| Accounting Standard 過年度遡及処理,包括利益の会計基準を踏まえた改正財規,公布 さる9月30日,金融庁は「連結財務諸表の用語,様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等を公表した。 今回の改正は,企業会計基準委員会より公表された「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」「包括利益の表示に関する会計基準」および「監査基準の改訂に関する意見書」等を踏まえた所要の改正であり,改正されたのは,「連結財務諸表の用語,様式及び作成方法に関する規則」(以下,「連結財規」とする),「財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則」(以下,「財規」とする),「企業内容等の開示に関する内閣府令」,「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」およびこれらのガイドライン等である。 主な内容は以下のとおり。 (1) 過年度遡及処理会計基準に関する改正 ・比較情報(当連結会計年度に係る連結財務諸表(連結附属明細表を除く。)に記載された事項に対応する前連結会計年度に係る事項)の規定を新設 ・会計方針の変更等を行った場合の注記の規定を新設 (2) 包括利益会計基準に関する改正 連結損益計算書に加えて連結包括利益計算書を表示する形式(2計算書方式)及び当期純利益及び包括利益を1つの計算書(「連結損益及び包括利益計算書」)で表示する形式(1計算書方式)に関する規定を新設 (3) 様式の追加 上記(2)の規定の新設を受け,連結包括利益計算書の様式を新設する。また,同規則ガイドラインにおいて,連結損益及び包括利益計算書の様式を新設 同改正府令は同日付で公布,施行された。 「中小企業の会計に関する研究会」中間報告書 さる9月30日,中小企業の会計に関する研究会(座長:江頭憲治郎 早稲田大学大学院教授)は,計7回の議論を経てまとめられた中間報告書を公表した。本研究会は,非上場企業とその大半を占める中小企業に向けた会計情報の開示が十分でないという点や,「中小企業の会計に関する指針」が,対象となる中小企業の会計慣習や商慣習に必ずしも即していないといった状況を踏まえ,中小企業の実態に即した会計のあり方について検討すべく,中小企業庁において設置された。 本報告書の主な内容は以下のとおりとなっている。 ・検討の結果 ・現状認識 Corporation Law 包括利益の会計基準に伴う会社計算規則の改正 さる9月30日,法務省は「会社計算規則の一部を改正する省令」を公表した。本改正は企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」の公表に伴う所要の改正を行うための会社計算規則の一部を改正するものである。 主な改正の概要は以下のとおり。 ・現行会社計算規則第95条を削除する。これは,現行第95条が必ずしも「包括利益の表示に関する会計基準」等と整合しているとはいえないためであるが,計算書類または連結計算書類として,包括利益に関する計算書の作成を求めるものとするかどうかについては,包括利益に関する情報の株主・債権者にとっての有用性の程度等が明らかとなった将来において,改めて検討する。 ・現行会社計算規則第76条および第96条について,「評価・換算差額等」の項目を「評価・換算差額等」または「その他の包括利益累計額」のいずれかの項目とすることを認め,「又はその他の包括利益累計額」の表示を加える。 なお,本省令は同日付で施行された。 ASBJ 単体財務諸表に関する検討会議の設置 さる9月28日,財務会計基準機構(FASF)は,「単体財務諸表に関する検討会議」の設置を発表した。 この検討会議は,単体財務諸表のコンバージェンスにおける当面の取り扱いについて,個々の会計基準毎に関係者の意見を聴取検討の上,対応の方向性についての考え方を集約する。企業会計基準委員会(ASBJ)の独立性を確保しつつ,基準設定能力の強化を目指すため,FASF内に設置することとなった。 IAS/IASB 繰延税金に関する処理の改訂案 さる9月10日,国際財務報告基準審議会(IASB)は繰延税金資産の処理に関する公開草案「繰延税金:基礎となる資産の回収」を公表した。繰延税金資産または負債の測定は企業が資産の回収を当該資産を使用するか売却するかによって決定されるが,いずれの方法を選ぶかがはっきりしない場合がある。草案では他の方法によることが明確でない場合には売却によって回収するものと推定することを提案している。 コメントの期限は11月9日まで。 初度適用の修正案 さる8月26日,IASBは国際財務報告基準(IFRS)1号「国際財務報告基準の初度適用」の修正に関する公開草案「初度適用企業に対する固定日付の廃止」を発表した。