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緊急経済対策に係る税制上の措置決定

去る4月20日,自由民主党税制調査会及び与党三党の税制協議会は,緊急経済対策に係る税制上の措置を決定した。その主な内容は,次のとおりである。

1 自己株式の取得・保有制限の見直し等の商法改正案に係る税制の整備

これまで消却目的等に限られていた自己株式の取得・保有について,一般的な取得・保有を認める商法改正(金庫株の解禁)等が行われることに伴い,自己株式の取得の場合について,消却目的での取得の場合と同様に,@自己株式の取得に応じた株主を原則としてみなし配当課税の対象とする,A上場会社等の公開買付けによる自己株式の取得に応じた個人株主の課税の特例を設ける等,関連する税制について所要の整備を行うこととされた。

2 上場型株式投資信託(ETF )に係る税制の整備

現物拠出型で特定の株価指数に連動する運用成果を目指す上場型株式投資信託(ETF )が導入されることを踏まえ,株式並み課税とされる株式投資信託(特定株式投資信託)の対象とする等,所要の整備を行うこととされた。

3 長期保有株式に係る少額譲渡益非課税制度の創設

現行の源泉分離選択課税制度の下で,長期保有株式の譲渡益について申告分離課税を選択した場合には,一定額まで所得税を課税しないこととする制度を以下のとおり創設するとともに,個人住民税においても同様の制度を創設することとされた。

@ 居住者または国内に恒久的施設を有する非居住者が,平成13年10月1日から平成15年3月31日までの間に,所有期間が1年を超える上場株式(上場株式投信を含む)および店頭登録株式を証券会社等を通じて譲渡した場合には,申告分離課税の下で,その譲渡をした年分のその譲渡に係る譲渡所得の金額から100 万円の特別控除を行うこととする。

A 上記の特別控除の適用は,特別控除の計算・譲渡株式等に関する明細書の添付等をした確定申告書を提出することにより行うものとする。ただし,確定申告書の提出等がなかった場合においても,やむを得ない事情があるときは,特別控除の適用を受けられるように措置する。

なお,申告分離課税への一本化の実施時期および一本化時における税率の軽減,譲渡損失の繰越控除制度の創設等株式譲渡益課税のあり方について抜本的な見直しを行うこととし,引き続き協議の上早急に結論を得ることとされている。

4 老人マル優の対象となる株式投資信託の要件の緩和

老人マル優の対象となる株式投資信託について,運用資産における株式の組入れ比率(総資産の70%未満)および一の法人が発行する株式の組入れ比率(総資産の5%以下)の要件を撤廃することとされた。

なお,緊急経済対策に掲げられた他の項目,すなわち,銀行保有株式取得機構(仮称)に係る税制上の措置や土地流動化の促進などに関する税制のあり方については,スキームの具体化を踏まえて検討する,あるいは引き続き協議する必要があることから,検討事項として記載されている。

 

活発化するETF 導入の動き

 4月の緊急経済対策に盛り込まれた株価指数連動投資信託(ETF、Exchange Traded Funds)の導入に向けての動きが活発化している。順調にいけば今年7月から証券取引所での売買が可能になろう。

 ETFに対する要望は以前からあった。アメリカにおいて、7兆円規模に達する主力投資信託の一つになっているからである。

 ETFは株価指数(インデックス)と同じ値動きをする投資信託として設計される。いわゆるインデックスファンドの投資信託版である。アメリカでは、インデックスを上回る投資収益を安定的にあげることは困難である、むしろインデックス並みの投資収益で十分ではないかとの考え方が一般化しつつある。このため、投資信託としてETFが人気を集めている。

 インデックスを上回るためには高い手数料を支払わなければならないが、インデックスを模倣するだけであれば手数料が安価ですむ。これもETFが人気を集めている大きな要因である。

 緊急経済対策を受け、金融庁はETFの対象となる株価指数を指定しようとしている。その対象は、日経平均株価、日経株価指数300、東証株価指数(TOPIX)、S&P/TOPIX150の4つとなるだろうとみ

られる。金融庁が株価指数を指定する必要があるのは、次

に述べるように税務的な手当てが必要になるからである。

 ETFは証券取引所に上場される。ETFが株価指数と連動することを制度的に手当てするために、単純にETFを証券取引所で売買するだけではなく、現物株式との裁定が可能となるような仕組みが取り入れられることになろう。また税法上も現物株式と同じ取扱いになるように、制度的な手当てがなされる見込みである。

