と、していない例を示している。
譲渡した資産に対する実効的支配の維持に関する規定については、譲渡した資産を再取得する特定の権利または義務は、譲受人を制約し、譲渡人にわずかな便益を超えるものを提供するため、売却による会計処理を禁止されるとした。そして、市場で容易に入手できない資産を譲渡し、譲受人がその資産を交換しまたは入質したときは、譲受人は債務を履行できないため、譲受人を制約するなどの例を示した。
持分法で評価する金融資産の譲渡は、本基準書の対象にはならないことを明確に規定した。
担保権者が担保を売却しまたは再入質する権利を有する場合には、担保権者はその担保を貸借対照表中に認識せずにその受入総額と売却・再入質額を開示することを、また差入側は担保差入資産を制約のない資産とは区分して貸借対照表中に表示することを要求した。
企業が金融資産を証券化した場合には、会計方針、証券化の特徴、証券化による金融資産の売却損益、証券化時に留保した利益の公正価額を決定するために行った鍵になる仮定、キャッシュ・フロー、鍵になる仮定の変動が公正価額に与える感度、貸借対照表日現在の元本残高などを開示することを要求している。
本基準書は、一部の特例を除き,2001年3月31日後に発生する金融資産の譲渡・サービスおよび負債の譲渡に適用がある。早期適用または遡及適用はできない。
日本監査役協会会計委員会,「企業会計制度の国際化と監査役の対応」を公表
日本監査役協会の会計委員会では,平成12年9月18日付で「企業会計制度の国際化と監査役の対応」をまとめ,会員監査役に対しこのほど公表した。
国際的な新会計基準や開示基準は,公開会社の企業情報開示に関わる事項が多いが,商法上の会社の機関である監査役にとっても等閑視してはならないものばかりであるとして,同委員会は,監査役としてこれをどう受け止め,どう対応すべきかを中心に要点を,本報告書によって提示するものである。
本報告書はすでに制度化された会計基準のみならず,現在導入が検討されているものについても次の10本を取り上げ, それぞれについて4項目を掲げてその要点を監査役のためにまとめている。
〈10本の会計基準等〉
T 制度改正済みの事項
T―1 連結会計制度の国際的調和化
T―2 中間財務諸表・中間連結財務諸表の作成基準
T―3 キャッシュ・フロー計算書の導入
T―4 時価会計の導入
T―5 退職給付会計の導入
T―6 税効果会計の強制適用
T―7 研究開発費等の処理基準の改正
U 現在検討中の事項
U―1 企業継続能力に関する情報開示の検討
U―2 減損会計導入の検討
U―3 企業結合会計導入の動向
〈4つの要点項目〉
1.新基準が導入された背景:従来の会計基準が国際
的調和化を余儀なくされるに至った経緯等を再認識
し,会計ビッグバンのなかでの位置づけを明確にした。
2.新基準の概要:監査役が新しい動きに対して,取
締役や担当者あるいは会計監査人から説明を聴取し
たり,意見交換をするに際しての基礎的知識を習得
できるように,新基準の内容について概要を解説した。
3.新基準が経営にもたらすインパクト:監査上の課題の把握に資するべく,新基準が企業経営に対してどのような影響をもたらすかに触れた。
4.監査役のチェック・ポイント:新基準のほとんどは会計監査人の監査対象であるので,監査役はそれに依拠していいが,新基準がもたらす経営上のインパクトを踏まえ,監査役としての着眼点および具体的監査方法を明示することに努めた。
日本公認会計士協会,「東京証券取引所の有価証券上場規程に定める被合併会社等の財務諸表等に対する意見表明業務について」を公表
日本公認会計士協会は、平成12年10月11日,監査委員会研究報告第12号「東京証券取引所の有価証券上場規程に定める被合併会社等の財務諸表等に対する意見表明業務について(中間報告)」を公表した。
本報告は,東京証券取引所(以下,「東証」)が定めた「被合併会社等の財務諸表等に対する意見表明に係る基準」に準拠して監査人が実施する被合併会社等の財務諸表等に対する意見表明業務の参考に資することを目的としたものである。
東証では、平成11年1月の上場関係規則の改正により、新規上場申請者の上場前における重要な合併、子会社化・非子会社化、営業の譲受け・譲渡等に係る規制を緩和したが、一方で、新規上場申請者に、取引所に提出する財務諸表等に対して公認会計士または監査法人による監査を義務付けるとともに、監査を実施することが実務上困難な場合は,監査意見以外の意見表明の実施を求めるという一定の信頼担保措置を講じた。
また、その後、東証において、平成12年7月1日施行の改正上場関係規則により、新規上場申請会社が重要な合併、子会社化・非子会社化等を行った場合における当該被合併会社、子会社化・非子会社化された会社等の財務諸表及び連結財務諸表に対して、公認会計士等が実施する意見表明に係る基準が設けられた。
監査委員会では、この意見表明業務は、東証のマザーズ上場会社の四半期財務諸表に対する意見表明業務と同様に、国際監査基準に定められている財務諸表に対するレビュー業務に類似する業務と考え、平成12年1月18日付けで公表した監査委員会研究報告第9号「東京証券取引所のマザーズ上場企業の四半期財務諸表に対する意見表明業務について(中間報告)」を参考とすることができると判断し、同報告に必要と認めた修正を加え、取りまとめられた。
なお、東証の上場関係規則において、上場前において営業の譲受け・譲渡が行われている場合、公認会計士等による監査以外の意見表明についての規定があるが、これに対する意見表明の基準が東証においていまだ作成されていないため、本報告の対象外となっている。
日本証券アナリスト協会,平成12年度「ディスクロージャー優良企業」選定
日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会(松島憲之座長)は,去る平成12年9月27日,ディスクロージャー(企業情報の開示)優良企業として,日本コムシス,旭化成工業,藤沢薬品工業,川崎製鉄,豊田工機,日立製作所,本田技研工業,三菱商事,ユニー,富士銀行の10社を表彰した。
同研究会による「リサーチ・アナリストによるディ
スクロージャー優良企業選定」は,東証1部上場株式時
価総額を基準とした,10業種・合計132社を対象として行
われ,本年で第6回目を迎える。評価基準を,決算短信
や有価証券報告書による制度的開示よりも,アナリスト
への説明会、インタビュー等、企業の自発的、積極的な開
示活動などに重点を置いていることが特徴となっている。
|