移行日として「2004年1月1日」が特定されていたものを「IFRSへの移行日」に改めるものである。これにより導入時の作業負担が軽減される。 この規定はIFRS1号のEU内上場会社に対する適用を念頭に作成されていたことによるものであるが,実情にそぐわなくなっていた点を見直した。 コメントの期限は10月27日まで。 概念フレームワーク改訂の第1段階を完了 IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)はさる9月28日,概念フレームワーク共同改訂作業の第1段階を完了したことを公表した。財務報告の目的と質的特性について扱っており,IASBはフレームワークの一部を改訂し,FASBは概念書第1号および第2号を置き換える概念書第8号を公表した。 金融商品の開示を拡充する基準改訂 さる10月7日,IASBは金融資産の譲渡取引に関する認識の中止の開示要求を拡充する「開示―金融資産の譲渡」(IFRS7の修正)を公表した。 金融資産の譲渡取引(証券化など)に関する情報を追加開示させるものであり,資産を譲渡した企業に残存する可能性のあるリスクによる影響や報告期間末近くに行われた不相応な金額の譲渡取引についての追加的な開示などを要求している。 IASBはIAS39「金融商品:認識及び測定」による現行の認識中止のモデルとIFRS7による関連する開示要求の修正を提案していたが,フィードバックにより認識の中止規定は維持し開示要求を追加することで対応した。 この修正により開示要求については米国基準とほぼ一致することとなった。 次期IASB議長決定 さる10月12日,IFRS財団評議会は来年6月に任期満了で退任予定のIASB議長David Tweedie卿の後任にHans Hoogervorst氏を,副議長にIanMackintosh氏を選出したことを公表した。 Hoogervorst氏は現在オランダ証券監督当局であるthe Netherlands Authority for the FinancialMarkets(AFM)議長,証券監督者国際機構(IOSCO)技術委員長,会計基準設定主体にアドバイスを与える金融危機諮問グループ(Financial Crisis Advisory Group)の共同議長を務めている。 Mackintosh氏は前オーストラリア証券投資委員会の主任会計士で,現在は英国ASB議長などを務めている。 FASB 討議資料「保険契約に関する初期的見解」 FASBはさる9月に表題の討議資料を公表し,12月15日を提出期限として公衆の意見を求めている。当該資料の目的は,IASB公開草案「保険契約」中の提案の重要な局面を要約し,FASBの代替的見解と主題944「金融サービス―保険」とを比較したものである。 FASBは2008年第4四半期からIASBと共同して保険の問題と取り組んできた。そしてIASBはさる7月にIFRS第4号「保険契約」を更新する公開草案を公表した。しかしFASBは草案を発行することに代えて討議資料を公表することとした。両者の現行の会計基準に大きな隔たりがあること,またFASBは保険契約について1モデルを採用するか,長期と短期の2モデルにするかを決定するに至っていないためである。 さらにFASBは雇用者が提供する健康保険を保険契約に含めるべきかどうかについても検討している。 現行の要求と求められる改善の主なものは,次の通りである。 ・保険事業体指向 現行の要求は保険事業体のみに適用されるが,事業体ではなく,重要な保険リスクを引き受ける契約を会計基準は対象とすべきである。 ・保険契約の定義 現行の定義は保険契約者の損失または負債を補償する契約とするが,統一的な定義を開発し,補償の範囲を拡大する方向で検討すべきである。 ・繰延取得費用 保険契約の取得費用は繰り延べて後に償却することができるが,繰延べの対象となる費用の範囲については実務上多様性がある。すべての取得費用は発生時に費用に賦課するか,繰延べを認める場合にはその対象となる費用の範囲を限定すべきである。 ・長期保険契約に関する仮定 長期保険契約の保険金計算に使用する仮定(基礎率)は原則として契約時のものを契約期間にわたって使用するが,長期契約に内在するリスクと不確実性を反映させ,すべての入手可能な情報に基づいて再評価し更新するべきである。 ・長期保険契約の割引率 割引率は契約発行日に予測される見積投資利回りに基づいて決定するが,当該負債に関連する投資資産ではなく,当該負債の特徴を反映する各期末現在の割引率を使用すべきである。 ・短期契約負債について割引を行わないこと 一部の短期契約については決済までに長期を要することが予測されても大部分の負債については割引を行わないが,重要な場合には金銭の時間価値を反映させて期末現在の割引率により負債を割り引くべきである。 2004年に発行されたIFRS第4号は,2005年にIFRSを採用する保険者に一時的な指針を提供したに過ぎず,改善の範囲は限られていた。 