 今後、日本にETFが導入された場合の影響は、証券市場の活性化もさることながら、長期的には投信業界に与える影響が大きいと予想される。一つには、ETFであれば証券取引所で売買が可能であるために、短期間で投資信託を解約する必要がなくなるからである。このため、投資信託の最大の欠陥だとされる短期商品性が解消されるかもしれない。もう一つは、投信会社に支払う手数料の安さである。手数料体系が競争にさらされることによって、投信業界の再編が促されるかもしれない。

 

新体制下で初の理事会開催

 IASCは4月からスタートした新体制での初の理事会を4月18日から20日まで開催し、以下の事項を決定した。

 ・ 現行基準の有効性確認

 ・ 基準に使用する字体の拡大(灰色の文字や斜体字)

 まず、前体制の元で定められた国際会計基準(IAS )および解釈指針(SIC )は、新体制においても引き続き有効であることを確認した。

 IAS を表記する際に「黒」と「灰色」の2種類の文字を使い分けする案が認められ、具体的な方法についてはさらに討議のうえ草案を作成、公開して意見を求めることとした。

 あわせて、基準の中で太い斜体を用いて書かれたパラグラフが普通字体で書かれたものと同一の効力を持つことを確認した。前者は基準の主文を記述するもので、後者はその説明や特別な状況での適用について記述するものとされている。

  現在の議題となっている各基準の論点がIASCのスタッフによって発表されたが、具体的な論議は次回から行われる。次の理事会は5月21日から25日にロンドンで行われる予定である。

会計基準設定主体の長と会合

  理事会は主要8か国の会計基準設定主体の長との第1回会合を5月24日に行う。IAS ではこの会合を会計基準の設定を共同作業として行うための第一歩と位置づけており、より質が高くかつ世界的に統一された基準を策定していくことを目指している。

 対象となるのはオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、ニュージーランド、米国、英国の8カ国である。

  なお、理事会や上記の会合は一般に公開されている。事前の申し込みが必要となるが、インターネットのホームページ(http://www.iasb.org.uk)からも可能となっている。

 

トラッキングストック発行に伴う企業内容開示府令の一部改正

  去る5月1日、トラッキング・ストックの発行に伴い企業内容等開示府令が一部改正された(内閣府令第52号「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」)。改正内容は以下のとおりである。

 ・ 企業がトラッキング・ストック(発行者がその連結子会社の業績、配当等に応じて株主に利益配当を支払うことを内容とする種類株)を発行する場合、その連動子会社が、第19条第1項・2項に定められた事項に該当する場合は、同項の規定を準用して、連動子会社に関する情報を記載した臨時報告書を提出しなければならないこととした。なお、準用する際には、同項中の「提出会社」を「連動子会社」と読み替えることととしている。

 ・ 改正の様式

   改正された様式は、「有価証券届出書1」(第2号様式・第2号の5様式・第7号様式)、「有価証券届出書」(第2号の2様式・第2号の3様式・第2号の4様式・第7号の2様式・第7号の3様式)、「有価証券報告書1」(第3号様式・第8号様式)、「半期報告書1」(第5号様式・第10号様式)、「発行登録書」(第11号様式・第14号様式)、「発行登録追補書類」(第12号様式・第15号様式)。

 各種様式においては、「提出会社の保証会社等の情報」内の「保証会社以外の会社の情報」欄に、連動子会社の企業情報を記載することとしている。

 この企業情報とは、連動子会社については、最近二連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書または、最近二事業年度のキャッシュ・フロー計算書を掲げることとされている(連結キャッシュ・フロー計算書または、キャッシュ・フロー計算書を作成していない場合は、これらに準じて連結キャッシュ・フローまたはキャッシュ・フローの状況を記載する)。

 また、「特別情報」の部には、保証会社に加えて連動子会社についても、最近の財務諸表または財務書類を記載する必要があるとされている。

 なお、施行日は平成13年5月15日となっている。

 本号付録にて、改正された企業内容等開示府令の新旧対照表を収録している。

 

EDINET,スタート

 内閣府は、去る4月19日、「証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律の施行に伴う金融庁関係内閣府令の整備に関する内閣府令」(内閣府令第49号)および告示(金融庁告示第43・44号)を公布した。

  これはEDINET(有価証券報告書などの提出、受理、縦覧という一連の企業内容等の開示手続を、インターネットを利用したオンラインで行う電子開示システム)の本格導入にあわせ、その使用にあたっての手続上の規定の整備や関係する様式などを改正したもので、6月1日より施行されている。

  また、これにともなって、去る5月14日、「開示用電子情報処理組織等による流通開示手続に関する留意事項について」(事務ガイドライン)の制定および企業内容等の開示に関する留意事項についての一部改正が行われている。

 本号付録では,内閣府令の主要部分とガイドラインを収録している。

 なお,内閣府令の概要は以下のとおり。

  [内閣府令の概要]

