SCOPE EYE

‘次代'を見据えた取引所市場の確立を

 

西室泰三

論  壇

 敵対的買収における若干の基本的問題 

落合誠一

特  集  企業会計審議会公開草案「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」の解説

Summary  去る7月13日,企業会計審議会より「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)」が公表された。昨年秋以降発覚した有価証券報告書の不実開示問題を受け,ディスクロージャー制度の信頼性を確保すべく内部統制に関する基準の策定が進められてきたが,本公開草案によりその具体的な方向性が明らかとなった。
本特集では,9月号のインタビューに引き続き,公開草案をとり上げ,その意義と策定の経緯を明らかにしながら,内容を詳細に解説する。

 本公開草案の意義と課題

八田進二 

 本公開草案の背景と経緯 

野村昭文
 内部統制の基本的枠組み  橋本 尚

 財務報告に係る内部統制――経営者による評価と報告 

多賀谷 充 

 財務報告に係る内部統制の監査 町田祥弘

特  集  企業会計審議会公開草案 監査基準等の改訂および品質管理基準の解説

Summary  去る7月20日,企業会計審議会より「監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について(公開草案)」が公表された。本公開草案は,近時の企業ディスクロージャーをめぐる不詳事例を受け,また監査基準をめぐる国際的動向をふまえ,検討が進められてきたものである。基準案では,事業上のリスクを重視した監査手法を導入するとともに,新たに品質管理基準が設定され,実務への影響も大きいものと予想される。本特集では,9月号のインタビューに引き続き,これら基準案をとり上げ,その詳細を解説する。

 監査基準の改訂:品質管理基準と新しいリスク・アプローチ  山浦久司 
 事業上のリスクを重視した監査の基本的な考え方  市川育義 
 事業上のリスクを重視した監査のしくみ  松本祥尚 
 監査に関する品質管理基準の設定 前山政之 
 財務報告に係る内部統制評価と監査結果の報告  持永勇一
 連載   新会社法――その運用のあり方を探る(第2回)

 条文構造の分析 

稲葉威雄

時事解説

 企業会計基準公開草案第5号「事業分離等に関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第8号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」について 

秋葉賢一 

新会社法Review

 分配可能額の算定における自己株式の取扱い  

 秋坂朝則

OPINION

 ストック・オプション会計の新たな枠組み
 
 
藤田敬司 
 英国における会社法改革とOFRの制度化(下)
 CSR情報をどこまで開示するのか
上妻義直 
 会計ビックバンと裁量的会計行動
 ――有価証券時価評価の導入時期に焦点をあてて
円谷昭一 

故事に学ぶマーケットacc  

 価値重視か価格重視か――価値に着眼する 

羽村 進

Color Section


三角波
 会社法上の省令事項について 
アウトサイド
 ワールドの選択が問う上場の意味 末村 篤 
会計時評
 戦略マネジメント・システムとしての管理会計の再構築 清水 孝 
経理・財務最前線
 ホリプロのIR ――ビジネスモデルとIRのシンクロ 堀井一孝
JICPAレポート
 プライベート・セクターの会計・監査制度の充実に向けて 佐竹正幸 
I
ASB――基準設定の舞台裏
 意思決定有用性アプローチと受託責任 鳥飼裕一
ゲーム理論で考える企業会計
 会計が企業行動に及ぼす影響 田村威文 
サロン・ド・クリティーク
 ディスクロージャーと株主資本コストの関係(2) 椎葉 淳

 


学会ルポ

 韓国会計学会 2005年年次大会
 
杉本徳栄 
 日本監査研究学会第27回東日本部会

兼田克幸 

相談室

 会計実務〕 売上収益計上に係る問題点(その1) 

木下徳明

 法人税務〕 投資有価証券の評価損計上について  斉藤伊知郎 

 会社法務〕 買収防衛策に関する指針と買収防衛策 

石綿 学

BOOK REVIEW

 『コーポレート・レピュテーション』櫻井通晴著 

伊藤邦雄 

 『公正価値会計と評価・測定』上野清貴著 

浦崎直浩 



編集室より
△近年相次いだ企業の粉飾や有価証券報告書の虚偽記載問題を契機として,企業会計審議会によって,ディスクロージャーへの信頼性を高めるための制度を作るべく議論が積み重ねられてきました。そしてその成果として,2つの公開草案がこの7月に公表されました。1つは内部統制基準に関するもの,もう1つは監査基準・品質管理基準に関するものです。本号では,前者を特集Tで,後者を特集Uでそれぞれとり上げ,各基準を詳細に解説しました。なお,今後の予定は,来年3月を目途に企業会計審議会で内部統制のガイドラインをあわせてつくり,日本公認会計士協会で実務指針を公表していくとのことです。
△内部統制に対する読者の方々の関心は,やはり,実務において具体的にどのような対応が必要になるのか,といったところかと思います。次号特集では,公開草案で示された枠組みをもとに,有効な内部統制システムを構築・運用するために実務で求められるものは何か,先進企業の事例を交えながらとり上げてみます。ご期待下さい。
△去る8月3日に「中小企業の会計に関する指針」が公表されました。これまであった3つの基準が統合されたもので,新会社法で創設された会計参与制度に対応したものとなっています。次号では,指針の位置づけや内容のポイントについて,検討委員会の安藤英義委員長にインタビューを試みる予定です。

『企業会計』2005年11月号のご案内


特集=有効な内部統制とは何か
 企業会計審議会より,公開草案「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」が公表され,日本の内部統制のフレームワークが明らかになった。
 そこで本特集では,これを受け,日本企業が内部統制を構築・運用するにはどのような対応が必要になるのか,企業実務の観点から論点を挙げ,先進企業の事例を交えながら実務で求められる問題点とその解決策を提示する。
有効な内部統制システムの構築/土田義憲 文書化の範囲とその内容/鈴木輝夫 関係者の役割と連携/手塚仙夫 住友商事のインターナルコントロールプロジェクト/鴬地隆継 新生銀行の内部統制/毛利直広