IASBとFASBは多くの領域で合意したが,他の部分では異なる決定を行った。新しい指針の発行を正当化するためには,討議資料中で提案している新会計指針がGAAPへの相当の改善を表現するかどうかを決定するために,より多くの情報を必要とすると,FASBは決定した。 FASBは,IASBの提案の一部は現行GAAPと類似するため,保険会計の包括的な再検討を必要とするか,または検討の範囲を主として上に述べた事項にとどめるべきかどうかについても意見を求めている。 Finance 日銀,新たな金融緩和政策を決定 10月5日,日銀は「包括的な金融緩和政策」を実施するとの新たな金融緩和政策を決定した。8月30日には,固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションの対象期間を拡張し,期間6カ月までの金利を0.1%に引き下げるとの追加緩和政策を決定したばかりである。日銀が円高や欧米の景気回復の遅れを懸念し,金融緩和を急いでいることをうかがわせる。 今回の「包括的な金融緩和政策」は次の政策の組み合わせである。 第1に,政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.1%から0%の間で推移するようにする。実質的にゼロ金利を容認したことになる。ゼロ金利政策となるのは,2006年3月にこの政策を解除して以来となる。 第2に,消費者物価が1%程度の上昇率を示すようになるまで,実質的なゼロ金利政策を続ける。日銀は,「金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し,問題が生じていないこと」,すなわち資産価格の異常な上昇がないことを条件としているが,いずれにせよ投資家はゼロ金利政策の継続見通しを立てやすくなる。この結果として,長期金利を低位水準に安定的に誘導できるという,いわゆる時間軸効果を日銀は狙っている。 第3に,臨時的に,多様な資産を購入するための基金35兆円を日銀のバランスシート上の特別枠として創設する。この新たな基金を用い,国債,コマーシャルペーパー(CP),社債,指数連動型上場投資信託(ETF),不動産投資信託(REIT)などを購入する。また,このファンドが購入する長期国債は「銀行券発行残高を上限に買入れる長期国債と……異なる取り扱い」を行うとし,国債購入金額に対する弾力性を確保した。なお,期間3カ月と期間6カ月に対して実施している固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション30兆円は,このファンドに含まれ,また利率は0.1%で据え置かれる。 Disclosure 東証,平成23年3月期第1四半期決算短信発表状況の集計結果を発表 東京証券取引所は,9月10日,平成22年6月末日現在において東証に上場する3月期決算会社である内国会社について,平成23年3月期の第1四半期決算短信発表状況の集計を取りまとめ発表した。当該集計では,平成22年9月1日現在,第1四半期決算短信発表未実施である1社および第1四半期決算短信発表前に上場廃止となった銘柄4社は除外している。主な内容は以下のとおりである。 東証では,四半期決算短信に係る適時開示の見直しとして,四半期決算短信について,従来のサマリー情報に相当するものを所定の様式として定め,主要な四半期財務諸表等の添付を要請することとし,その他の添付資料等については,上場会社の判断に基づき投資者ニーズに応じた対応を促すこととした。平成23年3月期第1四半期決算短信は,かかる見直し後初めての四半期決算短信となる。 したがって,平成23年3月期第1四半期決算短信は,前年度以前と異なる様式にて作成および発表されており,発表までの所要日数等における単純な比較は難しいものと考えている。 (1) 決算短信発表会社数は減少 決算短信発表会社数は,前年の1,772社から31社減少して,1,741社となった。 (2) 決算短信発表までの所要日数は短縮傾向 四半期末から決算短信発表までの平均所要日数は,前年比で0.3日短縮され,34.1日となった。また,前年同四半期比で,決算発表までの所要日数が短くなった1,012社(全体の58.1%)において,同所要日数が平均1.6日短縮された。 (3) 第1四半期決算短信発表日は特定日への集中傾向 第1四半期決算短信発表は,四半期末の翌月最終営業日に当たる7月30日(金)及び四半期末の翌々月の第1金曜日に当たる8月6日(金)に集中し,各々全体の21.8%を占める380社および全体の14.8%を占める258社が発表を行った。前年同四半期と比べると,最集中日である7月30日(金)は1日における発表社数が,昨年度の最集中日よりも増加し,依然として特定日への集中傾向が顕著になった。 