    EDINET を利用する際の手続方法など

  @  EDINET 使用の届け出

 EDINETを使用する際、付則で定められた様式(第2

号様式、第3号様式)に登記簿謄本等の必要書類を添

付して、あらかじめ届け出なければならない(付則第5条)。

  A  電子開示の方法

 電子開示を行うには、インターネット経由でEDINETのホストコンピュータに接続(接続の際はID、パスワードを入力)し、各種情報を入力出来る方法でなければならない(付則第4条)。

  B  電子開示の適用除外に係る承認手続き

 ホストコンピュータの故障等により、電子開示を行うことが困難な場合は、付則によって定められた様式(第1号様式)に従って、関東財務局長に承認申請をする(附則第3条)。

    その他

  @  提出会社での公衆縦覧

 提出書類を電子情報開示した企業は、公衆縦覧のために用意する書類は、従来の紙ベースのほか、パソコン画面に表示する方法を採ってもよい(改正開示府令第23条の5第1項、2項)。

  A  様式改正

 EDINETに適合するよう、各種様式(財務諸表等規則、企業内容開示府令、連結財務諸表規則、中間財務諸表等規則、中間連結財務諸表規則など)を改正。

    告示の概要

  公布された2つの告示は、磁気ディスクおよび入力装置の規格を規定。

  @  磁気ディスク

  2DD(720KB )または2HD(1.44MB)の3.5インチFD(フロッピーディスク)、または230MBのMO(光ディスク)。

  A  入出力装置

  インターネットと接続でき、EDINETプログラムが可能なパソコン。

 

東証、ETF の上場制度要綱案を公表

  東証は、5月15日、投資信託および投資法人に関する法律施行令等の改正を前提とした、現物出資型の「株価指数連動型上場投資信託(Exchange Traded Funds、略称ETF )」の上場制度要綱案を公表した。

  あらたに上場商品となるETF は、米国等では一般的な投資信託であり、アメリカン証券取引所を中心に世界で100銘柄近い商品が上場されているものである。内容としては、ETF を組成する投資信託の委託者が募集を行い、「年金基金をはじめとするポートフォリオ運用者」や「指定参加者と呼ばれる証券会社」が中心となって、ユニット化された現物株式を拠出してETF の受益証券が発行される。

  この商品の特徴は、@取引所の取引時間中いつでも取引が可能であること、A現物株や指数先物を利用した裁定取引など、投資者に多様な取引手法を提供できること、B仕組み上トラッキング・エラーの発生を低減できることなどがあげられ、順次投資者層の拡大が図られることなどを通じて、証券市場全体の活性化に役立つものと期待されている。

 なお,ETF の上場制度要綱案の概要は以下のとおりである。

 上場対象については、募集時において現物株式が拠出されるもので、かつ、受益証券と現物株式の交換が行われるものである。具体的には、ETF の対象となる株価指数は金融庁長官が指定することとなっており、すでに、@TOPIX 、A日経株価指数300 、B日経225 種平均株価、CSP/TOPIX150 の4つの指数が指定されることが公表され、東証ではこれらすべての株価指数を対象とするETF を上場対象とする予定である。

 次に、上場審査基準としては、第一に、発行者となる、運用会社である投資信託委託業者の適格性については、法令に準拠するだけでなく、自主規制機関である社団法人投資信託協会の会員であることを要件としている。

 第二に、商品性の要件については、まず、「信託約款又は有価証券届出書への記載事項」として、@指定参加者が適格機関投資家であり、かつ、2社以上であること、A運用方針として特定の指数に連動する投資成果を目指すこと、B信託契約期間の定めがないこと、C信託契約の一部解約が行われないことを求めている。また、商品性の要件のうち、「信託財産の構成」に係る基準としては、ファンドの財産価値と特定の指数との連動性を担保するために、ETF のターゲットとなる指数の構成銘柄のうち時価総額ベースで95%をカバーする銘柄をファンドに組入れる旨を確約することを求めている。

 第三に、形式要件として、上場口数については「1万売買単位以上」、「上場後1年以内に受益者の数が1,000 人以上になる見込みがあること」を求めている。その他の形式要件は、不動産投信などの既上場商品と基本的に同じである。

 上場廃止基準については、基本的には既上場商品と同様であるが、株価指数とNAV (純資産総額)の連動性(一口当たりの純資産総額と株価指数との相関係数が0.9 未満となった場合)を上場廃止の要件として加えている。

 適時開示基準については、不動産投信における基準に加え、「設定ユニット等」の情報開示を求めている。

 そのほか、上場後の売買および決済制度の関係については、基本的に株券と同様の扱いを予定している。

 なお、ETF の上場制度については、規則改正手続きを経て、7月を目途に施行する予定である。