インターネットで学ぶ会計学

 加登 豊  

 「ビジネスプラン」とは、ベンチャービジネスの世界では、特別の意味を持つ。文字どおり、事業計画書‐事業構想とその魅力や様々の関連資料を取りまとめたもの‐であることには違いないが、起業家が創業や事業展開に必要な融資や投資、さらには、その他の経営資源を獲得するために作成するという目的を持って作成されるものである。
 日本経済の長期にわたる低迷から脱するために新規事業や新産業の創出の必要であることは、広く一般に理解されており、マスコミ紙上でもベンチャービジネスに関する記事が数多く掲載されるようになって久しい。ただわが国では、閉業率が開業率を上回る状態が長期にわたり継続しており、起業家の輩出と新規事業の立ち上げに対する社会的期待は大きい。新規事業の担い手には、学生起業家、企業からのスピンアウト人材、中小企業者、NPOやNGO活動に携わる人々、個人事業者、企業内の新規事業プロジェクト担当者など多岐にわたっている。
 事業の立ち上げと、それに続く研究開発、マーケティングおよび市場調査、営業や販売活動、人材の獲得、設備の購入や人件費の支払いのために、投資資金と事業運転資金が必要となるが、ベンチャー企業のキャッシュ・ポジションは多くの場合、脆弱である。もっとも、都市圏に限定するならば、事業実
績や知名度が乏しいベンチャー企業への支援施策は思いのほか充実しており、特に、融資や投資などのベンチャー企業の資金需要に応じる国、自治体、経済団体、さらには、起業成功者を中心としたエンジェルと呼ばれる人々による支援の仕組みは、ベンチャー企業の先進国といわれるアメリカ以上に充実しているといえる。
 もちろん、担保能力に乏しいベンチャー企業への支援は、無節操に行われるわけではなく、事業の魅力や経営者の資質、保有する技術力などが総合的に判断されて行われる。このときに、重要となるのがビジネスプランなのである。ビジネスプランには、新規事
業の全容を記載することになるので、管理会計は、その構成要素の一つ、それもかなり重要な位置を占める。
 大企業に所属する者は、ビジネスプランには無関係だと考えるかもしれない。しかし、それは、明らかな誤りである。事業構造の転換を要請されている成熟産業、規制に守られている産業、技術革新が著しく国際的競争が熾烈を極めている産業、つまり、ほとんどすべての産業において、新規事業や新しい産業の創出が叫ばれている。大企業といえども、新規事業に関する資金を社内に依存したり、従来と変わらない銀行借り入れに頼ることは困難になりつつある。少し調査すれば分かることだが、ベンチャー企業が作成する優れたビジネスプランは、社内で作成される「新規事業構想書」とは比較にならないほどで充実している。また、ベンチャー企業と共同すれば、社内ポリティクスを駆
使したり,根回しに奔走したり、必要以上の予算スラックを形成するといったことのために付加価値を生まない活動に貴重な資源を浪費することなく、研究開発に必要な資金を獲得できることにも注目すべきだろう。
 次ページに示されているいくつかのサイトを訪れ、ビジネスプランに関する多様なフォームや情報を入手して、一度ビジネスプランを作成してみて欲しい。そして、完成したビジネスプランを、ベンチャービジネス支援機関に提出し、融資や投資が受けられるかど
うかの判定を受けるといいだろう。これは、一種のベンチマーキングなのである。そして、判定結果を真摯に受け止めなければならない。  
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 べンチャールーム
http://www.l-a-t.com/venture/
 起業家およびベンチャービジネスに関心を持つ者の情報収集の便宜を図るために設けられたブックマーク集。ビジネスプランのみならず、起業およびベンチャービジネスに関連した情報を網羅している。このリンク集を利用すれば、ここで紹介するサイト以外からも、ビジネスプランに関する情報が得られる。

日本インベストメントファイナンス
http://www.nif.co.jp/
 ベンチャーキャピタルの多くがホームページを開設しているが、そのなかでも情報量が多い。「事業計画書の作成のポイント」では、事業計画書のひな型を入手できるだけでなく、作成上の留意点も示されている。また、会社運営から上場にいたるプロセスに関しても、平易な説明がなされており、とりわけ、理工系の起業家には参考になる。

日本ベンチャー起業支援協会
http://www.jesa.gr.jp/
 起業支援に積極的に取り組む公認会計士、税理士、コンサルタントなどによって組織された団体のホームページ。事業計画書作成にあたってのチェックリストとともに、事業計画書のフォーマットをダウンロードできる。海外からの資金調達や事業展開の支援活動も行っている。

IIS-Japan
http://www.iis.or.jp/
 関西経済連合会によるベンチャー支援システム。事業ニーズとシーズのマッチングを行うインターネット・システムで、ビジネスプランの一部を構成するニーズ情報及びシーズ情報の閲覧ができる。掲示されている情報に関心を持つ者は、さらに詳細な情報へのアクセスが可能となり、両者が合意すればさまざまな形態での事業展開が可能となる。

日本ベンチャー学会
http://www.venture-ac.ne.jp/
 ベンチャービジネス関連の研究者、起業家、ベンチャービジネス支援機関などが集う研究団体。ビジネスプランだけでなく、ベンチャービジネスに関する様々な分科会活動、研修プログラム、学会誌の発行や研究大会開催の案内などの情報が入手できる。多様な専門家との意見交換も可能である。

板倉雄一郎事務所
http://www.fbi.co.jp/itakura/index-j.htm
 倒産したハイパーネットの元経営者で『ベンチャーわれ産す』(小学館)『社長失格』(日経BP)の著者でもある板垣雄一郎のホームページ。なぜ注目を集めたベンチャー企業が行き詰まったかについて示唆に富む教訓が得られる。上記の著書に対するコメントも興味深い。ビジネス(プラン)が有望でも事業が軌道に乗るとは限らないことや企業は倒産することを、経営者は知らなければならない。

近畿通商産業局ベンチャープラザ
http://www.kansai.miti.go.jp/vkansai/
 このサイトでも、ビジネスプランの雛型が入手できる。ビジネスプランの作成にあたっての記入要領が簡潔にまとめられている。また、ベンチャープラザの事業活動の情報も入手できる。

Business 2.0
http://www.business2.com/index.html
 Ebusiness やニューエコノミーに関する雑誌が数多く出版されているが、そのうちでも注目を集めている雑誌がBusiness2.0である。バックナンバーの全記事がホームページに掲載されており、ビジネスプランに関する記事も多い。アメリカには多くの秀逸なベンチャービジネスのサイトが存在するが、紙幅の関係で紹介できないのが残念である。