東証,「上場管理業務について―不適切な第三者割当の未然防止に向けて―」の発刊を発表 東証では,上場管理業務の透明化の一助として,また上場管理業務を広く周知することによる問題事例の未然防止活動の一環として,この度,第三者割当をテーマとした事例集を作成した旨を,9月16日に発表した。 東証では,株主・投資者が安心して投資できる市場環境を整備するため,株主の権利の不当な制限の禁止や,株主の納得性を増すための手続の義務付け,不適切な割当予定先の排除,割当先との取引関係の健全性確保等の第三者割当に係る上場制度の整備を昨年8月に実施した。 東証では,このような上場制度の整備に加えて,運用面においても,個別事案の実態にあわせた対応を強化した。具体的には,上場会社に対して,第三者割当に係る決議・決定の前に十分な期間を設けて東証に事前相談するよう要請するとともに,事前相談時には,上場会社が第三者割当の必要性及び相当性,資金使途の合理性,発行条件等の合理性,割当予定先の適切性等の観点から十分な検討を行ったかの確認を実施することとした。 以上のような第三者割当に係る制度面の整備及び運用面の強化の開始から約1年が経過した。この間に行われた事前相談において,個別事案の実態にあわせて上記のような観点からより慎重かつ適切な検討を行うよう,各上場会社に対して様々な指摘を行ってきた。 そこで,今回,第三者割当に係る東証の着眼点を明示するとともに,実際の事前相談で東証が指摘を行った事例の一部を,考え方とともに紹介することとした。 日本証券アナリスト協会,ディスクロージャー優良企業を選定 さる,10月4日,日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会は平成22年度のディスクロージャー優良企業選定を公表した。 これは,企業価値向上を目的とした「証券アナリストにようディスクロージャー優良企業選定」制度であり,証券アナリストの立場から望ましい企業情報のディスクロージャーについて評価を行うものである。 1 ディスクロージャー優良企業 (建設・住宅・不動産)大東建託 (食品)アサヒビール (化学・繊維)旭化成 (医薬品)アステラス製薬 (石油・鉱業)JXホールディングス (鉄鋼・非鉄金属)DOWAホールディングス (機械)小松製作所 (電気・精密機器)日本電産 (自動車・同部品・タイヤ)日産自動車 (電力・ガス)大阪瓦斯 (運輸)全日本空輸 (通信)エヌ・ティ・ティ・ドコモ (商社)丸紅 (小売業)ローソン (銀行)住友信託銀行 (コンピューターソフト)野村総合研究所 (新興市場銘柄)プロトコーポレーション,日本マイクロニクス,サイバーエージェント (個人投資家向け情報提供)日本電産,アステラス製薬,アサヒビール 2 高水準のディスクロージャーを連続維持している企業 (鉄鋼・非鉄金属)日立電線 (小売業)J.フロントリテイリング 3 ディスクロージャーの改善が著しい企業 (建設・住宅・不動産)大和ハウス工業 (鉄鋼・非鉄金属)三井金属鉱業 (鉄鋼・非鉄金属)住友電気工業 (機械)住友重機械工業 (電気・精密機器)日立製作所 (電力・ガス)四国電力 TAX 相続税等に係る生命保険本契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等の方向性を発表 さる10月1日,財務省および国税庁は,平成22年7月6日の最高裁判決を受け,遺族が年金として受給する生命保険金のうち,相続税の課税対象となった部分に係る所得税の取扱いについて,対応の方向性を発表した。具体的な内容は次のとおりである。 1 対象となる具体的な年金の種類は,@年金形式での死亡保険金,A学資保険の養育年金,B個人年金,である。 (1) これらの「保険年金」について,所得税の課税部分と非課税部分に振り分け,課税部分についてのみ所得税を課税するよう,税務上の取扱いを変更し,平成17年分から平成21年分の所得税が納めすぎの者について還付することとされた。 (2) 今月下旬に所得税法施行令を改正し,それ以降,所得税の還付の手続きが可能となる予定。 2 平成16年分以前の「保険年金」に係る課税分の取扱いは,次のとおりである。 (1) 最高裁判決の対象となった「保険年金」は,老後の生活保障等を目的として,多数の方に最近5年に限らず販売されている。こうした特殊事情を踏まえて,所得税の還付請求権等が消滅している平成16年分以前の納税分についても,可能な限り救済措置を採ることとされた。 (2) 一方で,過去5年を超えて救済する場合でも,税の還付を行うため,納税者の公平感を維持し,過大還付を防止することが必要との観点等から,申告書等保存期間は7年間であることや,民法の債権の消滅時効の期間等を踏まえ,10年間遡及し,平成12年分まで救済することとし,今後さらに,還付措置の具体的内容等について検討することとされた。 (3) 特別な還付については,法律上の手当が必要であるため,税制調査会での議論を経て,年末に結論を得る方針が示され,今後も,検討の進展に応じ,納税者に対して,措置の方向性を知らせていくこととされた。 Audit 日本監査役協会,「定時株主総会前後の役員等の構成の変化などに関する第11回インターネット・アンケート集計結果」を公表 (社)日本監査役協会(会長:築舘勝利・東京電力鰹任監査役)は,「株主総会前後の役員等の構成の変化などに関する第11回インターネット・アンケート集計結果」を公表した(同協会ホームページhttp://www.kansa.or.jp参照)。同調査は,同協会会員会社を対象として平成22年7月〜8月に実施したものであり,@株主総会前後の役員構成,A定時株主総会に係る各種実務手続きおよび期末監査の状況,B監査役(会)・監査委員会の日常監査の状況等を聞くもので,3,728社(監査役設置会社3,677社(回答率63.2%,うち,上場会社1,980社),委員会設置会社51社(回答率70.8%,うち上場会社30社))から回答を得ている。 調査結果によると,監査役設置会社においては,ガバナンス体制に大きな変化は見られなかったが,日常の監査の状況については,内部統制システムに係る取締役会決議を見直すにあたり「監査役の要請に基づいて見直した」が12.6%,「監査役と執行部門との協議に基づいて見直した」が32.1%で合計44.7%あり,内部統制システムに係る取締役会決議を見直す過程で監査役が一定の積極的役割を果たしていることがうかがえる。 一方,委員会設置会社においては,社外取締役が取締役会の過半数を占める会社が大幅に増加し,半数を超えた(53.3%:昨年比13.3ポイント増)。取締役会の透明性確保に一層努めようとする傾向が見える。 日本監査役協会,ケース・スタディ委員会報告書「監査役設置会社と委員会設置会社の比較検討―監査のベスト・プラクティスを求めて―」を公表 (社)日本監査役協会のケース・スタディ委員会(委員長:高桑康典・東京ガス鰹勤監査役)は,このほど報告書「監査役設置会社と委員会設置会社の比較検討―監査のベスト・プラクティスを求めて―」を公表した。 同委員会は,わが国に監査役設置会社と委員会設置会社の2制度が存在することを踏まえ,より良きコーポレート・ガバナンスを実現するためにはそれぞれの制度間の優位点や利点の相互活用が重要であるとの認識から,各会社形態の組織・運営上のメリット・デメリット,課題等の検討・検証を通じて,それぞれの会社形態で活用可能な監査のベスト・プラクティスについて検討し,このほど報告書の取りまとめに至った。 同報告書は,監査役(会)または監査委員会と「内部監査部門等との関係」および「取締役会との関係」に焦点を当て,同委員会のメンバー会社の事例報告を基に,同協会が過去に実施した実態調査結果等も参考にしながら,監査役設置会社と委員会設置会社における監査の実務実態やそれらの特徴を把握・整理したものである。 各社の監査役(会)・監査委員会がその活 2,290人の監査役・監査委員が集結―第71回監査役全国会議 (社)日本監査役協会(会長:築舘勝利・東京電力鰹任監査役)は,10月5日(火)から8日(金)にかけて,ヒルトン福岡シーホーク(福岡市)において,第71回監査役全国会議を開催した。 本会議は毎年春と秋に開催されており,今回の会議では主題を「監査役制度の展望と監査役の役割―会社法制の見直し―」として全国から集結した約2,290人の監査役・監査委員とともにわが国の会社法制並びに監査役制度について今後の動向を展望した。 冒頭,築舘勝利会長は,厳しい経済情勢や経営環境の中で,監査役・監査委員は本来の使命であるコンプライアンスの徹底と企業不祥事の未然防止のために緊張感を持続していくことが必要であると述べた。 経営者講演では,TOTO 代表取締役 社長執行役員 張本邦雄氏から,創立から現在に至るまでの会社のあゆみの紹介があり,さらなる飛躍を目指すTOTOらしいコーポレート・ガバナンスの構築を模索している様子が披露された。 続く全体会では,弁護士の武井一浩氏をコーディネーターとして,弁護士の葉玉匡美氏,(社)日本経済団体連合会経済基盤本部長の阿部泰久氏,且O菱東京UFJ銀行常勤監査役の今川達功氏によるパネルディスカッションが行われた。ここでは,現在,法制審議会会社法制部会において俎上に挙げられている監査役制度に関係する論点を踏まえ,コーポレート・ガバナンスや監査役のあり方について率直な見解が述べられ,活発な議論が繰り広げられた。 2日目のシンポジウムは参加者のニーズに応えるよう「監査実務事例報告―監査役の在り方―」,「企業集団における内部統制と監査役監査―親子会社の関係を中心に―」,「独立役員,社外役員と監査役の連携―企業統治の在り方―」の3つの分科会が用意され,弁護士,公認会計士等の専門家や実務家等を交えた討議が行われた。分科会では,会場からの質疑応答の時間が設けられ,参加者からは監査役監査実務の悩みなど様々な質問が寄せられた。 なお,会議の模様は,『月刊監査役』12月号(No.577)から順次掲載される予定。 |